最近、賃貸住宅の退去時の原状回復についての相談が増加傾向にあること、また平成16年2月に国土交通省及び一般財団法人不動産適正取引推進機構が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の改訂を行ったことなどから、首都圏の神奈川県、埼玉県、千葉県の3県で協議した結果、別紙のとおり宅地建物取引業法に基づく建物賃貸借の重要事項説明等について3県における共通の取り扱いとしましたので、お知らせします。
平成16年9月10日
建物賃貸借の重要事項説明等について
埼玉県県土整備部長
千葉県県土整備部長
神奈川県県土整備部長
宅地建物取引業者は、建物(居住の用に供するものに限る。)の賃貸借契約の成立前において、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第35条第1項第12号の規定による同法施行規則第16条の4の2第7号で規定する「契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項」に関連して、原状回復費用として敷金が充当される予定があることを説明する際には、国土交通省及び財団法人不動産適正取引推進機構により作成された「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(改訂版)」(以下「ガイドライン」という。)を参考とし、建物を借りようとする者に対して、次の1及び2について説明し、原状回復に係る紛争の未然防止に努められたい。
- ガイドラインでは、敷金精算に当たっての原状回復を、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義していること。
- ガイドラインで示す賃借人の負担の範囲を超える特別な負担を課す特約を付す場合、その特約の具体的な内容。
なお、2の特約が付される場合、宅地建物取引業者は、ガイドラインでは「経年変化や通常損耗に対する修繕義務等を賃借人に負担させる特約は、賃借人に法律上、社会通念上の義務とは別個の新たな義務を課すことになるため、次の要件を満たしていなければ効力を争われることに十分留意すべきである」としていることについて、賃貸人に助言することが望ましい。
(賃借人に特別な負担を課す特約の要件)
- 特約の必要があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
- 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
- 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
また、宅地建物取引業者が賃貸借契約書を作成する場合、賃貸住宅標準契約書(平成5年3月9日建設省建設経済局長・住宅局長から都道府県知事あて通知)を活用されるよう努められたい。
本文ここで終了