2024年10月22日掲載
蚊媒介感染症に気をつけて!
病原体を保有する蚊に刺されることによって起こる感染症を「蚊媒介感染症」といいます。主にデング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症、日本脳炎、ウエストナイル熱、黄熱、マラリアなどが知られています。中南米でまん延している蚊媒介感染症であるオロプーシェ熱は、2024年にヨーロッパで初めて輸入症例が確認されました。
蚊媒介感染症は主に熱帯、亜熱帯地域で流行しており、日本での届出は海外で感染した輸入例が多いですが、
2024年10月には日本国内での感染が疑われるデング熱の症例報告があり、日本国内においても注意が必要です。
日本脳炎は毎年、西日本を中心として10例前後の報告がありますが、2024年は10月6日まで(第1週~第40週)に、栃木県から1例、埼玉県から1例、千葉県から2例、愛知県から1例、熊本県から1例の合計6例が届出されました。さらに、2024年10月8日には岐阜県から1999年の感染症発生動向調査開始以来初めての症例が報告されました(岐阜県報道発表資料:
https://www.pref.gifu.lg.jp/site/pressrelease/392411.html)。蚊媒介感染症はヒトからヒトに直接感染することはありません。蚊対策とワクチンがある感染症はワクチンによって予防しましょう。
デング熱
2024年は第40週までに全国で191例の届出がありました。神奈川県での届出は11例あり、いずれの症例もインドネシアなど海外への渡航歴がありました。
チクングニア熱
2024年は第40週までに全国で3例の届出がありました。神奈川県での届出はありませんでした。
日本脳炎
2024年は第40週までに全国で6例の届出がありました。
神奈川県での届出はなく、蚊の生息調査においても日本脳炎を含む蚊媒介感染症原因ウイルスの検出はありませんが(蚊の生息調査について(神奈川県))、感染症流行予測調査事業では、毎年30弱の都道府県でブタの抗体保有状況調査をしていますが、神奈川県でも毎年ブタの調査をしています。2024年の神奈川県での調査では2-メルカプトエタノール感受性抗体(2-ME感受性抗体)を保有するブタが見つかったことから注1、蚊を介した感染注2に注意が必要です。
注1:2-ME感受性抗体の保有は、最近感染したことを示します。
注2:日本脳炎ウイルスは、増幅動物であるブタやイノシシの体内で増え、そのブタやイノシシを吸血して、日本脳炎ウイルスを持った蚊がヒトを刺したときに感染します。
- 参考リンク
ウエストナイル熱
2024年第40週までに、本邦での発生は確認されていません。
感染症法では四類感染症に指定されており、新興感染症・輸入感染症として注意が必要な疾患とされています。
黄熱
2024年第40週までに、本邦での発生は確認されていません。
感染症法では四類感染症に指定されています。
黄熱にはワクチンがありますので、流行地域への渡航を計画する場合には、接種を検討しましょう。詳しくはFORTH(厚生労働省検疫所)ホームページをご覧ください。
ジカウイルス感染症
2024年は第40週までに全国で3例の届出がありました。神奈川県での届出はありませんでした。
妊娠女性が感染すると胎児に神経系の障がいを引き起こすことがあり、注意が必要です。
マラリア
2024年は第40週までに全国で42例の届出がありました。神奈川県での届出は1例ありました。