令和5年7月24日発行
神奈川県 ヘルパンギーナ情報(5)28週
ヘルパンギーナは高い熱、のどの奥にひどく痛む水ぶくれ様の発疹が現れる、ウイルス感染症です。
痛くて水分や食事が摂れないこともあります。脱水にならないように少しずつ水分や食事をとりましょう。
手足口病と同様に毎年夏に流行し、乳幼児への感染が多くみられます。熱性けいれんや無菌性髄膜炎、心筋炎を伴う場合もあります。特異的な治療法やワクチンはありません。
2~4日間の潜伏期間のあと4日ほど発熱・口腔内の水疱が続き、水疱が自壊して症状が軽快していきます。
感染経路は接触感染を含む糞口感染と飛沫感染です。症状が改善しても便からは一カ月ほど、感染性のあるウイルスの排出があります [a]。感染の予防には、トイレ・オムツ交換の後、外から帰った後、食事の前などに手洗いをしっかり行うことが大切です。ヘルパンギーナの原因は主にコクサッキーウイルス [b]ですが、このウイルスは、アルコール消毒に抵抗性をもつノンエンベロープウイルスです。鼻水やよだれがついたおもちゃはよく洗い、オムツ用品、トイレ、ドアノブやスイッチなど、よく手が触れるところはしっかりと拭き掃除を心がけてください。
ヘルパンギーナは、学校保健安全法では、必要があれば、校長が学校医と相談して出席停止などの措置を取りうるその他の感染症とされています。登園登校の目安は(1)解熱 (2)のどの痛みがとれ、普通に食事が摂れることの2点になります[c]。
ヘルパンギーナの報告数は、小児科定点として定められた医療機関(神奈川県内234ヵ所2023年3月24日時点)からの報告をもとに毎週集計しています。定点当たり報告数とは、その週の報告数を報告医療機関数で割った値であり、1定点医療機関当たりのヘルパンギーナの報告数をあらわしています。
ヘルパンギーナの警報レベルは、定点当たり報告数が、6以上が開始基準、2未満が終息基準となります。
- 年別・週別報告数の状況
過去に大きな流行があった年は2000年、2001年、2010年で、神奈川県域(横浜市, 川崎市, 相模原市を除く)での定点当たり報告数は11を超えていました。2023年は21週に1を超え、24週は県域で警報レベルの6を超えるようになりました。28週は全国6.86、全県6.12、県域6.11と警報レベルを上回っています。全国と全県は前週より減少、政令指定都市を除く県域では3週連続減少しました。
23週 24週 25週 26週 27週 28週 6月5日
~6月11日6月12日
~6月18日6月19日
~6月25日6月26日
~7月2日7月3日
~7月9日7月10日
~7月16日全国 3.00 4.50 5.79 6.48 7.32 6.86 全県 3.03 5.15 6.16 6.43 6.90 6.12 県域 4.01 6.75 7.97 6.92 6.86 6.11 - 保健所別発生状況
28週の定点当たり報告数は、厚木保健福祉事務所13.33、横須賀市6.33の2か所で前週に比べ増加し、横浜市6.67、川崎市6.08、横須賀市6.33、茅ヶ崎市7.57、平塚保健福祉事務所秦野センター10.00となり、前週に比べ減少していますが、警報レベル(6)を上回っています。小田原保健福祉事務所は2.50と減少しましたが、終息レベル(2)を上回っています。 - 全県の年齢・年齢群別の状況
年齢群別の定点当たり報告数は6~11か月、2~7歳および10~14歳では減少しました。15~19歳は横ばい、0~5か月、1歳、8歳と9歳および20歳以上では微増です。
<参考リンク>
注:リンクは掲載当時のものです。リンクが切れた場合はリンク名のみ記載しています。
- [a] ヘルパンギーナとは(国立感染症研究所)
- [b] 手足口病およびヘルパンギーナ患者の発生動向とエンテロウイルス検出状況―神奈川県(IASR Vol. 38 p.193-195: 2017年10月号)(国立感染症研究所)
- [c] 保育所における感染症対策ガイドライン(厚生労働省)