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初期公開日:2025年11月27日更新日:2025年11月27日

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令和7年度「黒岩知事と県民との"対話の広場"(県央会場)」開催結果

令和7年度「黒岩知事と県民との"対話の広場"(県央会場)」の開催結果を掲載しています。

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概要

黒岩知事と県民との"対話の広場"(県央会場)

日時

 令和7年10月21日(火曜日)18時から19時30分

会場

 えびな市民活動センター ビナレッジ

テーマ

 「食」と「農」でつなぐ地域の未来

内容

 ーミニイベント 県央ファーマーズマルシェー

 1 知事のあいさつ

 2 事例発表

【事例発表者】

日比野 拓(ひびの たく)氏 (株式会社日比野設計 代表取締役会長)

金田 心花(かねだ みはな)氏(神奈川県中央農業高等学校 酪農専門部 部長)

吉澤 美遥(よしざわ みはる)氏(神奈川県中央農業高等学校 酪農専門部 副部長)

 3 意見交換

 4 知事によるまとめ

参加者数

 178名

ミニイベント 県央ファーマーズマルシェ

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知事のあいさつ

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 はい、こんばんは。神奈川県知事の黒岩祐治です。今日は、県民との対話の広場にようこそお越しくださいました。私が知事になってもう14年半ですが、最初から続けているイベントです。県民の皆さんと直接お話をするという私にとって非常に楽しみな場でもあります。その地域ごとにその時のテーマを決めて、自由に話をしていきます。

 今まで、ずっとやってきて今日はなんと98回目です。今まで参加された方は、今日で1万5000人を超えます。今日のテーマは、「『食』と『農』でつなぐ地域の未来」。会場の前に、県央地域で活躍されている農家さんらに来ていただき、農産物を販売していただきました。

 まずはお2人のゲストにプレゼンテーションをしていただきます。そしてそれをもとにしながら、あとは皆さんと対話しながら進めていきます。シナリオは全くありません。

 私は、もともとテレビのキャスターですから、司会を担当いたします。司会兼知事、二刀流で参ります。どうぞよろしくお願いします。

事例発表

司会

 知事、ありがとうございました。それではここで、来賓を御紹介いたします。神奈川県議会議員さとう知一様、同じく神奈川県議会議員相原しほ様です。本日は御多忙のところお越しいただきましてありがとうございます。

 それでは続いて、本日の地域テーマについて活動をされている方お二組に事例発表をしていただきます。はじめに、日比野拓(ひびのたく)様を御紹介します。日比野さんは株式会社日比野設計の代表取締役会長を務められ、自社の働き方改革の一つとして、社員が無料で食事が出来る地産地消レストラン「2343(ニイサンヨンサン)」を2018年に設立し、2021年に地元農家が野菜を販売する「いちごマルシェ」をスタートさせました。

 また、国内外で仕事をしながら得たヒントを地元活性化に展開し、地域をより豊かにすることへの挑戦を続けられています。それでは日比野様よろしくお願いいたします。

日比野 拓氏(株式会社日比野設計 代表取締役会長)

taitoru ただいま御紹介にあずかりました、株式会社日比野設計代表取締役会長の日比野と申します。

今回は「『食』と『農』でつなぐ地域の未来」をテーマにお話しさせていただきますが、発表用のスライドが124枚あります。発表時間が10分以内と言われていますので、かなり早口になるかと思いますが、みなさんどうかついてきてください。


 まず、「食」も「農」も本来は土着的なものになります。しかし、物流と情報のインフラ整備により、食と農のグローバル化が促進され、その結果、遠くで採れたものが簡単に地方に運べるようになり、大量生産したものが安く売られるようになりました。一方で神奈川県の食料自給率は全国で3番目に低い値となっていますが、食料自給率が低いということは、輸出入で言えば食の貿易赤字ということになります。


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 普段は厚木市の飯山で建築の仕事をしていますが、厚木市をはじめとした県央地域には高い可能性があると感じています。

 そんな私がなぜ「食」と「農」に関わるようになったのか、ということですが、私は普段、設計の中でも「youji no shiro」と言って、子どもの環境や空間を作っています。こんな感じです。

 


kodomoshitunai ではなぜ、子どもの環境や空間が大切なのか。それは、空間認識能力は「言語能力」や「数学力」に匹敵するほど重要と言われているからです。

 ある研究では、複雑な空間を探索したネズミの海馬は、そうでないネズミと比較して4万倍も多くの神経細胞を持ち、海馬組織は15%増加したという結果が出ています。つまり、複雑な空間を探索したネズミは、高い空間認識能力を持つと言えます。


 今お見せしているのは私が幼ie少期を過ごした実家の写真です。私の父も建築家でしたが、このように私の家には沢山の段差がありました。この段差は幼少期の私にとっては恰好の遊び場でした。手前の窓際に見える植木も私にとっては遊び道具でした。最近では、小さな子どものいる家に段差があるのは危険だと言われますが、私は子どもの環境には段差がある方がいいと思っています。一つ段差を越えると、また次の高い段差を上りたくなる。ソファの下にある家具メーカーのステッカーも覚えています。


 これまで私たちは、国内約600か所、国外でも約40か所の子どもの環境を作ってきました。そして2015年には、世界56か国で私たちの事や取組事例がシェアされました。全国ネットのバラエティ番組やニュースなどでも取り上げられました。その結果、ホームページへのアクセス数が1日70万件になりました。海外からも1ヶ月に100件近い問合せが来ましたが、その中でも特に中国からの問合せが急増しました。だったらもう事務所を作ろうという話になり、中国にオフィスを作っちゃいました。


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 環境づくりには家具も大切です。しかし、既製品では良い家具が全然ありませんでした。だったら家具を自分たちでデザインして作ろうということで、会社を作りました。これが「KIDS DESIGN LABO」です。こんな感じの家具を作っています。


 このような活動を続けていたら、子どもの中には障がいを持つ子もいるので障がい者施設の設計の依頼が来たり、高齢者施設が病院の様に設計されていて全然快適ではない事を知り、何とかしたくてその設計にも関わるようになったりしているうちに、今度は「FUKUSHIKEN」という福祉施設専門の研究所を作りました。

 このように様々なことをやっていた私の会社は、今だったらブラック企業と言われるような超過酷な労働環境でした。毎日当たり前のように深夜遅くまで働いていました。そこで、せめて社員の食事くらいは整えようと思いました。departmentでもただ普通に社食を作るのでは面白くないので、レストランを作って、そこで社員が無料で食べられるようにしようと思いました。

そこで作ったのが「2343」と呼ばれるレストランです。中の様子はこんな感じになっています。レストランを作るにあたっては、どうせなら地元の食材を使いたいと思いました。「2343」という店名の由来は、会社のある厚木の番地から採りました。


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 農家、平飼いの養鶏場、養豚場、ジビエハンター、牧場、食用花の生産者など、地域の生産者をとにかく回りました。このように、レストランの中には、これまでに回った生産者や経緯を描いた絵を飾っています。そんな事をしていたら、女性社員が7割近くなり、出産育児をする人が増えてきました。そのような人たちでも継続して働ける環境を作るために保育園を作ろうとなりました。さらに、保育園を作るなら食事に拘りたいと思いました。でも、ただ給食を拘るくらいでは面白くない。そこで、私たちはレストランを持っているじゃないかということで、レストランが給食を監修して提供しようとなりました。


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 そこで、保育園を作ろうとするビルの中に保育園を作る前にもう一つレストランを作りました。

 それが「2343 FOODLABO」です。中はこんな感じです。2024年には「メシドラ」に登場しました。

 


pasutaKIDSSMILLABO 2021年に保育園を作りました。それが「KIDSSMILELABO」です。この保育園には写真のように沢山の段差があります。

 これは実際にこの保育園で出している給食になります。今では、厚木市内で一番入園困難な保育園になりました。


gohankazoku 昨年には、この保育園の給食チームが10日限定でレストランを開店しました。それが「KIDS SMILE LABO KITCHEN」です。こんな感じです。

 

 こうして給食やレストランで有機野菜を使ったり地元の生産者さんと繋がっていたら、有機野菜は手間がかかるから値段が高くなることがわかりました。そうすると皆が買ってくれません。皆が買ってくれないと事業が継続できない。


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 それなら自分たちで売る場所を作ればいいじゃないかということで、地産地消がテーマのマルシェを始めました。

 それが「ICHIGO MARCHE」です。最初は厚木の小さな場所でやっていましたが、今では海老名駅前のスペースをお借りして1日7,500人が来るマルシェを月に2回やっています。 


 こんな風に一生懸命に全部の事をやっていたら、新しくできる商業施設からレストランを出店して欲しいという依頼が来ました。そしてなぜかまたレストランを作りました。そうして作ったのが「2343 DEPARTMENT」です。ではこのレストランのコンテンツをどうしようと考えたときに、どうせなら地元のものを使いたいと思いました。「DEPARTMENT」と言うのは、地元のものがデパートのように集まる場所という思いを込めてこの名前にしました。


 garettoatuginoiihatimitu今日来ていただいている農家さんの一人、「厚木のいいはちみつ」の小川さんは、蜂蜜を取るために蕎麦を栽培されています。蕎麦の花は必要だけど、実はあまり必要ではないそうです。

育てた蕎麦の実を有効活用できないか考え、ガレットのお店を開くことにしました。


 また、レストランで出すコーヒーを本気でやりたくて、先日、中国雲南省の高地まで行ってきました。さらに焙煎機も導入して自分たちで豆も焼いています。2年前からは食と農をつなげる新しい取組を始めました。2024年には「2343 DEPARTMENT」店頭にある地元農家さんによる農作物販売数が19,943点になりました。今年は25,000点ぐらいいくのではないかと予想しています。


 私たちが目指しているのは、私たちが信じた地域の農家さんが安心して、継続して野菜が作れることです。時間がないのでゆっくりと紹介はできませんが、写真は今日来ていただいている農家さんたちです。

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 現在農業は多くの問題を抱えています。今お見せしているデータのように、農業に従事する人は年々減ってきています。その一方で従事している人の平均年齢はどんどん高齢化しています。また、新規の就農者数は減少し、飲食店の倒産件数も増加しています。

 最近の円安の影響を受けて輸入食材は高騰、人手不足による賃上げで、原価高騰・人件費高騰につながっています。

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この問題を解決するには、多くの人に知ってもらう、多くの人に食べてもらう、多くの人に買ってもらう必要があります。それも、適切な価格で買ってもらうことが重要です。私たちのレストランに来てもらい、まずはそこで食べてもらって、美味しいと感じてもらい、それが地元で採れたものということを知ってもらう。そうすることで、美味しかったから今度あそこの野菜を買ってみようかな、となってもらえたらいいなと思っています。

 私は、食を通じて農を身近にしたいと思っています。食を通じて地域経済を豊かにしたいと思っています。そして、食と農を通じ、県央地域における循環経済の一助をしたいと思っています。

 駆け足になってしまいましたが、御清聴いただきまして、ありがとうございました。

司会

 日比野様ありがとうございました。

 続いて、神奈川県立中央農業高等学校酪農専門研究部部長の金田心花(かねだみはな)様、副部長の吉澤美遥(よしざわみはる)様を御紹介します。

 金田さん、吉澤さんが通う、神奈川県立中央農業高等学校は2026年で創立120周年を迎える県内唯一の農業単独高校です。園芸科学科、畜産科学科、農業総合科の3つの学科があり、農業に関する幅広くかつ専門性の高い学びに取り組まれています。

 お2人は、学校の部活動の1つである酪農専門研究部の部員であり、牛たちの飼育に日々取り組むほか、牛に関する様々な研究や、地域の方を対象とした食育活動を展開し、生産者と消費者の架け橋になれるよう活動されています。

 それでは金田様、吉澤様よろしくお願いいたします。

金田 心花氏(神奈川県立中央農業高等学校酪農専門研究部部長)
吉澤 美遥氏(神奈川県立中央農業高等学校酪農専門研究部副部長)

taitoru 私たちが通う神奈川県立中央農業高等学校は、海老名市にある来年創立120周年を迎える県内唯一の農業単独の専門高校です。これまでたくさんの卒業生が県内外を問わず、農業関連産業の現場で活躍してきました。現在の在校生は約540名、園芸科学科2クラス、農業総合科2クラス、畜産科学科1クラスで、農業関連産業に従事することを夢見るたくさんの生徒が、県内最大級を誇る農場を活用して日々学習に取り組んでいます。


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 園芸科学科では野菜・草花・果樹といった園芸植物を中心に、一つの種から命をはぐくみ、利用するための実践的な技術を身につけることができます。2027年の国際園芸博覧会に向けての様々な取り組みも、園芸科学科が中心となって行っています。


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 農業総合科では、農作物の加工や流通分野を学ぶことができます。米や麦といった作物を、微生物による発酵技術を利用して加工する技術は魔法のようです。加工の実習がある日には、香ばしいパンの香りが校舎中に漂う、美味しさに満ち溢れた学科です。


tukusannkagaku 畜産科学科では、牛・豚・鶏などを実際に飼育しながら、畜産の基礎・基本を学んでいます。一年生の授業では、肉用鶏を雛から育て、実際に自分たちの手で殺め、食べるという授業を行っています。畜産科学科で学ぶ私も、この実習を通して命の大切さと生かされていることの重みについて深く考えることができ、人として大きく成長することができたと感じています。


 kagaikatudou各学科での学びの他にも、農業クラブ専門研究部という農業の専門性を高める部活動もあり、合計で約200名の生徒が所属して活動に取り組んでいます。食品加工専門研究部では、米粉を利用した商品開発や親子パン作り教室などの食育活動に取り組んでいたり、草花専門研究部ではバイオテクノロジーに親しんでもらうためのバイテク講習会を開催したりするなど、地域との交流も盛んです。


 また、学校で生産した野菜や鶏卵、豚肉などは定期的に販売会を開催して県民の皆様に販売しています。中でも養豚専門研究部のメンバーが中心になって生産している豚肉は、海老名SAや地元の精肉店、飲食店でも販売、利用され「ちゅのとん」の愛称で親しまれています。

 このように、農業クラブ専門研究部の活動では日頃の学習をさらに深めることができ、地域の方と交流する場にもなっています。


 今回は酪農専門研究部、通称酪農部に所属する私たちの取組を発表させていただければと思います。

katudounaiyourakunousennmonn 酪農部には総勢27名の部員が所属しており、所属する部員の多くが将来、畜産や動物飼育の現場で働くことを目標にしています。日々、20頭近い学校飼育牛の管理作業や牛に関する研究活動、牛を通した地域活動に取り組んでいます。

 県内各地の農業・畜産に関するイベントにも積極的に参加しており、この2年間でのべ16,000人を超える方たちに、直接、牛や畜産の魅力を発信してきました。


 牛たちは温厚な性格で、1頭1頭に個性があり、私たちが愛情を持って接している分、学校の牛たちは人慣れしています。とは言え、牛を育てることは本当に大変です。体が大きく、学校で飼育する一番大きな牛は体重が800kg近くあります。当然食べる量も多く、購入している牧草はひとかたまり25kg、それを1頭が1日で食べ終えてしまいます。

 また、力も強いため、牛を扱うには体力と筋力が必要不可欠です。ちなみに、中には50kg牧草を軽々と持ち上げることのできる部員もいます。

USHIseito 牛を扱いやすくするため、小さいうちから人間に慣れてもらい、散歩したり調教したりすることも大切な作業です。学校で過ごす最後の日まで牛たちが何不自由なく過ごせるように、愛情を込めて毎日交代で飼育管理に取り組んでいます。


 私たちが日々活動している牛舎には、令和4年の改築で神奈川県では初となる搾乳ロボットが導入されました。朝が早く、夜遅くまで作業があるという酪農のイメージをひっくり返す装置で、人間が1日2回のメンテナンスを行えば、搾乳作業のほとんどをロボットが行ってくれます。

smartnougyounismartnougyou また、1本ずつリアルタイムで乳量や乳質を測定し、牛乳の分泌量が減ってくると自動で搾乳装置を離脱するため、乳牛の職業病とも言える乳房炎を防ぐことができます。


 北海道などの大規模牧場では搾乳ロボットの導入が進んでおり、学校で最先端の装置の使用方法を学んだり、収集したデータを研究に活用したりできることは大きな強みだと感じています。

 また、飼料生産でも機械は活躍しています。学校にある1.5haの圃場では牧草ro-zugurasuを栽培しており、ロールベーラーやラッピングマシン等の機械を活用して長期保存可能な牧草ロールを製造しています。私たちも安全性に気をつけつつ、実際に先生に教わりながら機械を操作して技術を身に付けています。

 2年前からは急速に進む温暖化を逆手にとり、沖縄などで栽培されるローズグラスという熱帯系牧草の栽培試験に取り組んでいます。これまでの牧草と比べて収穫量が多く、牛の嗜好性も非常に高いという試験結果が出ており、来年は酪農家さんに向けた普及活動を計画しています。


kurorobunnbenn 活動の中では、牛に新たな命を宿す人工授精や、分娩に立ち会うこともあります。牛の分娩は夜間に行われることも多く、分娩予定日が休業日に重なると学校に宿泊して分娩介助をすることもあります。母牛が懸命に子牛を分娩する姿は、何度見ても感動してしまいます。一方で、家畜である牛は、最後にはお肉となって私たちの口に入り、命を繋ぎ支えてくれる存在です。学校で飼育する牛たちも、例外なく寿命を迎える前に出荷、屠畜されていきます。


geroroshukka 先月29日にも、学校で生まれ育った「ゲロロ」の出荷を行いました。ゲロロはブラウンスイス種という珍しい品種の乳牛で、母牛の「コロロ」から名付けられました。ゲロロはオスとして生まれてきたため、牛乳を生産することができません。乳牛の代表的な品種であるホルスタイン種は、体が大きく肉質も良いため、オスの子牛が生まれると肥育農家さんへと売却されていきます。スーパーなどで販売されている「国産牛」の多くは、ホルスタイン種のオスgeroroです。

 しかし、ブラウンスイス種やジャージー種などのオス牛は体が小さいなどの理由で需要が少なく、円安などによる近年の飼料価格高騰も重なり、生まれてすぐ安楽死させられてしまうという現状があります。人の手によって生まれてきてくれた牛が、経済的に価値が無いという理由で人に命をつなぐことができないという現状を変えたい。肉用以外でも牛の価値を見出していきたい。kennkyuu

 

 そんな私たちの思いから、先輩たちが中心となって先生に何度もプレゼンを行い、未利用資源を活用した肥育試験と、乗馬ならぬ乗牛の実現を目指し、学校で飼育することを認めてもらいました。近隣の精米店から出る米ぬかや、野菜農家さんから出る規格外野菜、酒粕といった未利用資源を活用して順調に生育していき、人を乗せるための調教を行い、温和な性格の牛へと育っていきました。

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 そして、私たちが月に一回、地域の方を学校に招いて開催している食育活動「酪農教育ファーム」で、一般の方を対象にした乗牛体験を実施することにしました。参加者からは体全体で牛の温かみを感じられるなど大好評で、たくさんの人から愛される存在となっただけなく、社会動物としての新たな可能性を切り開いてくれました。


 taizyuuゲロロは期待を上回るスピードで成長していき、目標とする体重を大きく超えるという結果を残し、11月1日、2日に本校で開催される文化祭でお肉を販売するために出荷の時を迎えました。「ゲロロは私たちに飼育されて幸せだったのかな」この疑問に対する答えは見つかりませんが、すぐに絶たれてしまうかもしれない命を守り、育て、たくさんの人たちに命をつなぐという、牛としての一生をまっとうさせてあげられたことをうれしく感じています。ゲロロと歩んできた20ヶ月の時を忘れずに、たくさんの人にゲロロのお肉を届けてあげたいです。


sekihi 私たちの学校には創立100周年記念の時に建てられた「命はぐくむ」と刻まれた石碑があります。農業は、ほかの生き物たちの命をはぐくみ、私たちの命へと繋いでいくかけがえのない営みです。私たちの暮らす神奈川では開発が進み、農業やそこにあった命とかけ離れた生活をしている人がほとんどかもしれません。


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 だからこそ、中央農業高校で学ぶ私たちならではの活動を通して、命はぐくむ農業や畜産の魅力と、その大切さをたくさんの人に伝えていかなければなりません。地域の人たちに、命のあたかかさが伝わるよう思いを込めて、今後も大好きな牛たちとともに様々な活動を展開していきます!

 以上、中央農業高校酪農専門研究部の事例発表でした。


意見交換

司会

 金田様、吉澤様ありがとうございました。それではここからは、黒岩知事に進行をお任せいたします。知事、よろしくお願いいたします。

知事

 ありがとうございました。これから議論を始めたいと思いますが、今日のテーマは「『食』と『農』でつなぐ地域の未来」ですよね。素晴らしい講演でしたね。これを受けて、対話して進めたいと思います。皆さんが作っていきます。まず私から質問したいと思います。日比野さん、設計のお仕事以外にも多くのことをされていますが、何か発見や驚きはありましたか?

事例発表者:日比野氏

 僕らの飯山はすごい田舎で、20年ほど住んでいましたが、これまで農家の方たちと関わる機会がなかったです。農家の方たちの話を聞いて、熱心に取り組む人や美味しい野菜があることに気づいたのはかなり驚きでした。

知事

 先ほど、マルシェを見ながら農家さんにお話しを伺いました。熱意を持って農業をやられていますよね。

金田さん、先ほどの発表で経済的に価値のない牛を乗馬ならぬ乗牛とか、餌をかえてみようとか、ありましたが、その発想が素晴らしいですよね。その発想はどこから生まれるのですか。

事例発表者:金田氏

 もともとは先輩が先導してみんなで協力してやろうということになったので、それで部員も意見を出しながらやりました。どんな餌なら食べられるのか、あげてはいけない餌を考えることが結構難しかったです。好き嫌いもありますからね。

知事

 飼料も高騰しているから、安いけれども美味しいものを与えたということですね。吉澤さん、そういうことはみんなで議論して決めていくのですか。

事例発表者:吉澤氏

 そうですね、みんなでアイディアを出し合ったり、先に他の農家さんが行っている情報を聞いたり、サイトで調べたりして決めています。

知事

 高校生が自分たちで話しながら新たな挑戦していくのは、本当に楽しいだろうなと思いますね。はい、ここから皆さん、質問・ご意見があればどうぞ。どうぞ言ってください。

 うわあ、すごい勢いで手が挙がりましたね。はい、どうぞ。

参加者1

 上鶴間高等学校からきました。よろしくお願いします。日比野設計さんと中央農業高等学校さんのプレゼンで、様々な活動が行われていることを知りました。しかし未だに食料自給率などの問題はなくなっていません。

 そこで、我々市民や、神奈川県内全体では、どのような活動ができるとお考えですか。

知事

 なかなか難しい質問ですけれど、日比野さんいかがでしょうか。食料自給率が低いお話、先ほどにもありましたね。

事例発表者:日比野氏

 安いスーパーが、例えばこの地域でも何軒もあるわけですよね。やっぱりそこに売っているものは多くのものが、この地域外のものです。ですから、そういうものじゃなくて、この地域で魅力的なものがあるということを、知ってもらうことがとても大事だと思いますね。

 知ってもらって納得してもらえば、1人でも買ってくれる人が増えていく。増えていって魅力が出てくれば、そこに就職する人も増えてくるかもしれないし、そういう循環を起こさなきゃいけないっていうのは事実かなと思います。だからとにかく知ってもらうことが大事なんじゃないかなと思います。

知事

 そういう事をみんなあまり知らないですよね。例えばスーパー行ったら、お肉はもう、切って売られているわけです。元々こんな姿の「動物」だったってことを子どもたちは知らないかもしれないですね。魚も切って売ってあったら、魚の形すら実は知らない子もいっぱいいるかもしれませんね。そういう意味で、「食べる農」って、どういう意味なのかな。ということを我々もっと考えなきゃいけないなって話なんじゃないでしょうかね。そういったことを積み重ねて食料自給率に繋がっていくのかなって思いますね。はい、どうぞ。

参加者2

 海老名高等学校から参りました。

 お三方のスピーチ、とても素晴らしいもので、私は感服のあまり、喋ることがうまくできません。

 中央農業高等学校のお二方に質問です。お二方は、現在、数ある農業分野のうち酪農を選択されていますが、先ほどの農業総合、園芸、酪農の3つから、どのようにして、酪農を選ぼうとお考えになったのですか。そういったいきさつをお聞きしたいです。よろしくお願いします。

知事

 そうですね、金田さん、どうして酪農を選んだのですか?

事例発表者:金田氏

 私は、最初からやろうと思ったわけではなくて、元々動物が好きでした。家庭では動物の飼育が禁止されていたので、高校で飼育管理を学ぼうと思いました。入学してから酪農部っていうものがあると知って、もっと牛について深く学びたいとそこで思いました。学んでいくうちにだんだん、部活動に対して本気になっていき、もっといろんな牛についての活動をしていきたいと思いました。

知事

 はい。ありがとうございました。吉澤さんいかがですか。

事例発表者:吉澤氏

 私は、姉が元々、中央農業高等学校の畜産科学科の酪農部でして、元から元気な人でしたが、酪農部に入ってからは、さらに明るくなって、そんなに楽しい部活なんだなって、思いました。見学に行ったりして、写真とかで見るよりも、実際見に行ったほうが、可愛さとか、大きさとかが分かって、それで魅力を感じて入りました。

知事

 ちなみにお二人は、おうちは農家ですか。

事例発表者:金田氏

 いえ。私の家は、農業をやっていないです。

事例発表者:吉澤氏

 私も普通の一般家庭です。

知事

 そうですか、農業高校へ行くっていうときに、ご両親はどんな反応でしたか。

事例発表者:金田氏

 最初は本当にいいの?というそんな反応でしたが、自分がやりたいことをできるなら、いいんじゃないかって言ってもらいました。

知事

 吉澤さんは?

事例発表者:吉澤氏

 姉が行っていたので、楽しいから行きなよって前向きに言ってくれました。

知事

 今回の農業高校は、こういう高校生の皆さまはおうちが農業や農家をやっていらっしゃるから行ってらっしゃるのかなって思っていましたが、そうじゃない人も沢山いるんですよね。

 ということは、新たな就業者がたくさんいるはず。ところが、全体で見るとなかなか新たな就業者がいない。という不思議な現象があるわけですよね。はい。どうぞ。

参加者3

 横浜から参りました。長い間、会社員生活をやって、定年になって、私も農業に関心があるので、農業をやりたいなって思っています。横浜が中心でしたが、市役所や区役所行ったり、あと、平塚土木にも行ったんですが、農地がないんですよね。農地の貸し借りの制度を設けてるって言うんですけれども、借りる方に需要が満たされない。そういう自治体があってですね。横浜は確かに、密集しているので、難しいのは判りますが、平塚とかあちらのほうも同じような状況で、せっかく農業に関心があってやりたいなと思っても、就農ができないんですよね。これに何か打開策というか、「こういう事だったらできますよ。」または、「こういう風にしていったら、将来できるようにしてあげますよ。」とか、黒岩知事のお力で、そういう何かないのかなという気持ちです。以上です。

知事

 こういう生の声を聴けるのも、すごくありがたいですよね。今日、県庁の職員来ていますからね、担当課長来ていますか。ずばりお答えしますから。どうぞ。

農業振興課長

 農業振興課長の原と申します。ご意見いろいろありがとうございます。

 農業就農するには、やはり農業技術がなくては、なかなか就農した後もかなり苦労されてしまいます。農地を借りる要件としては、しっかりとそこで耕作をできるということが要件になっておりますので、1つの手段と致しましては、県には「かながわ農業アカデミー」という農業技術を学ぶところがございます。そういうところで、しっかりと技術を学んでいただくことと、そこでは、就農の相談というような形で、土地・農地を借りるにあたっての相談だとか、市町村の農業委員会との連絡調整もしていただけます。

 また、学ぶ以外に、神奈川県では農業アカデミーにおいて、就労相談の窓口を設けておりますので、ご活用いただければと思います。

知事

 ちなみに農業アカデミーどこにありますか。

農業振興課長

 まさにこの海老名にありますので、ぜひ活用いただければと思います。

知事

 ご質問いただいた方は横浜の方ですけれどもね、どのぐらいそこで、研修すればいいのですか?

農業振興課長

 学科が2つありまして、1つは2年間基礎から学ぶ、高校卒業して、そのあと農業技術をしっかり学ぶコースですね。あと1つは、例えば、社会人を経験した後に、1年間農業を学んで、就農するというようなコースもございますので、その方の目指すところをご検討いただきながら、社会人の方は1年間コースもありますので、こちらで学んでいただければと思っております。

知事

 はい。ぜひ、挑戦されてはいかがですか。

参加者3

 就農の件は知っているのですが、農地がないのです。それが今、おっしゃったことも農地がなければできないので。それを、斡旋する、紹介するようなところは、もう少し充実させていただいたらいいのではないかなと思います。

知事

 先ほど、農地の話でしたよね。そうしたら農地の話、お答えします。

農業振興課長

 引き続き、お答えいたします。農地のほうは、市町村に農業委員会というところがございます。横浜市ですと、農政事務所というところがありまして、そちらの方にもしかしたら既にお伺いされているのかなと思います。

 県内の農地の状況は、市町村によって、供給できる農地の状況が随分違いまして、特に、県の東側の地域の方は、なかなか農地が見つけにくいという状況になっております。市町村と農協さんあたりがタッグを組んで、就農支援センターを作っている市町村もありますので、そういうところで、農地があるのかないのか、就農するにはどうしたらいいのかというようなご相談をされるといいのかなと思います。

知事

 相談するのはどこに相談すればいいのですか。

農業振興課長

 まずは、市町村の農業委員会、もしくは、かながわ農業アカデミーにワンストップ窓口があります。そちらで、どういうところに相談したらいいか、お住まいがどこで、どういうところに就農したいのかというようなお伺いもできます。一度ぜひご相談いただければと思います。

知事

 県の方に相談しても対応できますか。

農業振興課長

 はい。県の職員が対応いたしますし、色々な方に来ていただければと思いますので、よろしくお願いします。

知事

 ぜひ、色々なところに相談してみてください。我々はいつも、「市町村の仕事ですから、市町村にどんどん行ってください」というのだけはやめようと言っています。

 「県民目線」でやるという時に、県民にとって市町村と県、どちらに相談してよいかなんて、わからないですよね。ですから、県の仕事であっても、市町村の仕事であっても、県はちゃんとご紹介するということは徹底しています。ぜひ、ご相談ください。せっかくそのような思いを持っていらっしゃるのですからね。今農業者が減ってきているという問題がある中で、やりたいと思っている方がいらっしゃるのでしたら、なんとかつなぐように我々も努力します。どうも、ありがとうございました。

参加者2

 先ほど、発言した海老名高等学校の生徒です。

 先ほどの土地の話に関連してですが、まず私は、ネクタイの色からもわかるように、校舎の周りは田んぼで囲まれていて、日頃から、市民の皆さんが稲作をしているところをよくお見受けします。その際に、稲が収穫時期を逃しているところや、雨風の管理が行き届いてなく、稲が倒伏してしまっているところが見受けられ、多分収量が落ちているのだろうなと思います。そういった、半ば少し放置状態のような農地があります。

 ここから先ほどの話を聞いて考えたのですが、惰性で農業に従事しなければならない状態になっている世帯があるのかなというふうに、少し疑問を持ちました。先ほど、農地が多く余っているところ、もしくは足りないところの2通りのところがあるとお聞きしたので、そのように考えました。

知事

 中々鋭い観察をされていていますね。これも県の職員が答えなければならないですね。稲の収穫時期が遅れている、倒れているという問題。

農業振興課長

 農業振興課長の原でございます。先ほどおっしゃられたように、農家さんによっては兼業でやられていて、収穫時期が遅れたりしているところもございます。県では、様々な農業形態がありますが、例えば、農協が受委託組織を作って、面積が小さくてなかなかやりきれないといった農家さんに対しても、農協等を通して、そういう作業受委託を受けるような形を支援しています。農業経営にも様々な形がありますので、なるべく作ったものが無駄にならないような形で、支援をしていきたいと考えております。

知事

 今、惰性で農業やっている人がいるのではという話がありました。今日の事例発表はすごく情熱を持って、どういう取組をしていたかという話でしたが、そんな人がいるのですかね。惰性でやっている人。結局、忙しいとしょうがないなっていうそんな人がいるのですかね。

農業振興課長

 惰性というか、やはり家業を継がれてやっておられるところがあるのかもしれないです。ただ、やはり当然田植えをして植えられているというところは、熱意を持ってやっておられるのではないかなとは思います。その時の体調などによって、収穫ができない、もしくは遅れているところもあるのではないかなと思います。

知事

 高校生が歩きながら発見したことがあったら、すぐ対応できるようにしないといけないですね。はい、ありがとうございました。はい。どうぞ。

参加者4

 厚木清南高等学校から参りました。

 私は、ここから電車で10分くらいのところに住んでいるのですが、海老名駅周辺は畑があり、通学中、きれいな緑の風景が見え、いつも目が癒されております。事例発表者のお三方、分かりやすいプレゼンをありがとうございました。そして知事、二刀流、お疲れ様です。

 最近、私の父が野菜をはじめまして、いろいろやっているのですけども、これから農業分野に参入していく人たちも、多くいらっしゃると思います。しかしながらその反面、電車に乗っていた際、車窓から外を見たとき、以前、畑だった土地が、突然埋め立てされてしまって、数ヶ月後、小さなコンクリートの駐車場になってしまったところを見かけました。

 そういった観点から、これから農業分野に入ろうとしている方々などに対しての助言、 あるいは、県としてどのような政策をとられていくのかについてお尋ねしたいと思います。お願いいたします。

知事

 これは海老名市のまちづくりの話にもなってきますよね。 海老名市、駅の周辺は畑が広がっていて、不思議な光景ですよね。それはやはり、海老名市の方で、再開発を行っていこうという大きな流れがあるためだと思います。

 ただ、そういった畑を、街の再開発に活用していこうというふうに、進んでいるのかなとは思います。ありがとうございます。はい。どうぞ。

参加者5

 海老名市から来ました。先ほど農地の話がありましたよね。やりたいのだけど、中々難しい。

 海老名の状況を見ていますと、私も地区の生産組合や、農業委員に携わっていた経験から申しますと、よく言われるのが担い手の問題です。担い手がいなくはないのですが、後継者になれない、ならない。親父はやっているけど、せがれは、「もう農業なんか・・」ということで、もう、農地を放棄せざるを得ないというような状況になっているところも、結構あります。

 農地が重荷になって農業を続けられないような場合、海老名の場合は、農業委員会のOBが在籍する農業活性化事業組合があります。私も仲間に入っていました。「土地が荒れるということでもったいないけれど、やり手がいないからどうしよう」という時に、そういう団体が引き受け手になって、生産者が、「また作れるようになったから返してくれ」といった場合は、無条件で個人に返すというような条件で、大豆を作ったり、小麦を作ったり、或いは、田んぼを作るようなことをやっています。実際の需給バランスですけれども、もう手放して楽になりたいというところも結構あります。

 あとは地区に熱心な農業をやっている何人かの団体がありまして、耕作を業務委託してやるという団体もあります。それでもだんだんできなくなってくるところはありますが、助け合いも大事です。 

 農地が欲しい人と、農地を手放すのはちょっと精神的にきついけど貸すのはいいよという状況は、農業委員会などが状況をよくわかっていると思います。 おそらく、他の市町村も同じようなことをやっておられるとは思うのですが、そうしたことをうまくつないで、情報のキャッチがうまくできれば、やりたいという人も入っていけるのではないかと思います。 農地は借りられない、作れないなどの制限がありますから、そういうところは行政が、うまく解消する部分も必要だと思います。

知事

 非常にいいご指摘だと思います。農地がなくて困っている人と、もう農地を手放したいという人がうまくマッチングできれば、対処することができそうですよね。この辺りはどうなっているのでしょうか。

農業振興課長

 ご意見ありがとうございます。まさにそのとおりですね。やはり、農地を任せたいという人と、農地がほしいという方のマッチングというのが一番重要になってくるのかなと思います。市町村では、農業委員会というところがこの役割を担っているというところがありまして、市町村や農業委員会、就農支援センターなどにもぜひ、ご相談をいただければなと思います。

知事

 マッチング、非常にいいキーワードですよね。ありがとうございました。 他にはいかがでしょうか。はい。どうぞ。

参加者6

 相原高等学校から参りました。 事例発表者のお三方、貴重な発表をありがとうございました。

 日比野さんに質問いたします。本校にも畜産科学科がありまして、本日来させていただいている生徒も畜産科学科の生徒になります。本校でもお肉や卵を生産したり、部活動や課題研究の一環で、加工品を作ったりしているのですが、それを外部へ出すことで、もっと私たちの学校の生産物について知ってもらいたいという思いがあります。ですが、生産者の立場に立ってみると、外部に出すのが難しいことがあり、どう連携をとればいいかわからない部分が多くあり、結果的に、外部との連携が小さいものになってしまっている課題があると感じています。

 日比野さんは、設計会社でありながら、食と農をつなぐことに対して非常に熱意をもって取り組まれていると感じました。そこで、日比野さんがいろいろな物事をする原動力はどこから来るのかということをお聞きしたいです。 

知事

 ありがとうございます。日比野さんいかがですか。

事例発表者:日比野氏

 やはり、誰かが喜んでくれるとか、誰かが困っていることを誰かが助けるとか、地域で人の善意が回って、かつ、お金が回るとか、そういう仕組みがあることで、地域がポジティブになっていくことが見えるので、それが比較的、原動力になっていると思います。

知事

 今日は、中央農業高等学校の先生にもお越しいただいていますよね。小笠原先生に聞いてみましょうか。先ほど少し話がありましたが、高校で作ったものを外で売るというのは、なかなか難しいところがあるのでしょうか。

中央農業高等学校 小笠原先生

 相原高等学校は様々な企業と連携して、特に先進的に取り組まれていると思います。

 特に、相原高等学校では「相原牛乳」というものがあります。近くの卒業生の牧場が、もともと6次産業化に取り組んでいまして、ほとんど例がないのですが、自分たちで生産した牛乳を、自分たちで殺菌・瓶詰めして売るという取組をされています。県内でもそうした取組をされているところはほとんどないです。

 また、豚肉や牛肉でレトルトカレーを作って販売するなど、先進的に取り組まれています。

 ただ、高校という学校の規模からすると生産物をつくれる量に限りがあります。

 生産に力を入れてしまうと、なかなか授業で教えたいところに手が回らないことあります。一方で、販売される方についてはある程度まとまった量を継続して欲しいところがあったりするので、そこの両立がやはり難しいところはあります。今日、本校の食品を販売させていただきましたが、このように色々な場面で販売し、消費者の方から直接、感想をもらうことは本当に勉強になることだと思いますので、積極的に取り組んでいければと思います。

知事

 すごいことですよね。高校生が作ったものを、そのまま店で売っているというのはね。 相原高等学校、すごく先進的に取り組まれていると思います。ありがとうございました。 はい。他にはいかがでしょうか。どうぞ。

参加者7

 厚木市から参りました。よろしくお願いします。

 私たち農業をやっておりまして、6次化を進めています。特区のような特別扱いをしていただけないかなという、神奈川県へのお願いです。

 僕の場合、サラリーマンから新規就農で全く畑違いのところで新たに入ってきました。

 その中で、生産したものを、日比野さんたちにいっぱい使っていただいてはいますが、それでも、形が悪くて、捨てざるをえなかったりとか、いろんなところに持っていくタイミングが合わなかったりして、どうしても廃棄してしまう野菜が出てきてしまいます。

 そこで6次化を考えて、加工業を私の方でやってはいますが、その加工業を取るのにものすごく大変な、食品衛生法というのがあります。

 食の安全を守るためにもすごく大事なルールではありますが、農家さんが雨の日が続いて畑作業ができないから、余っちゃったこの野菜をちょっと加工して食品にして、収益を上げたいなというように思ったときにその法律の壁がものすごく大きく感じます。例えば、通常の月曜日から金曜日まで通常稼働するところと同じ規模の設備を整える必要があります。

 うちには鶏もいます。卵を産まなくなってしまった鶏を愛玩動物(あいがんどうぶつ)として、販売したいのですが、動物愛護法に引っかかってしまい、廃鶏をペットとして販売したいというときにはペットショップと同じ規模の資格や設備が必要です。 こういったものを何かお金に変えるモデルケースがつくれないかお伺いしたいです。

知事

 はいありがとうございます。

 県の職員お願いします。

農政課長

 農政課長の納富と申します。ありがとうございます。

 新規就農されて、6次化まで検討されているということで、県では6次産業のサポートセンターがありまして、いろんなアイディアのご相談を受け付けております。そこでご相談いただいていくのがいいのかなと思います。

 確かに食品衛生法については近年改正されまして、非常に小規模なところはやりにくくなってきています。県の農業技術センターとかがその法律に合ったような形で、指導しているところです。ただやはり神奈川県農業生産のロットが小さいっていうところが、課題になります。

 最近、6次産業化のサポートセンターでも小規模な場合は、周りにいろんな業者があるというのも神奈川の特徴ですので、いわゆるOEMに出すなどおすすめさせていただいているところですので、ご検討いただければと思います。

知事

 先ほどマルシェのところで6次化がすごくうまくいってらっしゃる農家さんいらっしゃいましたよね?

参加者5

 6次産業化ということで、生産品がありますと、1次品を買っていただくわけですよね。

 ですから、フェアトレードという言葉がありますけど、どうしても正当な評価をしていただけないということで、農家の人がプライドを持てないという現状があります。 私どもはいろいろ考えまして、これは自分自身で、生産品を加工、付加価値をつけて販売することもありました。

 そして、生産緑地法という法が、平成29年に30年ぶりに改正されました。違った区域内にある農地、それが生産緑地にできるだけマッチングし、市区町村の首長さんが支援すると生産できやすくなり、固定資産税が大幅に低くなるので、継続的にしやすくなります。

 そして、自分の作った生産品を加工する場所、販売する場所、或いはそれを、食材にした食堂が出来ますよということで、私は、手を挙げました。神奈川県の農政課・都市計画課・建築指導課の皆さま方にバックアップしていただきまして、この12月に農家レストランが神奈川県で第一号としてできることになりました。

知事

 おめでとうございます。お店の名前は何というのですか。 

参加者5

 お店の名前は「やと」といいます。

知事

  皆さん覚えておきましょう。

 これ今、6次化というお話しがありましたが、農家さんのみなさんは一次産業ですよね。これを自分で作られたものを、自分で加工して、自分で、レストランの食材として出す。

 農家がレストランをやっちゃうっていうことは、前はなかなかできなかったですよね。今は特区じゃなくてもできるのですか?

農政課長

 以前は特区でということでしたけど、特区法の中で全国展開された事例となっております。今は特区扱いでなく、農家レストランはできることとなっています。

知事

 法律の壁っていうのがありますが、そこはおかしいでしょうという意見で、法律が変わっていくということですね。だから今日いただいたご意見は次なるステージに進むきっかけになったと思います。はい、どうぞ。

参加者8

 お三方とも素晴らしい講演ありがとうございます。相模原中等教育学校から参りました。

 僕の学校は相模大野にあります。横浜に住んでいまして、毎日電車を使って、通学していますが、一切通学路に田んぼがなくて、対話の広場みたいな場所にこないと、食と農を考える機会がありません。日比野さんが、経済を絡めてお話をされたので、質問したいです。 日比野さんの「地元食品は価格が高くなるけれど、消費者の人に行き届くようにしよう」という環境に配慮した考え方は、大変素晴らしいと思いますが、正直限界があると思います。環境に配慮しないかつ金銭面を重視する消費者は、安い食品を買うことは当たり前だと思います。

 県や国などの規模で食料自給率を考えたとき、レストランにできることは、あまりにも焼け石に水だと思うところです。

 だから、将来的にこういう素晴らしい取組をどんどん広げて、自然と消費者が、環境に配慮した食品を買うような仕組みを作ることが必要不可欠だと思います。

 日比野さんにお伺いしたいのは、その方法として、例えば県の補助金、企業と提携、新たにレストランを出すとか、いろんなことがあると思いますが、どういう方法が最適で効率がいいというお考えをお持ちなのか聞きたいです。 中央農業高等学校の方には、牛を育てて文化祭で販売されるというお話でしたが、具体的にどれぐらい利益が出るのか教えていただければと思います。

事例発表者:日比野氏

 僕が社員の食事を、レストランを作って出すことをやって、社員の満足度が上がったと思っています。

 そういう意味で、例えば神奈川県内の中小企業や神奈川県に本拠地を置く企業が、社員の食事を他社へ委託するとかではなく、自社で出して、県産の野菜や地元の野菜を使ったりすれば、意外と変わるかもしれないとたまに思ったりします。

 さっき自社の取組でお話ししましたが、保育園を作って、保育園の給食も地元の野菜を使っています。保育園を作ったことも社員にとっての満足度上がっているのではないかと思います。社員にとって、会社の中に子どもたちが常にいると幸福な感じがしますよね。

 だから、中小企業こそ保育園を作るべきだと僕はずっと言っておりまして、保育園を作れば給食が出てきて、給食に県産の野菜や地元の野菜を使うことで、1日の給食で野菜を使う量は少ないかもしれないけど、全県内行ったら結構な量になるのではないかとかと思ったりもします。それが本当に簡単に実現できるかについて、また別の話かもしれないですけどね。

知事

 すごく先進的で面白いですよね。

 全然違う分野にどんどんいって、新たなステージができ上がって、みんな楽しく、盛り上がり、社員の満足度も上がるというお話し。一つの大きなモデルですね。

 さあ、牛はいくらだというお話しはどうでしょう。

事例発表者:金田氏

 はい。ちょっと先生からサポートもらいながらなんですけれども、一応トータル売上としては、50~60万円ほどですが、最初、枝肉にしてもらってから、そのお肉を学校で買い取るという形になるので、そのお肉代として35万円かかって、加工代として10万円ほどかかってしまうので、利益としては5万円ほどになってしまいます。

知事

 はい。ということでした。どうもありがとうございます。

 他にいかがでしょうか。はいどうぞ。

参加者9

 海老名市から来ました。 日比野さん、金田さん、吉澤さんのお話がとてもわかりやすく、自分の身近で、こんな素晴らしい循環の取組がされていることに嬉しく思いました。ありがとうございます。

 気候変動の影響で農産物の収穫や品質、また、酷暑の中で、労働されている農業の方々は、今までとは違う変化が農業にも出ていると聞きます。

 気候変動に対して県としてどのようにして生産者を支えたり、守ったりされているのか伺いたいです。

知事

 これは県に対しての質問ですね。

 酷暑に対する質問、どういう対応をしているかですね。

農政課長

 ご質問ありがとうございます。本当にここ数年ですね夏の暑さすごく大変で、今年は雨がすごく少なかった時期とかもありました。どんどん温暖化が進んでいるというのは事実であります。

 まず地道にあったかくても作れる作物・品種を選定して、普及していく。あとは逆手にとって、いちごとかは冬に暖房して栽培しますが、暖房しないで作れるような、栽培方法の研究をしているところです。さらに、いくつか栽培技術として、夏に暑くて、野菜の芽が出なかったら上をかぶせる資材を工夫して、発芽率を良くするような研究も進めているところです。

知事

 これは県の農業技術センターが様々な研究をしていますよね。今の気候変動にどう対応していくか研究者が研究を進めていますよね。しっかりと乗り越えていきたいですよね。

 はい、ありがとうございました。

畜産課長

 私、畜産課長の佐藤と申します。ご質問ありがとうございます。

 本当に暑熱の状況というのは深刻な状況になっております。

 畜産の現場では、畜舎に扇風機等とミストをつけて涼しい環境を与えて、暑熱の状況をやわらげています。そういったことに対して、県の方では指導をしています。例えば、畜舎の中をサーモグラフィで見ますと、どういう風に熱が溜まっているのか、風抜けがどうなのかということが見える化できますので、どういうふうに扇風機を置いた方がいいのか、現場検証といったことも、やらせていただいているところです。

 ただ、暑熱の状況というのは想像を絶する深刻な状況で、非常に深刻な問題となっています。農家の方たちは一生懸命家畜に快適な環境を与えられるよう努力されていると思いますので、県もそれを指導していきたいと思います。

知事

 その中で、DXとか、実際にいろんなことができると言われていますよね。この農業というものもそういうDXの力によって、もっとこう、今の時代に合わせてできるようなそんな取組って何かやっていますか。

畜産課長

 暑熱とはちょっと限らないですけど、例えば先ほど中央農業高等学校の発表でもあったように、どれだけ餌を食べているか、牛乳をどれだけ出しているのか、即座にデータをとれるような技術がありますので、そういったことも積み重ねて、暑熱の対策の方にも活かせないものか考えています。なかなかこれをやれば大丈夫だっていうことがなく、難しいなというところを感じているところです。

知事

 農業DXってことで、思い当たることはありませんか。

農政課長

 そうですね。気候変動に限らず、担い手の減少そういったものを解決する1つの方策としてスマート農業というものの推進がございます。

 やはり効率的に作業ができれば、また暑い中で作業する時間を減らせたりすることができますので、農家さんの暑熱の中作業する時間も緩和されるのではないかということがあります。代表的な例としてはトラクターです。GPSで、自動運転というところまではなかなか本県の規模では投資できませんけれども、直進をアシストするだけでも、耕耘の効率が上がります。このような技術の開発、普及推進を努力しているところです。

知事

 先ほどね、彼女たちの発表にもありましたからね、搾乳ロボットを使っているだとか。

 人間がすべてやると大変だけども、ロボットにやってもらう。それも高校生もやっている。そういうことをやっていると暑い中我慢してやることもなくなってくる。そういったDXの力もいれながら新しい農業を作っていくという時代がきますよね。はい、ありがとうございました。次どうぞ。

参加者10

 中央農業高等学校から参りました。日比野様にご質問します。私たちは、活動を知ってもらうために広報活動を行っています。そこで、1日70万件のアクセスや地域の農家の方々の紹介などを行っている日比野様が考える今まで一番効果があった広報活動は何かありますか。

知事

 それは私も関心がありますね。すごいですよね。どうしたらいいのでしょうか。

事例発表者:日比野氏

 農業のヒットではありませんでしたが、70万件は私たちの建築にフォーカスが当たったものでした。今は、本当にSNS時代で、いわゆるバズルみたいな状況になっており、なかなか意図として、起こせるものではないと思うので、僕があまりアドバイスできるような立場ではないと思っています。

 しかし、いつも思っているのは、例えば、農家さんが大事に作ってきたストーリーがあっても、意外とそのストーリーが伝わっていなかったり、見せ方があまり上手ではなかったりするということが往々にしてあります。やはり、専門家ではないので、そういったことができないのは当たり前のことです。そこで、何かそういうところの見せ方を少し工夫してあげるだけでも、多くの人に伝わって、何かを知ってもらうきっかけがもっと増えていく。すると何かが起きるのではないか、ということをいつも思っています。

知事

 とっても大事なことですよね。農業に関心あって投稿を見たのではなく、設計に関心があって投稿を見ていたのに、農業の投稿を見ていた。そういうのってとても大事です。それが、広がっていくというね。70万件、すごいですね。はい。どうぞ。

参加者11

 藤沢から参りました。農業の形態とエネルギー問題に絡めてお話させて頂きたいです。 近年、やはり環境変動があり、農業も大変な状況だと思います。例えば、ごみ処理場の熱を使ってバイナリー発電をする際、冷却水を利用すると思います。冷却するときの熱を使い、温室みたいなものを作って、農業をしていく。そして、そこで発達障がいの方などの障がい者の雇用をして、さらに温室でできたものを、県内などの小学校や中学校に給食として提供する。余ったものを、加工して販売するといった販売形態は、官民揃って実現しないとできないような、農業形態などもあると思うのです。こういった問題について、提案ですが、どちらにご相談すればいいのでしょうか。

知事

 それはどこか、やっているところがあるのですか。

参加者11

 バイナリー発電は、パルシステムさんが東北の温泉の熱を使って行っていて、60度ぐらいの温度があれば、気化する液体があり、それでタービンを回すのですが、水で冷やすと気化したものが液体に戻ります。ごみが出ないままずっと、永続的に循環するバイナリー発電というものがあるのですが、そういうものを今、プールの熱を使われていることが多いかと思うのですが、プールも兼ねて、何か温室みたいな施設ができると何かちょっと面白いのかなと思いました。

知事

 すごいアイディアですよね。職員、誰か答えられますか。そういう可能性を農業問題、エネルギー問題、障害者雇用の問題など様々な問題にも繋げていくというね。

農政課長

 少々広すぎてなかなか難しいですが、アイディアとして可能な部分もあり、話は繋がっていると感じます。ただし、個々のところにどれだけの設備投資がいるか、継続的なものとしてまわしていけるかについて、やはり相当な規模感がないと難しく、そういった規模感のものを生み出していくことにも、相当なリスクもあると思いますが、参考になるお話だと思います。

知事

 すごいアイディアです。素晴らしいですよね。

 次の方、どうぞ。

参加者12

 ありがとうございます。海老名市在住です。

 私は実家が農業をやっているものでして、日比野さんのお話も、農業学校の生徒さんの話も興味深く聞かせていただきました。

 今日は、知事に質問があります。知事は、日米地位協定の問題にも取り組んでいらっしゃると認識しているので、聞きたかったのですが、2024年に食料・農業・農村基本法というものができました。その法というのが有事のときには、飢えさせないために、「お花屋さんでもジャガイモを作ってね」みたいな、そういったことをお願いできる法だと思うのですが、食と農の皆さんの未来を考えたときに、平和問題と絡めて、神奈川県は沖縄に次ぐ、第2の基地保有県でありますし、環境問題、エネルギー問題などを加味して、知事の今後のアイディアや何かお考えがあれば、ぜひ聞かせていただきたいです。お願いいたします。

知事

 すごい話が飛び出してきましたね。

 日米地位協定そのものは、我々も改定すべきだということをずっと繰り返し言っています。日米地位協定、日本には基地がたくさんありますよね。例えば犯罪が起こったときに、日本の国内法をそのまま適用できないという壁があって、これやはり地元にとっても大きな問題になったりするわけですよね。「これおかしいな」ということでずっと、我々は日米地位協定の改定を言っています。私、渉外知事会の会長という立場です。渉外知事会というのは、基地がある都道府県の知事の会長ですね。そこでまとめて、地位協定は改定すべきだと言っているところですが、なかなかハードル高いという中での1つの物語であると思います。

 この問題だけでどうこうするだけではなくて、やはり食料安保ということ、経済安保ということは非常に注目されていますから、そういうことに絡めながら、そういった問題もしっかり考えていきたいと思いますね。ありがとうございました。

参加者13

 有馬高等学校から参りました。今回、有馬高等学校でSDGsの取組の特集をしているのですが、日比野さんや中央農業高等学校さんはどういったSDGsの取組をしているのかを聞いてみたいです。

事例発表者:日比野氏

 我々は、さきほど少しプレゼンで言いましたが、社員の食事と保育園とレストラン、さらに野菜販売という、チャンネルを持っています。なので、例えば、別に成形の野菜じゃなくてもよくて、余ったら余ったで、それぞれのところで消費していけるモデルになっています。そのため、社内では、野菜のロス率がほとんどない状況を作っており、システムができていますね。

事例発表者:金田氏

 まさに、ゲロロのことがSDGsに繋がっています。食品ロスを少なくするところで、オス牛が淘汰されてしまうのを防いでいます。各農家さんから出る、規格外野菜などを寄付したりして、食品ロスを防いだり、ゲロロ自体が淘汰されることなく肥育して販売するという取組ですね。

知事

 もう時間が、なくなってまいりましたけども、今日はお2人の県議会議員が、来てくれています。こういう議論を聞かれて感想など、なにかあれば一言お願いしようと思いますね。

県議 さとう知一 氏

 ありがとうございます。私は、厚木市と愛川町と清川村を選挙区としている県議会議員なので、県央地区で顔を出させていただきました。大変勉強になりました。実は、私、高校卒業してすぐに18歳でニュージーランドにいって、農場で働いてですね、自分で育てた豚などを食べたりしていました。  中央農業高等学校の学生さんのですね、活動も伺っておりますし、SDGsの観点からもしっかりとしており、お二人ともありがとうございました。

県議 相原しほ 氏

 今日、特別委員会の視察がありまして、参加しました。海老名市選出の県議会議員の相原しほと申します。 私も、中央農業高等学校のすぐそばに実は、小さい頃住んでいて、よく学校に忍び込んで遊びに行っていました。牛なども当時は触らせてくれることがあったので、すごく身近に感じていて、取組もメロン作ったり、味噌を作ったりだとか、陰ながら応援をさせていただいておりました。 今日、皆さん素晴らしい発想で取り組まれている。そして、皆さん質問された方、高校生が本当に多かったと思いますが、いろんな発想があったなと思っています。私、教育のところを一生懸命頑張っている中で、そういう皆さんの発想、質問、意見というのを、自分自身を取り込んで、今後とも頑張っていきたいと思いました。今日は素晴らしかったです。

知事によるまとめ

知事

 ありがとうございました。どうですか。高校生と世代を超えてこうやって語り合う場というのは、なかなかいいでしょう。高校生の皆さんの発想、質問、意見にものすごく我々も触発されるし、我々の事務方も一体となりながら、一生懸命答えていたということがありました。今回いただいた話は、全部ヒントとして持って帰りますからね。

matome 最後ちょっとこの絵を見ていただきましょうかね。「いのち輝く神奈川」ずっと言ってきています。10年半前に立候補してからずっと言っていますが、いのち輝くために何が大事ですかということですね。まず、医療が充実する、これ大事ですね。しかし、医療がいくら充実しても、いのちは輝かない。いのちを輝かせるためには、食、今日の大きなテーマでしたね。豊かな食、安全な食もしっかりとなかったなら、いのちは輝かないでしょうということです。それを支える農業もしっかりできていないといのちは輝かない。エネルギー、今日エネルギーの話がありましたね。エネルギーだってちゃんとあるからこそ、いろいろと回っていくのであって、環境問題、汚い環境の中だったら、公害だらけで、いのちは輝かないですよね。労働条件、みんないきいきと働ける労働条件のある産業界がしっかり動いているということが大事。まちづくりというテーマ、これ非常に大事ですよね。あと教育の問題、ともに生きる共生ってこういう意味。こういうものは、全部繋がっていないといのちは輝かないということですよね。

 ところが、一個一個のテーマでいくと、国の担当している役所が全然違いますよね。

 医療は厚生労働省、食は経済産業省や農林水産省、農業は農林水産省、エネルギーは環境省、厚生労働省と全部役割が違う。役所が違うと、どうしてもその縦割りという問題が出てきますよね。それがいけない。つなげて考えようっていうのが、「いのち輝く神奈川」というのが、我々が言ってきたことですね。

 今日、そういう話に満ち溢れていましたね。私はすごくうれしかった。日比野さんの最初の話もそうですよね。設計をやっている方々が、まちづくりから環境もやっていること、それが食の問題と繋がって、保育園の問題、教育の問題、これにも繋がって、そうすると命は輝いていくということを実践されているということですよね。さっきエネルギーの話がでてきましたけども、これはやっぱり一連の流れの中で考えようと思うわけですね。ですから我々、神奈川が一体となって考え、この理念を実現していきたいと思っています。 そして、1年半後には、「GREEN×EXPO」という万博が横浜で開かれますからね。大阪関西万博がありましたが、次は横浜で「GREEN×EXPO」ですからね。その中で、これを英語にした「Vibrant INOCHI」というメッセージを神奈川県、出そうと準備をしていますので、ぜひこれから、皆さん「GREEN×EXPO」、神奈川県全員参加をもってやりますので、そこで盛り上げて「Vibrant INOCHI」を全世界に向けて発信したいと思っています。本日は、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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