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5. 影響と適応策の事例【農林水産業】水産物

水産物への影響

 海水温の変化に伴う海洋生物の分布域の変化が世界中で見られています。日本近海における回遊性魚介類についての影響調査では、日本海を中心に高水温が要因とされる分布・回遊域の変化などが報告されています。

 神奈川県においては、沿岸漁業への影響が考えられています。また、海藻を食物とする比較的暖かい海に生息する魚類等により磯場の海藻がなくなる「磯焼け」によって、海藻や貝類等の定着性水産生物の変化が現れています。

アイゴの食害を受けたと考えられる藻場の図表

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暖海性魚介類の増養殖技術の開発

 神奈川県水産技術センターでは、気候変動に伴う海水温の上昇などの海洋環境の変化に備えて、今後、栽培漁業の対象となる可能性のある種としてクマエビの増養殖技術の研究を進めています。

 クマエビはクルマエビの仲間で、遊泳性のエビとしては日本最大級のエビで、大きいもので全長約30cmにもなります。房総半島以南で生息しており、国内では主に西日本で漁獲されています。

クマエビの種苗生産の図表

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アイゴの活用

 神奈川県でも、海藻を食物とする比較的暖かい海に生息する魚類等により、磯場の海藻がなくなる「磯焼け」が県全体に広がっており、対策が急がれています。アイゴなど近年よく見られるようになった比較的暖かい海に生息する魚類は、これまで神奈川県では利用されておらず、大量に水揚げされるようになっても価格が低く、そのままでは経済的価値がありません。

 そこで、神奈川県水産技術センターでは、防除策を検討するとともに、加工品開発など付加価値を高めるための技術開発を行い、食用への活用について研究を進めています。

定置網で大量に水揚げされた大型アイゴの図表

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ウニの除去

 磯焼けが広がる海域でのウニ類の徹底的な除去は、磯焼け対策として推奨され全国的に採用されています。

 神奈川県水産技術センターでは、管理しやすい磯焼け海域を実験区として設け、徹底的なウニ類等の除去を行い、駆除効果調査を行っています。

 また、磯焼けの原因生物の一つであるムラサキウニと、三浦半島名産であるキャベツの流通規格外品の有効利用を目指して、ムラサキウニの養殖技術開発を行っています。

キャベツの流通規格外品の有効利用とムラサキウニの図表

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