かながわなでしこファーマーズ

ふるさとの生活技術指導士に2人が認定、県女性農業者活躍表彰に1団体が選出

ふるさとの生活技術指導士に2人が認定、県女性農業者活躍表彰に1団体が選出

農家や農村に伝わる生活技術を伝える「ふるさとの生活技術指導士」と、農業分野で活躍する女性個人や団体を表彰する「神奈川県女性農業者活躍表彰」が2024年1月29日、波止場会館(横浜市中区)で行われました。ふるさとの生活技術指導士には、タケノコの水煮で原則子さん(横浜市泉区)と、米粉の焼き菓子で市川美穂さん(川崎市麻生区)の2人が認定。
県女性農業者活躍表彰には、JAセレサ川崎ふるさとの生活技術指導士の会(持田あけみ会長)が選ばれました。

ふるさとの生活技術を守り、伝える

神奈川県が認定する「ふるさとの生活技術指導士」は、地域に伝わる行事で欠かせない料理や、地域の季節の農水産物を利用したその土地独特の生活文化といった生活技術を今に伝える制度です。2024年1月現在、333人 が認定されており、ジャンルは行事食や郷土食、野菜の加工、果物の加工、畜産物の加工、工芸品などさまざま。認定者は、学校や自治体、町内会、消費者などが開く講習会などを通して、生活技術を伝えています。令和5年度は、2人が認定されました。

ふるさとの生活技術を守り、伝える

高齢の父の技術を引き継ぐ

今年度、新たに認定を受けた一人である原則子さんは、「タケノコの水煮」で認定されました。材料は、タケノコと米ぬか、水の3種類のみと、いたってシンプル。原さんの父親が加工し、販売すると地域住民から好評を博していたといいます。しかし、父親が高齢となり技術が途絶えかけていたところ、原さんが引き継いだと言います。原さんは認定式でのコメントで、「今まで畑と山だけだったところに住宅が密集するようになり、祖父の代からある竹林を保全しながら技術を残していけたらという思いでやっています。これからは、竹林を整備して、体験を通じて共存していきたいと思っています。今日のこの認定はこれからの第一歩です。」と語り、前を向いています。

高齢の父の技術を引き継ぐ

義父母の農作物を焼菓子に

新たに認定を受けたもう一人が、市川美穂さんです。市川さんは「米粉の焼き菓子」の生活技術を伝承していきます。実家が農家の夫との結婚を機に農業に触れた市川さん。新居を義父母の住む土地に建てた際に、加工施設を設けたことから、焼菓子を作るようになりました。米や梨、りんごといった焼菓子の材料は、義父母の農産物を使用しています。認定式で市川さんは、「米粉の焼菓子は小麦アレルギーの方だけでなく、健康志向のグルテンフリーを好む方に好評です。今後は、先輩方と活動する中で、作る技術と共に人に伝える技術をしっかり学んでいきたいです。」と話していました。

義父母の農作物を焼菓子に

農業の女性参画を促進

県女性農業者活躍表彰は、農業や地域の活性化、女性の農業経営参画、次世代リーダーを目指す若手女性の支援などについて積極的に活動し、農業振興について特に功績のあった女性農業者を称える制度です。表彰する分野は5つの部門に分かれていて、いずれかの部門でその功績が他の模範となる1名又は1団体に、知事賞が授与されます。

農業の女性参画を促進

ふるさとの味を伝え、知事賞を受賞

今年度、知事賞を受賞したのは、女性地域社会参画部門(組織)で、JAセレサ川崎ふるさとの生活技術指導士の会でした。同会では、JAセレサ主催の学習講座「セレサ組合員カレッジ」で収穫した野菜を使った料理講習会で講師を務めたり、JAセレサ川崎と協働で、会員が伝えたい味として開発・考案したメニューを掲載したレシピ集「伝えたい味」を発刊することで料理教室に参加できなかった層にも伝統の味を広めたりと、多様な主体との交流を促進しています。

授賞式に登壇した持田会長は、「川崎は都市農業が盛ん。会には19人が所属していて、それぞれが持ち味を生かして色々なイベントで活動しています。嬉しく感じるとともに責任を感じています。今後は、ふるさとの伝統食を継承して、仲間とともに手を携えて活動していきたいと思います。」と意気込んでいました。

ふるさとの味を伝え、知事賞を受賞

農業経営士も認定

同日には、県農業経営士の認定証の交付式も行われました。農業経営士は、農業の近代化に対応する新しい有能な農業者を育成するために、近代的感覚で農業を実践し、その優れた成果に基づいて、就農希望者や新規参入者、離職就農者といった農業後継者などの指導援助を担いうる優れた農業者を認定しています。
令和5年度は、川崎市から2人、相模原市から2人の4人が認定されました。