咽頭結膜熱は38℃以上の高熱、のどの痛みや咽頭炎、結膜炎による目の充血や痛み、目やに・涙の増加などの症状があります。
原因ウイルスはアデノウイルスで、2023年は全国ではアデノウイルス3型が最も多く、次いで2型が多く検出されています(国立感染症研究所:https://kansen-levelmap.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data40j.pdf)。
感染経路は、接触感染や飛まつ感染です。結膜炎の症状がある時は、目をこすった手にもウイルスが付着しています。ウイルスはドアノブなどの環境表面でも感染性が保たれるため、噴霧による消毒ではなく、拭き掃除が大切です。
アデノウイルスはアルコールによる消毒が効きにくいため、石鹸と十分な流水による手洗いを行い、タオルの共有はさけましょう。集団発生時などは使い捨てのペーパータオルの使用を検討します。
症状がなくなっても糞便中に1か月程度ウイルスが排泄されるため、トイレの後やおむつ交換などの場面できちんと手洗いをしましょう。
咽頭結膜熱は学校保健安全法上第二種の学校感染症に指定されており、主要症状がなくなった後、2日を経過するまで出席停止となります。
今回をもって、令和5年度の咽頭結膜熱情報の提供を終了します。今後は、神奈川県感染症発生情報(感染症発生動向調査週報)でご確認ください。
[1] 年別・週別報告数の状況(2024年は棒グラフ、過去は折れ線グラフ)
1月8日から1月14日までの第2週の定点当たり報告数は全国1.44、全県1.00、県域1.58でした。第52週と比べて減少しています。年始は医療機関が休業し、第1週は報告数が例年減少します。
5週前 | 4週前 | 3週前 | 2週前 | 1週前 | 今週 | |
49週 | 50週 | 51週 | 52週 | 2024年1週 | 2週 | |
12月4日 ~12月10日 |
12月11日 ~12月17日 |
12月18日 ~12月24日 |
12月25日 ~12月31日 |
1月1日 ~1月7日 |
1月8日 ~1月14日 |
|
全国 | 3.48 | 3.49 | 3.31 | 2.65 | 1.46 | 1.44 |
全県 | 2.64 | 2.73 | 2.60 | 1.99 | 1.00 | 1.00 |
県域 | 2.92 | 3.07 | 3.16 | 2.57 | 1.41 | 1.58 |
[2]定点当たり報告数の保健所別推移(神奈川県 2023年52週~2024年第2週)
平塚保健福祉事務所秦野センター4.00および厚木保健福祉事務所4.67は警報レベル(3)を超えています。鎌倉保健福祉事務所からの報告はありませんでした。
[3]年齢・年齢群別の全県定点当たり報告数(神奈川県 2023年52週~2024年第2週)
昨年末第52週にくらべて、0~5カ月、6~11カ月および20歳以上は増加しました。
第1週は報告数が例年減少しますが、第50週をピークとする減少の傾向は続いています。
[4]咽頭結膜熱疑い患者からのウイルス検出状況(神奈川県衛生研究所実施分 12月25日時点速報値)
咽頭結膜熱の代表的な原因ウイルスである、アデノウイルス3型の検出が続いています。
【参考リンク】
- 衛研ニュースNo.177 咽頭結膜熱に気をつけよう!(神奈川県衛生研究所)
- 衛研ニュースNo.151 夏かぜにご用心!(神奈川県衛生研究所)
- 疾患別情報 ウイルス性結膜炎(神奈川県衛生研究所)
- 咽頭結膜熱とは(国立感染症研究所)
- 咽頭結膜熱・流行性角結膜炎 検査・診断マニュアル(第4版) 令和5年1月(国立感染症研究所)
- アデノウイルス感染症 南波 広行, 和田 靖之 耳鼻咽喉科展望 2008年 51巻 6号 456-461
- ヒトアデノウイルス89型と5型の新規組換え型株の検出(IASR Vol. 42 p78-79: 2021年4月号)
- 「学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説」日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会(2023年5月改訂版)
- アデノウイルス結膜炎院内感染対策ガイドライン(日本眼科学会 平成21年1月10日)