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ちがさき牛の美味しいレシピを伝授 ふるさとの生活技術指導士・齋藤和子さん

ちがさき牛の美味しいレシピを伝授 
ふるさとの生活技術指導士・齋藤和子さん

取材対象
茅ヶ崎市在住
ちがさき牛 齋藤牧場・齋藤和子さん

神奈川県では、地域の食材を生かした郷土料理など、農家に伝わる伝統的な生活文化の継承活動を実施している方を「ふるさとの生活技術指導士」として認定しています。
この度、令和2年度に新たに認定された齋藤和子さんにお話を伺いました。

「生活の知恵」の伝道師

神奈川県では、農家に受け継がれる生活技術を伝承する方を「ふるさとの生活技術指導士」に認定しており、学校や自治会、町内会などの場で地域の食材を生かした郷土料理や、竹踏みや布ぞうりづくりといった特技を披露し、地域の交流を促進しています。

「自分の牧場の牛を、美味しいレシピと共に紹介したい」--。齋藤和子さんは、そんな熱い想いを持って、令和2年11月に認定されました。

「生活の知恵」の伝道師

齋藤牧場の「ちがさき牛」

和子さんは、豊かな自然に囲まれた茅ヶ崎市芹沢にある齋藤牧場に1978年に嫁ぎ、畜産業と出会いました。当初は酪農を行なっていましたが、現在は肉用牛の生産を行なっており、牧場を経営する息子2人と一緒に主に直売所での接客などを担当しています。

専門家が経営改善を支援

牧場の自慢は、「かながわブランド」にも認定されているブランド牛「ちがさき牛」。海藻やミネラル、納豆菌、米ぬかなど約15種類をブレンドした特製飼料と、地下70mから汲み上げた地下水で育てられており、「油がさっぱりしており、年配の人でも食べられる」と評判です。

専門家が経営改善を支援

手軽で美味しい「煮ローストビーフ」

今回、和子さんが指導士として認められた「煮ローストビーフ」は、通常のローストビーフのように表面を焼いたり、ローズマリーなどのハーブを加えたりせず、「誰でも簡単に作ることができる」ことをモットーに生み出されました。

三浦で1000年以上続く「くろぜむ農園」

作り方は2ステップ。①常温に戻した牛モモの塊を、煮立てた調味液(酒・醤油・にんにく・唐辛子)の中に入れて煮ます。②表面が白くなってきたら食品保存用袋に肉と煮汁を空気を抜きながら入れ封をし、冷蔵庫で1時間以上寝かせて、完成です。

三浦で1000年以上続く「くろぜむ農園」

口に入れると、体温で徐々に溶け出す上質な油とプチプチと弾ける筋繊維が食欲をそそります。「ローストビーフにはわさびだけじゃなく、ゆず胡椒も合うかもしれないわね。ちょっと家から持ってくるわ、ぜひ食べてみて」。取材陣にも人懐っこい笑顔とサービス精神が溢れていました。

三浦で1000年以上続く「くろぜむ農園」

ヒントはお客さんとの会話

こうしたアイデアが浮かぶ源泉は「お客様との会話にある」といいます。「牧場の経営は息子たちに任せて、私はお客さんと『あのレシピを試してみたら美味しかったわよ』と教えてもらったり、『このお肉にはこのレシピがぴったりなのよ』と教えたりするの」と和子さん。煮ローストビーフの他にも、牛スジを使った牛丼や茅ヶ崎の元気玉の肉まんなどの豊富なレパートリーも、お客さんとの会話の中から生まれてきたものでした。「最近は料理は作ることから買う時代になっているように感じますが、それでも親から子へ、人から人へ、教え合いながらちがさき牛を始めとする土地の味を生かした特産品を作っていきたいですね」

三浦で1000年以上続く「くろぜむ農園」

畜産から食事まで 地産地消のレストランの夢

そんな和子さんの夢は、齋藤牧場敷地内のガレージに、ちがさき牛をふんだんに使った地産地消のレストランを作ることです。レシピを考案してチーフシェフとして活躍するのかと水を向けると、「レシピを考えるのは楽しいけれど、それよりも私はお客さんとたくさんお喋りしたいわね」ときっぱり。「大切に育てた牛たちを、たくさんの人に『美味しい』と言ってもらえるようになってくれればいいのよ。それこそ牛飼いの冥利に尽きるってもんだね」と、この日一番の笑顔を見せていました。

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