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後天性免疫不全症候群(エイズ)

後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome; エイズ)とは、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus; HIV)の感染により体内で免疫を担当するリンパ球が破壊されることによって全身の免疫が低下し、日和見感染症(免疫が低下することによってかかる感染症)や悪性腫瘍を生じた状態をいいます。HIVに感染した場合でも、適切な治療を行うことで通常の生活を送ることが可能になってきました。世界では3670万人がHIVに感染していると推測されています。日本でも毎年1500人前後の新たな感染者が発生しており、感染の広がりは衰えていません。感染症法では、全数把握対象疾患5類感染症に指定されています。

症状

HIVの感染後、急性期、無症候期、エイズ発症期と推移します。

急性期: HIVウイルスに感染して2~6週間後に、発熱や頭痛、のどの痛みなどのかぜ様症状が現れることがあります。これらの症状は数日から数週間続き、多くは自然に改善します。感染した全ての人にみられるわけではありません。
無症候期: HIVに感染後、特別な症状がなく経過する時期です。無症候期は数年から10年以上続く人もいますが、最近では感染後1年以内にエイズを発症する人も増えています。
エイズ発症期: HIVに感染し、治療が行われなかった場合は数年から10年程度経過した後に、日和見感染症や悪性腫瘍などが現れます。代表的な感染症はニューモシスチス・カリニという、微生物による肺炎です。このような感染症や悪性腫瘍が原因で、死亡に至ります。

感染経路

性的接触、母子感染、血液による感染(輸血、薬物注射)などから感染します。現在は、ほとんどが性的接触によって感染しています。性的接触では、精液や膣分泌液に存在するHIVウイルスが尿道・膣・肛門などの粘膜を介して感染します。母子感染については、母親のHIVウイルス感染が判明した場合に適切な処置を行うことで、赤ちゃんへの感染はほぼ予防できます。入浴や食事、握手などの日常生活でHIVウイルスに感染することはありません。

診断について

HIVウイルス感染の診断は、HIVに感染している可能性があるかないかをふるい分ける「スクリーニング検査」と、スクリーニング検査で陽性となった時、その反応が本当にHIVによるものかを判定する「確認検査」の2段階で行われます。スクリーニング検査で陽性であっても確認検査で陰性となる場合もあり、それをスクリーニング検査の「偽陽性」と呼びます。偽陽性は0.3%(1000人に3人)くらいの頻度で起こります。原因としては妊娠、自己免疫疾患などが考えられますが、特定はされていません。

治療について

3種類以上の抗HIV薬を組み合わせて服用する、多剤併用療法を行います。飲み忘れや不規則な服用によって、薬の効果がみられなくなる恐れがあります。近年、治療の進歩により、より少ない服薬回数での治療が可能になりましたが、生涯にわたって規則正しい服薬が必要なことから、やはり治療の負担は大きい現状があります。

予防・早期発見のために

HIVに感染した段階では、症状が現れないことが多く、検査が唯一、確実な感染の確認法です。全国のほとんどの保健所などで無料・匿名で検査を受けることが可能です。陰性であればその日のうちに結果が判明する「即日検査」を実施している保健所も増えています。HIVへの感染はほとんどが性的接触であり、性行為の際のコンドームの使用が予防に有効です。

参考リンク

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