更新日:2018年7月24日

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ワーク・ライフ・バランスと多様な働き方

 ワーク・ライフ・バランスという言葉が世間に出てから様々な識者の人の提言や意見、そして様々な事例などが紹介されていますが、周りの人達で本当にそれらを理解して、活用し、更に発展させて実行している人はどれぐらいいらっしゃるでしょうか?

 多くの人はワーク・ライフ・バランスというと「イクメン」を想像されて、育児休暇や料理や家事を「手伝う」男性のイメージだと思われます。しかしながら、この世間のイメージが、それ以上に発展しない我が国のワーク・ライフ・バランスガラパゴス化の最大原因だと私は感じています。

 まず先に述べたようなイメージが強い日本のワーク・ライフ・バランスは、育児世代以外には「関係の無い施策」と認識されています。現経営者層や幹部の方々などのお歴々の方は育児が終わっている人が多いと思われますので、当事者ではないので「必要性を感じられない」となっているのです。次に若い世代では結婚していない、もしくは子供がいない夫婦には「自分達には関係ない」となっています。両方に共通しているのは「自分達には何のメリットもない」が先に来てしまっているのです。勿論将来的に必要な人もいますが、今は関係ないというスタンスが殆どなのです。

 そうすると今のワーク・ライフ・バランスの殆どは、結婚して子供がいる夫婦が期間限定で参加する子育てイベントというイメージでの施策が多くなっていると感じています。そんな一部の人だけが利用できる現在のワーク・ライフ・バランスというのは、本当に多様な働き方と言えるのか私は当事者として非常に疑問を感じています。

 勿論、ダイバーシティからインクルージョンに至るまで素晴らしい取り組みをされている企業も沢山ありますし、それ以上の取り組みをされていらっしゃる企業もあります。ですが、それでは何故日本だけが耳触りの良い「イクメン」賛美のような形になってしまったのでしょうか?

 私は「イクメン」を否定する訳ではありません。私自身も5歳の娘がおりますので現在進行形で育児を行っていますが、他の方と話をしていても疑問が多々あり、それは当事者であるイクメンと呼ばれる人もいれば、経営者層の人も双方でいらっしゃいます。

 それは「手伝っている」「サポートしている」という言葉を聞くからです。とある経営者の人と話している時にこんな事を言われました。「うちの会社は子育てしている社員はいないからサポートする必要がある社員はいない、だからワーク・ライフ・バランスなんて関係ない、今後そういう手伝いが必要な人が入社したら考えるよ」またイクメンの人からは「うちの会社はワーク・ライフ・バランスに理解がない、少子高齢化の社会で子供は重要なのだから子供がいる私に手厚いサポートと理解が必要なんですよ、私がこんなに妻を手伝って頑張っているのにそういった事も理解しないのですよね。」周りの人達からワーク・ライフ・バランスについて似たような意見を聞いたことはありませんか?

 当然全ての会社や社員、そしてその家族の構成から状況、それぞれの歴史や背景、そして金銭的な状況から将来性まで、全く同じ会社や家族そして個人というのはありえません。ですので、これをやったら全ての会社と家族と社員が全員満足するという魔法の施策などというものはありえません。ですが現在のワーク・ライフ・バランスというのは、楽しい部分のみが前面に出ており本来の多様な働き方という部分について、非常に閉ざされた形になってしまっています。

 ワーク・ライフ・バランスというのは本来社員全員がそれぞれのライフステージにおいて享受するものなので、次回は多様な働き方について事例をあげてご説明いたします。

(執筆:向洋電機土木株式会社 広報部部長 横澤 昌典氏)

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