令和5年7月31日発行
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神奈川県 ヘルパンギーナ情報(6)29週
ヘルパンギーナは高い熱、のどの奥にひどく痛む水ぶくれ様の発疹が現れる、ウイルス感染症です。
痛くて水分や食事が摂れないこともあります。脱水にならないように少しずつ水分や食事をとりましょう。
手足口病と同様に毎年夏に流行し、乳幼児への感染が多くみられます。熱性けいれんや無菌性髄膜炎、心筋炎を伴う場合もあります。特異的な治療法やワクチンはありません。
2~4日間の潜伏期間のあと4日ほど発熱・口腔内の水疱が続き、水疱が自壊して症状が軽快していきます。
感染経路は接触感染を含む糞口感染と飛沫感染です。症状が改善しても便からは一カ月ほど、感染性のあるウイルスの排出があります [a]。感染の予防には、トイレ・オムツ交換の後、外から帰った後、食事の前などに手洗いをしっかり行うことが大切です。ヘルパンギーナの原因は主にコクサッキーウイルス [b]ですが、このウイルスは、アルコール消毒に抵抗性をもつノンエンベロープウイルスです。鼻水やよだれがついたおもちゃはよく洗い、オムツ用品、トイレ、ドアノブやスイッチなど、よく手が触れるところはしっかりと拭き掃除を心がけてください。
ヘルパンギーナは、学校保健安全法では、必要があれば、校長が学校医と相談して出席停止などの措置を取りうるその他の感染症とされています。登園登校の目安は(1)解熱 (2)のどの痛みがとれ、普通に食事が摂れることの2点になります[c]。
ヘルパンギーナの報告数は、小児科定点として定められた医療機関(神奈川県内234ヵ所2023年3月24日時点)からの報告をもとに毎週集計しています。定点当たり報告数とは、その週の報告数を報告医療機関数で割った値であり、1定点医療機関当たりのヘルパンギーナの報告数をあらわしています。
ヘルパンギーナの警報レベルは、定点当たり報告数が、6以上が開始基準、2未満が終息基準となります。
- 年別・週別報告数の状況
過去に大きな流行があった年は2000年、2001年、2010年で、神奈川県域(横浜市, 川崎市, 相模原市を除く)での定点当たり報告数は11を超えていました。2023年は21週に1を超え、24週は県域で警報レベル(6)を超えるようになりました。29週は全国4.71、全県3.70、県域4.00と前週より減少し、警報レベル(6)を下回りましたが、警報レベル終息基準値(2)を上回っています。
24週 25週 26週 27週 28週 29週 6月12日
~6月18日6月19日
~6月25日6月26日
~7月2日7月3日
~7月9日7月10日
~7月16日7月17日
~7月23日全国 4.50 5.79 6.48 7.32 6.86 4.71 全県 5.15 6.16 6.43 6.90 6.12 3.70 県域 6.75 7.97 6.92 6.86 6.11 4.00 - 保健所別発生状況
29週の定点当たり報告数は、三崎センター4.50と小田原保健福祉事務所3.17の2か所で前週に比べ増加しました。他の管轄では、前週に比べ減少しています。平塚保健福祉事務所1.29及び鎌倉保健福祉事務所1.83で警報レベル終息基準値(2)を下回りました。 - 全県の年齢・年齢群別の状況
年齢・年齢群別の定点当たり報告数は7歳を除くすべての年齢・年齢群で減少しました。
2018~2022年と比較し、2023年は4~6歳の年長児の割合が大きくなっています。
<参考リンク>
注:リンクは掲載当時のものです。リンクが切れた場合はリンク名のみ記載しています。
- [a] ヘルパンギーナとは(国立感染症研究所)
- [b] 手足口病およびヘルパンギーナ患者の発生動向とエンテロウイルス検出状況―神奈川県(IASR Vol. 38 p.193-195: 2017年10月号)(国立感染症研究所)
- [c] 保育所における感染症対策ガイドライン(厚生労働省)