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更新日:2021年8月23日

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東京湾産クマエビの種苗生産に東日本で初めて成功

 水産技術センターでは、地球温暖化による海水温の上昇に適応した新たな栽培漁業対象種の候補として、平成28年度からクマエビの種苗生産(栽培漁業や養殖のために人工的に卵をふ化させて育成すること)の技術開発に取り組んできました。今年度、東京湾産クマエビの種苗生産に東日本で初めて成功しました。

地球温暖化適応対策の一環として

 水産技術センターでは、気候変動に伴う海洋環境の変化が漁業経営に与える影響を最小限に抑えるための取組みの一環として、今後、栽培漁業の対象となる可能性のある種としてクマエビを選定し、平成28年から同種の種苗生産技術の開発に着手しました。6年目となる本年7月、稚エビ5千尾の生産に成功しました。同種はすでに和歌山県や高知県及び熊本県などで量産化されていますが、東日本では、初めての事例と考えられます。

クルマエビの仲間、日本最大級のエビ

 クマエビはクルマエビの仲間で、遊泳性のエビとしては日本最大級のエビで、大きいもので全長約30cmにもなります。東京湾の小型底曳網でも少量(年間数百kg程度)漁獲されていますが、詳しい生態はわかっていません。

kumaebi1

クマエビの親

成果の概要

 近縁種のクルマエビはすでに種苗生産技術が確立し、全国で養殖が行われております。その技術を応用すればクマエビの生産は容易と考えていましたが、良質な成熟卵が得られず、苦労の連続でした。成熟間近の親エビを確保することに注力し、親エビが水揚げされる漁港に通いつめ、令和元年、初めて採卵に成功しましたが、幼生として1週間育てることしかできませんでした。令和2年には採卵に成功し、孵化後約3週間で3個体が稚エビまで成長しました。

 令和3年度、採卵方法や初期の飼育方法を全面的に見直し、稚エビ(全長3~4cm)を約5千尾生産することに成功しました。クマエビを放流可能な大きさである全長3~4cmまで育てた事例は東日本では初めてです。

ノープリウス

ノープリウス(ふ化直後)

ゾエア

ゾエア(4日齢)

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生まれて1ヶ月の稚エビ(全長約2cm)

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生産に成功したクマエビの種苗(全長3~4cm)


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