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サクセス ストーリー

横浜市

公民連携で地域貢献と認知向上を実現。
ボッシュの新本社建設が生み出した価値とは

ボッシュ株式会社

1886年創業。ドイツに本社を持つ世界最大級自動車システムサプライヤー。日本法人は1911年に事業を開始しモビリティ分野を中心に電動工具から産業機器まで幅広く展開。2024年に日本本社を神奈川県横浜市に移転し首都圏の事業所と従業員を新社屋に集約。

下山田 淳 様

フュージョン・プロジェクト推進室
シニアゼネラルマネージャー 本社施設管理部長
下山田 淳 様

新本社の建設を神奈川に決めた理由

当社は日本でビジネスを開始して以来、事業拡大に伴い東京・横浜を中心に拠点を拡大してきました。新本社建設以前は、自社ビルのほかに各地に賃貸オフィスが点在しており、不動産施設管理の観点から自社ビル・賃貸オフィスの混在を是正する必要性を感じていました。

また近年は自動車業界が100年に一度の変革期にあり、電動化や自動化、さらにはソフトウェア・ディファインド・ビークルといった、自動車開発のトレンドが変化する中で、競争力を高めながら事業を維持するためにも、社員を一堂に集め事業部間での協業や連携を促進させ、国内の研究開発体制を強化することが不可欠だと考えるようになりました。

一方、首都圏で魅力ある広大な土地を探すのは難しく、立地先の選定には数年を要することになりました。そうした中、既存の研究開発施設の近隣で、横浜市が区民文化センターの整備を条件とした市有地の活用について事業者を公募していることを知り、応募を決断しました。2018年には「横浜市都筑区における区民文化センター等整備予定地活用事業」の事業者に選定され、2024年5月から新本社が稼働しています。国内8拠点の従業員を新本社に集約して、さらに2㎞離れている既存の研究開発拠点と合わせると、同じ都筑区内に従業員が集まり、事業部間の協業連携が進むことを狙っています。2025年3月には都筑区民文化センター(愛称:ボッシュ ホール)が開館予定です。

ドイツで創業したグローバル企業として、神奈川に日本本社を置くメリット

横浜市は弊社日本法人が始動した地であり、心理的にも親近感がありました。開港の地として西洋文化との結びつきが強く、横浜の知名度は世界的にも高く、ドイツ本社の幹部からも即座に認知してもらうことができます。新幹線、空港などへのアクセスの良さも魅力です。

また横浜市都筑区は、緑が豊かでゆとりある空間が広がり、夕方になると家族連れがベビーカーを押したり、犬を連れてゆったりと散歩したりする光景が見られます。東京横浜独逸学園もあり、多文化共生支援のNPO法人などもあります。
経済合理性だけでなく、従業員一人ひとりが親であり家族であり、地域住民という多様な役割を持つ「人」として、充実した生活を送ることができる環境であることは欧州企業として重要だと考えました。

「セレクト神奈川NEXT」の補助金制度や横浜市の企業立地推進条例を利用できたのも、大きなメリットの一つです。新本社建設の合意を得るうえで大きな後押しとなりました。複数の候補地を検討する際、補助金等のインセンティブは高く評価されます。また、自治体の積極的な受け入れ姿勢の証としてドイツ本社からも高く評価されました。

地域連携の可能性と、今後の事業展望

都筑区民文化センターに「ボッシュ ホール」とカタカナで表記されたことで、都筑区の小中学生のような若い世代にも「ボッシュ、知ってる!」と認知してもらえているようです。現段階では、その可能性を数値化できませんが、当社のカルチャーを体感してもらえる場を公民連携でつくったことで、中長期的に明確な存在感を獲得できた意義の大きさを実感しています。また従業員の間にも地域貢献への当事者意識が芽生えているのを感じます。世界中に自社ビルを保有するボッシュ・グループですが、公民連携プロジェクトは今回が初めての試みです。今後のモデルケースとして、ドイツ本社をはじめとする各国の拠点からも、「新しい自社ビルの在り方」として注目を集めています。

新本社をより開かれた場所にすることで地域に貢献していきたいと考え、横浜市都筑区と「地域活性化に関する包括連携協定」を締結し、敷地全体をBosch Forum Tsuzukiと命名しました。今後は横浜市都筑区および「ボッシュ ホール」の指定管理者と協力しながら広場を含めてのイベントなども開催していく予定です。地域の賑わいの醸成やブランド認知向上に向けた施策の一つとして、一般の方も利用可能なカフェ「café 1886 at Bosch」もオープンしました。本社のあるドイツに関連したメニューも取り揃え、ボッシュの自動車部品や電動工具など多岐に渡るボッシュの製品などが店内に展示されています。カフェという親しみやすい場所を通じて自動車部品という一般の人には伝わりにくい事業への理解を深めていただく機会になればと考えています。また、今後は、会議室の一部を一般向けに有料で貸し出すことで、地域の方々にも地域活動の拠点としてご活用いただけます。これらの取組を通して「面白い場所ができたみたいだよ」と、地域の人が家族や友人を誘いたくなるような魅力的な施設となることを目指しています。そして長期的には、都筑区、横浜市、神奈川県、さらには日本の誇りとなるような拠点に育てていきたいと考えています。

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