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更新日:2023年5月9日

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第5回みんなのバリアフリー街づくり条例見直し検討会議(会議結果)

会議結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称

第5回神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例見直し検討会議

開催日時

令和4年2月18日(金曜日)14時から15時45分

開催場所

万国橋会議センター402号室及びオンライン

出席者【会長・副会長等】

秋山哲男、石渡和実【副会長】、大原一興【会長】、小野和佳、金子修司、川口將明、河原雅浩、久保村俊哉(小山遊子代理出席)、鈴木孝幸、西尾佳章、山口英生、吉富多美〔五十音順、敬称略〕

所属名

地域福祉課 調整グループ

電話 045-210-4804(直通)

ファックス 045-210-8874

掲載形式

議事録

審議(会議)経過

(事務局)
はじめに、県の地域福祉課長の垣中からご挨拶申し上げます。

(垣中課長)
皆様こんにちは。地域福祉課長の垣中でございます。
本日はお忙しい中、また、新型コロナウイルス感染症への対応など難しい状況の中、「第5回神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例見直し検討会議」にご出席いただき、心より感謝申し上げます。
さて、本会議は、条例を常に時代に合致したものとするために、施行後5年ごとに条例の見直しを行うという、県庁全体の規定に基づいて行うものでございまして、前回会議までご議論いただき取りまとめた「条例見直し調書」は、昨年10月の県議会常任委員会で報告を行ったところです。皆様には多大なご協力を賜り、真にありがとうございました。
「条例見直し調書」において、「改正及び運用の改善等を検討する」との結論に至ったことから、今後、具体の条例の一部改正内容等を検討していく必要があります。
本日は、これまでの議論の経過や関係法令の状況等も踏まえつつ、条例の一部改正の事務局素案を作成しておりますので、ご審議・ご議論のほど、よろしくお願いします。
バリアフリーの街づくりを進めることは、高齢者や障害者、妊産婦の方だけでなく、誰もが暮らしやすく、誰にとってもやさしい街づくりにつながるものであり、県といたしましても、しっかり取組みを進めてまいりたいと存じます。
最後になりますが、県では、5年前に津久井やまゆり園で発生したような事件が二度と繰り返されないよう、県議会とともに「ともに生きる社会かながわ憲章」を策定しました。
これまでも、皆さまには、この憲章の普及に、ご協力をいただいているところですが、引続き、この取組みに、ご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
また、県では、障がい者支援の長期的な将来展望や、当事者目線の障害福祉に係る理念や実践について検討するため、「当事者目線の障がい福祉に係る将来展望委員会」を開催しており、共生社会の実現に向けて、今後、取組を一層推進することとしておりますので、こちらにつきましても、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。
本日は、限られた時間ではありますが、皆様から忌憚のないご意見をいただき、有意義な会議となればと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

(事務局)
本日の出席者は出席者名簿の通りとなっております。
なお、本日は公益社団法人商連かながわの石川委員、公益財団法人神奈川県身体障害者連合会の西川委員、公益財団法人神奈川県老人クラブ連合会の福地委員、社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会の渡邊委員は、ご欠席となっております。
また、この度委員の方の変更がありましたのでご紹介させていただきます。一般社団法人日本民営鉄道協会の滝澤委員に代わりまして、西尾委員です。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の出席委員は定員の半数以上となっており、会議は有効に成立しております。
なお、傍聴につきましては、本日は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の措置のために、傍聴は中止をしております。会議の終了後に、できるだけ速やかに会議結果をホームページに掲載いたしますので、委員の皆様におかれましては、ご協力をよろしくお願いいたします。
会議の公開につきましては、県は、できる限り会議の内容を公開しております。この会議も、議事録を作成しまして、発言者のお名前を記載して公開いたしますので、よろしくお願いいたします。
 また本日は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、オンライン参加と会場参加の委員の方がいらっしゃいます。委員の皆様におかれましてはご不便をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
次に事務局を紹介させていただきます。垣中地域福祉課長、黒川建築指導課長です。どうぞよろしくお願いいたします。
検討会議の事務局は、地域福祉課及び建築指導課の両課で担当させていただいております。どうぞよろしくお願いをいたします。
それでは続きまして、本日の配付資料のご確認をお願いします。
次第、出席者名簿、資料1から4、参考資料1から7でございます。よろしいでしょうか。
それではここからの進行は大原会長にお願いいたします。

(大原会長)
 まず、議題に入る前にご出席の皆様にお諮りしたいことがございます。本日は代理出席の方が1名いらっしゃいますが、委員ご本人の代理ということですので、発言権を付与したいと存じますが、ご異議はございませんか。
 ご異議がないようですので、代理出席の方に発言権を付与することとします。
 さて、議題についてですが、「条例改正素案について」です。前回の第4回の会議で条例見直し調書をまとめて、県の方で出していただいたわけですけれども、このなかで「改正及び運用の改善を検討する」との結論に至ったことから、具体の条例の改正内容について検討していく必要が出ているということです。ずっとその議論に参加された皆さんが引き続き、この具体的な改正を考えていくということになっていますので、今までの経緯はご存知だと思います。
 前回会議までの議論をもとにして、事務局が条例の一部改正案を作成していますので、まずはその内容について、事務局から説明をお願いいたします。

≪事務局より資料説明≫

(大原会長)
 それでは、議論に入りたいと思います。どこからでも構いませんので、気づかれた点、ご意見などありましたらお願いいたします。

(秋山委員)
 些細な事なのですが、資料1の3ページに、「4 情報バリアフリー、アクセシビリティ、災害時対応等」とあります。この中で、「改正の概要等(案)」の部分に情報バリアフリーと情報アクセシビリティという言葉が出てきています。
 バリアフリーと、アクセシビリティという用語の整理をすると良いと思います。
 「バリアフリー」は日本語なんですよね。そうすると英語に訳すときに、アクセシビリティとバリアフリーという2つの用語が出てくると、両方ともアクセシビリティになってしまいます。
 ということで、これをまず見直されてはどうかというのが一つ。
 それから共生社会の根幹に関わることですが、インクルーシブデザインという考え方がどこにも見当たりません。インクルーシブデザインというのは日本語で言うと「障害当事者が建物等の設計において、調査(設計)段階から参画をする」ということです。それが見当たらないということは、本当にこれは当事者目線になっているのかなと思います。参考資料7であるとか、それ以外のところで、しっかり言った方が良いと思います。「当事者目線」について、もっとわかりやすく説明をしたほうがいいのかなと思います。私にはそれが伝わってきませんでした。
いわゆるインクルーシブデザイン、最初から当事者が入ることが規定されていないですよね。それは条例で規定できないかもしれないけれど、そういうことをどこにどう入れるのかなということをお伺いしたいです。

(事務局)
ありがとうございます。まず最初の点、秋山先生がおっしゃる通りでして、情報アクセシビリティ、情報ユーザビリティといったところとの関係と思うのですが、バリアフリー条例だったり、情報バリアフリーという言い方を今までしてきたところがあり、そういう日本語的な部分で、言い方がごちゃごちゃになってしまっているので、それは整理をしたいと思います。
 また、インクルーシブデザインのお話がありました。まずバリアフリー条例について申し上げますと、今までの議論の中で、資料1の6のところで、「設計段階から当事者が参画し、意見を取り入れていくための仕組み作りといったものを今後検討します」ということで、見直しの方向性として入れております。事業では、当事者によるアドバイザー制度など持っていたりするんですが、それ以外にも施策をこれから検討していこうということで対応方針として、皆さんとまとめたということで、条例そのものではないんですけれども、施策の方でそれをやっていこうという話を、議論のなかで皆さんと一旦今後の方向性として出したかと思います。
 それから参考資料7は当事者目線の条例に関する部分ですので、ご指摘、ご意見に関して、関係課にきちんと伝えていきたいと思います。

(秋山委員)
 今おっしゃった、設計段階からという考え方を入れるのはとてもいいことだと思うんですが、もう少しふんばっていただいて、調査段階、計画段階からっていう言葉でないと、本当の意味でのインクルーシブにならないなと思いますので、そこをよろしくお願いします。

(大原会長)
 ありがとうございます。今のところ、非常に重要なことだと思います。インクルーシブデザインの考え方を施策として何らかの形でやっていこうということは、そういう思いがあることはわかるんですが、やっぱり条例のなかに、なぜそういう施策を作るかという根拠になるような考え方が入っていたほうがいいでしょうね。それが今のところ、少し曖昧かもしれません。
 少し思ったのは、第7条のあたりにうまく入れられないかなという気がしています。つまり県民と言う時には当事者を当然含んでいるということなんですけれども、そこに一言添えて、当事者を含む県民が自ら必要とする施設づくりや何かに、調査段階からということは要するに要求をきちんと把握して、それを実現していく、整備していくという一連の過程にすべての県民ができるだけ関われる、そこに当事者含む県民が、というニュアンスがあればどうかと。
今こう変えたらいいという案がはっきり言えませんが、そういったニュアンスをこのあたりに含ませておくのはどうかなと思います。

(秋山委員)
あるいは、第7条の⑴はそのままにして、⑴と⑵の間くらいに「ものを計画、設計する場合には」というような言葉で、そこに考え方を入れたほうが、障害当事者の参画を進めるという流れとして分かりやすいかなと思います。
 県民の中に入れてしまうと、またもう一回書かないといけないかもしれません。

(大原会長)
 では、このあたりを検討して頂くといいと思います。

(石渡委員)
 今の大原先生と秋山先生の議論に関連してなんですが、やっぱり県民のところで当事者も含めて、みたいにすると、すごく特別扱いのような印象を受けるので、秋山先生のおっしゃったように、設計段階、その前の調整段階からちゃんと、と言ったほうがスッと受け止められるかなという印象を受けました。

(金子委員)
 大変重要なお話だと思います。当事者という言葉のなかで、設計する側や、それを作る側、発注する側と色々な人達が入っていて、それが県民という言葉で置き換えられることも考えられるのですが。やはり一番大事なのは、どういうことを目的に作るかということを明確にする。そのためには今論議しているような、ある種のスタンダードを決めておく。そこに合意がないとですね、なかなかうまく進んでいかない感じがして仕方がない。
 さらに言えばそれが決まった段階で、どこまで実現できたらメジャラブルなジャッジができるのか。イエスノーではなくて、70点までいけばいいか、90点まで必要なのか、というあたりを少し論議しておかないと、じゃあやめてしまいますという論議になりそうなので、その辺りは大変重要だと思いますが、ぜひメジャラブルな判断を残すことも考えて、今後の問題としてはいかがでしょうか。

(河原委員)
 おっしゃるように、初めから当事者が参画するということはとても大事なことだと思います。
ぜひとも、当事者が一緒にやるということが必要だとわかる文章を入れていただきたいと思います。
 設計とか調査というと、ハードというか、いわゆる物を作るというイメージがあるのですが、これは全体的な街づくりについての条例なので、例えば一つの施設だけではなくて、色々な施設を含めた全体的な街が利用しやすいものになるように、そのために、例えば大きな都市計画とか、そういったものが最近増えていると思います。一つの施設だけでなく全体的な計画を作るときに、当事者も含めて一緒に考えていくというようなことができるように、そういった文章を入れていただければと思います。
 もう一点、資料1の3ページ、情報バリアフリー、アクセシビリティのところですが、四角囲みの2番目の点の最後に、「個別的内容は条例改正せず、施策として対応する」と書いてあります。細かい内容を条例に全て載せるというのは難しいとは思うのですが、やはり条例の条文のなかに、前もお話ししたかと思うのですが、情報アクセシビリティとか、災害時の対応なども考えなければならないということを条文のなかに、きちんと載せていただきたいと思うのです。
 そうすれば皆さんがそれを見て、「これは考えなければいけないんだ」という気づきが起きると思います。整備ガイドブックに載っているので、これで大丈夫とおっしゃるかもしれませんが、やはり一般の方はこの条例を見るわけですから、条例にはっきり載せていただきたいと思っています。

(鈴木委員)
 やはり色んな街づくりをやっていくなかで、作り始めてから始まったんだということで情報が入っていなかったりするので、やはりあらかじめ事前の調査だったり、こういった工事をするとか、やり直しをするとかいった時には、当事者たちに声をかけていただくというような内容のものを、このあたりで入れておくのは大事だと思いました。

(小野委員)
 ちょっと、これまでの話と変わるかもしれませんが、県の責務と事業者の責務の部分で、配慮と施設整備を明確化するために、「またその」という言葉を入れたというところがありますけれども。私個人的には、先ほど河原委員がおっしゃったように、一般の方がこの条例を見ることを考えると、「またその」という言葉で伝わるのか不安なところがあって、差別解消法の流れとか、権利条約の流れをふまえて作っていくということであれば、施設整備が基礎であるということはわかるんですけども、合理的配慮とか、そうした言葉があってもいいのかなと思ったところでした。
 もう一点は、当事者目線の条例が今後考えられていくということなんですけれども、一障害当事者としては、ポジティブにとらえて良い条例ができるといいなという思いと、この本人の意思決定支援ということに関して、あえて条例を作らなければならない状況になってしまったのかというネガティブな思いと両方混同しているところです。これをわざわざ条例にしなきゃ皆に伝わらないのかというところが、一障害当事者としては、ちょっと思うところがありました。ただ、良い条例になることを期待しているところです。

(大原会長)
 一通り今までのところで言いますと、一つは、皆さんのご意見では、第7条のところで、その参加の概念を入れていく、インクルーシブデザインに向けての考え方を入れていく。その時に今の7条や何かでも施設等の整備ということに比較的限定して書かれているような気がするので、調査段階からの施設要求みたいなものの把握ですね。適切な言葉はこれから考えないといけませんが。そういうような言葉を入れていくということが言われたんじゃないかなと思います。
 それからそれに関連して、3条4条のところの、「配慮し整備を進める」といったあたりが、もう少し考えてみないといけないかなと思います。皆さんの中で、加筆するなどといったうまい解決があれば、ぜひお知恵をいただきたいなと思います。

(秋山委員)
 別の意見でよろしいですか。資料1の1ページ、四角囲みのなかの「バリアフリー法の改正においても共生社会の実現が理念として明確化された」というここの部分です。
共生社会って一体なんだろうという、そこの説明をしないといけないということで、心のバリアフリーと接遇などの説明を今回コラムに入れて、バリアフリー法の改定のパブコメを来週くらいにかける予定です。なぜそれを言い始めたかというと、共生社会は2017年の府省連絡会議というのがありまして、2020年関係省連絡会議で心のバリアフリーと街づくりができて、そこで接遇がさらに促進したりとか、様々なことが変わってきました。競技場の設計もインクルーシブでやり始めたりといったことがあります。ではその背景はどこから来たのかということですが、2001年に作成されたMDGs(ミレニマム・ディベロップメント・ゴールズ)が作られた持続可能な開発の目標のなかで残されたものが2つあって、環境と格差社会です。その格差社会が結構影響していて、それをなんとかしないといけないということで、いわゆる海外の国連障害者権利条約の批准と重なって、そういう流れで共生社会ができたと思います。
ですので、いきなりバリアフリー法で共生社会が、と言われても何がなんだかわからないと思います。なぜ共生社会が必要なのか、もう少し明確に語っておいたほうがよろしいかと思います。そこはぜひ、せっかく良い理念を出しているところですので、たぶんこれは障害者権利条約などをやっている方には当たり前かもしれませんが、バリアフリーの街づくりをやっている人にはほとんどわからないような情報ですので、その情報格差を平準化する、ちゃんとした説明を入れたほうが良いかと思います。

(事務局)
 ありがとうございます。おっしゃる通りかと思います。この会議はすでに5回目ということで、これまでの会議の資料のなかで、権利条約等々ということを入れていたこともあり、今回の資料からは説明を割愛してしまったのですが、今後この資料がベースとなって外部にも出ていくことを考えると、きちんと説明は付記しておきたいと思います。

(鈴木委員)
 心のバリアフリーという記述のなかで、特に教育の分野でどのようにしていくかっていう記述が、見当たらなかったんですが、その辺りのことを、いわゆるバリアフリーの教育を具体的にどうするかっていうことも、記述は条例に盛り込むか別のところに書くのかは別として、入れたほうがいいのではないかというのが一点です。
 2つ目に、こうした建築の改善とか整備する間、やはり周りの人たちの声掛けサポートというようなことが必要になってくると思います。というのも、例えば駅のところで、点字付きブロックがない路線の時に、周りの乗客が障害のある人たちに対して、そういう声掛けサポートなどをしていけば、ハードが完成する以前に、やはり周りが安全を確保できるということになっていくのかなと思うので、ハードが整うまでは、いわゆる人的な支援という形での部分を何らかの形で、条例に盛り込むかそれ以外のところで書くかはわからないのですが、入れていただければいいかと思います。

(秋山委員)
 今のところは私は少し見解が違っていて、ハードがないところは周りの人が手伝ってあげて、というのは悪いことではなくて非常にいいことなんですが、基準とかガイドラインを考える時に、そのことが逆に問題になる可能性があります。というのは、法律で決められたりガイドラインで決められたことをやっていて、その施設が使いにくい場合に役務の提供で周りの人が助ける、あるいはバックアップするというなら良いと思いますが、設備がないところに関しては新たに設備を設けることを前提としつつ、助けるというように書かないとまずいですよね。

(鈴木委員)
そうですね。そう思います。

(秋山委員)
 反論ではなくて、むしろ丁寧に書いた方がいいということです。
 それから、先ほどのバリアフリーとアクセシビリティの関係を整理するうえでの注意点を申し上げておきたいと思います。バリアフリーに関してはバリアフリーで全部通して、情報機器の使い方の時に、情報の機器にアクセスするというアクセシビリティと、情報機器が使いやすい、その中身が使いやすいというユーザビリティがありますので、情報のなかで語る時にアクセシビリティとユーザビリティを使って、それ以外はバリアフリーで通した方が、役所としてはトーンがかなり整うはずだと思います。

(大原会長)
 まず、相互理解などを共生社会づくりのために高めていくということで教育とか啓発が必要ではあるんだけれども、基本的には条例というより施策で対応するというような方針で様々な事業とか普及活動をやっていくということだったかと思います。だから条例ではその辺りのところを触らないことになると。基本的にはバリアフリーは環境的な保証をきちんとしていくためにあるので、それでいいんですけれど、教育普及っていう物理的環境でできないところを補完する人的サービスというわけではなくてですね、バリアフリーそのものに対する理解促進のための教育啓発っていうのは依然として重要だと思うんですね。それはどこかに書かれていましたか。

(事務局)
 今、人的支援とか協力というところで、県民の方や事業者の方に広げていって、そのためのバリアフリー教育というところのお話があったかと思うんですが。今、条例のなかでそういった部分がどこに入っているのかということを申し上げますと、まず県民の責務というところでは、第5条の第2項というところがあります。こちらに「県民は、障害者等の移動及び施設等の利用を確保するために協力するよう努めるとともに、障害者等が安全かつ快適に利用できるよう配慮して整備された施設等の利用の妨げとなる行為をしてはならない。」という規定がありまして、こちらが前回の平成20年の改正の際に、やはりその心のバリアフリーの観点から加えた規定となっていまして、そこでもって皆さんの実際の協力というところを位置付けていると。ちなみに第5条第1項のところが、県民の方々の、バリアフリーに関する自らの役割を認識してやっていかなくてはならないということを位置付けています。
事業者については先ほど申し上げた、第4条の第1項と第2項のところで、その重要性というところから意識してやっていきましょうということで、第2項のところで、施設について安全かつ快適に利用できるよう配慮し、またその整備に努めなければならない、となっております。そして第7条で施策の基本方針として、すべての県民、今ここに「及び事業者」と入れようとしていますけれども、そういった方々が相互に理解を深めて積極的に街づくりに取り組むように意識高揚に努めていく、ということを第7条で規定しているということになっていますので、一応条例上は入ってはいます。ですので、施策としてしっかりやっていく必要があるというふうに認識をしています。

(河原委員)
 確かに、事務局から説明があったように、県民の責務とか事業者の責務というのは、協力するように努めるとか利用の妨げになってはならないというような文章になっていますが、これでは少し固いというか、一般の方にはピンとこないのではないかと思います。
 協力を頼まれたら協力すればいい、また利用の妨げにならなければいい、というようなイメージに見えてしまいます。もっと積極的に、障害者には色々な人がいるということを頭に入れていただいて、色々な施設や街づくりをしていくという気持ちを育てることが必要だと思うので、鈴木委員がおっしゃったような、心のバリアフリー、または色々なバリアフリー、ユニバーサルデザインなどの知識、そういったことを小さい時から教えて、広めていくということを、県や市町村、またその関連するところが行っていくというような内容を県の責務のあたりに入れることはできないかなと思いました。

(大原会長)
 ありがとうございます。今の話は、先ほどの話にあったような流れで、内容的には含まれているんだけれども、もう少しわかりやすくしたほうがいいだろうというようなことですね。

(事務局)
 確かにおっしゃるように、実際に県がきちっと教育をやっていくということについて入れるとすれば、第7条の施策の基本方針のところになってくるのかなと思います。
 ただ、やはり条例ということで法令法規の類になってきますので、一読してわかりやすいとか、そうした書きぶりにはなかなかなっていかない場合があるということは御理解いただければと思います。どうしても何か一言入れようとすると、色々な諸調整がありまして、例示という形で入れるのか、列挙とした形で入れるのかといったように、一つものを入れるとしても、それが法令法規という性質を持つがゆえに、それを入れる意味合いのようなところがまたありますので、ご意見は受け止めさせていただき、施策としてはしっかりやっていきますので、条例には入れられれば入れたいとは思うんですけれども、ご期待に沿うような形で皆さんがパッと読んでわかりやすいものになるかどうかというのは、正直あまりお約束ができません。

(大原会長)
 それでは引き続き、文章に関して改正できるようなところは、伝わりやすい文章になるよう努力していくということで、お願いしたいと思います。

(石渡委員)
 事務局のお気持ちもよく分かるのですが、私も、先ほど河原委員がおっしゃったように、「妨げてはならない」というような否定的な表現ではなくて、もっと前向きに、「ともに生きる社会を作っていくんだ」というような表現にならないかと、今説明して頂いた時に改めて思いました。
もし工夫ができれば、ぜひお願いしたいと思います。
 それから先ほど河原委員がおっしゃっていた、災害の時のことなどを条例のなかに入れてほしいという意見は、手話言語普及推進協議会でも話題になっていたことかなと思います。手話言語条例でも、整合性なども含めてそれはきちんと盛り込んでいきましょうという方向になったと思うので、事務局にご負担をかけるばかりで恐縮ですが、検討いただけないかと思いました。

(秋山委員)
 災害のことに関しては、通り一遍のことをいくら書いてもほとんど効果を持たないと思いますので、できればビルを建設したりとか、施設を作ったりした時に、避難をどうすればいいかという防災訓練をやったらどうかと思います。私は今羽田の国際ターミナルの防災訓練を、去年は視覚障害者を入れて、20分だけ誘導の方法をやりました。今年は車いすと視覚障害者と車いす使用者の2つのタイプを防災訓練の中に入れて、何十人かの人に協力してもらってやろうとしています。マニュアルを作って、その上での実践ですので、マニュアルも1,2年をかけて作りました。災害は場所によって、あるいは地域によって全く異なる様相を呈しますし、通常のパターンではいかないので、訓練をして、体得していくということしかやりようがないです。ですからぜひ、そういったこともやれる体制を促進するような文面を作っていただくと良いと思います。

(金子委員)
 今回の改正については、神奈川県は大変な努力をしてここまでこぎつけたということで、私は心の底からよくやってくれているなと思うんですが。参考資料7にありますように、「当事者目線の障がい福祉実現宣言」というスローガンといいますか、そういったことを掲げています。しかし、今この会議の中で何人かの委員の方から、「よく意味が分からない、理解が難しい」といったようなお話がある。
先ほどから話題になっていることが果たしてどの程度皆さんに分かってもらえるか。これは大きな目標というか、スローガンといいますか、「これを大事に育てていく」ということを改めてどこかで宣言する必要はないだろうかと思います。大変大事なことなので、ぜひお考えいただければと思います。

(大原会長)
 今のご指摘は私も先ほど言いたかったことの一つで、要するに共生社会づくりですとか、このバリアフリーの街づくりということ自体の普及啓発というか、県民の皆がそれを共有した意識として持っていく、そのための努力というか、そのようなものも必要なんだろうと思います。考え方としては多分条例の中に含まれていると思いますが。

(事務局)
 そうですね、参考資料7にあるように「当事者目線の障がい福祉推進条例」の話があり、一方で、バリアフリーの条例はバリアフリーの条例でこのような改正素案ということで議論しておりますし、庁内でも地域福祉課や建築指導課といったところだけでなく、共生社会を目指していくというのは県庁全体の大事な目標になってくるかと思いますので、きちっとその意図するところ、なぜそういうことをやっていくのかということが皆さんに伝わっていくように、普及していくため、そのあたりはしっかり考えていきたいと思います。

(大原会長)
 今出てきたことのいくつかは、やはり先ほどの第7条のところで、タイトルが施策の基本方針ですから、ここで考え方をしっかりと入れることが必要かなと改めて思いました。所々少し手を入れたいと思います。その考え方がしっかりしたうえで、施策をこうしていくんだということが大事なことだと思いますので。
 また資料を読み込んでいただいて、何か気づくことがあるかもしれませんけれども、適宜事務局の方にご意見を伝えていただいて、次の段階の改訂案を少しでも完成版に近いものにしたいと思います。
 それでは一応今日の検討会議の議論は以上にしたいと思います。
 皆様には活発な意見交換をいただきありがとうございました。今後もよろしくお願いしたいと思います。次回はスケジュールでは5月ということですが、この時に再度改定案をお示しして同じように議論するということですね。
 それでは事務局に進行をお返しします。

(事務局)
 今日は皆様ありがとうございました。次回の会議は、今会長からもご案内いただいたとおり、5月を予定しております。そちらで案をもう一度ご議論いただきまして、今のところ予定としては会議体として集合しての形は次回が最終ということになっております。9月の議案として出すためには6月くらいから庁内で法制担当部署と調整をしていく必要がありまして、かなり法的な部分で整合性を取ったり、審査を受ける必要がありますので、県の都合で恐縮ですが、5月末から6月上旬ころまでには固めていきたいと思っています。
 今日色々と宿題もいただきましたので、また検討して、案は皆様に早めにお示ししてご意見いただけるようにしたいと思っています。
 それでは、以上を持ちまして第5回神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例見直し検討会議を閉会いたします。また次回会議の日程調整につきましては決まり次第、皆様にご連絡したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 本日はご多忙の中、御出席をいただきありがとうございました。

 

会議資料

次第(ワード:33KB)

資料1 第4回会議までの整理(見直しの方向性)を踏まえた検討結果【改正の概要等(案)】(ワード:74KB)

資料2 「神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例」の一部改正について(ワード:51KB)

資料3 条例新旧対照イメージ(ワード:35KB)

資料4 会議を通して(議論経過まとめ) (R3年8月3日第4回会議時 参考資料5)(ワード:23KB)

参考資料1 神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例(RTF:249KB)

参考資料2 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(RTF:65KB)

参考資料3 建築基準法(RTF:82KB)

参考資料4 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(RTF:55KB)

参考資料5 平成30年改正建築基準法について(国交省説明資料)(PDF:468KB)

参考資料6 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第14条第3項に基づく条例の運用について(H28国交省通知)(PDF:78KB)

参考資料7 当事者目線の障がい福祉を推進するための条例の制定について(ワード:40KB)

このページの所管所属は福祉子どもみらい局 福祉部地域福祉課です。