かながわなでしこファーマーズ

令和5年度ふるさとの生活技術指導士及びかながわなでしこfarmers研修生等交流会 2月9日レポート

令和5年度ふるさとの生活技術指導士及びかながわなでしこfarmers研修生等交流会
2月9日レポート

参加者
ふるさとの生活技術指導士
かながわなでしこfarmers研修生

静岡県を拠点にマーケティングのアドバイスを行う株式会社イワサキ経営の宮口巧さんの講演と、販売で欠かせないPOP作りのアドバイザー、一般社団法人日本POP協会の副会長の鐵倉れい子氏のワークショップが2月9日、万国橋会議センターで行われました。ふるさとの生活技術指導士とかながわなでしこfarmers研修生が参加、地域資源の魅力化と情報発信についてと、商品の魅力を伝えるPOPの極意を学びました。

制度を超えた交流の場を構築

県では、農家・農村地域に受け継がれてきた生活技術を伝承している人を「ふるさとの生活技術指導士」として認定しています。また、「かながわなでしこfarmers研修」は、神奈川県が主催し、県内の女性の力を発揮して、農業経営を改善・発展させるため、女性農業者を対象とした経営能力の向上を支援する研修です。今回の交流会は、講義やワークショップを通じて交流を深めることで、2つの制度を超えた横のつながりを創出し、参加者同士のネットワークを広げ、今後の活動の発展を図ることを目的に開催しました。

女性農業者の交流の場を構築

「無理せず、同じイベントを3回やる」

当日は、2部制で行われました。午前中は、株式会社イワサキ経営のマーケティングアドバイザー宮口巧氏が「地域資源の魅力化と情報発信」をテーマに講演を行いました。同社は、会計事務所を母体としつつ、静岡エリアを中心に、販売支援サービスや経営財務コンサルティングなどを展開しています。さまざまなイベント企画にも携わる同社の視点から、地域でのイベント開催と事業化の進め方について、説明がありました。

地域でイベントを開催する際には、「成果検証がもっとも大切です」と宮口氏は語ります。成果検証というと、『反省会』のように、悪いところばかりに目を向けてしまいがちですが、「うまくいかなかった情報を分析しても、うまくいかなかった理由しか出てきません。例えばイベントで50万円の売上を出そうとした時、当日は40万円の売上だった、という結果に対しては、なぜ目標に10万円足りなかったのかではなく、40万円も売り上げられたのは何が良かったのかと検証した方がよい」というのです。検証後は、良かったことをすべて書き出し、次のやらなければならないことリストを、次回のイベントで生かすことで、イベントを運営する側も楽しく運営ができ、持続可能なイベントになると言います。

「リストを基に、イベントを3回行うんです。最初に集まったメンバーは、どんな結果になろうと3回は必ず行う、と決める。『面白そうなイベントじゃん』と言ってくれるメンバーを3人くらい集めて、無理せず、イベントを3回ほど開催すれば、大抵のイベントはうまく行きます」

「無理せず、同じイベントを3回やる」

消費者の知りたいことを説明できますか?

イベント開催の極意を学んだ後、さらに一歩踏み込んで、商品の魅力を伝えることの重要性を宮口氏は語りました。「マルシェなどでお客さんに商品説明を始めたら、離れて行ってしまったことはありませんか。農業をやっている方の多くは、品種や肥料が違うことを語りがちですが、それは本当に消費者である顧客が知りたいことではありません。伝えるべきは、『これを手に入れるとどのような幸せがあるのか』というベネフィットです」とズバリ。見た目や味、香り、触感、後味などを事前に整理してまとめておくことで、きちんと伝えることができるといいます。「商品のコンセプトとそれを購入するターゲットを合致させることで、商品は売れるようになります。消費者の知りたいことを端的に説明できるようになりましょう」と呼びかけ、午前中の講義は終了しました。

消費者の知りたいことを説明できますか?

POPが上手な店は売上がある

お昼休憩を挟んだ後は、第2部「手書きPOP広告実技セミナー」が開かれました。POPとは、Point Of Purchaceの頭文字を取った略語で、購買意欲を促進させるツールです。講座は、一般社団法人日本POPサミット協会の副会長である鐵倉れい子氏が努めました。

鐵倉氏によれば、「POPが上手なお店は、売上があるお店」といいます。POP作りとは、言い換えれば、どれだけ商品の魅力を絵や文字のデザインで端的に表現できているか、ということ。POPを作る店員がしっかりデザインに描き起こすことができるということは、その商品や店の魅力が社員全員に浸透しているということと直結します。また、売場では顧客一人一人に店員がついて説明することができないため、POPは「もう一人の店員」と呼ばれるほど、重要な購買促進ツールなのです。

POPが上手な店は売上がある

実際に作ってみよう

手描きのPOPは、ポスカやプロッキーといった特殊なペンを使用し、書き方も枠内いっぱいに文字が収まるように、遠くから見ても視認できるように独自に進化してきました。「女」という文字は、1画目が「く」のようになるのが一般的ですが、POPでは「く」をさらに45度逆時計回りに回したような形で描きます。

このような特殊なルールに、参加者たちは四苦八苦しながらも一人一冊ずつ配布された見本冊子を参考に書き進めていきました。ひらがな・カタカナ・数字・アルファベット・漢字の一通り書き方を学ぶと、まっさらなA4サイズの紙に、いざ実践です。

実際に作ってみよう

戸惑う参加者に対し、鐵倉氏は一人一人に声を掛けながらアドバイスを加えていきます。ただ、一人ずつだとどうしてもアイデアが浮かばずに手が止まってしまう参加者も。そこで、前半を担当した宮口氏が急遽、助太刀で参上し、手作りこんにゃくを売っていきたいという参加者に対しては「そのこんにゃくはどんな時に一番おいしくたべることができる? 手作りということは触感や質感で他の商品と差別化できるところはある?」と話しかけていました。

実際に作ってみよう

最後は、完成したPOPをホワイトボードに貼り付けて、お披露目会。一点ずつ鐵倉氏が講評を入れていきながら、ワークショップは幕を閉じました。

参加者たちは、今回の講座とワークショップ終了後は、最初の緊張感はなかったかのように笑い合いながら帰路についていました。

実際に作ってみよう