更新日:2024年4月25日

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審議結果「小・中学校における政治的教養を育む教育」検討会議(第2回)について

「小・中学校における政治的教養をはぐくむ教育」検討会議の会議録を掲載しています。

審議(会議)結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称

「小・中学校における政治的教養を育む教育」検討会議(第2回)

開催日時

平成28年10月28日(金曜日)14時30分から16時30分まで

開催場所

かながわ県民センター12階第一会議室

出席者【会長・副会長等】

西野 偉彦(座長)、山口 賢人、加藤 雄司、森 英夫、坂本 和彦、井上 和子(敬称略)

事務局:宮村子ども教育支援課長、古島専任主幹兼GL、吉澤指導主事

次回開催予定日

平成29年2月頃(日時未定)

掲載形式

  • 議事録

審議結果(議事録)

【司会(古島専任主幹兼GL)】

ただいまから「小・中学校における政治的教養を育む教育」検討会議第2回を開催いたします。

お手元の次第に即して、進行させていただきます。

なお、本日、金子委員から欠席ということで連絡をいただいておりますことを御報告いたします。

開会にあたり、神奈川県教育委員会教育局支援部子ども教育支援課長、宮村より御挨拶を申し上げます。

 

【宮村子ども教育支援課長】

皆さまこんにちは。子ども教育支援課長の宮村です。

本日は委員の皆様方には、何かとご多忙のおり、天候も肌寒い中お集まり頂きまして、誠にありがとうございます。

挨拶に入る前に皆様にお伝えしたいことと致しまして、資料の中に「ともに生きる社会かながわ憲章」ということで、1枚挟ませて頂きました。

去る7月に県立の障害者支援施設の津久井やまゆり園において、大変痛ましい事件が発生いたしました。この事件そのものもそうですけれども、この事件に関しては障害のある方に対する偏見や差別的思考と、そういったことが広く伝えられる中、多くの方が不安や衝撃を受けられたということで、県としましてもいろんな対応を図ってきたところです。県民一丸となって改めて「ともに生きる社会」を実現することが大切であり、そういった気運を改めて高めて行こうということで、先般県議会の決議においてこの憲章を策定いたしました。一人でも多くの県民の方に知って頂くという趣旨でこういった形で配らせていただき、見ていただくとともに、裏面をご覧いただきますと教育委員会としましても、市町村教育委員会、各学校、児童、保護者、生徒の皆さんに周知を図って頂くということで、10月21日付けで通知文書を発出したところでございます。

各学校においても下の方に活用例ございますが、是非積極的な指導をお願いしたいと思います。

さて、小・中学校における政治的教養を育む教育検討会議ということで、皆様には5月27日に第1回、6月20日には、作業部会と合同で県立湘南台高等学校において実際に授業参観をしていただいたということ、今日は検討会議としての第2回目になります。

選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、参議院選挙が実際行われた中で、本県高校生たちも実際に投票をしてきたという状況があります。本県の県立高等学校においては何年も前から、シチズンシップ教育の一環として、政治参加教育、模擬投票等を中心にそういった取組を進めて来ているところです。

これも9月に行われた県議会の、文教常任委員会の中で、この政治参加教育や今回の参議院選挙についてお尋ねがあり、最後に教育長からこういった答弁がありました。

「変化が激しいこれからの社会、さまざまな価値観、多様化していく社会の中で、子どもたちが生きていく上で必要なことが、自分で考え自分で判断する、そして行動をしていく。他者と話し合い協力して課題を解決していく、そして社会と繋がって社会を作る。そういった力を養っていくことが大切です。県立高校で推進してきたシチズンシップ教育、あるいは政治参加教育というのはこういった力を養っていく上で一定の貢献をしてきたというふうに認識しています。」

まさに高校で進めている教育に、小・中学校でどのようにつなげていくか、そのような視点から小・中学校では、どのように育成していくことが望ましいか、ということがこの会議の主になるのではと思っています。

第1回のときにも、西野座長の方からお話にもあったのですが、我々としては次の3点がひとつの肝になると考えております。

1点目として、学校には具体的に指導資料という形で、今年度末には示していければと思ってますが、そのときに各学校にとって何か新しいことをやらなければいけないのか、という不安感、負担感とか、やらされ感といったところではなく、今、学校で取り組まれている実践の中に、政治的教養を育む教育というのはこういう視点で見れば既にあることなんですよ、と整理した形を示してあげられればいい、というのが1点。

2点目として、小学校、中学校、高校と単発的にやるのではなく、出来るだけ系統立ててつながりを持って、9年間育てることが必要であるということ。

3点目として、今回の参議院選挙のように、いま主権者教育というのが非常にクローズアップされていますが、一過性のものではなく、地道に積み重ねていくことでどんどん成熟されていくものだと思うので、息の長い取組を学校にはお願いしていくということ。

この3つが大事であると考えております。

後ほど、この作業部会や事務局で整理しつつある指導資料の素案を示し、みなさまから御意見をいただければと思います。

本日はよろしくお願いします。

【司会(古島専任主幹兼GL)】

続きまして検討会議の委員の皆様、及び事務局を御紹介させていただきます。

皆様のお手元の次第を一枚おめくりいただきますと、出席者名簿がございますのでそちらをご覧ください。

配布させて頂きました、出席者名簿の順に、恐縮ですが御起立頂きまして、自己紹介していただきますようお願いします。

でははじめに、西野座長からお願いいたします。

 

(委員、事務局の自己紹介)

【司会(古島専任主幹兼GL)】

以上の出席者となります。どうぞよろしくお願いいたします。それではこれからの協議の進行につきましては、西野座長にお預けいたします。西野座長、よろしくお願いいたします。

【西野座長】

改めましてどうぞよろしくお願いいたします。

まずは初めに指導資料の内容について進めていきますが、少しご挨拶させて頂きます。

先程、宮村課長からもありましたが、第1回目の検討会議は5月に開催を致しました。その後、6月には、平成23年度から神奈川県が導入しているシチズンシップ教育、政治参加教育が進んでいる学校の一つである、県立湘南台高校での授業参観、作業部会合同会議を経て、本日2回目の検討会議を迎えたという次第です。

7月に第24回参議院選挙が行われましたが、その投票率については、既に都道府県別に出ていますけれども、神奈川県は18歳と19歳の投票率は、東京都に次いで高かったということです。

18歳の投票率は53%と高い水準ですが、私が注目しているのは19歳の投票率が51%ということです。他の都道府県を見ると19歳の投票率が20%台という地域もあるなかで、なぜ神奈川県は19歳の投票率が比較的高かったのかというのは今後分析する必要があるのですが、これまで続けてきたシチズンシップ教育、政治参加教育の効果である可能性も考えられます。

ただ、第1回目の検討会議でも申し上げましたけれども、シチズンシップ教育、政治参加教育の効果は投票率だけでは測れませんので、あくまでも参議院選挙は一つの事例として捉えていきたいと考えております。

さて、本日これから皆様と協議をさせて頂きたいものですけども、10月の半ば頃に作業部会を開催いたしました。

作業部会には、私もオブザーバーとして参加をさせていただいたのですが、お手元にある先生方の指導例が、小・中学校の先生方がご自身が使う教材としてどうか、どういうものが最もいいと思うか、あるいは、他の先生方にこれだったら勧めたいというものを、それぞれの委員が分担をして、創意工夫と熱意を持って、「自分ごと」としてとらえて、作ってくださったものでございます。現在は素案ですので皆様からご意見をいただきながら更に作業部会に細かな修正等を委ねていきたいと思います。

それでは本日の協議の中心、指導資料の検討がありますので、事務局より資料の説明をお願いいたします。

【事務局(吉澤指導主事)】

事務局の吉澤です。よろしくお願いいたします。

お手元にございます資料、「素案」とあるものをご覧ください。西野座長からありましたように作業部会を経て検討してきたものですが、まず表紙をご覧ください。

項目ということで、1から17まで書かれております。ただこちらについても各項目の名前、順番はこれから委員の皆様の御意見や作業部会を通して変更していく可能性があるということで、まず、この項目がこれでよろしいのかというところも、今日見ていただいて御意見をいただければと思っております。

こちらに網掛けをしてある部分が、今回お出ししたものということで、まだ網掛けをしていないところについても本日の検討の事項に挙げていきたいと思っております。

それでは、1ページ目をご覧ください。

ページが割り振られておりますが、こちらも素案のページということで御解釈いただければと思います。

まず、本日大きく委員の皆様に御検討いただきたいのが、2ページ目の神奈川県が捉える「小・中学校における政治的教養を育む教育」のとらえ、という部分で(1)にございます。まさにここが「政治的教養を育む」とは神奈川県は何を、どういうふうに捉えているのか、何を示すのかというところの一番の肝でございます。

いくつか箇条書きで書かれておりますが、ここについて是非委員の皆様から、このようなところがまだ足りない、あるいはここは修正して欲しい、もっとここのところを深めて欲しい、というような御意見をいただければと思っています。

ここのところの文章化というのがかなり注目されるのではないかと思っておりますし、ここのところの部分が指導例のところにも反映されていくのかなと思っております。

是非よろしくお願いいたします。

戻りますが1ページについては、第1回の検討会議の中でもご説明したとおり、「政治的教養を育む教育に取り組む背景」ということで、国の動きから神奈川県が高等学校で行っているシチズンシップでのねらい等があります。

続きまして、3ページ、4ページ目をご覧ください。

こちらにつきましては、第1回目の検討会議でお話しました「学びのプロセス」の説明と、この「学びのプロセス」が今、国が示しています次期学習指導要領の資質・能力の育成の関わりの三本柱にどのように関わってくるのか、というところを図解しております。

この図についても、今後大いに検討すべきものでありまして、もっと見やすい形に今後していきたいと考えております。

4ページは先程もありましたけれども、小・中・高と系統立てたものを作っていきたいと思っておりますので、そこで、どういうつながりのイメージを持ったらいいのか、そして神奈川県は最終的に目指す子どもの姿があるのかということで、「教育ビジョンとの関わり」等を挙げさせていただきました。

文章についてはまだまだこれから検討する余地があると思いますので、委員のみなさまからはエッセンスをいただいて、文章の大きなヒントにしていきたいと思っております。

5ページ、6ページをご覧ください。

こちらについては系統的な学びの育成の整理ということで、小学校から高等学校まで、学びのプロセスの力の部分で、育てたい力というところの具体を挙げたところでございます。

ただここについても今後、小学校については低学年、高学年と2つに分けられていますが、低、中、高という形での指導例になっておりますので、そのあたりもきれいに整理していきたいと思います。

7ページ、8ページをご覧ください。

こちらについて今度は学習場面、どんな力を育てる時には、どんな場面が必要か、どんな学習活動が必要か、ということで、改めて学びのプロセスがどういう学習活動にふさわしいか活動に必要ということで左のページ7ページに示しております。

あわせて小・中学校等でこのような授業の工夫が持たれるといいのではないか、場面設定を想定したものを入れております。

まだここについても、今後の作業部会の中でも検討が必要ですし、委員の皆様から御意見をいただければと思っております。

後半部分、9ページ以降については、先程もありましたが、作業部会で作られてきたものです。

9ページ、10ページは、事務局で示した作成例に基づき、先程、座長からもありましたように、作業部会の先生方がそれぞれの御立場で「自分事に捉えたらこうやっていきたいのだ」ということがそれぞれに書かれておりますので、今後整理が必要なのかと思っています。

本日、大きな協議をしていただきたいところは、2ページ目の部分ということで、方向性というか、大きな柱の部分になろうと思いますので、そちらの方を御検討いただければと思います。

本日後半、政治的中立性の確保についても、委員の皆様から御意見を頂きたいと思っておりますのでそれを含めて指導資料の中身を見ていただければと思います。

以上です。

【西野座長】

ただいま事務局より指導資料についてのご説明頂きました。

今回、先生方も初見だと思いますので、まずお時間をとらせていただきます。

説明のありました、8ページまでを5分程度ご覧頂きまして、その後協議をしていきたいと思います。

(5分経過後)

【西野座長】

それでは、まだ途中かと思いますけれども、協議に入りたいと思います。

中心は2ページ、(1)「政治的教養を育む教育」の「政治」とは何を示すのか。神奈川県が考える教育の捉え方ということでございます。他のページも随時御意見をいただけるかと思っております。まずここから行きたいと思います。

この「政治」とは何を示すのかについては、少し補足をさせて頂きますが、私の方で第1回検討会議以降投げかけてきたことでございます。

特にこの箇条書きの1番目、模擬投票を実施するためだけに行うというような、「政策の議論や賛否を問うものだけではない」という点です。「政治」というと政策のことを議論する、賛否を問うものだけのように考えられがちですけれども、必ずしもそれだけではないのではないか。政治というものを小・中学校ではどのように捉えるか、ここで定義をしないと、実際の指導資料作る上でのベースがしっかりと出来ないのではないかという問題意識で問いかけをさせて頂いております。先生方から疑問点や、これが足りないのではないか、この表現はこう変えた方がいいのではないか等、感想等含めて御意見などありますでしょうか。

【森委員】

まずは検討ということでこれから考えたいことなのですが、4番目5番目の項目、「大切にする授業を扱っていく。」「よりよい社会とは何かを追求していくことを目指す」という前向きなところを前面に出していく方がよいのではないでしょうか。

政策の議論や賛否を問うものだけではない、というのは必要なのですが、ここについては繊細な内容であると思います。

【西野座長】

ありがとうございます。

そのほか、みなさまからありますでしょうか。

【坂本委員】

「政治的教養を育む教育」の「政治」って何を示すのかというところですが、「政治」を切り離して定義づけする必要があるのでしょうか。

「政治的教養」とひとまとまりとして、最終的に政治のことについて判断する力を持ってしまっている。小・中というところで政治を意識して、力を養うのが必要なのではないか。

「政治」が何を示すかというのはわからない。

【西野座長】

「政治的教養」については、1ページ目に示してあり、指導資料として第1回目の検討会議で協議したところですが、政治的教養とは何かということに関連していかがでしょうか。

【井上委員】

「政治」と言ったときに、「政治的な判断で決める」という言葉があって、個人の「個」といった考え方から、一歩離れて全体を見る観点から判断するということだと思っている。

ちょうど今日「ともに生きる社会かながわ」というのを配られていますが、これにもあるように「全ての人の命を大切にする」とか「誰もがその人らしく暮らせる」とか。たとえば数の論理でいけば大多数の人の言っていることが正しいということになって、数で突き進む。そこにいろいろな意見があり、数では勝つことができないが、全体の中で「個」とか「数」から離れたときに大切にしなければいけない意見となってくる。そういう感覚を持つことが、政治的な配慮だとか政治的な観点、政策となる。

政策にこだわるとすると、自分はこう思うけれど、それもなかなか合っているよね、というところで考えを持つ力がつくのでは。

後ろの方に出てきますが他者と連携するとか共存するなど、いろいろコミュニケートすることによってそういうものが高まっていく、そういうセンスや力を持っていくことが政治的な考えの力を持つことに繋がるのではないかというように、私見ですがそう思います。

【西野座長】

3ページにあたるご指摘もいただきましたようですけれども、以降のページの意見も連動して、合わせていただければと思います。

【山口委員】

政治的教養という言葉が、あまり小学校の中で一般化されていない。教員の中でも政治的教養の教育を進めていくにも「政治」という言葉に親しみがない。慣れていない。

その際、最初に「政治って何か」の定義をきちっとしておかないと、資料的なものもそうかもしれませんがこの後、指導する者としての心配があります。

項目が7つありますが、一つは先程森所長が言われていた前向きなプラスのイメージ、表現を前面に出していくイメージを感じている。ただ具体的に挙げるとしてはまだ考えがまとまらない。

【西野座長】

先程、宮村課長からございましたが、先生方に安心して使って頂けるようなものにならなければいけないというのがありまして、最初に定義づけをしっかりしていた方が良いという意見を参考にしながら、一方でこれを切り出したときに誤解もあるのではないかという意見も委員のおっしゃるとおりかと考えます。

【加藤委員】

「神奈川県が考える」という前提が入ると定義が難しいのですが、投票率をみると神奈川の特色を出すというのも大事だなあと思います。

私は、社会科の教員なのでどうしても政治の働きや役割、「よりよい社会」というこの中のキーワードに着目されます。政治の働きによって我々の暮らしが安定・向上したり、幸せな社会づくりが達成されたりすることをしっかり学ぶのが大切だと思います。そういうことを子どもたちが理解した上で、自治力や人権意識であるとかそういったものを培いながら、小学校段階、中学校段階では児童会活動・生徒会活動を実践し、よりよい学校づくりをする。その延長線上で「よりよい社会づくり」を目指していくようなつながりを大切にした文言が入ってくると更に良いなと思いました。

人として人権的な感覚や政治的教養をしっかり持てるように、もっと言ってしまえば民主主義の本質を神奈川県民としてどう身につけていくのか、この文言の中に謳われるとすばらしいものができると思います。

【西野座長】

ありがとうございます。

そのほか、御意見等ありますでしょうか。

【坂本委員】

言葉的にどうなのだろうと。授業でいうと政治の仕組み、社会でいうとこういうものというのがあるが。政治的教養を育む教育の「政治」とは何を示すのかと定義していいのか、取り出している部分に対して違和感がある。「政治」ってなんだろうと捉えていることに違和感がある。

現場で先生方がやっていく中で、何を示すのか定義されていた方がよいというのであればそれでも良いのですが。言葉が引っかかる。「政治的教養を育む教育」とはどういうものかという部分と、なんで「政治」だけ取り出しているのか。

【西野座長】

1回目の検討会議や作業部会でも申し上げておりますように、イギリスのシチズンシップ教育の理論的支柱を構築した政治学者のバーナード・クリックが「政治とは相異なる利益の創造的な調停である」と定義付けています。そういった意味で、神奈川県の小・中学校における政治的教養を育む教育の「政治」とは、リストを作るものではなくて、大きな枠としてスローガン的なものを示すものができたらいいのかなと考えております。

【宮村課長】

事務局としての立場と少し離れた意見になるかもしれないのですが、今、お伺いしていて坂本先生の御意見としては、いわゆる政治的教養を育む教育の本県の捉えとしては、ここに羅列してあるような大切な点、二人の委員から出た大切にする授業、扱っていくとか目指すとかいうものを前面に出して整理していく。脚注じゃないけれども尚、例としてこの政治的教養を育む教育でいえば「政治的」というのは政策の理論や賛否を問う、現実の政策を取り上げる、といった狭い意味ではなく、極端に言えば3人人が集まれば何か利害関係が生まれ、創造的に折り合いをつけていく、のような広い意味で捉えをするような。取り出し方としては、まず教養を育む教育を押さえて尚という形で、ここでいう政治的とは、と取り上げるやり方もあるのかなと、今思ったのですが。

【西野座長】

はい。そういった形であればそれだけに着目しづらい、政治だけに着目されづらいということですね。

【宮村課長】

なんとなく文脈としてってことですね。

【西野座長】

実際には文言はこれから検討していかなくてはいけないですが、いかがでしょう。

【宮村課長】

会議始まって前回先生の話を聞くまでは、自分自身は政治というと狭い意味でしか考えられなくて、さっきのバーナードさんの言葉を言われて、そういえばそうなんだと。そもそも政治という言葉は、もともと根っこはそこなんだろうな、と初めて思った。そこは取り出しておいた方がありがたい。小学校の先生方も同じ感覚なのではないかと思います。

【西野座長】

政治の再定義とは、教義の持っている意味だけではなく、バリエーション豊かに展開をしていただければと思います。

【森委員】

何を示すのか、簡単に示した方がわかりやすいと思います。ともに生きる社会としての定義とか、そういったことを突き詰め、築くためとして、社会というものを引っ張っていけば政治に繋がるのではないでしょうか。

【西野座長】

どう描くかという点で先生方の御意見を承りまして、また概出した形でまとめていきたいと。

それでは3ページ4ページについて、気になった点などございますか。

【森委員】

左側のページの右側に、「よりよい学校教育を通じてよりよい社会をつくる」とありますが、学校を通じて社会をつくるとあまり言わない方がいい気がします。

【事務局(吉澤指導主事)】

ここについては、中教審の「審議のまとめ」の言葉を使用しています。まだ、審議途中のものですが、国としてはこういうものを目指してるというものを当てはめてみました。

3ページの右半分についても、これから変わって来るものですし、わかりやすい文言にしたいと思います。

【西野座長】

そのほか、ございますか。

【井上委員】

先程から「よりよい」という言葉が何回も出てくるのですが、「よりよい」というのは個人の価値観を照らしてのものなのか、ここに「思いやる力」という言葉がありますが、思いやりながら全体にとって「よりよい」という社会なのかな、と迷うところがあります。

例えば前のページですと、社会的な課題については様々な議論や解決の方法の方策があることを踏まえたうえで「よりよい社会」とは、になっています。

「よりよい人生を送るには」とか、「よりよい社会を創るには」、といったときに、自分にとってよりよければ「よりよい」のか、という考え方と、全体の中で「よりよい」のか、思いやりの心なども育みながら「よりよい」のか。

思いやる力というのが大切なのかなと思います。

【西野座長】

ありがとうございます。

その「よりよい」というのは、個人にとってなのか、全体にとってなのかどちらかということではなくて、個人と全体の板ばさみの中で「よりよい」と考えられるようなニュアンスがどこかににじみ出るようにすればいいということでしょうか。

【井上委員】

はい。

【西野座長】

ありがとうございました。

【山口委員】

「学びのプロセス」と何度も出てきますが、「学びのプロセスとは何か」と思う人が出てこないでしょうか。

【西野座長】

前回の検討会議で出てきた「学びのプロセス」が今回ここに説明が出てきていないということですね。

【事務局(吉澤指導主事)】

「学びのプロセス」というのは、創られた言葉でありますが、政治的教養を育む上では学びのプロセスは、「よりよい社会を創っていくために社会参画をする姿勢」が身につけたい力として一番上にあります。

「大切にしたい学習活動」ということで、流れを沿っていくと1から8までの力が育まれるのではないか、育成できるのではないか、と考えております。

ただ、すべての単元、すべての時間に、この1から8をやれということではなく、その中でもこの時間ではここが切り取られる、この単元ではこの部分が切り取られる、というようなものです。これを全部やりなさいとなると難しいところがあるので、これをひとつのヒントとして授業を組み立てていくと良いのではないか、そして流れとしては1から8を示していくことによって育成できるのではないでしょうか。

【山口委員】

というようなことが3ページの間に入るわけですね。

【事務局(吉澤指導主事)】

はい。そうです。

【山口委員】

わかりました。

【西野座長】

ありがとうございます。

内容についてはよろしいでしょうか。

【山口委員】

4ページに「学びのつながりのイメージ」で小学校、中学校、高等学校や社会人へ、とあり、言葉だけの話になりますが、特別支援学校や中等教育学校はどうでしょうか。

【西野座長】

今の段階では非常に大きく示してあります。そういったことも含めて承りまして最後にまとめられたらよろしいかと思います。ありがとうございます。

5ページ、6ページについてはいかがでしょうか。まだこれからでございますが、小学校は中学年を入れたりして見やすくしていけたらよいのですが。

今の段階で気になるところはありますでしょうか。

【加藤委員】

これからということなので安心して話させて頂きますけれども。効果的な取組にするためにここでは「系統的な学びの育成の整理」が考えられているのですね。これは9年間を見通した流れを作っているのですね。それを縦糸だとすると、自分だとしたら、例えば中学校段階では、中1、中2、中3の発達段階に応じて、横断的な、つまり横糸の部分を考えるのですが。

9教科に加え、ここには特別活動や総合的な学習の時間の提案がなされている。更に後ろを見ると指導例がいくつも出ていますよね。自分がかつて福祉教育に取り組んだ時に、道徳や社会科に限らず、国語の中や英語の中から福祉的要素を、ここで言うなら政治的な要素を含んでいる部分を抽出して横断的に1年間のカリキュラムを組んで、子ども達の意識の変容を探ってみる、というような研究をしたことがあるのですけれども。政治的な意識を高めていくよう、政治への関心を高めるのを目的とするならば、縦と横でいろんな取組が考えられるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

【事務局(宮村課長)】

これについては、委員の方からお話がありましたことこそ本質、本筋で、学校教育を通じて育まれている力であると思います。一方、この指導資料、現実的な作成3月を目途に考えておりました。

最後の指導事例集的なところでいうと全学年、全教科、網羅できるものを発信できるかというとこれは厳しいものがあります。

ただ5ページ、6ページについていえばこのページの意味合いで言えば9年間、ここでは高等学校も入っておりますので12年間を通じての系統を示すような全体像ですから、後ろの指導資料でどれだけ載るかはともかくとして、全体像を示す必要があるだろうというふうに、今のご意見を聞いて、伺って改めて考えました。

また検討させていただきます。

【西野座長】

ありがとうございます。

今回その他のページが初見でありますから、また気になるところがありましたら事務局のほうにメールなど随時ご連絡いただければと思います。

今、検討しました件はこの後作業部会で再び検討したいと思います。

【森委員】

小学校の社会科というのは低学年には無いのですが、低学年では生活科のことでしょうか。

【西野座長】

これからご説明があるかと思いますが、ここのページにおいては、小学校の生活科になります。

【事務局(宮村課長)】

右上の吹き出しのところにちょっとあるのですけれども、まず低・中・高と再整理しなおすことと、1、2年においては生活科といたします。あと、今お話があったように極力いろんな横糸を絡めて、もう一回この表を整理していきたいと思います。

【西野座長】

ありがとうございます。

よろしいでしょうか。

それでは4指導例以降について、事務局からご説明いただきたいと思います。

【事務局(吉澤指導主事)】

それでは、9ページからご覧ください。

こちらにつきましては、あくまでも一例ということで、9ページ、10ページを挙げています。

事務局の方としては何かスタイルを挙げていかないと指導例も書きづらいということで、挙げた例になります。

社会科を例にとって作ってみたのですが、領域については同じように単元構想を載せるのは難しい、一時間一時間の授業で挙げた方がわかりやすいとか、作業部会では分析資料に近くなってしまっている、という御意見も頂いております。作業部会の先生方が自分自身でやるならば、というようなところを踏まえて、この例の通りでなくてもいいのではないかと考えています。

ポイントを絞り、単元ごとでなく、一時間一時間の授業で見てもいいのではないだろうか。あるいはひとつ具体をもっと狭くしてもいいのではないか。というような指導例もあって、少し統一性がなく、バラバラになっています。ただ、教科、領域を横断的に考えていきますと、ひとつの型にはめていくというのは難しいものがあるので、今回はその一例として挙げさせていただいております。

作業部会の先生方の議論が白熱し、多くの意見が出まして、先生方の思いをひとつにまとめるというのは難しいものでした。だからこそ、現場の先生がこれを使ってみたいと思えるものを作りましょうと、作っていただきました。

以上です。

【西野座長】

ありがとうございます。

それぞれ多様なものでありまして、おそらくまだしっかりとまとめてないものと思うのですけども、この部分について御意見など何かありますでしょうか。

【井上委員】

中学校の高学年になるにしたがって、より神奈川の問題に特化しているものがあれば良いなあと思うのです。

私の個人的な体験ですけれども、中学の社会の先生で宮ヶ瀬のことをすごく熱心に教えてくれた先生がいらっしゃって、そのことは私が大人になった今でも非常に覚えていることなのですね。どういうふうに計画をして、そこに住んでいる人たちと話して。何年も前のことですが今でも覚えているくらいです。その当時は何でもないなと思って聞いていたことでも、地元のことだというので、今でもよく覚えている。

出来たらでいいので、例えばの例でよいので、より神奈川に密着した例があると、そういうことを題材にやっていけたらいいなと思いました。

私は選挙管理委員会の書記長でもありますが、市町村課の課長でもあります。今、県西では、たとえば小田原と南足柄ではその地域をどうしていこうかという協議会を立ち上げて、いろいろ話し合っているところです。

高校生だったら問題意識を持って関係していくことができるのですが、より身近な、自分たちの生活が、自分たちが何も考えないで放っておくとどうなるかというような現実味のあるような指導例があると、より神奈川らしい政治的教養を育てる題材になるというのもひとつ感じられます。

【西野座長】

ありがとうございます。

作業部会の中で、神奈川の事例を挙げていた先生もいらっしゃいます。

【事務局(吉澤指導主事)】

実際一例としては、小学校の高学年の総合で、27、28ページの11-2指導例などは、三崎の活性化プロジェクトなどは実際自分でやった授業だと聞いています。最後は非常にいい形で出来た授業だったので、これは広めたいと、作業部会で作って頂いたものとなります。

【西野座長】

ありがとうございます。

【事務局(吉澤指導主事)】

社会科に限らず出来るということはあります。地域性の高いもの、特に神奈川県の題材があれば、取り上げていきたいと思います。

【西野座長】

また細かなことはこれから検討していきたいと思います。

【坂本委員】

根本的なことになるのですが、今これを作っていく中で言うとこれは社会科の授業に限ってということではないですよね。

であれば、やはりそういった言葉も是非入れて頂きたい。ほかの教科で使えるとか。そういう手法でとか。

政治的教養といっているが求められている力を最終的に判断する力に持っていく。環境でも社会、理科、家庭科、生活等。扱えるものをそれをどう判断するか。

また授業の関連としてとしてきちっとやっていないと、授業の時数も大事になってくるのではないでしょうか。これだけ取り出して、確保した授業の他にやるというのも大変だと思います。

授業の中のこの単元でこういう力が養えるという、教える側が安心できるものが作れたらいいと思います。

【西野座長】

ありがとうございます。

【森委員】

神奈川の目指す教育というと、政治は最終的には国際政治、地球環境問題になりますが、まずは家族があって、地域があって市町村があって県があって国とか。発達段階を考慮して考えればよいと思います。

【加藤委員】

冒頭で課長からもあったとおり、既に取り組んでいる実践の中でというのが大前提であるならば、新しいものを取り組むわけじゃなくて。国語なら国語の教科書の中から、英語なら英語の題材で。例えばキング牧師の題材を扱ったものなど、政治的な色合いの強いものはいくつでもあるわけです。それを全部の教科で、中3なら中3の一年間、年間を通して各教科で洗いなおしてそれらを横断的に組み合わせていくというのが一番現実的だと思います。

そのために指導例がいっぱいあってその中からそれぞれの担任が選び、それを学年で組んでいくというかたちです。

政治教育を担う各学年の担当官がいるか、あるいは学校で誰かひとり担当官がいて、カリキュラムで組んでみるとかしないと、現実的には取り組めないかもしれないですね。

 

【事務局(宮村課長)】

そういう意味でいえば、先程いろいろと話題にしていただいた、5ページ、6ページの一覧表が、今ある各学年、各教科での実践ですでに学習指導要領や教科書で取り扱われているものの中で、今回のテーマになじむような題材をこういうふうに並んでいますよ、という一覧的なものになります。

それに続く次の指導例というのは、あくまで参考として。先生方が基本的にやるべきはこの一覧表にある、すでにカリキュラムとして成り立っているものを、より縦糸横糸のつながりを意識しながら、子ども達のこういう力を育んでいきましょうと。そこはすべての学校で意識してやっていただきたいことです。

指導例は具体的にかつ、効果的に子どもたちに指導していく上で、先生たちが工夫しようとしたときに参考で見ていただいて、これは迷っていたこの授業で使えそうだ、そういうタイプの資料なのかなと。

指導例を1から10まで、これらをやることで政治的教養を育む力が身に付くという捉えは、それは誤解なのかなと思うのですがいかがでしょうか。

【坂本委員】

政治が何を示すのかというところだと思います。

英語でキング牧師が出てきたところで、今の先生はその題材を読んで訳して終わってしまう。その題材だったら、こんなことをするとこういう力をつけることができるよ、というのが指導例として出ていくといい。その題材ではなくても違う題材で、そういう例をとって英語でもできる。英語もずっとそればかりやるわけではないので、いろんな教科に取り入れて、題材を使い他の教科でもこんなふうにしてやればいいのではないか。

政治的教養の言葉、「政治」を取り出すということについては、政治を教えるという感覚がないので、キング牧師の話が出てきたときに、どのような手法を取り入れるか、それで政治的教養を育む授業になるんですよ、というのが示されると非常に先生方もやりやすいのではないかと思います。

【井上委員】

そうなんですよ。政治的教養を育むとは、そのポイント、ここの書き方が大事だと思うのですよね。こういうところを視点においておきたい。

指導例のところに政治的教養を育むポイントとして、気付きの点が示してあれば、今までの授業のちょっとした延長でやってますということが言える。

【西野座長】

それがあれば先生方も、「この指導資料を使いたい」というようになりますね。

是非取り入れるよう、作業部会でも話をしていきたいと思います。ありがとうございます。

その他はいかがでしょうか。

またご意見等伺えればと思います。それでは指導資料の内容の検討につきましては終わりたいと思います。

ここで10分ほど休憩を取りたいと思います。

 

(休憩)

【西野座長】

それでは続きまして、目次の5番にあります、政治的中立性の確保について、ご意見を委員の皆様からお伺いしたいと考えております。

冒頭私の方から申し上げたいのですが、1回目の検討会議の中で政治的中立性の確保ということで、先生方が安心して指導する上で欠かせない方針として掲げさせていただきました。これについて協議していきます。

この政治的中立性については、前回の作業部会で小学校、中学校それぞれ先生方が分かれて素案の原本についてお伺いしたのですが、その際、具体的なものとして政治的中立性の原則のようなものを定義できれば、先生方が安心できるのではないかと申し上げました。

参考として、海外事例をご紹介いたします。1回目の検討会議でもご紹介させて頂きましたが、政治的教養を育む教育に関して、先進国の一つであるドイツでは、1976年に「ボイテルスバッハ・コンセンサス」という政治的な教育に関する国の指針が策定されております。

この指針は、国が提示をして決まったのではなく、ドイツでは選挙権が18歳以上になった際、学校で教育をやる上で政治的中立性を確保してもらわないと、あるいはこういう指針を出して頂かないと教員が安心して授業が出来ないという声が現場から上がり、そういった先生方の意見を背景に、国で議論が始まり、策定された経緯があります。

具体的には三つあり、一つ目は、教員は生徒が期待する答えをもって生徒の考え方を圧倒してはいけない。いわば押し付けてはいけないということ。

二つ目は学問や政治の世界で論争があることは、授業の中でも論争が在ることとして扱わなくてはいけない。ひとつの見方だけでなく多様な考えでということ。

三つ目は先生の関心ではなくて生徒の関心、利害に基づいた形での授業展開を心がけ、政治参加を促していく。

具体的にそれぞれのテーマでこう考えるではなくて三つの原則を下地として先生方が授業をしていくようになっています。

これはあくまでもドイツの事例ですので、神奈川県でもそのまま取り入れるということではなく、こういった大まかな方針を今回の会議の中で定義をすることで、先生方が安心していただけるのではないかと考えた次第です。

高校については文部科学省のほうから通知が出ておりますが、小・中学校に関しては特に通知は出ていないということもございます。

こういった話をしながら先日の作業部会で先生方にご意見を伺ったところ、小学校の先生方は政治的中立性に関する指針があると安心するという声がありました。

中学校の先生方についてはこの大枠に加えて、中学生になれば公民の授業もあるし、より政策的な議論も出てくることも考えられるので、もう少し細かな部分まで議論ができればという声も上がりました。いずれにしても、大枠に関しては現場の先生サイドとしては是非とも策定してほしいとのことでした。

ドイツだけではなくて、例えばイギリスでも、教員は特に論争の問題を扱うときに気をつけなくてはいけないということで、中立的であること、バランスを考えた授業を行わなくてはならないこと、そして、日本では難しいのですが、教員も意見を表明することができること、以上の三つが決められています。

もちろん、今回はあくまでも神奈川県の話ですので、国の話と混ざらないようにしないといけませんが、こういった原則については協議をしていきたいと思います。

ここで井上先生に伺いたいのですが、今回の参院選で選挙管理委員会と連携した高校で、模擬投票などをやっていたと思いますが、こういった政治的中立性の件でこういった声があがったとか、なにかありましたら御紹介いただけませんか。

【井上委員】

はい。先日、明るい選挙推進協議会委員と、選挙管理委員会の委員とで意見交換をしましたが、特に現場の方で問題があったという話は無かったということでした。

【西野座長】

今回、副教材を使う中でも問題が無かったということですね。

ほか、皆様からこういうことに気をつけたほうがいいとか、決めておいて欲しいとか、原則があった方がいいという点ありますでしょうか。原案を作ることで、先生方を縛ったり制約させたりするわけではないのですが、逆にそうとられかねないという懸念もあります。

【森委員】

中立というと難しいところである。教員向けの資料としてどんなことでもいいので注意点としてこれはいい、これは良くないというものがあればいいのではないか。

【坂本委員】

今の高校の模擬投票で大きな問題は無かったということで、非常に注意してやっています。あなたたちの考えで、ということでやっていたので大きな問題がなかったのではと思います。

繊細なことを注意しながらやっていたので今回何事も問題が無かったのでしょう。

【西野座長】

まさに細心の注意を払っていたからということですね。

【加藤委員】

とくに若い頃、教員として授業をやっていく中で難しさを感じたことがありました。

教員の資質だとかバランス感覚やセンスが問われる。教員のそういった感覚を研修の中で、新卒の頃から育てていかなくてはいけないと思います。もっといえば小・中学校からそういう中立的な感覚を身につけさせ、大事に育てていかなくてはいけない。われわれ教員側もその意識を持たなくてはいけないと思います。

教員の資質に応じて、必要な感覚を身に着けていくことが大切なことになると思います。

【西野座長】

感覚をどうやって身につけるのかということにおいては、こうすることはだめと禁止事項を掲げるのか、「〇〇しましょう」という前向きな形の原則にするか。または、先生たちの経験に委ねるほうがいいのか。

【加藤委員】

経験を積んでいくというのはひとつ基本にあると思います。自分が実践した中で体験した積み重ねが基本となる。

禁止条項をつくるのがいいのかとなるとそこは意見が分かれる所ではあります。ただ「こうやっていきましょう」という方が建設的で素直に捉えられるでしょうね。

【西野座長】

高校に通知が出たときに、どこからどこまでが良くて、どこからがだめという線引きが、現場ではよくわからないという声もあがりました。ただ、線引きをやりすぎると、指導資料の中でその部分だけが注目されてしまうという懸念もあるかなと思います。

【山口委員】

今日初めてこの会に来て、政治的教養を育む教育って何かなと考えながら参加しました。

小学校段階では何をやるかということで、今どこの小学校でもそうだと思うのですけれども

新しいいろいろなことに関心を持っていろいろな人の意見を聞いて、その上で自分が判断して行

動に移すというのはどの教科でもやっているわけです。

あらゆる教育活動の中で取り込んでいく力の育成はすべて政治的教養を育む教育に繋がるのではと思いました。

中立性の話になると、政治的教養を育む教育というよりは政治概念の話かなと。

これまで議論していた小学校段階ではこういう力を身につけさせる、そして中学校段階ではこうという点とではちょっと違和感があるかなと。小学校段階での積み重ねがあってその上に中学校、高校くらいになるといろいろな事例を基に考え、どの段階においても心がけて指導のポイントでいえば、こうした方がいいという注意点、という形に持っていった方が政治的中立性という観点でいいような気がします。

【森委員】

学びのプロセスの中の、7と8になると行動しなくてはならない。目標としての指針が子どもたちに行動させることが大事になる。その行動が良いことであればいいのですが、もしかしたらその行動が間違っているという懸念がある。そこで教員が指導していたときに発生した行動をともにしていたとき、教員の不祥事として捉えかねない、と感じました。そこは教員を守るためにも、子どもが行動するときの注意点があるといい。

【西野座長】

先生方の経験に基づく判断になるでしょうか。

【井上委員】

今のお話の中で、経験とか社会的な面と違う判断を子どもたちがしそうになったら、バランスという意味で、そうじゃない情報を子どもたちに与えて、子ども達の視野の中に入ってない情報を与えてバランスをとらせるというのが中立性にも繋がるのではないでしょうか。

【加藤委員】

子どもの政治的資質を育てるためには大人が中立性を守っていかなくてはならない。価値の一元化ではなく、多様な考え方が出来る子ども。われわれが育てたい子ども像というのは、いろんな材料があってそれを取捨選択し、考え、判断し行動できる。そこへ持っていきたいですね。

そのためにわれわれができるのは、中立的な教育を行って環境を整えてやることだと思います。

「中立性とは何か」ということでは、ある程度、明文化し、三原則ではないけれども示されたらそこのところは大切にして行こうと職員で共通理解を図りたい。

ぜひイギリスやドイツの例に習うような、神奈川バージョンができればいいなと思います。

【西野座長】

こういった原則みたいなものはまだで、通知は細かい案ですけれども、都道府県としてはまだない。作るのは大変ですけれども「神奈川・コンセンサス」みたいなものができたらいいかなと。

こうした方が望ましいという案と、こうすると望ましくないという案とを作って検討するということでしょうか。また作業部会でも検討し、先生方にとって望ましいものが作りたいと思います。

【事務局(宮村課長)】

自分たちの理解としては、政治的中立のここでいう政治というのは、狭い意味での政治、いわゆる現実舞台の政治的事象だったり論争だったり政策を指すのかなあというふうに事務局では捉えています。

先程の議論の中で、広い意味での政治、つまり小学生なり中学生が自分たちの学校の問題を考えていき、何かひとつのアクションを興していくという。広い意味での政治というか、学びをしているときの教員の立ち位置というのは、よりよい学びにつなげるように、別に 中立を意識しすぎる必要はないのかなあというのが自分の捉えです。

先程、例を出していただいたように、子どもが地域に出て何かをしようとしたときに、ストップをかけるっていう役割も、これは教員として政治的中立を保っていないという意味ではなくて、必要なものであるし、これは通常な教育活動を行う、指導を行う上で当然なことなのかなあというのが私の理解です。

話が出ている、政治的中立の意見というのは、狭い、生徒間とか職場に対しての部分でどちらかに偏った見方をしない中立、そういう整理をしています。

そのことをまず、この第4章(政治的教養を育むために大切にしたい学習活動)で整理しておかないと、話が戻ってしまうのかなあと感じます。

最終的にはみなさんとまた協議しながら、見せ方や示し方をやっていくのですが、先程、外国の事例にもありましたが、日本においては高校では直接政治的活動になると詳細になる通知もありますので、その中間点をひとつの事例としては、今日は資料に出してないのですが国が出した副読本の20ページ、21ページを見ていくと、政治的中立の視点からを実際的な教育活動の留意点という中で、何項目か示してある。この中のひとつにこれは具体的でもあり詳細的でもあるので、参考になるのかなあと。ご覧いただきながら先生、生徒の立場関係なく話し合えるような、教員の意見大人の意見以上のものが必要になるのかなと思います。

【西野座長】

ありがとうございます。

それでは政治的中立性の確保について、これでよろしいでしょうか。

それでは、今後の検討の進め方について、事務局からお願いします。

【事務局(吉澤指導主事)】

本日の検討会議でいただいた御意見をわたくしの方でまとめまして、作業部会を今年中に開きたいと思います。

あわせて、次回までに、できれば2回ほど作業部会を開き、予定では1月には第3回検討部会を開くという形になっています。ただ今後の作業部会の日程や指導資料の作成の状況によっては、第3回の検討会議の予定が2月にずれ込む可能性があります。

あと検討事項でございますが、実際、作業部会の中でも実践授業を見てみたい、自分たちが作った指導資料で授業するのを見るのも検討会議の中で有効なのかもという話も出ておりまして、そのあたりは今後事務局のほうでも、作業部会のメンバーで学校現場の先生がおりますので、活用していきたいと思っています。

検討会議としてではないのですが、作業部会と検討会議の合同会議ということで、6月に県立湘南台高校に授業参観に行ったような形で授業を参観という形の検証授業を検討していきたいと考えております。

また詳細や今後の流れにつきましては、わたくしからできるだけ早めに、委員の皆様に予定を出したいと思います。

【西野座長】

ありがとうございました。ただいま事務局から説明ありましたが、検討のスケジュールについて御意見のある方はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。

日程についてですが、来年1月の第3回検討会議の日程につきましては調整が必要になりますので、それぞれ柔軟に対応の上調整していただきたいと思います。

そのほか、全体を通して何かございましたらお願いします。よろしいでしょうか。

ではそろそろ時間となりましたので、協議の方はこれで終わりとなります。

委員の皆様、熱心なご協議、ありがとうございます。

それでは司会を事務局に引き継ぎたいと思います。

【司会(古島専任主幹兼GL)】

どうもありがとうございました。

本日いただきましたご意見を基に、作業部会、また第3回ということでよろしくお願いしたいと思います。熱心な御協議ありがとうございました。

では最後に閉会の挨拶を子ども教育支援課長宮村より申し上げます。

【宮村子ども教育支援課長】

本日は熱心なご協議ありがとうございました。また参考になる視点をたくさん頂いたと思います。

またより良いものになっていくように努めますので、引き続きよろしくお願いいたします。

本日は誠にありがとうございました。

【司会(古島専任主幹兼GL)】

ではこれをもちまして、「小・中学校における政治的教養を育む教育検討会議」第2回を閉会いたします。ありがとうございました。(終了) 

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