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女性農業体験研修レポート(10月5日、19日 実施)

女性農業体験研修レポート(10月5日、19日 実施)

今年も3週連続で予定されていた「女性農業体験研修」ですが、東日本を直撃した「台風第19号」の影響で、2日目のカリキュラムが中止に。残念ながら10月5日と19日の2日間での開催となりました。 研修会場となったのは、海老名と綾瀬の市境にあり、周囲には豊かな緑地や畑が広がる「神奈川県立かながわ農業アカデミー」。県内各地から幅広い年齢層の受講者が集まりました。

「台風第19号」の影響で2日間の研修に

今年も3週連続で予定されていた「女性農業体験研修」ですが、東日本を直撃した「台風第19号」の影響で、2日目のカリキュラムが中止に。残念ながら10月5日と19日の2日間での開催となりました。

研修会場となったのは、海老名と綾瀬の市境にあり、周囲には豊かな緑地や畑が広がる「神奈川県立かながわ農業アカデミー」。県内各地から幅広い年齢層の受講者が集まりました。

県内の農業の特徴や課題を座学

初日の午前中は、同校の一室で「神奈川県の農業概要」についての座学が実施されました。

就農を目指す方に対し授業を行っている同校職員が講師を務め、都市農業が中心となる神奈川県は、他県に比べて「園芸分野」の比率が高く、また、流通における「直売」の割合が大きいという特徴があると解説。また、トマトやスイートピーなど新品種の開発について紹介されました。一方で、農業従事者の高齢化などの課題も紹介され、受講者は真剣な表情で話に聞き入っていました。

農機具の使い方から、刃の研ぎ方まで

午後のプログラムは、同校敷地の一角にある教習コースに会場を移して「農作業実習」。長靴や手袋を身に付けた参加者は、鎌や三角ホー、鍬などの農機具の使い方を学びました。実際に農機具を使って草刈りに挑戦したほか、刃の研ぎなどのメンテナンス法のレクチャーもあり、参加者からは「使い方ひとつで切れ味や効率が違って驚いた」などと、プロの技への驚嘆の声が上がりました。 後半はサトイモ掘りに挑戦。大ぶりな葉と茎を切った後、スコップで掘り起こすと、まさしく〝芋づる式〟にサトイモがゴロゴロ。親イモと小イモを一つ一つほぐす作業に取り組み、心地よい汗を流していました。

横浜の女性農家に興味津々、質問が続出

19日の午前中は、実際に農業で生計を立てている女性農家の方に登壇してもらい、新規就農について学びました。

講師を務めたのは、横浜市都筑区にある約3,000坪の畑で50種類100品目以上の野菜を栽培している松本こずえさん。港北区の農家に生まれ、幼少期は畑が遊び場だったという松本さんは、大手レコード会社を退職後、就農に至ったそうです。

横浜の女性農家に興味津々、質問が続出

前半では、「農家になるための準備」として、自身が目指す「農家像」の設定や自己分析をはじめ、自身の能力・資産の確認、ライフプランの設定など、計画的にステップを踏んだことを紹介。また、就農後には生産品目の見直しや労働力の確保が必要だったとし、横浜市の援農ボランティアを有効活用した経験談を語りました。

横浜の女性農家に興味津々、質問が続出

後半は、〝女性ならでは〟のリサーチ力やプラニングを活用した農業経営について言及。また、生計を立てるための経営戦略について語り、横浜のホテルやレストランで利用してもらえるように色彩豊かで珍しい野菜を栽培している事例などを紹介しました。最後に「就農はゴールではなく、スタート。楽しみながら継続していくことを目標に十分な準備を進めて」と、参加者へのエールで講演を締めくくりました。

後半は、〝女性ならでは〟のリサーチ力やプラニングを活用した農業経営について言及

質疑応答では多くの手が上がり、「実際に生計が立てられるようになったのは何年目から?」「初期投資の金額は?」など、参加者の就農への本気度がうかがえました。講義を終えた参加者からは、「実際に農業で生計を立てている女性の考え方や戦略を聞けたのは非常に勉強になった」「新規参入の厳しさを感じた」などとの声が聞かれ、大きな刺激を受けた様子でした。

実際に生計が立てられるようになったのは何年目から?」

農業機械の操作に挑戦

午後からは、畝づくりとホウレンソウの種まきを行うべく、ビニールハウスへ。初日にマスターした鎌や鍬を使いこなして草刈りや土を耕したほか、耕運機の操作に挑戦。参加者から「思ったよりも難しい」と声が上がると、講師は「機械の回転に逆らわず、リズムよく付いていって」といったアドバイスをしていました。

農業機械の操作に挑戦

その後、鍬で土を盛り上げてかまぼこ状の〝ベッド〟に。講師から「畝が曲がっても、農作物の生育には影響はないけれど、いかに真っすぐに仕上げられるかで、その後の作業効率が大きく変わってくる。最初が肝心」といった解説もあり、それぞれ引き締まった表情に。最後は農機具レーキを使って地ならし作業を行い、長さ9mにおよぶ真っすぐな畝を仕上げました。

農業機械の操作に挑戦

そして、いよいよ「手押し式種まき機」を使って、一定の間隔で種まき。途中、種がベルトにうまくセットされなかったり、たくさんの種がこぼれるなどのアクシデントもありましたが、手分けしながら水まきまで完了させました。

最後に「手で種をまいた場合には、最後に土をポンポンとする『鎮圧』をすることで、表面が固くなって地下から十分な水分を得られる」とのレクチャーがあり農業の本質の一端に触れていました。

農業機械の操作に挑戦

作業を終えた参加者からは「種を植えるまでの準備がとても重要だと改めて感じた」「実際に機械で作業して、机上ではわからない体験をさせてもらった」といった感想が聞かれ、大きな手ごたえを感じていました。

農業機械の操作に挑戦

就農の魅力、十分に

台風の影響であいにく2日間となってしまった研修でしたが、農業ではこうした自然災害は避けられないもの。2日間にわたる研修を終えた参加者からは、「農業の入り口が見つからず困っていたが、こちらに来ていろいろとスッキリした」など、各自が有意義な時間を過ごしていた様子でした。

農業機械の操作に挑戦