[2012.1.11 掲載]

平成21年度 食品理化学検査

(1) 地域調査部

地域調査部では、食品衛生法で規格基準が定められている食品を基本的には検査しています。
平成21年度には、検査検体1,393件、11,124項目の検査を実施しました。検査内容は以下の表のとおりです。

平成21年度 食品理化学検査(地域調査部)

地域調査部

*1: 添加物検査については別表1参照
*2: 重金属等検査は、ヒ素、鉛、スズ、カドミウム、シアン、PCB、総水銀について行いました。
基準を超えたものはありませんでした。
*3: 動物用医薬品については、別表2参照
*4: 器具容器試験は、材質試験で鉛、カドミウムについて、溶出試験で過マンガン酸消費量、蒸発残留物、重金属について行いました。
*5: 残留農薬検査については、別表3参照
*6: 体重、体長、水酸化Na・K、容器被包の試験(漏水、落下、耐酸性またはアルカリ性、圧縮変形)を行いました。

食品添加物には、指定添加物(日本で許可されている添加物)と指定外添加物(日本で許可されていない添加物)があります。
地域調査部では、輸入食品と国産食品の指定添加物について検査しています(着色料については指定外添加物も検査しています)。
添加物検査では、使用して良い添加物の基準値を超えたものはありませんでした。しかし、食肉製品(肉・卵類及びその加工品)で保存料が検出され、保存料を使用しているのにもかかわらず表示していない事例がありました(表示違反)。

○動物用医薬品検査(別表2)

動物用医薬品検査とは、疾病予防等のために使用される医薬品(抗生物質、合成抗菌剤、寄生虫用剤、ホルモン剤等)を対象に、残留検査を実施しています。

地域調査部では動物用医薬品について、残留基準が定められている輸入の食肉及び魚介類、また、国産の卵、魚介類、牛乳及び加工乳について検査検体68件、抗生物質、合成抗菌剤、寄生虫用剤、ホルモン剤の350項目の検査を行いました。輸入鶏肉からナイカルバジンが検出されましたが、基準値を超えるものではありませんでした。

○ 動物用医薬品の検査については、地域調査部と理化学部で実施しています。

平成21年度には、地域調査部では68検体、理化学部では65検体、合わせて動物用医薬品の検査検体133件、抗生物質、合成抗菌剤、寄生虫用剤、ホルモン剤の952項目の検査を実施しました。

(参考)動物用医薬品(理化学部)

衛生研究所では、ポジティブリスト制度導入に伴い、神奈川県が実施する残留農薬及び動物用医薬品の検査に用いる検査実施標準作業書(SOP)の作成を目的に、理化学部において一斉分析法の真度試験及び精度試験を実施し、試験法の検討を行っています。地域調査部には、試験法・SOPを還元し、検査の実施に役立てております。

○残留農薬検査(別表3)

残留農薬については、ポジティブリスト制度に基づき、別表3に示すとおり、輸入及び国産の農産物、輸入の食肉及び魚介類、国産の牛乳・加工乳について検査検体163件、殺虫剤、殺菌剤、除草剤等6,993項目の検査を行いました。以下の表に示すとおり、農産物から農薬が検出されましたが、基準値を超えるものはありませんでした。

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(2)理化学部

理化学部では、食品衛生法の規格基準に基づく検査、また検査法の整備のための調査や今後に向けて必要性のある調査を実施しています。なお、理化学部では、専門分野で実施することが効率的な検査等(放射能、カビ毒、ふぐ毒、貝毒、遺伝子組換食品、特定原材料等)について実施しております。
平成21年度には、輸入食品及び県内産・県流通食品等について、検査検体419件、1,938項目の検査を実施しました。
検査内容は以下の表のとおりです。

平成21年度 食品理化学検査(理化学部)

*1: 添加物検査については別表1参照
*2: 放射能検査については、別表2参照
*3: カビ毒については、県内で流通している輸入食品のカビ毒汚染を調査した。香辛料、ナッツ類、穀類、乾燥果実、リンゴ果汁についてアフラトキシンB1、B2、G1、G2とパツリンを検査しました。アフラトキシン類、パツリンとも、いずれの検体からも検出されませんでした。
*4: 動物用医薬品については、別表3参照
*5: ふぐ毒については、規制値である10MU/gを超える検体はありませんでした。
*6: 二枚貝について麻痺性貝毒及び下痢性貝毒試験を実施した。その結果、麻痺性貝毒の規制値である4MU/g及び下痢性貝毒の規制値である0.05MU/gを超える検体はありませんでした。
*7: 神奈川県内で市販されている加工食品60検体について、特定原材料(卵・乳・そば)の定量・定性検査を行ったところ、乳の混入については確認されず、卵タンパク質が検出された2検体のうち注意喚起表示のある1検体は10μg/g以上の陽性判定となり、卵の混入が確認されました。そばの検体はいずれも不検出でした。(アレルギー食品の項、参照)
*8: 平成21年度は、安全性未承認組換え遺伝子の定性試験として、パパイヤについて55-1、コメ加工品Bt、コメ、トウモロコシ穀粒トウモロコシ青果Bt10,トウモロコシ穀粒,トウモロコシ青果及びトウモロコシ加工品CBH351の検査を実施しました。その結果、いずれも組換え遺伝子は不検出でした。
また、安全性審査済み遺伝子の定量試験として、トウモロコシ穀粒及びトウモロコシ青果について35S及びGA21の検査、大豆穀粒及び大豆加工品についてRRSの検査を実施しました。その結果、豆乳については、大豆内在性遺伝子Le1のコピー数が、当所で下限の目安としている10000コピーに満たなかったことから検知(定量)不能となりました。その他の検体については、いずれも組換え遺伝子は不検出でした。(遺伝子組換え食品の項、参照)
*9: 神奈川県では食品添加物の品質確保を目的に、神奈川県内の食品添加物製造業による製品について、特定業種として監視点検を行っています。平成21年度は13検体132項目について検査を実施しました。添加物13検体はすべて規格基準に適合しました。

理化学部では、輸入食品の指定添加物(日本で許可されている添加物)及び指定外添加物(日本で許可されていない添加物)を実施しています。

(別表2) 放射能検査(理化学部)

平成21年度は、輸入食品5試料について調査を行いました。果実加工品1試料から137Csが1.5Bq/kg検出された。平成20年度検出された試料の平均値の約0.1倍でした。しかし輸入食品に対する放射能暫定限度に比較しても低い値でした。前年度の試料と産地が異なる他の4試料は、(<LOD)で、全5試料とも暫定限度以下でした。
※ LOD:定量限界(0.1Bq/kg)

1973年度より、県内産もしくは流通食品中の放射能濃度調査を実施しています。平成21年度は3試料について、134Cs、137Csの濃度調査を行いました。134Csは全て不検出でした。137Csは脱脂粉乳から、1.0 Bq/kg、生シイタケから4.7Bq/kg検出されました。シイタケは前年度より高い濃度でしたが、経年的には変動の範囲内でした。
2008年9月に原子力空母が米軍横須賀港に配備されたため、前年度に引き続き、三浦市、葉山町で生産された野菜類(ダイコン、ホウレンソウ)計4試料の放射能調査を実施しました。野菜類は4試料とも全て(<LOD) であり、原子力艦による放射能の影響は認められませんでした。

1992年度より放射性廃棄物の海洋投棄の影響調査を実施しています。日本海側で水揚げされた魚介類と、原子力艦が入出港する東京湾産について134Cs、137Csおよび核廃棄物の汚染指標(ルテニウム-106、コバルト-60)を調査しました。8試料中の137Cs濃度は<LOD~ 0.20 Bq/kgであり、濃度レベルは漸減傾向にありました。その他の核種はいずれも(<LOD) であり、海洋投棄の影響はみとめられませんでした。 
※ LOD:定量限界(0.1Bq/kg)

○ 動物用医薬品検査

動物用医薬品検査とは、疾病予防等のために使用される医薬品(抗生物質、合成抗菌剤、寄生虫用剤、ホルモン剤)を対象に、残留検査を実施しています。

動物用医薬品について、輸入及び国産の食肉、魚介類及びその加工品について一斉分析法に加え、告示法による検査を実施しております。検査検体65件、602項目の検査を行いました。

◆ 動物用医薬品の検査については、地域調査部と理化学部で対応しています。

平成21年度には、地域調査部及び理化学部で、動物用医薬品の検査検体133件、950項目の検査を実施しました。

○検査法の整備のための調査及び今後に向けて必要性のある調査を以下のとおり実施しました