更新日:2023年10月19日

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令和4年 本年の報告・勧告の概要と給与勧告のしくみ

 

Ⅰ 本年の報告・勧告の概要

報告・勧告のポイント

1 本年の給与改定
~月例給、ボーナスともに引上げ~

  • 月例給の公民給与の較差1,064円(0.27%)を解消するため、本年4月に遡及して、給料表の一部を引上げ改定するとともに、地域手当の支給割合を12.05%に引上げ

  • 特別給(ボーナス)を0.10月引上げ

2 給与カーブの見直し

  • 令和5年4月1日から、地域手当の支給割合を12.09%に引上げ

報告及び勧告の内容

1 職員給与と民間給与との比較

(1) 月例給(毎月きまって支給される給与)

 職員※1と、これに類似する民間従業員(事務・技術関係職種)の本年4月分の給与月額について、役職段階、学歴、年齢が同じ者同士を比較(ともに本年度の新規学卒の採用者を除く。)

職員の給与(A) 民間従業員の給与(B) (B)ー(A)
較差額 較差率※2
390,037円 391,101円 1,064円 0.27%

※1 職員給与算定の対象となる行政職給料表(1)及び学校行政職給料表適用職員(行政職員)
※2 民間従業員の平均給与月額が、公民比較の対象となる行政職員の平均給与月額を、どの程度上回っている(又は下回っている)かを示した割合

(2) 特別給(ボーナス)

 職員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数と昨年8月から本年7月までの1年間に民間従業員に支給された特別給(ボーナス)の支給月数を比較

職員の支給月数(A) 民間従業員の支給月数(B) (B)ー(A)
4.30月 4.40月※3 0.10月

※3 昨年8月から本年7月までの実績である4.42月分について、国に準じて0.05月ごとの区切りとなるよう小数点以下第2位を二捨三入、七捨八入し、4.40月とした。

2 本年の給与改定

(1) 月例給(毎月きまって支給される給与)

 本年4月分の職員の給与と民間従業員の給与との均衡を図るため、同月に遡及して給料表及び地域手当の支給割合を引上げ改定

ア 行政職給料表(1)・学校行政職給料表
項目 内容 改定額 改定率※4
給料表改定
  •  人材確保の観点等から、高校卒業程度の試験に係る初任給について4,000円、大学卒業程度の試験に係る初任給について3,000円、それぞれ引き上げ
  •  20歳台半ばに重点を置き、30歳台半ばまでの若年層職員が多く在職する級号給を引上げ
790円 0.20%

地域手当

支給割合を0.05%引上げ 169円 0.05%
はね返り分 給料月額等を算定基礎としている諸手当(地域手当等)の額が、給料表の改定に伴い増減する分 95円 0.02%
1,054円 0.27%

※4 行政職員(今年度の新規学卒の採用者を含む。)を対象に、給与改定を行った後の平均給与月額が、改定前の平均給与月額をどの程度上回る(又は下回っている)かを示した割合

イ その他の給料表(公安職給料表、教育職給料表等)

行政職給料表(1)との均衡を基本に改定

(2) 特別給(ボーナス)

ア 民間の特別給との均衡を図るため、支給月数を0.10月引上げ(4.30月→4.40月)

イ 民間の支給状況を踏まえつつ、勤務実績をより給与に反映する取組みを推進するため、支給月数の引上げ分を勤勉手当に配分

ウ 本年度については、12月期の勤勉手当に配分し、令和5年度以降においては、6月期及び12月期の勤勉手当が均等になるよう支給月数を決定

一般の職員の場合の支給月数

  6月期 12月期 年間
令和4年度 期末手当 1.20月
(支給済み)
1.20月
(改定なし)
4.40月
(現行4.30月)
勤勉手当 0.95月
(支給済み)
1.05月
(現行0.95月)
令和5年度以降 期末手当 1.20月 1.20月 4.40月
勤勉手当 1.00月 1.00月

 

【参考】
  • 勧告どおり給与改定が実施された場合の行政職員の平均年間給与への影響
改定前 改定後 差額
6,337千円 6,393千円 56千円

※ 令和4年4月から令和5年3月までの平均年間給与額

  • 人件費への影響額 約39億円(一般会計及び公営企業会計の計)

3 給与カーブの見直し(地域手当の支給割合引上げ)

  •  令和4年4月に、職務と責任に応じた給与制度とするよう給料表の見直しを実施。この見直しに伴い生ずる給与原資を再配分するため、令和5年4月1日から、地域手当の支給割合を12.09%に引上げ
  •  令和6年度以降の支給割合は、引き続き、較差解消、経過措置の状況等を注視し、令和5年以降の報告・勧告において言及

4 県立学校における新たな職(総括校長)の管理職手当

  •  本県教育委員会では、学校経営力の一層の強化を図ることを目的に、新たな職である総括校長を令和5年4月から設置し、任命権者において管理職手当の引上げを検討
  •  本委員会としては、地方公務員法の定める職務給の原則を踏まえ、総括校長の職務の複雑及び困難の度や職責に応じた適切な処遇の確保を要請するとともに、管理職手当を引き上げる場合には、県民の理解と納得を得る説明責任を果たすよう言及

5 公務運営

(1) 人材の確保・育成
ア 多様な人材の確保と採用制度

(ア) 6月実施のⅠ種試験等よりも実施時期を早めた早期Ⅰ種試験等を導入。引き続き、民間企業、国等の動向も踏まえた採用試験等の見直しにより人材を確保

(イ) 職員採用試験に向けた説明会など、様々な場面でオンラインを積極的に活用し、本県行政に携わることの魅力等について、県内外へ情報発信。今後も任命権者と連携し、説明会の充実や職員採用ホームページの見直しなど、広報活動を強化

イ 人材育成とキャリア形成

 任命権者において、昨年度から研修事業体系を変更するとともに、研修のオンライン化を推進し、職員の研修機会を確保。今後も、職員の能力向上と主体性を踏まえたキャリア形成が可能となるよう研修事業の更なる充実を期待

ウ 多様な人材の活躍推進

(ア) 次世代育成支援・女性活躍推進に関する職員行動計画に掲げた数値目標の達成に向け、任命権者において、実効性のある取組を一層推進するとともに、職員の採用状況や職員全体の年齢構成等も踏まえた取組を進めることを期待

(イ) 採用選考時における障がい者の特性に応じた受験環境の配慮を推進。任命権者において、障がい者の計画的な採用、採用後の配置や育成に当たって合理的配慮等、取組を推進することを要請

(2) 働き方改革と勤務環境の整備
ア 働き方改革による長時間労働是正等の取組

(ア) 新型コロナウイルス感染症対策関連業務等のため、昨年度、上限時間等を超えて時間外勤務を行った職員が増加。上限時間等の特例の範囲は、業務の状況を考慮して必要最小限とするよう留意が必要。任命権者において、所属長等の適切な関与・指示のもと、事務事業や業務分担の見直し、人員の適切な配置など長時間労働の是正に向けた取組をより一層推進することを要請

(イ) 教員の多忙化の解消に向け、本県教育委員会において、在校等時間を適切に把握した上で、教員の業務の明確化・適正化を進め、教員の負担を軽減するよう要請。業務アシスタントやスクールカウンセラー等、外部人材を引き続き積極的に活用していくことも重要

イ 仕事と家庭の両立支援と職員が能力をより発揮できる勤務環境の整備

(ア) 任命権者において、子育てや介護を行う職員を支援する制度が利用しやすくなるよう、職場環境を整備するとともに、子育てや介護に対する職員の理解を深め、職員が安心して仕事との両立に取り組めるよう、更なる普及、啓発を行っていくことが重要

(イ) コロナ禍において進展したテレワークの利用促進や拡大時差出勤制度の拡充など多様で柔軟な働き方を進めることは、全ての職員のワーク・ライフ・バランスの実現と、その能力の十分な発揮につながるもの。任命権者において、こうした働き方の更なる促進に向けて、国等の状況も勘案しながら、フレックスタイム制の導入の検討を含め、多様で柔軟な働き方を可能とする様々な取組を引き続き進めていくことを期待

ウ 健康管理対策の推進

 過重労働による職員の健康への影響が懸念されることから、産業医による面接指導等を通じて心身の状況を把握するなど、着実に職員の健康管理に取り組むことが重要。任命権者において、職員の心身両面にわたる健康の保持、増進を図る取組を一層推進していくことを期待

エ 職場におけるハラスメントの防止

 ハラスメントを根絶するためには、全職員がハラスメントに正面から向き合い、その防止に努めることが重要。任命権者において、引き続きハラスメント防止に向けた取組を着実に進め、ハラスメントのない職場の実現を図ることを要請

Ⅱ 給与勧告のしくみ

1 給与勧告の対象職員の状況等(令和4年4月1日現在)

【給与勧告の対象職員数】

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注 職員の給与及び通勤に要する費用の弁償に関する条例、学校職員の給与等に関する条例、任期付研究員の採用等に関する条例及び任期付職員の採用等に関する条例の適用を受ける職員を対象(企業行政職給料表及び技能職給料表の適用を受ける職員は対象外)

【職員数】

区分 職員数 構成比
一般職員 10,261人 22.2%
(一般職員のうち行政職員※) (8,915人) (19.3%)
教育職員 20,514人 44.4%
警察官 15,462人 33.4%
総計 46,237人 100%

 行政職給料表(1)及び学校行政職給料表(県立学校や県費負担(法に基づき給与の一部を県が負担)の市町村立学校に勤務する事務職員に適用)の適用職員 

前年度の対象職員数・構成比

区分 職員数 構成比
一般職員 10,121人 21.9%
教育職員 20,659人 44.7%
警察官 15,429人 33.4%
総計 46,209人 100.0%

【学歴別構成割合】

区分 大学卒 短大卒 高校卒 中学卒
全職員 73.8% 6.1% 20.0% 0.1%
行政職員 71.6% 7.6% 20.2% 0.6%

【性別構成割合】

区分
全職員 65.8% 34.2%
行政職員 58.7% 41.3%

【平均年齢】

区分 平均年齢
全職員 39.4歳
行政職員 41.7歳

2 給与勧告の基本的な考え方

  •  公務員は民間の従業員とは異なり、団体交渉権、争議権の一部が制約されているため、その代償措置として、地方公務員法に基づき人事委員会による給与勧告制度が設けられています。この制度は職員の給与について、県民の理解と納得を得る重要な役割を担っています。
  •  そのため、本委員会は、職員の給与を、国家公務員の給与との均衡も考慮しつつ、その時々の生計費、経済・雇用情勢等を反映した民間従業員の給与と均衡させることが基本であると考えています。
  •  また、毎月支払われる月例給については、民間の従業員と職員の4月分の給与を調査して比較し、特別給(ボーナス)については、過去1年間の民間の支給月数を調査して職員の1年間の支給月数と比較した上で、給与勧告を行っています。
  •  この方法は、情勢適応の原則や均衡の原則など、給与決定の原則に則った最も合理的な方法と考えられています。

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3 民間給与の調査対象

  •  企業規模50人以上(図1)、かつ事業所規模50人以上の県内3,073事業所(図2)のうち、層化無作為抽出法(図3)により抽出した688事業所(図4)を対象に、事務・技術関係職種等32,347人の本年4月に支払われた給与月額等を調査しました。

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【抽出前】企業規模別の調査対象事業所

企業規模 事業所数 割合
調査対象事業所 3,073事業所 100%
500人以上 1,572事業所 51.2%
100人以上500人未満 1,107事業所 36.0%
50人以上100人未満 394事業所 12.8%

【抽出後】企業規模別の調査対象事業所

企業規模 事業所数 割合
調査対象事業所 688事業所 100%
500人以上 343事業所 49.9%
100人以上500人未満 257事業所 37.4%
50人以上100人未満 88事業所 12.8%

 

注 割合は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、100.0%にならない場合がある

4 民間給与との比較方法(ラスパイレス方式)

  •  本委員会は、一般の行政事務を行っている職員(行政職給料表(1)及び学校行政職給料表の適用職員)と、これに類似すると認められる事務・技術関係職種の民間従業員を対象に、主な給与決定要素である役職段階、学歴、年齢を同じくする者同士の4月分の給与月額を対比させ、民間従業員の給与月額を、職員の人員構成に置き換えて算出した平均給与月額(A)と、職員の平均給与月額(B)との精密な比較(ラスパイレス方式)を行っています。

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5 給料表の改定について

  •  本年4月時点で、職員の給与が民間従業員の給与を1,064円(0.27%)下回っていることから、民間従業員の給与との均衡を図るため、職員の給与を改定することにより月例給を引上げ、この格差を解消することとしました。
  •  民間との給与比較を行っている「行政職給料表(1)」及び「学校行政職給料表」の改定に当たっては、人材確保の観点等から、高校卒業程度の試験に係る初任給について4,000円、大学卒業程度の試験に係る初任給について3,000円引き上げるとともに、20歳台半ばに重点を置き、30歳台半ばまでの若年層職員が多く在職する級号給を引き上げることとしました。
  •  行政職給料表(1)の各級号給の改定額、主な職の改定額については、下記(表1)及び(表2)のとおりです。

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【民間との較差について】

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  • 行政職員一人当たりの「改定後の平均給料月額」から「改定前の平均給料月額」を引いた額が790円となります。この額が給料表改定に伴い、まず必要となる額です。
行政職員数(A) 8,915人 令和4年4月1日現在の行政職員数
改定前総額(B) 2,911,586,600円 令和4年4月に支給された行政職員給料月額の総額

改定前平均給料月額(C)【B/A】

326,594円 改定前総額(B)を行政職員数(A)で除した平均給料月額(小数点以下第1位を四捨五入した額)
改定後総額(D) 2,918,625,600円 改定後の行政職員給料月額の総額
改定後平均給料月額(E)【D/A】 327,384円 改定後総額(D)を行政職員数(A)で除した平均給料月額(小数点以下第1位を四捨五入した額)
給料表改定に伴い必要となる額(地域手当等へのはね返り分を除く)【E-C】 790円 改定後平均給料月額(E)を改訂前平均給料月額(C)で引いた額
  •  この790円に、地域手当の169円分と、はね返り分の95円を加えた額が、給料表改定に伴う行政職員一人当たりの平均改定額(1,054円)となります。
  •  「行政職給料表(1)」及び「学校行政職給料表」以外の給料表については、「行政職給料表(1)」との均衡を基本に改定することとしました。

6 最近の給与報告・勧告の状況

月例給 期末・勤勉手当
公民較差 年間支給月数 対前年比増減
平成25年 0.07%(298円) 勧告なし(改定なし) 3.95月 勧告なし(改定なし)
平成26年 0.42%(1,698円) 引上げ 4.10月 +0.15月
平成27年 0.68%(2,736円) 引上げ 4.20月 +0.10月
平成28年 0.20%(784円) 引上げ 4.30月 +0.10月
平成29年 0.13%(505円) 引上げ 4.40月 +0.10月
平成30年 0.17%(697円) 引上げ 4.45月 +0.05月
令和元年 0.11%(440円) 引上げ 4.50月 +0.05月
令和2年 △0.01%(△33円) 勧告なし(改定なし) 4.45月 △0.05月
令和3年 0.00%(△16円) 勧告なし(改定なし) 4.30月 △0.15月
令和4年 0.27%(1,064円) 引上げ 4.40月 +0.10月

7 人事委員会とは

 人事委員会は、地方公務員法の定めるところにより設置され、3人の委員をもって組織されています。地方公共団体における人事行政の専門性・特殊性の観点から、専門的・中立的機関として権限を行使し、より適正な人事が行われるようにすることが人事委員会の使命です。

 人事委員会の権限は、性格により以下の3つに分類できます。

  1. 行政権限:給与、勤務時間その他の勤務条件に関し講ずべき措置について地方公共団体の議会及び長への勧告、競争試験または選考試験の実施 等
  2. 準司法的権限:勤務条件に係る措置要求の審査、不利益処分の審査請求の審査 等
  3. 準立法的権限:人事委員会規則の制定 等

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