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2024年10月22日更新

風しん

風しんは、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とする風しんウイルス(Rubella virus)による感染症です。2012年から2013年および2018年から2019年にかけて、日本国内で成人男性を中心とする風しんの流行がみられました。理由としては、流行の中心となった年代の男性は、女性のみが中学校で風しんワクチンの集団接種を受けていたことから、自分自身は子どもの頃に風しんの予防接種を受けたことがなく、風しんの免疫を持っていない人が多く残っていたことが考えられています。そこで、2019年から2025年3月までの期間限定で、昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性には、風しん抗体検査を前置きした上で、抗体が陰性であったり低い抗体価であった場合は、定期接種として、麻しん風しん混合ワクチンの接種を受けられる無料クーポン券がお住まいの市町村から送付されています。
妊娠20週頃までの妊婦さんが風しんウイルスに感染すると、白内障、先天性心疾患、難聴などを主症状とする先天性風しん症候群の赤ちゃんが生まれることがあり、女性は妊娠前に子どもの頃を含めて合計2回の風しん含有ワクチン注1接種による予防が大切です。
風しんは、先天性風しん症候群とともに感染症法に基づく感染症発生動向調査では5類感染症全数把握対象疾患注2に定められています。また、学校保健安全法では第2種学校感染症に指定されており、風しんと診断された場合は「発疹が消失するまでは出席停止」となります。

感染経路

風しんウイルスに感染した人の咳やくしゃみ、会話の時に飛び散る飛まつを吸い込むこと(飛まつ感染)や、ウイルスが付着した手で口や鼻に触ること(接触感染)で感染します。他人へウイルスを感染させる可能性のある期間は、発疹が現れる前1週間と、後1週間程度です。

症状

風しんウイルスに感染して14~21日後に症状が現れます。主な症状は発熱、発疹、リンパ節腫脹で、他に結膜の充血、関節痛、のどの痛みや咳、鼻汁などを伴うことがあります。発熱は、3日程度続きます。発疹は顔から体幹にかけて全身に広がる淡紅色の小紅斑で、3日程度で消失します。リンパ節腫脹は耳の後ろや後頭部のリンパ節の腫れが特徴で、発疹の数日前から現れ3~6週間でなくなります。これらの症状が全て揃わない場合もあること、またウイルスに感染しても症状が現れない場合(不顕性感染)があることから、症状のみからの風しんの診断は難しいとされています。そのため2018年から、原則として全員のPCR検査が求められています。
また、稀に、血液の成分の一つである血小板が減少して紫斑病を起こしたり、脳炎を合併することがあります。

先天性風しん症候群

風しんに対して免疫の不十分な女性が妊娠20週頃までに風しんウイルスに感染すると、風しんウイルスがおなかの赤ちゃんにも感染し、白内障、先天性心疾患、難聴などを主な症状とする先天性風しん症候群と呼ばれる病気を起こすことがあります。特に、妊娠の初期(妊娠1か月で50%以上、妊娠2か月で35%、妊娠3カ月で18%、妊娠4か月で8%程度:国立感染症研究所HP 先天性風疹症候群とは外部サイトを別ウィンドウで開きますより引用)に感染した場合は高い確率で発生します。
予防にはワクチン接種によって妊娠時の風しんウイルス感染を防ぐことが重要ですが、妊娠中にはワクチン接種ができません。そのため女性は妊娠前に子どもの頃を含めて1歳以上で合計2回のワクチンを受けることと、妊婦の感染を予防するために配偶者や周囲の方がワクチンを受けて、風しんにかからないようにすることが大切です。

診断について

症状と検査所見を併せて診断します。
症状としては、3つの症状(発熱、発疹、リンパ節腫脹)が揃っていることは約半数しかありませんので、検査診断が必要です。
検査診断の方法には、血液、尿、のどのぬぐい液などから直接ウイルスを分離する方法、風しんウイルス遺伝子を検出する方法、また血清中の風しん抗体の検出による方法(風しんウイルスに対するIgMと呼ばれる抗体が陽性であることを確認する、あるいは風しんの急性期と回復期で、IgGと呼ばれる抗体価が陽転(陰性から陽性に転じること)するか、あるいは有意に上昇(HI抗体価なら4倍以上、その他、EIA抗体価なら2倍以上)していることを確認する)方法があります。わが国は、早期に先天性風しん症候群の発生をなくすとともに、2020年度までに風しんの排除を達成することを目標としてきました。2024年現在、まだ風しんの排除は達成できていません。ウイルスを分離する方法は一般には実施されておらず、IgM抗体価は発疹が出てから4日以上経たないと陽性にならないため、早期診断ができません。そのため厚生労働省は2018年から、風しんと臨床診断した時点で直ちに保健所に届出を行い、原則として全例にウイルス遺伝子検査(例:PCR検査)の実施を求めています。

治療について

風しんにかかってしまうと、特別な治療法がありません。発熱に対する解熱鎮痛剤の使用など、それぞれの症状を和らげる対症療法が行われます。多くは自然に治癒する病気ですが、脳炎や血小板減少性紫斑病など重い合併症を起こして、入院が必要になることがあります。

予防のために

風しんは、ワクチン接種による予防がとても大切です。定期予防接種の第1期(生後12カ月以上24カ月未満の者)と第2期(5歳以上7歳未満の者であって、小学校入学前の1年間)にそれぞれ1回ずつ、2回の弱毒生麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)の接種が行われています。ワクチン接種の回数が1回では、免疫の獲得が不十分となる場合や、年数の経過とともに免疫が低下することがあるため、2回のワクチン接種をきちんと受けることが大切です。
大人の場合も、昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性で風しんの抗体検査を受け、抗体が陰性であったり、低い抗体価であった場合、追加的対策(第5期)として無料でMRワクチンの接種を受けられます。また、市町村独自の施策としてそれ以外の年齢や女性にも対象を拡げている場合があります。風しん無料クーポン券特設ページ神奈川県風しん撲滅作戦 特設ページ外部サイトを別ウィンドウで開きますをご覧ください。

参考リンク

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