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更新日:2018年7月24日

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日常的介護支援としての勤務時間短縮と所定外労働免除の考え方

改正育児・介護休業法の日常的介護支援

 今年3月に成立した改正育児・介護休業法が来年1月1日から施行されます。この改正により仕事と介護の両立支援制度が大幅に拡充されることになりました。
 現行法は対象家族1人につき要介護状態に至るごとに1回ずつ通算93日までの介護休業を労働者の申請権として認めていますが、改正法では対象家族1人につき通算93日の介護休業を3回に分割して取得できるようになりました。また、現行法は短時間勤務、フレックスタイム、時差出勤か介護サービス費用の援助のいずれかを講ずる措置(以下、勤務時間短縮等の措置と呼ぶ)を企業に義務づけています。その期間は介護休業と合わせて93日までとなっていますが、改正法ではこの期間が介護休業とは別に3年間となります。
 現行法の介護休業や勤務時間短縮等の措置は、介護発生直後の緊急事態に対応し、介護サービスの利用手続きやバリアフリー住宅への改修など、仕事と介護を両立するための準備をすることを想定して設計されています。その後は在宅介護をする場合も通常どおり勤務することになっていますが、実際は通院の付添やケアマネジャーとの面談など、細々と仕事を休む用事が入ります。これに対応するために2009年改正法は1日単位で年間5日まで取得できる介護休暇を新設しました。これも来年1月からは半日単位で取得できるよう改正されます。さらに、日常的な介護の支援として勤務時間短縮等の措置の期間拡大とともに所定外労働免除を介護終了まで申請できる権利として労働者に付与しました。

育児と介護の違いに留意を

 所定外労働免除を新設した一つの理由は、短時間勤務によって所定労働時間を短くしても残業があれば実労働時間は短縮できないということです。しかしもう一つ、短時間勤務をしなくても残業がなければ仕事と介護を両立できる介護者もいるということに留意する必要があります。
 育児の場合、乳幼児は常に誰かがみていないといけません。仕事があるからといって家に一人置いておくわけにいかない。そのため、保育所の登園や迎えの時刻に合わせて短時間勤務や所定外労働免除の必要が発生します。介護においても保育所の問題と似たような話で、デイサービスの送迎時刻が介護者の出退勤時刻と合っていないという問題がたびたび指摘されます。しかし、家族が送迎に立ち会う必要のない介護事業所もあります。その場合、送迎の時間を挟んで、介護者の出勤後と帰宅前の時間は要介護者一人で過ごすことになりますが、その程度はできるケースが少なくありません。もちろん付きっ切りの介護が必要な要介護者もいますが、全体として見ると介護は育児よりも時間拘束が緩やかであり、それだけ仕事に時間を割くことができます。

残業は週2日以内に

 そうはいっても、さすがに残業が毎日のようにあると介護に支障が出ます。特に突発的な残業は介護の予定を立てにくくします。所定時間は働き定時退勤するという規則正しい働き方が大事だといえます。中には介護終了まで一切の残業をしないということが現実的でない仕事もあると思います。その場合は残業する日としない日をあらかじめ決めておくことが重要です。夜間の介護をホームヘルパーやほかの家族に頼むといった準備を事前にしておき、その日は残業をするが、それ以外の日は定時退勤するということです。筆者が行った調査では、残業が週2日以内であれば3年を超える長期の在宅介護でも介護者の離職率はそれほど上がらないことが明らかになっています。
 介護はいつまで続くか分かりません。いつまででも続けられるようになるべく通常どおり働くことを心がけながら労働時間を調整することが両立のポイントです。これを無理なく行えるようにするためには日頃から残業削減に取り組むことが重要です。

(執筆:独立行政法人労働政策研究・研修機構主任研究員 池田 心豪氏)

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