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サクセス ストーリー

川崎市

新工場のICT・自動化を実現。
創業110周年の自社工場を刷新する「味の素食品㈱」

味の素食品株式会社

2019年、調味料と加工食品の技術開発・製造・包装を担ってきた味の素㈱、クノール食品㈱、味の素パッケージング㈱を統合し設立。2022年に、川崎工場敷地内に加工食品の製造や包装を担う工場と天然調味料や酵素製品の包装工場を新設した。

海津 啓之 様

生産本部 川崎工場 管理部長
海津 啓之 様

新工場設立の理由

当社は2019年に国内調味料・加工食品の生産を担う新会社として味の素食品㈱を発足しました。その後、川崎市のほか関西や東海、中部エリアに点在していた味の素グループの5つの拠点を集約し、調味料と加工食品の生産体制の再編を段階的に進めました。

2020年から2022年にかけては、神奈川県の補助金制度を2度活用し、川崎工場の敷地内に2つの工場を新設しました。1つは、クノールⓇカップスープなどの加工商品の製造・包装を行う工場、もう一つはBtoB向けの天然調味料・酵素製品の包装工場です。これらの工場は、ICT・自動化等の最先端技術を活用し、生産効率を高めることを目的として建設しました。

また、川崎エリアには製造設備に加え、味の素グループの研究開発部門も集結しています。味の素㈱や味の素AGF㈱・味の素冷凍食品㈱のR&D部門などが同じ敷地内にあるため、開発製品の円滑な工業化や研究開発部門同士の活発な交流が可能となる、非常に恵まれた環境を実現しています。

このような環境のもと、継続的な最先端技術の導入により、お客様の需要に柔軟かつスピーディーに応える世界トップレベルの生産体制実現を目指しています。

補助金制度の活用による効果

補助金の活用により、工場のICT化と自動化を実現することができました。その代表例としては、無人搬送車(AGV)の導入があります。このAGVを中心とした自動化システムにより、製造工程は大きく効率化されました。
生産計画から各製造工程では、すべての工程をシステムで管理し、人と機械の共同作業により生産効率を高めています。具体的には、自動倉庫から運び出された原料をAGVが受け取り、従業員のいる製造ラインへ運搬します。人の目で細かくチェックされた原料を設備に投入すると製造が開始され、AGVが混合(粉を混ぜる作業)を行う製造ラインへと運び、完成した製品を再びAGVが倉庫へと運び入れます。

当社の工場では多種多様な食材を製造しており、1つの食品に多いものだと50種類もの原料を配合していくものもあります。また取り扱う原料は350種類以上と多岐にわたり、製品によって原料の種類や重量が異なります。自動化の導入により、これら多種多様な原料の管理、正確な計量・混合、適切なタイミングでの順番通りの投入など、各工程をよりスムーズに実施できるようになりました。

川崎の地で事業を営むことの利点

川崎の地で事業を営む利点は、以下の通り多岐にわたります。

1つ目は、工場敷地が多摩川に近接しているため、豊富な水資源を活用できることです。創業当初は、多摩川を利用して原料の搬入や製品の出荷を船で行っていたと伝えられています。また、過去には設備の冷却用水等に河水を利用しておりました。

2つ目は、充実した交通網による物流面での優位性です。特に大黒ふ頭が近いことから、海外輸出を含めた製品の出荷をスムーズに行うことができます。

3つ目は、羽田空港や新幹線への優れたアクセスです。川崎工場は、味の素グループの自社工場としてブラジル・タイの工場と並び、世界トップ3の規模を誇ります。そのため、海外法人の従業員が研修や視察に頻繁に訪れており、海外からのアクセスにも優れています。

さらに、地域との強固な連携も大きな特徴です。神奈川県とは未病対策の推進に関する連携協定を締結しており、川崎市が推進する「京浜臨海部水素ネットワーク協議会」にも味の素㈱川崎事業所がメンバーとして参画しています。これにより、将来のエネルギー構想を見据えた魅力的な街づくりの検討も進めています。

今後の事業の展望

川崎工場は、味の素グループのマザー工場として、2024年9月に創業110周年を迎えました。国内最大級の規模を誇る生産工場と研究開発部門が一体となった当工場は、味の素㈱の発祥の地であり、従業員一同、創業以来「当社のアイデンティティはこの地にある」という誇りと使命感を持ち続けています。

今後の展開として、設備の老朽化に対応するための長期更新計画を策定中です。CO2排出削減などの環境保護への取り組みを推進しながら、次世代の工場のあるべき姿を追求していきます。さらに、グループ内各社の研究開発部門との連携を一層強化し、新たなイノベーションの創出にも注力します。

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