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更新日:2018年8月27日

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総合計画審議会第62回計画推進評価部会・第14回計画策定専門部会 審議結果

総合計画審議会第62回計画推進評価部会・第14回計画策定専門部会の審議結果

様式3

次の審議会等を下記のとおり開催した。

 
審議会等名称 総合計画審議会第62回計画推進評価部会・第14回計画策定専門部会
開催日時 平成24年1月26日(木曜日)17時から19時まで
開催場所 かながわ県民センター 2階 特別会議室
出席者

鈴木佑司、大久保一郎、笹生悦子、藤井繁子、青木昇、齋藤純一、竹中千春、土井香苗、中井検裕、中村広幸、治田友香、三井逸友、山本佳世子

〔計13名〕

(◎部会長)

次回開催予定日 未定
問い合わせ先

政策局政策調整部総合政策課計画グループ 諸星

電話番号 045-210-3061(直通)

ファックス番号 045-210-8819

審議経過

議題1 新たな総合計画の策定等について

《資料1-1「新たな計画書構成イメージ(案)」、資料1-2「「実施計画」プロジェクトの柱【案】」、資料1-3「「実施計画」各プロジェクト【案】」、資料2「かながわグランドデザイン(仮称) 基本構想(案)」、資料3「かながわグランドデザイン(仮称) 実施計画 プロジェクト編(案)」、資料4「かながわグランドデザイン(仮称) 実施計画 主要施策・計画推進編(案)」、参考資料1「総合計画審議会計画策定専門部会(11月10日(木))の意見と対応」、参考資料2「総合計画審議会(11月24日(木))の意見と対応」、参考資料3「新たな「総合計画」策定等に関する県民参加意見の概要」について事務局から説明。》

 鈴木部会長:議論の項目は整理しないで、皆様方から自由にご意見をいただきたいと思います。おおよそ3つの項目を議論したいと思いますが、いかがでしょうか。

 齋藤委員:プロジェクト編の9ページにある「原子力発電に過度に依存しない」という表現は、裏を返せば「適度に依存する」という、よく分からない表現だと思います。何故、「できるだけ依存しない」という方向性をもった言葉ではなく、「過度に依存しない」という、あまりよく分からない表現にしたのか理由を聞かせてください。

もう一つは、同じプロジェクト編の25ページにある「県民総力戦で子どもを育む」という部分です。「総力戦」というのは、求心的な原動力をもった歴史的にも非常に問題のある言葉で、すべてのポテンシャルをある方向に結集していくという言葉ですが、子どもを育むという部分に、そういう言葉がよいのでしょうか。分権化を推進する自治体が「総力戦」という表現にあえてこだわる理由を聞かせてください。

 藤澤総合政策課長:前段の「原子力発電に過度に依存しない」というのは、「原子力発電にできるだけ依存しない」とほぼ同義であると考えています。すでに知事が発表をしている「かながわスマートエネルギー構想」は、プロジェクト編の8ページにも記載のとおり、「原子力発電に過度に依存しない」「環境に配慮する」「エネルギーの地産地消を進める」という3つの原則を掲げています。ここは県の方針として発表した内容や言葉を記載しています。

また、25ページの「県民総力戦」は基本構想の「3つの将来像」の3つ目にもあります。実は、先般の総合計画審議会でも「県民総力戦」という言葉についてご議論をいただきましたが、これは知事の政治方針そのものなので、「3つの将来像」に記述させていただきました。基本構想の「3つの将来像」は、このままでお願いしたいと思いますが、委員からご指摘のありました、子どもを育むという視点で「総力戦」が適切かどうかについては、ご議論いただければと思います。

 鈴木部会長:後者については、総合計画審議会でもかなり議論がありました。

 三井委員:先月、黒岩知事が横浜国立大学に来られて講演をされましたが、ご指摘の「原発に過度に依存しない」という言葉は、もっと強いニュアンスの「将来は依存しない」社会にしたいという気持ちがあると感じました。一方、「総力戦」については、スポーツの試合で総力戦で戦うというのと同じ意味合いで使われていると思いますが、齋藤委員がおっしゃるように、子育てに対して「総力戦」という表現が使われてよいのか、という疑問は感じます。

それから、新エネルギーなどに対する知事の思いもよく伝わってきました。新しい総合計画を作る時は、新しい産業を神奈川から創ろうというぐらいの思い切った言い方が必要だと思います。今までのように、既存の企業に頑張っていただくことも大事ですが、昨日のニュースにもありましたように、日本の輸出が輸入を下回るという事態になって、産業の非常に大きな転換期にきていることは自明の理です。神奈川が持っているポテンシャルとしての新エネルギーとか、生活関連とか、その辺が見える形で重点化をしていくべきです。あれもやります、これもやります、ではなくて、メリハリを付けていただければと思います。

 川﨑政策調整部長:資料2の9ページをご覧いただきたいと思います。「県民総力戦」については、定義がはっきりしていませんでした。そこで、ここの文章を修正して、「県民、NPO、企業、市町村などと情報や目的を共有しながら、神奈川の総力を結集し、新たな政策をともに」としました。原子力発電所の事故だけでなく津波の問題という国難に対して、みんなの気持ちが一つになり、知事が、総合計画が引っ張っていくという強いメッセージを込めて、神奈川の総力を結集し、という表現にしました。このように「県民総力戦」の表現のところは手を入れてきた経緯があります。

従って、神奈川の将来像は3つありますが、「行ってみたい、住んでみたい」は、こういう神奈川にしたい、「いのちが輝き長生きできる」は誰もが元気でいるような神奈川にしたい、「県民総力戦」は皆で頑張るような社会にしたい、というメッセージとして、これまで審議会や部会を通じて、大きな概念として整理させていただきました。かなり深く議論した上での整理であるとご理解をいただきたいと思います。

 鈴木部会長:後者の部分については、基本構想の9ページに総合計画審議会の意見が反映されて、総力戦に注釈が付いています。それよりも深刻なのは原子力発電所の問題を一体どうするかです。ご承知のように、神奈川県は非核兵器県宣言をして、国際非核自治体会議を主催したこともあります。その時に、原子力の軍事利用はもちろんのこと、平和利用についても細心の注意をすべきである、という神奈川宣言を議決しています。神奈川県内に原子力発電所はありませんが、原発のある県に依存してきたことは間違いないので、今回の「かながわスマートエネルギー構想」は、他県に依存してきたことからの具体的な脱却の一歩であると評価して認めなければなりません。「原子力に過度に依存しない」は知事の言葉ですよね。

 川﨑政策調整部長:そうです。神奈川県は再生可能エネルギーが全体の2%ぐらいで、残りの98%が火力と原子力、水力などでもっています。この割合を国より10年先駆けて、2020年度までに20%まで高めようという「かながわスマートエネルギー構想」を打ち出しています。そうした中で、原子力に代わるエネルギー政策をきちんと打ち出しているのか、という話も経済界からは出ていて、行政としてはセットで示していく必要があります。300キロ離れた福島の方々にご迷惑をかけながら、電気を使っていたという事実があります。また、浜岡原発は、福島よりもっと神奈川に近いところにありますし、韓国や中国で原発事故が起これば、放射性物質が偏西風に乗ってくる可能性もあります。これから、原発問題は真剣に議論しなければなりません。さらに再生可能エネルギーを20%とした場合の残りの80%について、火力、天然ガスやシェールガスも駆使しながら、全体のエネルギー政策をどのようにしていくのかを県庁内で真剣に議論したいと思います。そういうこともあって、プロジェクトでの表現は、「かながわスマートエネルギー構想」に合わせた表現にさせていただきたいと思います。

 藤澤総合政策課長:国のエネルギー基本計画よると、2007年度の実績では原子力に26%依存しており、2030年度の目標には原子力を53%にするという計画がある中で、「過度に依存しない」という若干強めの表現となっています。

 鈴木部会長:他にご意見がございませんか。基本構想は、事務局の説明にもありましたように、議会の議決を要しますので、それを念頭において議論をしてください。

 藤井委員:前回の総合計画審議会の時に、「スポーツに税金を使われたくない」というご意見がありました。スポーツと言わずに運動することが医療費削減や寝たきり防止につながるような記載がないために「遊びに税金を使われて嫌だ」という印象をもたれたような気がしました。

そこで、プロジェクト編の16ページにあるプロジェクト7「県民が安心できる保健・医療体制の整備」に「医食農同源など病気にならない取組みの推進」を掲げていますが、食だけではなく運動も推奨していかないと、病気にならないことにつながりませんし、主要施策・計画推進編の71ページにある、プロジェクト12の総合型地域スポーツクラブの育成に関する数値目標の説明文の中に運動を推奨することで寝たきりになる老人を減らし、医療費の削減をめざすようなことを盛り込んでいただきたいと思います。また、プロジェクト編の18ページにあるプロジェクト6「高齢者が生き生きとくらせる社会づくり」の「高齢者の健康・生きがいづくり」は、結果的に寝たきり老人を増やさない、あるいは病気にならないことにもつながりますし、24ページのプロジェクト12「健康で豊かな人生を築くスポーツ振興」では、ねらいのところにスポーツを振興することで健康の増進や病気にならない、医療費の削減につながるようなイメージにしていただきたいと思いました。

 藤澤総合政策課長:その点につきましては、前回の当部会で議論があり、ねらいを丁寧に記述しました。24ページのプロジェクト12では、高齢者の健康増進をはじめとしたライフステージに応じたスポーツ活動の推進や、様々な場でスポーツを活用していくしくみ・場づくりに取り組んでいくというスタンスを明確に記述させていただきました。

 藤井委員:要介護者を少なくするとか、医療費の削減につながることは言えないのでしょうか。「税金を無駄に使われるのが嫌だ」というご意見でしたので、結果的に税金の無駄遣いを減らすことにつながります、というメッセージになればよいと思いました。

 藤澤総合政策課長:スポーツについては、文部科学省が所管するスポーツ基本法の中で、国や地方自治体の役割が位置づけられており、県としてはその方向性に沿って取り組んでおります。

 鈴木部会長:ちょっと因果関係が難しいです。

 青木委員:同じ16ページのプロジェクトの6「高齢者が生き生きとくらせる社会づくり」のねらいに「高齢者を標準とする社会の実現」とあります。これは全国と比べて神奈川県の高齢化のスピードが速いということで、非常にストレートな表現となっていますが、ここは「標準」よりも、「高齢化社会に対応する」、「高齢者が住みやすい」、あるいは「高齢者がくらしやすい」という言葉の方がよいのではないでしょうか。

それから、主要施策・計画推進編の69ページにあるプロジェクト6の数値目標については、非常に違和感を持っています。タイトルは「高齢者が生き生きとくらせる社会づくり」になっていますが、数値目標は特別養護老人ホームや訪問介護サービスといった、あまり元気でない方へのセーフティネットが目標に挙げられています。ここでのポイントは「高齢者が生き生きとくらせる社会づくり」をもう少しアクティブに考えて、高齢者に対して先進医療でケアしたり、高齢者の持っている経験やスキルを社会に還元したりするアクティブな内容に置き換えることが必要だと思います。神奈川で住んでいれば、病気になった時には先進医療が受けられます、病気になる前は高齢者がアクティブに活躍する場を提供します、という目標を掲げれば、それが医療費の低減にもつながるし、社会に対してもプラスの効果が出てくると思うのです。プロジェクト6のタイトルと数値目標が結びつかないため、非常に違和感をもっています。

 齋藤委員:私も賛成です。数値目標が保護の対象ばかりで、プロモーション(促進)がほとんどありません。やはり、経験や獲得してきた知識などを生かした起業活動を支援していくところが薄いのではないでしょうか。内容が保護の対象に偏っているという印象を受けます。

 藤澤総合政策課長:一つ目の「高齢者を標準とする社会づくり」については、県議会も含め、これまでも様々な場で議論をしていただきました。神奈川の場合は人口急増期があり、今後高齢者が増えていきます。地方から労働力として入ってきた団塊の世代が神奈川でも非常に層が厚く、その世代を中心に、神奈川は全国よりも速いスピードで高齢化が進んでいきます。そこで、資料2の基本構想の20ページには、高齢化にきちんと備えるという、スタンスを明確にする意味で、柱立ての中に「高齢者を標準とする社会づくり」というのを入れて、これまで議論をしていただきました。できれば、この柱立てを生かした形で進めさせていただければと思います。

もう一点、プロジェクト6の数値目標につきましては、弱い高齢者に対するハード的な、あるいはサービス面の供給体制を目標に据えています。数値目標の設定における基本的な考え方は、県の取組みの成果が現れる中間的なアウトカム指標をできる限り設定していくということで、これまで議論をしていただいております。高齢者の健康や生きがいづくりについては、市町村が主体的に取り組むものであり、県は市町村と連携して取り組む事業が主であるため、なかなか県の取組みの成果が現れるようなアウトカム指標が探しにくかったものです。

 青木委員:県の取組みの成果が現れるようなアウトカム指標がなければ、この数値目標にせざるを得ませんが、進捗管理がしやすい目標にしてしまうと本末転倒の話になってしまいます。

 齋藤委員:やはり、「生きがいづくり」は上から目線です。パターナリスティック(家父長的温情主義的)な印象を受けます。むしろ、就業支援や起業支援を少し強調するべきです。

 鈴木部会長:なぜ、この「高齢者を標準とする社会づくり」にしたのかというと、孤独死やその他の様々な高齢者の現実問題に対して、個人情報の保護という厚い壁がある中で、行政はどのような役割を果たせるのかについて、部会の中でたいへん激しい議論がありました。地域、あるいは本人の責任に加えて行政がどこまで踏み込んでできるのかというと、基本構想の20ページにもありますように、高齢者の問題に対して、地域の見守り活動への支援や孤立化や孤独死を防ぐ取組みへの支援をしていくことになります。確かに、プロジェクト6「高齢者が生き生きとくらせる社会づくり」において、この3つの数値目標でよいのかというのはありますが、今の段階ではやむを得ないと思います。

 青木委員:地域には様々な課題があります。その課題解決に向けて、お年寄りの知恵やスキルを貸してもらうことで、お年寄りの生きがい、新しい場を設けたらよいのではないでしょうか。

 藤井委員:団地を再生する時も、必ず高齢者をセットにしてプランニングされます。障害者の場合は就労訓練の場があるので、社会参加や就労訓練を数値目標にしていますが、高齢者の就労を支援するセンターとかはないのでしょうか。

 川﨑政策調整部長:「シニア・ジョブスタイル・かながわ」があります。

 藤井委員:そこに登録している方の数を数値目標とするのは駄目なのでしょうか。

 川﨑政策調整部長:まず、高齢化については基本構想の6ページに議論の出発点があります。神奈川県の人口は将来的に逆ピラミッドが想定されており、神奈川県の施策全体を変えていかなければなりません。医療、福祉、住宅、食料など、すべてが今の取組みではとても間に合わないのです。一年や二年、三年で取り組めるものではなく、きちんとロードマップを立ててやっていかなければならないことを物語っています。基本構想ではこのような認識に立つとともに、実施計画にも初めて「高齢者を標準とする社会づくり」の視点によるプロジェクトを立ち上げました。実際、県の施策としては、資料4の主要施策・計画推進編19ページの2「高齢者を標準とする社会づくり」に「高齢者が生き生きとくらせる保健福祉の充実」を位置づけ、4つの主な主要施策をあげています。21ページの主要施策414「高齢者の健康・いきがいづくりの推進」には、地域支援事業などの介護予防の取組みの推進、老人クラブへの助成などによる社会参画、スポーツ・文化活動などが県として取り組んでいる部分です。数値目標については統一基準を示して部局に検討を依頼しますが、予算を持って取り組んでいる事業をベースに考えると、こういう数値目標になってきます。「シニア・ジョブスタイル・かながわ」では、高齢者向け専用の相談を行っていますので、そこの相談件数を目標とすることは可能ですが、アウトカム指標となりうるかは検討する必要があります。

 藤井委員:そういう場所の存在自体も知られていないので、そういうことをアピールしていくことも必要なのではないでしょうか。

 川﨑政策調整部長:分かりやすい数値目標で、毎年、数字が把握できて、県の努力が反映される目標を検討してみたいと思います。

 鈴木部会長:主要施策・計画推進編の18ページにある主要施策329「中高年齢者の就業支援」にはシルバー人材センター事業の支援とあります。横断的にどう取り組むかという課題は残ります。フットノート(脚注)を付けて、高齢者のための就業支援についてはここを見てください、と付記すればよいかもしれません。

 藤澤総合政策課長:資料4の主要施策・計画推進編の61ページにプロジェクトと主要施策の関係を整理しており、PJ6には産業・労働の分野から主要施策329「中高年齢者の就業支援」を位置づけています。総合計画審議会の答申まで時間がありますので、県の取組みの成果が現れる中間的なアウトカム指標について、部会長とも相談しながら整理していきたいと思います。

 鈴木部会長:ここはそういう整理をさせていただければと思います。他にいかがですか。

 笹生委員:高齢者についてすごく気になるところがあります。資料4の主要施策・計画推進編の77ページにある、プロジェクト27の数値目標に、交通の利便に対する大胆な数値目標が掲げられています。今は、車を運転している高齢者が非常に多く、どこに行くにも車を使っていると思いますが、さらに年を重ねていくと車を運転するのが怖いと感じる高齢者が多くなると思います。プロジェクト27の具体的な取組みは道路網の整備などですが、車の運転から遠ざかっていく高齢者も多いと思うので、コミュニティバスなど、移動手段を増やす取組みもあった方が安心なのではないでしょうか。

 藤澤総合政策課長:基本的に、地域の市民の足である交通の確保は市町村の役割になっています。県としては広域的な交通網の整理をしていきますが、ご指摘のとおり、今後、高齢化が進む中で、都市構造そのものを考えていかなければなりません。特に、コンパクトシティであるとか、できる限り、高齢者が交通の便の良い地域に住むまちづくりは必要になってきますので、県としては、そうした対応の中で取り組んでいきたいと思います。プロジェクト27は表題にもありますように、県としての広域的な役割である交通ネットワークの整備についての数値目標を設定していますので、ご理解をいただきたいと思います。

 笹生委員:次に資料3の実施計画プロジェクト編についてです。これは県民が実際に読む資料だと思いますので、もう少し見やすくならないでしょうか。私が見にくいと思ったのは、プロジェクトの各ページに2012年から2014年までの取組みがバーチャートで記載されているところです。例えば、21ページのプロジェクト9「障害者の地域生活を支えるしくみづくり」にある「1『すまい』の確保と福祉・医療サービスの充実」では、主な取組内容の一つ目に「(1)グループホームなどへの支援」が掲げられていて、バーチャートは2012年度から2014年度を通して「設置・運営の助言や補助」となっています。一方、3番目の「(3)県総合リハビリテーションセンターの再整備」では、2012年度は「設計」をして、2013年度からは「工事」をしますとなっていますが、見方はこれで良いですか。

 藤澤総合政策課長:バーチャートは、年度別に区分ができるものについて区分をしており、継続的な取組みについては、2012年度から2014年度を通じた記載になっています。できる限り、事業の中身が分かるような形にしています。

 笹生委員:バーチャートのほとんどが2012年度から2014年度までを継続して行うような形になっていて、バーチャートと主な取組内容が同じようにしてあるとしか思えません。違う記載となっていればいいのですが、2012年度に「支援します」、2013年度に「支援・助言します」というのであれば、こういうふうにしなくてもよいと思います。例えば、2012年度には○○をします、2013年度には○○をしますと記述できるのであれば、その方がいいのですが、3年間を通してやり続けるのであれば、こういうバーにしなくてもいいと思います。

 藤澤総合政策課長:技術的に欄の違いを際だたせてしまうと、それがまた見にくさにつながるところもあり、難しいところではあります。

 笹生委員:同じような記載をするのであれば、1箇所にあれば良いと思います。

 藤澤総合政策課長:年度別に違う取組みを行う事業があるため、そこだけを違った記載にすると逆に見にくくなり、理解を難しくすることがありますので、「主な取組内容」にアウトフレームを記述して、できる限り年度別に個別の内容を示せるような努力をしたところです。

 中井委員:資料4の主要施策・計画推進編には、それぞれのプロジェクトごとに複数の数値目標が設定されています。例えば、資料3の9ページにあるプロジェクト1「『かながわスマートエネルギー構想』の推進」には具体的な4つの取組みがあり、この取組みに対応した数値目標が資料4の67ページにある数値目標一覧に掲載されていますが、対応できていない取組みも結構あるという印象を受けました。必ずしも、数値目標とすることが適切ではない取組みもありますので、抜け落ちてもいいと思いますが、「『かながわスマートエネルギー構想』の推進」で具体的な数値目標があげられているのは、構成事業1の「太陽光発電など再生可能エネルギー等の導入促進」だけです。省エネなどは数値目標にしやすいので、そういう視点で見落としがないか、もう一度、精査をしたらどうでしょうか。それから、資料4の68ページにプロジェクト3「津波被害を軽減する対策の強化」にある3つの数値目標のうち、「ハザードマップを作成する市町数」と「津波対策訓練を実施する市町数」は沿岸の市町数が15市町なので、このような数値目標の設定となっていますが、ハザードマップの作成や津波対策訓練は危急にやらなければいけないものなので、こういうものを数値目標にするべきではありません。本当に重要なことは、津波ハザードマップに基づいた避難計画の作成や、津波対策訓練にどれだけの人が参加したのかという方が大事なので、そうした観点で目標を検討していただきたいと思います。また、以前にも申し上げましたが、津波対策として3年間でできることはソフト面に偏ってしまいます。プロジェクトの取組み内容は基本的に避難をしっかりやっていくという考え方ですが、本当は避難と同時に施設で守るという考え方もあるべきです。2年や3年で施設はできないので、今回の計画はこうなるのかもしれませんが、短期的に成果が出ることだけではなくて、長期的に整備していくことも忘れてはいけない視点なので、海岸防護施設と避難の役割分担をどこかできちんと整理してほしいと思います。もう一点は、先ほどの笹生委員の発言にも関連しますが、資料4の77ページにある交通ネットワークの数値目標についてです。「『通勤・通学、買物など日常生活のための交通の便がよいこと』に関する県民意識(満足度)の向上」というのはアウトカム指標としてはこうなると思いますが、これを数値目標とするにはやや問題があると思います。それは、何をすれば県民の満足度が上がるのかを特定できないからです。つまり、道路が整備されたからなのか、あるいはバスが便利になったからなのか。極端に言えば、地域の人口が減れば、自動的に満足度は上がっていきます。県の計画なので、県としての施策の効果を測れないアウトカム指標にしてしまうと、評価ができないことになってしまうと思います。他にもそういう数値目標はあると思いますので、その辺りの視点も入れて精査していただければと思います。

 藤澤総合政策課長:3つのご意見をいただいたと思います。プロジェクト1「『かながわスマートエネルギー構想』の推進」における1つ目の数値目標は創エネ、省エネ、蓄エネの全部あわせて最終的に20%まで高めようという、構成事業1から3までのすべてが入っている数値目標を設定させていただきました。説明の文章はかなり省略していますが、この2行目に、「省エネによる電力削減量の合計で目標を達成しよう」としているのがスマートエネルギー構想そのものです。蓄エネは数字に表れてきませんが、創エネと組み合わせないと夜間の需要を満たせなくなりますので、ここでは、そうした整理をしています。2つ目の津波については、ご指摘のとおりで、ハザードマップの作成や津波対策訓練は、すぐにでも取り組まなければならないものであるため、現在、数値目標そのものを見直しているところです。3つ目の交通ネットワークの整備ですが、神奈川県では法人県民税・事業税の超過課税を実施していて、県内の基幹的な交通ネットワークの充実に充てており、特に、さがみ縦貫道路の開通が予定されるなど、3年間のうちに神奈川県の広域的な交通環境の充実が図られるという前提で、意欲的な数値目標の設定をしています。

 青木委員:主要施策・計画推進編の68ページにあるプロジェクト5「犯罪や事故のない安全で安心なまちづくり」も満足度を使った数値目標になっています。ある程度の数字であれば、満足度を使うのはよいと思いますが、20%台ではとても満足度といえる数字ではありません。通常、満足度の数値は70%から80%程度を想定しています。むしろ、他のデータを見ていると、犯罪が非常に高度化・巧妙化していて、神奈川県でもお年寄りの一人住まいが増えて、詐欺とかの巧妙な犯罪が増えてきていますので、検挙率を上げる方が、このプロジェクトにあった数値目標だと思います。20%台はとても満足度といえる状況ではないという印象です。

 藤澤総合政策課長:確かに、プロジェクト5「犯罪や事故のない安全で安心なまちづくり」では、最終的アウトカム指標を設定させていただきました。中間的アウトカム指標の設定が難しいため、かなりの議論を重ねた結果、この数値目標を設定したという経緯があります。ご指摘のとおり、検挙率や刑法犯の認知件数という数値目標を掲げた時もありましたが、平成15年に比べても刑法犯の認知件数は半分に減少し、いわゆる重大犯罪における検挙率もかなりアップしています。平成15年当時と比べても、県として取組みを強化し、県警も努力しました。そうした実績も上がってきている中で、いずれも数値目標としては、一定の限度に達しています。そうすると、今度は違った数値目標を掲げて展開していくのが数値目標の設定における考え方だと思いますので、このような変更をいたしました。

 青木委員:私が言いたいのは、新たな犯罪や一人住まいのお年寄りが増える中、将来の潜在的な犯罪をいかに防止、対応していくかということです。20%台の満足度を目標とするのは非常に違和感があります。

 土井委員:体感治安というのは、外国人がターゲットになりやすいのです。外国人犯罪は事実よりも多くのことを報道されるため、外国人全体が悪者として思われますし、県民の意識や満足度というのは、世間で嫌われている集団とかがターゲットになりやすい傾向にあります。今の話からすると、犯罪の検挙は成果が上がっているのであれば、重点化にしなくてもいいのではないでしょうか。むしろ、青木委員がおっしゃったように、将来にかけて大きくなりそうな問題を予防していく必要はあるのかもしれないと思いました。目標を達成したということでは駄目なのでしょうか。

 川﨑政策調整部長:これについては県警とも何度か調整を重ねた結果ですが、課長が申し上げたように、今の状況を維持していく現場の努力は並大抵のことではありません。それを上げるためには警察官を増やしたり、パトカーや資機材を充実したりすることになりますが、警察官は国の定数で決まっていて、パトカーや白バイのほとんどは国の補助金です。そうすると、人員や資機材などの増加分は県の一般財源を充当することになりますが、県は900億円の財政赤字を抱えています。我々としては、犯罪がなくなり安心してくらせる社会を実現することが一番大事なことだと思っています。そこで、幾つかの数値目標を検討した結果、二十何パーセントという数字を出すことには我々もためらいましたが、敢えてこれを数値目標として設定しました。県民ニーズ調査の調査結果は体感治安に近い部分もありますが、県民が安心して自分たちのまちでくらせるということを表す代表的な指標として掲げています。今回の3年間で取り組むプロジェクトの一つの数値目標として、県警の考え方を尊重しながら設定させていただいています。ただ、評価にあたっては、この数値目標だけではなく、その他の関連統計も含めて総合的に評価していきたいと思います。

 青木委員:むしろ、20%台の満足度を目標とするのは、マイナスの情報だと思います。神奈川県に住みたくないという、マイナスイメージをもたれることの方が重要だと思います。

 鈴木部会長:2010年度までの実施計画では、数値目標としては刑法犯認知件数を、その前の計画では刑法犯検挙率を数値目標に設定しました。検挙率の設定が低く、達成率33%でA評価を付けることがいいのかという議論もあり、いろんな経緯があって現在に至っているのが一点目です。二点目は青木委員のおっしゃるとおりで、満足度が22%ではマイナスイメージだと思いますが、少しずつしか上げられないという、シビアさを県民の方に受け止めていただくことには意味があります。

 藤井委員:最近、逗子でもコンビニ強盗が3件も起こっていて、高齢者への空き巣も増えている印象がありますので、満足度では評価がしにくいと思いました。検挙率が30数%以上に上げられないのは、体制などを見直さないと安全対策ができないということなので、無理で終わらせずに検挙率の向上に立ち返るべきです。

 鈴木部会長:警察官を増やすのではなく、県民総ぐるみで防犯意識をどうするか、あるいはネットワークをどうやって作るのかを数値目標にして啓蒙活動をしたことはあります。今回は色々と調整をした結果で、決まったわけではありません。プロジェクト5の数値目標については、異論が沢山あったことを伝えて、別の数値目標の設定について検討を続けていただきます。

 土井委員:実際に犯罪は減って検挙率も上がっているのであれば、住民は安心だと思うのですが、県警はどのように実現しようとしているのですか。心配なのは、コンビニの周辺に若者が近寄れないようにする条例などが検討されて、それが若者退治になっていたりとか、外国人の犯罪が多いと、あっという間に外国人を検挙していくことをアピールすることにつながったりして、本質と外れてしまうことです。結局、報道に振り回されますし、悪循環を及ぼすので、安心してもらうことは良いことですが、検挙率が上がっていて、神奈川はすごく安全ですということを言っていくには、どのように実現していくのでしょうか。マイノリティーに対する攻撃にならないかが非常に心配です。

 藤井委員:30%以上に上げられないのは何かあるのですか。

 大久保委員:検挙率みたいなものを目標にすると、100じゃなければいけないのです。

 藤井委員:非常に難しい犯罪までをターゲットにしないよう、分類をしてもらえれば良いのです。

 鈴木部会長:住民の協力によって交番が機能している時代、つまり住民が情報を提供して、交番と一緒に防いできた伝統的な制度が終わってしまったのです。

 藤井委員:それ以上にテクノロジーが発達しているのではないでしょうか。

 藤澤総合政策課長:検挙率の分母になる犯罪の認知件数は、殺人などの重大犯罪も1件ですし、自転車泥棒などの比較的小さな窃盗事件も1件です。しかも、小さな窃盗事件の方が検挙しにくいことがあるため、検挙率を目標とするのではなくて、もう少し違った視点で数値目標の設定ができないか議論してきました。部会長がおっしゃたように、基本的には地域の力を高め、犯罪を起こさない意識の啓発が非常に重要で、県警もそうした取組みに事業をシフトしていますし、県の安全防災局でも自主防犯活動を行う団体への支援などを進めていて、活動団体数もかなり増えてくるなど成果が上がっています。

 土井委員:新しい数値目標が必要なのであれば、例えば、犯罪者の再犯率というのはどうでしょうか。塀から出てきた人は脆弱で次の犯罪をしてしまう可能性が高いので、予防という意味で、次の犯罪をしやすいグループにターゲットを絞って、監視だけではなく、もう少し生産的な支援をしていくのです。

 藤澤総合政策課長:再犯率の問題は矯正行政の話ですが、プロジェクト5は「犯罪や事故のない安全で安心なまちづくり」ということで、まちの力をつけて、地域社会を作っていこうということをねらいとしています。

 土井委員:矯正行政は再出発後の話です。塀から出てきた人が地域に戻った時に地域との絆も切れ、家族からも見放され、所持金もない中では、なかなか再出発できずに戻ってしまうことが多いので、地域で色々とサポートできることがあると思います。

 鈴木部会長:土井委員がおっしゃるような犯罪加害者の社会復帰をどうやって支援するかという問題もありますが、神奈川県では、犯罪被害者を地域で見守っていくことを計画に入れていることは非常に大きいことです。被害者が放置されて、そのまま孤立していく事態に対して、できるだけ県民全体で支援していくことが大事なので、プロジェクト5の構成事業3として「犯罪被害者などへの支援」が入っていることは非常に大事なことです。

 藤澤総合政策課長:神奈川には、まだ神奈川県にしかない、NPOと県警と行政が一体となった支援システムがありますので、そういう取組みを「犯罪被害者などへの支援」の中に入れてあります。

 鈴木部会長:今のような問題があることも是非お伝えください。

 山本委員:いくつかお聞きしたいことがあります。資料3の各プロジェクトには実施主体が記載されていて、行政は国、県、市町村と細かく分けていますが、「民間」は最初の凡例を読んでも何が含まれているのかが具体的に記載されていません。7ページには「民間など(具体的な団体は略称で記載)」とありますが、「民間」の意味するところを、もう少し分かりやすく記載してもらえないでしょうか。

2点目は、資料4の69ページにあるプロジェクト7「県民が安心できる保健・医療体制の整備」に「日ごろから健康に気をつけた規則正しい生活を心がけている人の割合」という数値目標がありますが、資料3のプロジェクト7を見ても、これが適切なのかが疑問です。数値目標として県民ニーズ調査を採用していますが、他の2つの数値目標と比較しても非常に主観的な判断が入りますので、どういう考えでこの数値目標を採用したのでしょうか。

最後に、プロジェクト20「『水のさとかながわ』づくり」についてです。前回と比べて、水環境の保全というよりは、全体として水を観光資源として捉えている印象が非常に強くなっていて、資料3の37ページにある構成事業2「水を活かす取組みの推進」には、観光、水ビジネス、観光スポットの整備があげられて、資料4の74ページにある数値目標も入込観光客数やイベントなどへの参加者数が入っています。確かに、水を活用して魅力を一層高めるとか、色々な方に関心を持っていただくことは重要だと思いました。ただ、資料2の14ページにある「政策分野別の基本方向」「(1)エネルギー・環境」では、生活環境の保全として水環境を保全するための水質汚濁や環境問題のことを記載しています。生活排水対策というのは水環境を保全していく中で基本的なものです。こういったものを基本構想で記載しているのであれば、観光資源として水を扱うというよりも、水環境の保全を打ち出した方がよいのではないでしょうか。全体を見ると違和感を覚えました。

 藤澤総合政策課長:例えば、特別養護老人ホームの整備では、県は補助金を出しますが、実際に整備をするのは民間なので民間と記載しています。また、ジェトロとか、特定の団体が実施する場合はその団体名を記載しています。

 山本委員:民間には一般市民や企業、NPOといった色々なものが含まれますので、民間の意味するところを、もう少しはっきりと分かるようにしておいた方がよいのではないでしょうか。

 藤澤総合政策課長:資料3の7ページに具体的な主体を例示ができるか考えさせていただきます。

2つ目の「日ごろから健康に気をつけた規則正しい生活を心がけている人の割合」という数値目標ですが、これはプロジェクト7の構成事業3「医食農同源など病気にならない取組みの推進」に食生活習慣の改善を主な取組み内容にしており、また、自分で自覚して、健康に対する意識を高め、積極的にくらしの中で実践していくことは重要で、そうした意識の高まりが病気にならないことにもつながるという認識で数値目標を設定しています。

 山本委員:ここに主観的な判断を入れていることに違和感があります。

 藤澤総合政策課長:中間的アウトカム指標を原則にしていますが、数値目標の設定が難しい部分は最終的アウトカム指標も選択しています。そういう意味で、最終的アウトカム指標は一人ひとりの主観を足したものになりますので、主観的かどうかの議論につながるのだと思います。最後の「『水のさとかながわ』づくり」についてですが、まず、基本構想に掲げた取組みが全体として主要施策の中で整理されて、それとは別に、この3年間で重点化していく取組みをプロジェクトにまとめています。神奈川は水が豊かで、県内ですべての水需要を充足しています。「『水のさとかながわ』づくり」では、これまで水源開発あるいは水源を守る取組みに注力してきた中で、そうした豊かな水を神奈川県の財産として活かしていくことに着目して、重点を置いて取り組んでいくことにしました。数値目標の設定については、水源地域と都市を結ぶ、水を活用する取組みについて、どのような視点で数値目標を設定するのかを議論してきましたが、当面の3年間は、まず、様々なイベントに来ていただき、神奈川の水に親しんでもらうことを中心に取り組んでいきます。ただ、新しい取組みなので、事業の進捗状況を見据えながら、どのような評価をしたらよいのか、議論をしていただきたいと考えています。

 三井委員:具体的な数値目標を見ていくと、少し首をかしげてしまうところがあります。一つは、プロジェクト16に4つの数値目標が出ていて、いずれも県内の有名な観光地の入込観光客数になっています。前回の実施計画では、県内の入込観光客数全体を掲げていましたが、プロジェクト16の数値目標は非常に細かい話で、そこまでやらなければいけないのでしょうか。知事の考えや今回の計画では、先ほどの水資源も含めて新しい観光開発を打ち出しながら、実際の数値目標は既存の観光地にどれだけ来るのかという話になっていて、必要性に疑問を感じました。

もう一つは、プロジェクト25の国際戦略の関係で、神奈川県は東京湾岸で医薬品や医療分野の開発をしていますが、それほど「外部からの新たな研究開発受注品目数」をやる必要があるのかと思いますし、それ以上に数値目標としてはあまり意味が無いように感じます。なぜ、これを数値目標にしたのでしょうか。実際、医薬品や医療の分野は非常に難しいので、数値目標には使わない方がいいような気がします。

 藤澤総合政策課長:プロジェクト16ですが、県内には3大観光地として、横浜・鎌倉・箱根があります。その他にも様々な場所で、地域が主体となって取組みを進めることで、県内の賑わいを高めていこうというのが、このプロジェクトの目的です。通常、地域別に入込観光客数を計測していますので、それを数値目標にしました。ただ、それだけで地域の賑わいが測れるわけではなく、地域が主体となって取組みをどれだけ進めるのかという点が、評価の尺度になると思っています。評価にあたっては、そうした定量的ではない部分も評価対象に加えていきたいと思っています。

 三井委員:県全体ではいけないのですか。

 藤澤総合政策課長:県全体の数値目標はプロジェクト17で設定させていただいています。数値目標の設定にあたり、どれだけ伸ばしていくかということがありますが、プロジェクト16の4つの地域については、これを県全体よりも高めに設定しています。それから、報道等でご案内のとおり、神奈川県では「ライフサイエンス国際戦略総合特区」の認定をいただきました。今後、その具体的な取組みを通じ、研究施設の立地などを進めていく中で、「外部からの新たな研究開発受注品目数」については、現状のゼロ件からスタートして、2014年までに10件の研究をやっていこうとしています。

 三井委員:2014年に10件では、あまりにも数値目標として使い勝手が悪くないのですか。

 藤澤総合政策課長:現状は何も無い中での10件なので、ご理解をいただきたいと思います。

 川﨑政策調整部長:総合特区については5か年の計画を出しており、計画期間内に3,000億円の経済波及効果、3万人の雇用創出効果があるとされています。そういった中で、規制緩和による医薬品は全国で180品目ありますので、5年間でその3分の1を、医療機器については1年間で25品目を京浜臨海部でやろうとしています。この1、2年で法律を改正してベンチャー企業を見つけなければいけません。数値目標の10件は母数である25件の40%ですが、2015年は4割、2016年は5割という数字を公表して、既に国から認定をもらっています。そうした点から、この10件というのは、かなり大きな数字で、我々も最終年度に高い目標を掲げていますが、実現不可能な数字ではないと思っています。

 三井委員:12月に神戸へ行って痛感しましたが、神戸は仕掛け、仕組みなどが神奈川より10年早いのです。神奈川はこれからなので、その10件が達成できれば、大したものです。

 川﨑政策調整部長:また、県の観光振興計画では1億7,400万人を10年かけて毎年0.6%ずつ増やしていくこととしていますが、4つのにぎわい拠点には重点投資をしていきますので、その2倍程度の高い伸びを設定しています。見ていただくと、起点は2010年になっています。2011年の数字はまだ取れていませんが、恐らく、2011年は震災の影響で相当落ち込むものと思われます。そのため、2010年と同じ数字にするにも相当の努力が必要ですし、さらに観光振興計画の2倍程度まで伸ばすのは、もっと大変です。数値としては小さく見えますが、県の観光振興計画よりも、さらに大きな伸びを持たせています。

 治田委員:資料3の36ページと資料4の74ページにあるNPOについてです。民主党政権になってから、新しい公共の担い手ということで、NPOなど様々な主体の社会的な役割が取り上げられるようになりました。神奈川県では、NPOへの支援は全国的にも素晴らしいものですが、私が携わってから、まったく項目が変わっていません。そのため、私自身がNPOだけでなく、株式会社などの法人格をもって活動に携わろうとしている人たちを支援する時に、県がNPOの考え方に邪魔をすることがあります。この分野は、人を育てたり、制度を整えたりすることは大事なのですが、なぜNPOを支援しなければいけないのかという前提が抜けてしまっています。例えば、路上生活者の支援として生活保護費を出していましたが、NPOによる就職支援の活動で、これまで何億円と投入していた税金がいくらに減りました、という成果が出て、初めて民間やNPOの係わる意味が見えてくると思うのです。ここにはなかなか表現しにくいのですが、そういったNPOや人を育てることの重要性を位置づけていかないと、駄目ではないでしょうか。そういう意味で、資料4の74ページにあるプロジェクト19の数値目標をみると、設定などが甘く、件数だけを見ても何になるのかとも思います。もう少し、様々な県民に参加してもらわないと、この分野は広がっていかないので、県の姿勢が見える数値目標と施策づくりを検討して欲しい。現在、NPOの分野では、高齢者や主婦の参加が注目されています。高齢者は支援される存在であり、就労相談はあっても起業はしないと思っていました。しかし、この分野でお金を出して起業してもらわないと、地域が成り立たないという視点で、県のサポートのあり方みたいなものを議論していただきたいと思いました。

 藤澤総合政策課長:昨年の夏以来、部会でご議論していただいた資料をもとに政策の方向性を整理してきました。現状で掲載されている事業は、そうした整理を踏まえて来年度以降の新規事業を含めて事業としての裏付けを行ってきたものです。総合計画審議会の中でもソーシャルビジネスについてのご意見をいただいています。お話のあった政策展開を検討するに当たり、どのような方向性で進めることができるのか部局とも議論していきますが、この段階で計画の中に記述するのは難しいかもしれません。

 三井委員:NPOには詐欺まがいの怪しいものもあります。逆に、行政がNPOを支援しますというと、どうしても起業した人たちはそちらに引っ張られてしまうのです。NPOでなければ、支援してもらえない印象になってしまい、それは良い面と悪い面があります。県としては、社会的に役立つ広域性や公共性のある仕事を支援するスタンスを明確にしなければなりません。NPOでなければ支援してもらえないという印象は決して良いことではありませんので、是非、そこを考えてもらえないでしょうか。

 治田委員:起業家支援財団は公益財団法人ですが、NPOには見られません。実際のNPOの概念は広く、学校法人なども入ってくる筈なのに、いわゆるNPOからは排除されてしまうので、県の見方自体を変えて欲しい。

 竹中委員:感想ですが、一つは、安心できる神奈川をアピールしたい、マグネットにしたいのは良く分かりますが、本当に放射能が安全になったのか、水や住環境、食はこれでよいのか、何の数値目標もなくて良いのか、という単純な疑問はありました。

もう一つは、男女共同参画の中でウエイトがずれているところです。参画という言葉を打ち出しているのは良いことですが、国際的にいうと、男女が共に参画して働きやすい基盤には人権の問題や権利主張の問題は常識的に出てきますので、そのあたりを意識しているプロジェクトが必要ではないでしょうか。

最後ですが、全体としてアトラクティブ(魅力的)な神奈川を出さなければいけないのは分かるのですが、失業した人、貧しい人や格差社会のもとにある人をどう助けるのかがあまりないと感じました。就業支援や障害者の数値目標はありますが、本当にどう助けるのかが見えません。福祉の部分にもでてきません。言葉使いのニュアンスでも、資料4の20ページに「ホームレス」とありますが、このように表記してよいのかは疑問です。格差社会や貧困もそうですが、リストラされても再起できるような力が神奈川にはあります、というのが見えてこないのです。

 鈴木部会長:グランドデザインについては、本日が最後の議論になります。皆様からいただいたご意見は、こちらで引き取らせていただいて、総合計画審議会としての最終的な答申案の作成に向けて、事務局と詰めさせていただきたいと思います。

 中村委員:資料2の基本構想の13ページにある「県は、ユニバーサルデザインの考え方を踏まえるとともに」の部分がずっと気になっていました。20ページの「ともに生き支えあう地域社会づくり」にも「誰もが自らの意思で自由に移動し、社会に参加することが出来るユニバーサルデザインの考え方に」とあります。日本では、ユニバーサルデザインという言葉がまだ見られますが、国際的にはだんだん使わなくなっていて、インクルーシブデザインという言葉に変わってきています。13ページの「県は、ユニバーサルデザインの考え方を踏まえるとともに」では、どこに踏まえるのかが読み取れません。もし、ユニバーサルデザインと記載するのであれば、どのようなことを意図しているのかをもう少し示すことが必要だと思います。20ページも同様で、ここでは、単にモビリティ(移動性)の話としてユニバーサルデザインが使われているようですが、ユニバーサルデザインは建築用語として提唱された言葉で、それがモビリティに使われているだけです。カタカナ言葉は前回の神奈川力構想や実施計画からは減ったようですが、一番気になった言葉がユニバーサルデザインでした。

 川﨑政策調整部長:県として、ユニバーサルデザインの指針をつくって取り組んでいますので、これを踏まえた記載になっていることにご理解をお願いします。

 中村委員:単純に国語の問題です。13ページの「県はユニバーサルデザインの考え方を踏まえるとともに」では、何に踏まえるのか分からないので、丁寧に記述した方が良いのではないでしょうか。それから、20ページでは、「高齢者を標準とする」という、ある属性のグループを標準にすることは、本来のユニバーサルデザインの考え方と矛盾します。カタカナ語は本当に気をつけて使うべきで、そういった点で再検討がいると思います。

 鈴木部会長:いただいたご意見も含めて、こちらで答申案の作成の調整をさせていただきたいと思います。これは県議会に提出されますので、総合計画審議会委員の皆様には書面協議でご了解をいただいて、県議会に提出していきたいと思います。

資料5について、事務局より簡単に説明していただきたいと思います。

《資料5-1「「かながわグランドデザイン」の進行管理について」事務局から説明》

 鈴木部会長:今日は詳しい議論ができませんが、ご意見があれば事務局までいただければと思います。資料5-2には、政策形成と政策評価の流れがあります。ご意見をいただきながら、少し時間をかけて評価の進行管理を考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

《公募委員3名よりあいさつ》

 川﨑政策調整部長:長時間にわたり、有難うございました。今日も議論が活発で、まだまだ時間が足りないと思いました。今後、鈴木部会長ともご相談しながら、ご意見を整理させていただき、知事や副知事とも十分に調整して、総合計画審議会委員の皆様に対して書面協議という手続きに入らせていただきたいと思います。

また、本日は今年度最後の部会ということで一区切りがつくわけです。公募委員の皆様につきましては本当に有難うございました。今回は非常に短時間での作業でしたが、今後とも、総合計画に暖かい眼を向けていただきながら、引き続き、ご指導をしていただければと思います。本日はどうも有難うございました。

 鈴木部会長:これで終了とします。有難うございました。(部会終了)

会議資料

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