農産物の上手な利用法(青梅シロップ漬け・作り方のアドバイス)
「農産物の上手な利用法」のページでは、オープンラボで実験された農産加工実験や神奈川県農業技術センターの過去の研究成果を紹介しています。
★原料の梅
シロップ漬けの原料の梅は青梅でも、黄梅でも構いませんが、青梅のほうが果肉がしっかりしているので作業が楽に手早くできます。
黄梅だと果肉が柔らかくなっているので包丁を使って、縫合線から半割りにしようと力を入れると果肉がつぶれてしまうことがあります。
押されて組織がつぶれた果肉は種取り用のスプーンで種の部分をえぐると果肉が大きくとれてきます。果肉が柔らかいときは良く切れる種取り用のスプーンを使わないと、歩留まりがとても悪くなります。
梅の大小も問いませんが、あまり小さいと作業が捗りませんので、やや大きめの梅を利用するほうが良いでしょう。この方法では梅は半割りして、種を取るので大きい方が能率があがります。しかし、大きい梅はビンに入れると収まりが悪く、梅と梅の隙間が大きくなるので、シロップの必要量がおおくなります。
★半割り種とり
判割りにした青梅はスプーンを使って種をえぐり取ってください。種抜きに使うスプーンは先の尖ったものの方が作業が早く進みます。梅の種取専用にしてよいスプーンならば、スプーンの縁にヤスリをかけて、ナイフほどではないにしても縁を少し鋭くすると作業が楽になります。
半割り種抜きの果肉を取るには650~700gの青梅が必要です。品種によって種が大きかったり、果肉が薄かったりするので、半割り種抜きの歩留まりは変ります。
★青梅の水煮
半割りにし、種を取った青梅の果肉はサッと洗って、種の割れたカスを洗い流してから、鍋に入れてください。鍋に入れた梅の果肉の重量と同じ量の水を入れ、加熱してください。鍋の水に温度計を差し入れ、70℃まで加熱してください。70℃になったら火を止めてください。しばらくおくと水温が下がってきます。鍋の中の青梅の温度が完全に70℃にならないうちは水温がスッと下がります。少し下がったら火をつけ、加熱してください。でも、決して70℃を超えるような加熱はしないでください。70℃を超えると皮がむけたり、果肉が柔らかくなります。
★容器・ビンの加熱
青梅のシロップ漬けを詰める容器・びん、フタは水洗いし、蒸し器で加熱してください。殺菌ということもありますが、それ以上に重要なのはビンを熱くし、熱い状態で水煮した青梅を詰めることにあります。 熱い容器に熱い(70℃)の青梅を詰め、70℃のシロップ液を注ぎ込めば、脱気の時に温度を高めに設定する必要がなくなります。70℃の熱水に漬け込むことで70℃を超える温度によって梅果肉が軟化するのを回避できます。
★水煮青梅のビン詰め
水にした青梅は温度を下げないように手早く熱いビンに入れてください。あまりゆっくり作業すると梅やビンの温度が下がってしまいます。 青梅は箸で摘まみあげて、ビンに入れますが、箸でキュッと摘まむと皮が破れてしまいます。そっと摘まんでビンに入れても、ビンの中で収まりが悪いとき、収まりを良くしようと箸でつつくと皮が破れたり、果肉が傷ついたり、ちぎれてしまいます。収まりを直すときも青梅の扱いに注意してください。
★シロップ液
シロップ液の砂糖の濃度は濃くても薄くても良いのですが、初めは65%の糖液を調整して、シロップ漬けを調整してください。65%の糖液は350mlの水に650gの砂糖を加え、溶かしたものです。
ビンの口一杯まで梅を詰めてからシロップ液を注ぎ込みますが、梅と同量かそれ以上のシロップ液が入ります。シロップ液は半割りし種を抜いた梅よりも多く調整してください。
★加熱温度
梅の実は水煮、脱気加熱の時、温度を70℃以上にあげないでください。ビンに入れた梅に注ぎ込むシロップ液の温度も70℃以上にしないでください。一般的には70℃以上の温度のシロップ液を入れ、全体がなじんだときに70℃になるようにするのですが、70℃以上のシロップ液が梅に触れると皮が破れ、剥けてしまいます。
★ビン詰の梅
梅の実はビンに詰めると少し縮み、皺ができ、シロップ液の上部に浮いてきます。2週間くらいすると、梅の実が膨らみ、シロップ液全体に分散してきます。
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