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NO.125

2008年3月発行 神奈川県衛生研究所

感染症最近の話題−麻しん−

  麻しんは近年、周期的な流行はみられたものの、患者数は減少傾向を示していましたが、2007年に10代及び20代を中心とした年齢層で流行が生じ、多数の学校が休校措置を行うなど、感染の広がりに社会的関心が集まりました。
  そこで、国は麻しん及び風しんの発生状況について、定点把握対象疾病(予め指定した医療機関のみ報告する)から全数把握対象疾病(診断したすべての医療機関が報告する)に変更し、2008年1月1日から実施されています。麻しんの最近の動向をお知らせします。



顔面にみられる発疹

麻しん(はしか)

  麻しんは麻疹ウイルスによっておこる感染症で、人から人へ感染します。空気感染(飛沫核感染)のほか、飛沫や接触などでも感染します。感染力はきわめて強く、麻しんの免疫がない集団に1人の発病者がいたとすると、12〜14人が感染するとされています(インフルエンザでは1〜2人)。麻疹ウイルスの感染後、10〜12日間の潜伏期ののち熱や咳などの症状で発症します。38℃前後の熱や上気道炎症状(咳、鼻みず、くしゃみなど)、結膜炎症状(結膜充血、目やになど)が2〜4日間続き、一時的に熱が下がったのち、再び発熱し、発疹が出現します。

全国の届出状況

   全数把握対象疾病に変更になった平成20年第1週から第7週までの届出数は全国で2,119例です。神奈川県は807例(全国の38.1%)を占めています。100例以上の届出は神奈川県、福岡県280例(13.2%)、北海道223例(10.5%)、東京都197例(9.3%)、秋田県119例(5.6%)の5都道県です。神奈川県からの届出数が目立っています(図1)。


図 1
図 1 全国の麻しん届出

神奈川県内の届出状況

   神奈川県内の届出件数807例の週別届出状況は、第3週から増加し、第3週は119例、第4週106例、第5週167例、第6週は若干減少し159例、第7週は大幅に増加し212例でした(図2)。
   地域別・保健所別では、横浜市が311例(38.5%)で最も多く、横須賀市300例(37.2%)、鎌倉保健所78例(同9.4%)、川崎市41例(5.1%)、相模原市及び藤沢市17例(2.1%)となっています。足柄上保健所からは1例、小田原保健所2例、秦野保健所3例で、神奈川県の東南部からの届出が多く、神奈川県西部からは少数です(図3)。

図 2
図 3
図 2 神奈川県内の週別届出
図 3 保健所別等届出

病型分類

   横浜市及び川崎市を除いた神奈川県の届出数466例の病型別では、臨床診断例359例(77.0%)、検査診断例95例(20.4%)、修飾麻しん(検査診断)例12例(2.6%)で、専ら臨床診断による届出となっています(図4)。臨床診断例の中には検査中も含まれていると思われます。症状は、全例で発熱、発疹459例、咳411例、コブリック斑321例、鼻汁261例、結膜充血212例などとなっています(図5)。死亡例はありません。

図 4
図 5
図 4 病型分類
図 5 症状

年齢群

   届出466例の最高齢は62歳です。年齢群では、10〜14歳と15〜19歳がそれぞれ105例(22.5%)と最も多く、次いで5〜9歳58例(12.4%)、20〜24歳と25〜29歳がそれぞれ48例(10.3%)などとなっています。10代が210例(45.0%)と発生の中心です。29歳以下で416例(89.3%)を占めています(図6)。

図 6
図 6 年齢群

ワクチン接種歴と年齢

   麻しん含有ワクチン接種歴と年齢の関係では、6歳以下では「ワクチン接種歴あり」は2例のみで、「接種歴なし」が多数です。
   ワクチンの効果が表れています。全体的に「ワクチン接種者」の届出例は少なくなっています。発生の中心である10代で最も多いのは13歳、次に15歳です。いずれも多数が「ワクチン接種歴なし」です(図7)。

図 7
図 7 ワクチン歴・年齢
   

   全例では接種歴なし260例(55.8%)、接種歴不明130例(27.9%)、接種歴ありは76例(16.3%)です。
   発生の中心である10〜14歳では、接種歴なしは68例(64.8%)、接種歴あり20例(19.0)、接種歴不明は17例(16.2%)です。15〜19歳では、接種歴なしは62例(59.0%)、接種歴あり16例(15.2%)、接種歴不明は27例(25.7%)です(図8)。

図 8
図 8 ワクチン接種歴

麻しん排除への取組み

   2012年の麻疹排除(Elimination)を目標に、国において「麻疹排除計画」が策定されました。(1)積極的な感受性者対策、すなわち95%以上の予防接種率の達成・維持のための取り組み(1歳代、小学校就学前1年間、さらに2008年4月1日より5年間の期限付きで実施される、中学校1年生及び高校3年生相当世代への定期接種としての予防接種計画)、(2)2008年1月1日からの全数把握制度による麻しんサーベイランス、(3)麻しん発生時の迅速な対応、が対策の三本柱として実施されつつあります。
   国は「国の麻しん対策委員会」を設置し、「都道府県を主体とした麻しん対策会議」の設立等をはじめとした都道府県レベルの活動支援を行うこととしています。神奈川県においても、麻しん対策会議の設立等をはじめとした活動を計画し、チラシ「麻しん(はしか)に注意しましょう」を作成し、注意をよびかけています。
   麻しんの流行が本格化するのは春季から夏季にかけてです。予防接種を受けることで、麻しんにかからないようにすることができます。

麻しん情報については:神奈川県感染症情報センター

はしかにならせない、はしかにさせない 挿絵

企画情報部 神奈川県感染症情報センター 近内 美乃里

 
   
衛研ニュース No.125 平成20年3月発行
発行所 神奈川県衛生研究所(企画情報部)
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