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更新日:2023年6月22日

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神奈川県内障害者就労支援事業所における若年性認知症の人の受入れに関する調査結果(平成29年12月調査実施)

若年性認知症に関する調査

若年性認知症の人の支援では、本人が65歳未満であり、高齢者向けの介護保険事業所へ通うことに抵抗があるため、障害者総合支援法関連事業を併用することがあることから、実態を把握するため障害者就労支援事業所の受入状況調査(平成29年12月4日から12月15日)を実施した。

結果

障害者就労支援事業所710件のうち、144件の回答(回答率20.3%)であった。

1受け入れたことがある事業所の状況13件

(1)現在受け入れている事業所 
若年性認知症の人への対応として、職員を常に配置している、同じプログラムで支援している、異なるプログラムを作成し支援している事業所等様々であった。
課題としては、本人の病状が進行すると継続して受け入れできない可能性がある、本人自身の病状に応じて、作業やプログラムがこなせない、相談できる外部機関がない等であった。(主な活動内容は〔表1〕のとおり)

〔表1〕受入れている事業所の主な活動内容(複数回答)

屋外活動

作業:畑作業、簡単な軽作業、交通誘導、清掃、チラシ配り、製品の引き取り、納品

その他:散歩、認知症当事者活動、講演活動

屋内活動

事務:メール便配達、DM発送シール貼り、封入作業(10枚単位)

作業:ピッキング、清掃、備品磨き、紙の選別、プラスチックの選別、手工芸の制作、鎌倉彫下地ペーパー当て作業、アクセサリーの小分け、運営している喫茶厨房にて、賄い作りの手伝い等

その他:室内運動、余暇支援

(2)以前受け入れていた事業所
現在受け入れていない理由として、利用申請がない、家族が満足できるサービスが事業所にない、職員が若年性認知症に関する知識や技術を持っていない等があげられた。

2現在受け入れていない事業所の状況131件

(1)受け入れていない理由
利用申請がない、職員が知識や技術を持っていない、病状が進行して受け入れできなくなる可能性があげられた。また、今後の受入れについては、わからない、又は相談内容により判断する場合が多く、今後調整していくことが必要であることが分かった。(主な活動内容は〔図1〕のとおり)

〔図1〕受け入れていない理由

〔図1〕受け入れていない理由

 

(2)今後の受入れについて
わからない又は相談内容で判断、受け入れできない、受け入れできる、の順だった。(今後の受入れは〔図2〕のとおり)

〔図2〕今後の受入について

〔図2〕今後の受入について

以上のことから、若年性認知症の人への支援としては、受け入れている事業所においては、関係者と連携を取りながら支援を継続できるよう進めていく必要があると考えられる。また、受け入れていない事業所では、「申請がない」ことが挙げられており、今後若年性認知症支援コーディネーターを中心に、障害者就労支援事業所の受入について、依頼していくことが必要である。また、職員が若年性認知症に関する知識や技術を持っていない等の回答も多いことや、今回の回答率が低いことから、若年性認知症に関する普及啓発を行うとともに、若年性認知症の理解を研修会等で進めることが重要である。

調査結果(PDF:160KB)

 

神奈川県における実態調査結果から見えてきた課題

  • 県が実施した実態調査では、推定人数の3割弱の把握にとどまる状況にあったことや、受診しても、うつ病と診断されたり、確定診断までに時間がかかったり、確定診断後も、本人の疾病受容が困難である等、継続した受診が難しく、本人家族を含めた受診援助や心理的支援が必要である。
  • 働き盛りでの発症により就労の継続が難しくなるなど、早期に生活上の問題が発生することや、家族が対応に疲弊してしまうこと、未成年の子どもがいる場合は、子どもの成長や教育などの影響にも勘案した、多面的な援助が必要である。
  • 若年性認知症に特化したサービスが求められているが、相談を受けた場合にサービスを提供するための社会資源の実態が把握できていないことから早急に、実態の把握が必要である。
  • 若年性認知症に関しては、医療機関、地域包括支援センター、介護事業所の職員等、本人や家族と接する関係機関においても、知識の普及が進んでいない状況に加え、診断後も偏見をおそれ、介護を抱え込んでしまうこともあり、地域住民の理解を得ながら安心して暮らすことができるよう、保健・医療・福祉・介護に関わる専門職への研修とともに、一般県民への普及啓発が必要である。

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