かながわなでしこファーマーズ

神奈川の女性農業者、未来へつなぐ交流会

神奈川の女性農業者、未来へつなぐ交流会

参加者
・ふるさとの生活技術指導士
・かながわなでしこfarmers研修生

「かながわなでしこfarmers研修生及びふるさとの生活技術指導士交流会」が2025年10月15日、万国橋会議センター(横浜市)で開催されました。この会は、県内で活動する女性農業者や指導者が交流し、それぞれの経営発展に生かしてもらうことを目的にしています。当日は、有限会社河野経営研究所の河野律子氏による講演と、参加者によるグループディスカッションを実施。当日の様子と、そこで交わされた意見についてレポートします。

アイデアと、経験と分析のバランス

交流会の第一部では、有限会社河野経営研究所の代表取締役である河野律子氏が「女性農業者が輝くためのチャレンジ」と題して講演を行いました。河野氏は、埼玉県の指導員としての経験を持ち、近年はスマート農業やAI活用にも取り組んでいます。講演の冒頭、河野氏は「チャレンジをした人はイノベーションを起こす」と述べ、参加者自身の仕事のスタイルを分析するワークショップから始めました。仕事のスタイルを、アイデアを創出する「アート」、経験を基に実践する「クラフト」、論理的に分析する「サイエンス」の3つに分類し、参加者は自身がどのタイプに近いかを考えました。河野氏は、自身も関わったことがある女性農業者のモデルケースを紹介しながら、組織においては特に「アート」と「クラフト」が重要であり、アイデアと経験が豊富な人材が良い組織を作るといい、その中でも女性はアイデアと経験が豊富な人が多いと参加者を鼓舞していました。

アイデアと、経験と分析のバランス

モデルケースから学ぶ女性ならではの農業

講演の中盤では、河野氏が支援してきた全国の女性農業者の具体的な取り組みが紹介されました。熊本県のMさんは、未活用だったみかんの花の香りに着目し、アロマ商品を開発しました。さらに、地元の有力者などを巻き込み、最大72人が所属する女性グループを組織して、国の補助金等を活用して地域に還元する仕組みを構築した事例が紹介されました。

埼玉県のWさんは、約20年前に補助金を活用してパソコン講座を開催し、ITスキルを習得した経験が語られました。そのスキルを活かして40人規模のマルシェを開催したほか、飲食店を訪れるたびに名刺を置いて自己紹介するなど、地道な活動で人脈と販路を広げていきました。これらの事例は、新たな視点や継続的な学習、そして行動力が経営の発展に繋がることを具体的に示していました。

その他にも、雪害でビニールハウスが倒壊する被害に遭いながらも、収穫可能ないちごを集めて販売を続けた埼玉県のTさんや、クラウドファンディングで目標額の100万円を大きく超える180万円を集め、絵本を出版した茨城県のYさんの事例も挙げられました。Yさんの事例では、成功の要因として、毎月仲間とのミーティングを欠かさず、それぞれの意見を反映させていた点が強調されました。

モデルケースから学ぶ女性ならではの農業

人を巻き込み、イベントを進めるには

複数の事例を紹介した後、河野氏は「様々なやり方があるが、躊躇わずに一歩を踏み出すことが重要だ」と述べました。また、「学んだことを他者に与えることで、新たな可能性が開ける」とし、自身の軸をぶらさずに取り組むことの重要性を説きました。

講演の最後には質疑応答の時間が設けられ、参加者から「事例の人たちのように、人を巻き込みながら進めることに不安がある。どのようにすれば良いか」という質問が出ました。これに対し河野氏は、イベント等を実施する際、出店者自身が顧客を呼び込むという当事者意識を持つこと、参加者全員で一体感を醸成することが大切だと回答しました。また、メディアを活用してイベント情報を発信し、Yahoo!ニュースに掲載された結果、多くの来場者があったという具体的な成功例も挙げ、情報発信の重要性についても言及しました。

農作業とプライベートの両立

自己紹介は営業に役立つ

第二部では、河野氏がファシリテーターとなり、グループディスカッションが行われました。最初のワークとして、農業に関するテーマではなく、「自分の好きな物、推し活、趣味」について語り合う自己紹介が行われ、和やかな雰囲気の中で参加者間の交流が始まりました。その後、各自が自身の農園や所属組織について3分間で紹介しました。ある参加者は、完全予約制で実施しているいちご狩りについて、「スーパーには流通しない完熟いちごの価値を、農園での体験を通して伝えたい」とその思いを語りました。また、祖父の代から続くみかん農家を継いだという参加者は、「管理が行き届かなくなっていた畑を再生させたい。近年の作業効率化を活かして、それを実現したい」と今後の展望を述べました。

河野氏は、「聞く人を引き付ける話し方は、結論、根拠、背景、方法の順で話すことが大切です。営業トークにも活用できます」と呼びかけていました。

神奈川農業の未来を語る意見交換

ディスカッションは、「私たちの目指す夢の神奈川農業プラン」というテーマで進められました。「農家が作った野菜の価値は、生産原価だけでなく、栽培にかかる労力なども含めた価値だ。その価値を消費者に理解してもらうため、農家自身が伝えていく必要がある」という参加者の意見には、多くの賛同が集まりました。また、「自宅近くの竹林を活用し、農業体験と組み合わせたイベントを開催したい」といった、地域の未利用資源に着目した具体的なアイデアも提案されました。今回の交流会は、講演で得た知識や視点をもとに、参加者同士が意見を交換し、それぞれの経営課題や将来の夢を語り合う貴重な機会となりました。参加者は、他者の取り組みから刺激を受け、自らの活動のヒントを得ていました。

この出会いをきっかけに