WWWを検索 当サイトを検索

2023年8月17日更新

風しん

風しんは、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴とする風しんウイルス(Rubella virus)による感染症で、一般的には「三日はしか」とも呼ばれています。2012年から2013年にかけて、日本国内で成人男性を中心とする風しんの大流行がみられました。理由としては、風しんの予防接種を受けていないことや、予防接種による免疫が不十分であることが考えられています。妊婦の方が風しんウイルスに感染すると、白内障、先天性心疾患、難聴などをもった赤ちゃん(先天性風しん症候群)が生まれることがあり、ワクチン接種による予防が大切です。風しんは、先天性風しん症候群とともに感染症法において全数把握対象疾患5類感染症に定められています。また、学校保健安全法では第2種感染症に指定されていて、風しんと診断された場合は「発疹が消失するまでは出席停止」となります。

※全数把握対象疾患:診断したすべての医師が最寄りの保健所に届けなければならない疾患を指し、感染症法という法律で1類から5類までが定められています。

感染経路

風しんウイルスに感染した人の咳やくしゃみを吸い込むこと(飛まつ感染)や、ウイルスが付着した手で口や鼻に触ること(接触感染)で感染します。他人へウイルスを感染させる可能性のある期間は、発疹が現れる前後1週間程度です。

症状

風しんウイルスに感染して14~21日後に症状が現れます。主な症状は発熱、発疹、リンパ節腫脹で、他にのどの痛みや頭痛、結膜炎、関節痛などを伴うことがあります。発熱は38℃から39℃で、3日程度続きます。発疹は顔から体幹にかけて広がり、3日程度でなくなります。リンパ節腫脹は耳の後ろや後頭部のリンパ節の腫れが特徴で、発疹の数日前から現れ3~6週間でなくなります。これらの症状が全て揃わない場合もあること、またウイルスに感染しても症状が現れない場合(不顕性感染)があることから、症状のみからの風しんの診断は難しいとされています。稀に、血液や脳の病気を合併することがあります。

先天性風しん症候群

風しんに対して免疫のない女性が妊娠中に風しんに感染すると、風しんウイルスが胎盤を通過しておなかの赤ちゃんに感染し、白内障、先天性心疾患、難聴などが現れる先天性風しん症候群と呼ばれる病気を起こすことがあります。特に、妊娠の初期(妊娠12週以内)に感染した場合は高い確率で発生します。
予防にはワクチン接種によって妊娠時の風しん感染を防ぐことが重要ですが、妊娠中にはワクチン接種ができません。そのため妊婦の感染を予防するために配偶者や周囲の方の予防接種が大切です。

診断について

症状と検査所見を併せて診断する場合(検査診断)と、症状のみから診断する場合(臨床診断)があります。
検査法には、血液、尿、のどのぬぐい液などから直接ウイルスを分離する方法、風しんウイルス遺伝子を検出する方法、また血清による方法(風しんウイルスに対するIgMと呼ばれる抗体が高値であることを確認する、あるいは風しんの急性期と回復期の抗体価が上昇していることを確認する)があります。
臨床診断では、診断に必要な3つの症状(発熱、発疹、リンパ節腫脹)が揃っていることを確認します。

治療について

風しんに対する特別な治療はありません。発熱に対する解熱鎮痛剤の使用など、それぞれの症状に対する対症療法が行われます。

予防のために

風しんは、ワクチン接種による予防がとても大切です。定期予防接種の第1期(生後12カ月以上24カ月未満の者)と第2期(5歳以上7歳未満の者であって、小学校入学前の1年間)に麻しん・風しん混合ワクチンの接種が行われています。ワクチン接種の回数が1回では、免疫の獲得が不十分となる場合や、年数の経過とともに免疫が低下することがあるため、2回のワクチン接種をきちんと受けることが大切です。
大人の場合も、昭和37年度から昭和53年度生まれの男性で風しんの追加的対策(第5期)として抗体検査を受け、抗体が少ない場合、麻しん・風しん混合ワクチンの接種を受けられます。また、市町村独自の施策としてそれ以外の年齢や女性にも対象を拡げている場合があります。神奈川県風しん撲滅作戦 特設ページ外部サイトを別ウィンドウで開きますをご覧ください。

参考リンク

トップページへ戻る感染症情報センターへ戻る疾患別情報へ戻るこのページのトップへ