毎年、冬頃になるとインフルエンザや感染性胃腸炎の流行を知らせるニュースが流れます。ニュースを聞いた方の中には、どうやって感染症の流行を調べているのかと疑問に思っている方もいるかもしれません。そこで、今回は、感染症の流行を調べる方法について解説します。 |
感染症の流行を調べる方法は?日本には、国内の感染症の状況を監視(サーベイランス)するための調査システムがあります。それを「感染症発生動向調査」と呼んでいます。調査によって得られた感染症情報を国民に提供することで、感染症のまん延の防止に役立てています。 |
|
|
|
この調査は、1981年から18種類の感染症を対象にはじまりました。1999年からは「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)に基づく調査となりました。その後、2006年から「感染症サーベイランスシステムNESID(National Epidemiological Surveillance of Infectious Diseases)」により、国が中央データベースで情報を一元的に管理しています。 |
感染症発生動向調査のシステムとは感染症発生動向調査は、医療機関、保健所、地方感染症情報センター、中央感染症情報センターが協力して行っています。神奈川県では、基幹地方感染症情報センターを神奈川県衛生研究所に置き、国立感染症研究所の中に中央感染症情報センターがあります。(図2) |
|
|
|
患者情報の調査方法患者情報の調査対象となる疾患は、2017年3月現在、全部で110疾患あり、一類から五類までに分類されています。(表1)一類から四類までの全疾患と五類の一部疾患は、すべての医療機関で届出が必要な「全数把握対象疾患」、五類の残りの疾患は決められた医療機関(指定届出機関:「定点」)で届出が必要な「定点把握対象疾患」です。 |
||||||||||||||||||||||
|
病原体情報の調査方法「病原体定点」となっている医療機関では、対象疾患を診断した場合、患者から咽頭ぬぐい液・血液・尿・便などの検体を採取します。その検体を地方衛生研究所に送り、感染症の原因となる病原体の種類や特性(血清型、遺伝子型など)を詳しく調べます。調査結果は、検体提供を行った医療機関に報告するとともに、国の中央感染症情報センターに集めて解析した後に還元されます。 |
流行の目安となる警報・注意報を知ろう定点把握対象疾患では、警報や注意報の基準値となる「定点当たりの報告数」が疾患ごとに決められています(定点当たりの報告数=地域の定点医療機関からの総報告数÷地域の定点医療機関の数)。警報レベルは大きな流行が発生または継続しつつあると疑われることを指します。注意報レベルは流行の発生前であれば今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性が高いこと、流行の発生後であれば流行が継続していると疑われることを指します。 |
(参考リンク) |
(企画情報部 大塚 優子) |
|