「5年後、私はこうしたい」営農計画を宣言
最終日となった2月24日、受講生はこれまでの総仕上げとして、自身が目指す農業経営の方向性を営農計画書にまとめ、発表を行いました。

講師は、かながわなでしこfermers’ collegeではすっかりお馴染みとなった中小企業診断士で有限会社河野経営研究所の河野律子さんが担当。河野さんは、事前に”宿題”として出していた「営農計画書」を元に早速、個別面談を行い、それぞれが抱える経営課題や5年後の営農計画についてヒアリングとアドバイスを重ねました。

受講生に与えられた面談時間は10分程度。限られた時間の中で、受講生たちは積極的に質問をぶつけていきます。加工品の開発・販売を目指す女性が5年後の目標を「加工品の売上を増やす」と掲げると、河野さんは、「具体的な売上目標金額はどのくらいですか? ジャムを作るならば植樹をして生産面積を大きくして収穫量を増やしたいですね。すると、農地の確保や植えた木々の成長する時間も盛り込まないと」と切り返し、受講生が掲げる目標を実現するために必要なステップを数値化・細分化しながら、営農計画をブラッシュアップしていました。

会場全体に緊張が張り詰める中、受講生たちは相談を交わして情報を交換したり、黙々とシャープペンシルを走らせている様子が印象的で、すべての面談が終了する頃には、昼休みにもさしかかろうとしていました。

目標を語り、鼓舞する
営農計画書と5年後までの目標がまとまると、受講生全員が完成した目標や計画を発表しました。

川崎市で季節の野菜や果実の生産をする女性は、今、力を入れている加工ジャムについて、「川崎と言えば、このジャムといってもらえるような商品を展開する」と高らかに宣言。そのために必要なレシピの開発や、収益向上に向けたカフェの開業、SNSの活用なども盛り込みました。
また、海老名でトマトやキュウリの栽培を行う女性は、繁忙期の負担が大きいことやマンパワー不足を課題に挙げ、「機械の導入による省力化や、インターネット販売を通して収益力の工場を図りたい」と解決策を発表しました。機械の導入に向けては大きな金額が必要となるため、

それぞれの目標を形に
研修会を通じて受講生たちの成長を目の当たりにした河野さんは研修全体のまとめとして、「頑張りすぎることは美徳ではありません。新規就農の方はまだまだ大変だろうけれども、色々な方法でコストと労力を減らしていくために、『私にできることは何か』という視点を大切にして、営農していってほしい」とエールを送っていました。

ここで話された宣言は、あくまで目標です。4日間という短い時間ではありましたが、同じ時間を過ごした受講生たちはここで学んできたことを踏まえながら、それぞれの目標を形にしていくため、一歩ずつ着実に歩み出しています。
※本セミナーは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、マスクの着用や換気の徹底、受講生同士がソーシャルディスタンスを図るなどの対策の中で実施された。
