感染症発生動向調査とは、感染症の予防とまん延防止の施策を講じるため、感染症情報を医療機関から収集し、その内容を解析、公表する事業のことです。平成11年4月から施行の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に定められています。なお、この法律は一部改正され、対象疾患の追加と、類型の見直しが行われています。
感染症発生動向調査事業実施要綱
目次
対象となる感染症
1.感染症の分類について
感染症発生動向調査の対象疾患は一類感染症から五類感染症に分類されています。
一類感染症とは
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感染力、罹患した場合の重篤性等に基づく総合的な観点から見た危険性が極めて高い感染症として定められている感染症です。 | |
二類感染症とは
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感染力、罹患した場合の重篤性等に基づく総合的な観点から見た危険性が高い感染症として定められている感染症です。 | |
三類感染症とは
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感染力、罹患した場合の重篤性等に基づく総合的な観点から見た危険性は高くないが、特定の職業への就業によって感染症の集団発生を起こしうる感染症として定められている感染症です。 | |
四類感染症とは
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動物、飲食物等の物件を介して人に感染し、国民の健康に影響を与えるおそれがある感染症(人から人への伝染はない)として定められている感染症です。 | |
五類感染症とは
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国が感染症の発生動向の調査を行い、その結果等に基づいて必要な情報を国民一般や医療関係者に情報提供・公開していくことによって、発生・まん延を防止すべき感染症として定められている感染症です。 | |
指定感染症とは
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既知の感染症のうち上記1~3類に分類されない感染症であって、1~3類に準じた対応の必要性が生じた感染症として定められる感染症です。 | |
新感染症とは
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人から人に伝染すると認められる疾病であって、既知の感染症と症状等が明らかに異なり、当該疾病に罹患した場合の病状の程度が重篤であり、かつ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるものとして定められる感染症です。 |
2.定点とは
定点把握対象の疾患は、予め指定した医療機関から報告されます。その医療機関のことを定点といい、その数は人口に応じて決められています。
定点は報告する疾患で5種類(インフルエンザ定点、小児科定点、眼科定点、STD定点、基幹定点)に分かれています。
インフルエンザ/COVID-19定点
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対象疾患名: | インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く)・新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に中華人民共和国から世界保健機 関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。) | |
小児科定点
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対象疾患名: | RSウイルス感染症・咽頭結膜熱・A群溶血性レンサ球菌咽頭炎・感染性胃腸炎・水痘・手足口病・伝染性紅斑・突発性発しん・ヘルパンギーナ・流行性耳下腺炎 | |
眼科定点
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対象疾患名: | 急性出血性結膜炎・流行性角結膜炎 | |
STD定点
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対象疾患名: | 性器クラミジア感染症・性器ヘルペスウイルス感染症・尖圭コンジローマ・淋菌感染症 | |
基幹定点
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対象疾患名: | クラミジア肺炎(オウム病を除く)・細菌性髄膜炎(インフルエンザ菌、髄膜炎菌、肺炎球菌を原因として同定された場合を除く)・ マイコプラズマ肺炎・無菌性髄膜炎(真菌、結核菌、マイコプラズマ、リケッチア、クラミジア、原虫を含む)・感染性胃腸炎(病原体がロタウイルスであるものに限る)・ペニシリン耐性肺炎球菌感染症・ メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症・薬剤耐性緑膿菌感染症 |
神奈川県の定点医療機関数
定点医療機関数 | |||||
県域※ | 横浜市 | 川崎市 | 相模原市 | 計 | |
インフルエンザ/COVID-19定点 | 129 | 153 | 61 | 38 | 381 |
小児科定点 | 76 | 94 | 37 | 30 | 237 |
眼科定点 | 17 | 22 | 9 | 4 | 52 |
STD(性感染症)定点 | 24 | 29 | 12 | 5 | 70 |
基幹定点 | 5 | 4 | 2 | 1 | 12 |
※横須賀市・藤沢市・茅ヶ崎市を含む
【令和6年4月1日現在】
※新型コロナウイルス感染症の届出様式は以下からダウンロードできます。
感染症発生動向調査に関するお知らせ
- 急性弛緩性麻痺の情報提供について(依頼)(令和6年8月22日厚生労働省通知)
世界保健機関の基準に基づき、ポリオウイルスによる急性弛緩性麻痺が否定できない症例については、国立感染症研究所において個別に評価を行い、ポリオの疑いがあるか否かの分類を行う体制が整備されたことを踏まえ、自治体に対し、求めがあった場合は、届出のあった急性弛緩性麻痺の症例について収集した情報を別紙「急性弛緩性麻痺症例60日後追跡報告書」を用いて、国立感染症研究所へ提供するようお願いするものです。