私たちの生活環境中には多くの微生物が存在しています。これらの微生物として、細菌、ウイルス、菌類などがあげられます。菌類の仲間の一つであるカビも私たちの生活に深く関係しており、あまりよくない面では、食品に生えて腐らせたり、建物の壁、カーテン、浴室などに生えてきてカビ独特の臭いを出すものもいます。これらの原因は、空気中に浮遊しているカビが関与していることが多いです。 |
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図1 カビの生息場所 |
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カビの多くはその起源が土壌と考えられていて、風や雨などにより空気中を浮遊し、図1のような場所でそれぞれの環境に適応した種類のカビが生息しています。 |
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カビの基本的な形態は、細胞が糸状につながったものが伸びて食品などの表面や内部に進入して栄養分の吸収や運搬を行う「菌糸」と、仲間を増やすために作られた細胞である「胞子」(植物でいえば種子)からできています。空気中には、胞子の状態あるいは菌糸の一部が浮遊しています。 |
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カビの数は、いずれの方法も培地を25℃で7日間培養して発育してきたカビの集落数により算出します。 |
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食品の製造場所と販売場所を併設している3施設で、製造場所と販売場所において落下カビ数と浮遊カビ数を測定しました(表1)。 |
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表1.3施設の落下カビ数と浮遊カビ数
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さらに、検出されたカビの割合を見ると(表2)、施設や場所によってカビの種類は異なっていることが分かります。3施設に共通しているのは、クラドスポリウム属のカビが検出される割合が高いことです。このことは、食品の製造施設だけでなく一般の家庭においても認められています。 |
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表2.3施設から検出されたカビの割合 |
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空気中からよく検出される2種類のカビをみてみましょう。 |
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図3.クラドスポリウム属のカビ |
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図4は、アスペルギルス属のカビで種類がたくさんあります。日本ではコウジカビと呼ばれており、このカビの特定の種類のものは名前のとおり麹を作るときに利用されているカビです。また、カビ毒を出す種類のカビも含まれています。左の写真は1週間培養したカビの集落です。右の写真はこのカビの胞子を作る部位を約400倍に拡大した顕微鏡写真です。 |
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図4.アスペルギルス属のカビ |
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空気中には、カビの胞子が浮遊していますので、食品を包装などをしないで置いておくと、カビが付着して生えてくる原因になりますので、保管には注意が必要です。 |
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空気中のカビをゼロにすることはできませんが、カビの数を増やさないような環境にすることが大切です。 |
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当所では保健福祉事務所の職員と協力して、食品製造施設における環境中のカビ分布状況調査を実施し、製造施設の衛生管理の向上のための資料としています。 |
(参考リンク) |
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(微生物部 相川 勝弘) |
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