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更新日:2024年1月19日

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農産物の上手な利用法(ソルダムジャム(冷凍原料利用)/作り方のアドバイス)

「農産物の上手な利用法」のページでは、オープンラボで実験された農産加工実験や神奈川県農業技術センターの過去の研究成果を紹介しています。

作り方のアドバイス

★ソルダムの解凍

ジャム加工するときは早めに冷凍庫から出し、常温で解凍するのが良いでしょう。急ぐならば流水に浸けるのが良いでしょう。流水に浸けるときは容器の穴に気をつけて下さい。水が入るだけなら濃縮の手間が増えるだけですが、ソルダムの果汁が流れ出てしまうとおいしい香りと味が少なくなってしまいます。量が少なければ電子レンジによる解凍も手軽です。

★ソルダムの加熱

鍋で煮る目安は果肉が柔らかくなり、簡単に果肉が潰れる程度。沸騰が始まり、10分くらい加熱して下さい。全体が煮溶け、攪拌ヘラでソルダムを触ると、皮が取れ、種のまわりの繊維質の果肉が少し残るようになります。
蒸しても良いでしょう。蒸す場合は蒸気の上がった蒸し器に入れ、解凍してから更に10分くらい蒸して下さい。蒸したとき出る果汁は逃がさないようにしましょう。

★ソルダムの裏ごし

写真:ルダムの裏ごし 1mm目の金網(ザル)で種・皮と果肉を分けましょう。目が細かすぎると裏ごしが大変になります。種・皮などの裏ごし粕は原料ソルダムの果実の10%程度になります。加熱による水分の蒸散もあり、3kgの原料から裏ごし果肉は2kg程度になります。

★裏ごし果肉の加熱

焦がさないように鍋底や鍋のフチをヘラで擦るように攪拌して下さい。火が強いと鍋のフチに付いたソルダムの果肉がこびりつき、焦げてきます。焦げそうになったら濡れ布巾で拭き取って下さい。でも、焦げるのが心配だからといって、弱火でトロトロと加熱すると、加熱時間が長くなり、ジャムの色が暗色化し、きれいに仕上がりません。焦がさないよう、可能な限り強い火で加熱して下さい。
表面に浮いてくる泡・アクはレードルなどですくい取ってください。

★砂糖の添加

裏ごし果肉が沸騰したら、分量の砂糖を全部加えますが、一気にザッと加えると鍋底に砂糖がたまり、こびりつき、焦げる原因ともなります。沸騰した裏ごし果肉を攪拌しながら加え、砂糖が鍋底に溜まらないようにサーッと加えて下さい。
砂糖が入ると鍋底が焦げやすくなるので、焦がさないように鍋底をヘラで擦るように攪拌して下さい。鍋のフチに付いた果肉も焦げやすいので注意して下さい。
沸騰すると泡・アクが表面に浮くのでこまめにすくい取りましよう。

★煮詰め具合の確認

煮詰め具合いの確認は攪拌ヘラにつく果肉の状態、スプーンですくい取った時の流れる状態、冷水を入れたコップに滴下したときの果肉の状態、冷えた皿・プレートに薄くつけて斜めにしたときの流れる状態など、いろいろな方法で煮詰め具合(ゲル化状況)が確認できます。
ヘラについた果肉がサッと流れるなら煮詰め不足、モッタリとしてくればOK。スプーンに採った果肉をちょっと冷まして傾けたときサッと落ちずにポッタリとしているならOK。冷水に果肉を滴下しパーッと散るなら煮詰め不足、コップの底までミズクラゲの様にプヨプヨと沈んでいけばOK。皿・プレートにつけた場合、立てたらスーッと流れたら煮詰め不足、ちょっと流れてスッと止まればOK。その他、温度で濃縮度合を確認することができます。何度かジャムを作って、頃合を確認して下さい。
糖度65%程度の場合、出来上がり量は3.5kg程度になります。
写真1:煮詰め具合の確認写真2:煮詰め具合の確認写真3:煮詰め具合の確認する

★アク取りの隠し技

加熱を終了し、レンジからおろすと表面にアワ・アクが浮いて来ます。このアワ・アクがジャムビンに入ると見た目が非常に悪くなってしまいます。このアワ・アクを取るため、ジャムの表面にラップフィルムまたはアルミホイルをのせるとアワ・アクがついてしまい、アワのない、きれいなジャムとなります。

★ジャムビンとフタ

ジャムビンは広口の140~250ccのビンがお手頃。空きビンも利用できますが、ビンの口が欠けたり、ヒビのあるものは絶対に使わないで下さい。ジャムを入れてフタをしてもきちんと閉まらないため、長く保存することができません。また、加工中や保存中にビンが割れることもあります。ジャムを無駄にするばかりでなく、思わぬところでケガをすることにもなります。
フタは一度使ったものはパッキンが凹んで、緩くなるので、長く保存するためには、新しいフタを使って下さい。
ビンとフタはきれいに洗い、蒸気の上がった蒸し器に口を下向きにして入れ、内部に水が溜まらないようにして加熱して下さい。ビンとフタはジャムを詰めるまで蒸し器に入れて、熱くしておきましょう。
写真:ジャムビンとフタ

★ジャムのビン充填

ジャムは熱いうちに、熱いビンに詰めなければなりません。ジャムやビンの温度が低いと脱気殺菌の時間を長くしなければなりません。きれいで、おいしいジャムは手早く作って、手早くビンに詰め、殺菌するのが肝要です。
ジャムはビンの口の上端から6~8mmくらいまで入れて下さい。140ccのビンなら160g、200ccのビンなら220gくらい入ります。

★ビン充填の隠し技

ジャムビンの口を汚さないため片口レードル、片口、太口のロートなどを用いることは有効です。でも、たこ焼きに使う種おとしは優れもの。種おとしにジャムを入れて、ちょっと時間をおくとアワが上に浮いてきます。それからおもむろにビンに注ぎ込むと、種おとしの下部からジャムが出るため、アワの無いきれいなジャムがビンに入ります。

★脱気殺菌

脱気はジャムとフタの間に残る空気・酸素を減らすために行います。ビンの大きさ、ビンに入っているジャムの温度によって異なることは言うまでもありません。加熱によりビンの中に残った空気を膨張させ、希薄にした状態でフタをキュッと締め、減圧状態にします。軽くフタをしたジャムビンを蒸気の上がった蒸し器に入れ、ジャムの中心温度を90℃以上なるまで加熱します。140g~200gビンに熱いジャムを入れた場合では15~20分程度加熱します。

★倒立放冷

脱気殺菌が終了したら、フタをキュッと閉め、ビンを逆さにします。熱いジャムが下になったフタにもまんべんなく触れます。30分間、ビンを逆さにしておくことで、ビンの中に残っている耐熱性の微生物も生育することができなくなります。また、フタの締めかたが緩かったり、ビンの口に傷があったりして、すき間があると、ビンを逆さにしたときにジャムが吹き出してきます。このジャムの長期保存はあきらめて下さい。すぐに食べてしまいましょう。
写真:倒立放冷

★流水冷却

倒立放冷の終了したジャムに高温は不要です。ビンを水に浸けてジャムの温度を下げるとともに、ビンについた汚れを洗い流します。ジャムがわずかな温もりを持つ程度になったら、ビンの外側やフタが清浄かどうか、確認しながら水から取り出し、きれいな布巾でビンやフタの水気を拭き取って下さい。完全に冷えているより、少しの温もりがあった方がふき取れなかった水分が早く乾きます。
写真1:流水冷却写真2:流水冷却

★ラベル

製造に係わる情報(ジャムの名前・材料の種類・材料の配合・作った年月日など)を付けたラベルを貼りましょう。
写真:ラベル

★保存

ジャムは冷暗所に保存して下さい。こうやって作ったジャムはフタを開けない限り、腐敗することはありません。しかし、温度の高いところ、明るいところに長くおくと、ジャムの糖、酸、ペクチン、色素などが化学反応をおこし、色が変わったり、柔らかくなったり、水分が分離してきます。また、香りも悪くなってきます。
ビンに詰めたままのジャムは長く保存できますが、フタを開けたジャムは糖分が多くても、少なくてもカビが生えたり、味や香りが悪くなり、長く保存することは難しくなります。フタを開けたジャムは冷蔵庫に入れて保管し、なるべく早く食べてしまいましょう。
写真:保存

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