更新日:2021年6月10日

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神奈川県の治山事業の歴史

神奈川県の治山事業の歴史

関東大震災の荒廃状況(1925年、山北町玄倉板小屋沢左岸より対岸を見る)

震災とその後の降雨・余震によって、8,632ヘクタールの崩壊地が丹沢・箱根山地を中心に発生した。

震災復旧工事は、1923年から1930年まで、1,913ヘクタール実施された。震災復旧工事は、崩壊地に山腹工、下部の渓流に渓間工を実施し、ヤシャブシやクロマツ等の植栽を行い森林の復元を図る方法で、その後の治山技術の基礎を築いた。

関東大震災の荒廃状況写真

昭和初期の山腹工(寄村、現松田町)

山腹工は階段切り付けの後、水路工により表面水の処理を行い、土留工、筋工、柵工、伏工により物理的に土砂移動を抑止し、かや筋や樹木の植栽で森林の復元を図った。

昭和初期の山腹工写真

昭和12年大水害(秦野村千村、小田急線鉄橋が流失した状況)

関東大震災・豆相震災で揺すられた山地に、昭和12年・13年と連続で大水害が襲い、1,189ヘクタールの崩壊地が発生した。

その後、第2次世界大戦中の森林の伐採、戦後の度重なる台風災で荒廃地は拡大の一途を辿った。

昭和12年大水害写真

1951年の丹沢山地の状況(大山より表尾根を見る)

1953年の荒廃地調査では、県下全域で8,837ヘクタールと関東震災時に発生した面積を上回る荒廃地が確認された。

復旧は1949年より水源林造成事業を主軸に開始され、治山治水緊急処置法(1960年)制定による治山事業5箇年計画がスタートするに伴い本格的に実施された。

1951年の丹沢山地の状況写真

堂平沢の治山事業

堂平沢地域一帯は、江戸時代から森林の乱伐や明治29年・43年の水害、大正12年の関東大震災等により山地の荒廃が激しく、昭和32年から治山事業による山地荒廃の復旧が進められた。
地域一帯は、丹沢大山国定公園区域内であるとともに、貴重なブナ林やヒダサンショウウオ等の貴重な生物が生息していたことから、自然環境に配慮した治山事業が実施された。
堂平沢全景堂平索道管理小屋周辺

1972年山北集中豪雨災害と復旧工事(箒沢集落上部の崩壊地の推移)

(上段左:被災直後、上段右:緊急治山竣工後、下段:1991年の森林の復元状況を示す)

1972年7月山北町三保地域を中心に襲った集中豪雨(連続降雨530ミリメートル、最大時雨量100ミリメートル)は、死者6名を出す大惨事となった。

山地の状況は、新生崩壊地1,291箇所(157ヘクタール)の発生と、125箇所の荒廃渓流の発生であった。

復旧は緊急治山事業と復旧治山事業により実施された。

1972年山北集中豪雨災害写真1

1972年山北集中豪雨災害写真2

1972年山北集中豪雨復旧写真

1972年箱根集中豪雨災害と復旧工事(箱根町湯本)

(左:被災直後、右:1975年(被災後4年経過)復旧工事竣工後、下:1991年の森林の復元状況を示す)

崩壊地は、観光地箱根の入口に位置し、国道1号、箱根登山鉄道、町道といった重要なライフラインが集中する場所の上部で発生した。

復旧は、箱根町、県土木部、箱根登山鉄道の協力のもと、緊急治山事業と復旧治山事業により実施された。

被災地が富士・箱根国立公園特別地域に位置していたため、公園の景観に配慮した治山事業が行われた。(自然石利用の渓間工・山腹工、ヤナギの植栽等)

1972年箱根集中豪雨災害写真1

1972年箱根集中豪雨復旧写真1

1972年箱根集中豪雨復旧写真2

水沢地域の流域保全治山(秦野市寺山、三の塔直下の施工前と山腹基礎工竣工の状況)

丹沢山地における高標高地(1,000メートル以上)の崩壊地は、関東大震災起源で、連年の降雨と厳しい冬期の気象条件により自然復旧もなされずに拡大してきた状況にあり、その対策は県治山技術者の積年の課題であった。

その中で水沢地域復旧は、1967年から資材運搬路の開設と伴に本格的に開始された。

復旧課題は、緑化を阻害するローム層の霜柱対策であり、その技術開発に多大な熱意と労力が投入された。

水沢崩壊写真1

水沢崩壊復旧写真

都市近郊の治山(鎌倉市今泉台、歴史的風土保存地区内)

都市区域に残された緑地は、薪炭等の利用がなくなり、樹木の老齢化に伴い林床植生の退行や風倒が起こり易くなり、風水害や地震等により、新たな山地災害を誘発することが多くなってきた。

そのため、1977年より横須賀三浦地区を中心とする都市近郊地域において、治山事業が本格的に実施されることとなった。

都市住民にとって、残された緑地は都会のオアシス的存在となっており、その取扱に対し、地域住民の意見を十分に反映した、治山事業が強く求められている。

都市近郊の治山写真

神奈川県における林地荒廃の推移

表1

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