初期公開日:2024年1月24日更新日:2024年1月24日
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水産技術センターでは、「磯焼け」の発生で失われた相模湾の海の森(藻場)を再生する研究に賛同した(株)エクセレンスインターナショナルからの御寄附により、本県初となる企業からの寄附金による藻場の再生とブルーカーボンの創出の取組を始めます。
海藻の生い茂る「藻場」は生命のゆりかごとも呼ばれ、水産動物の生育場や二酸化炭素の吸収源として極めて重要です。
健全なカジメの藻場
しかし我が国の藻場は、魚類(アイゴなど)やウニの食害、海水温の上昇などが原因とされる「磯焼け」の発生で急激に減少しており、本県沿岸でも地域によっては藻場が消滅する危機的な状況となっています。
磯焼けで藻場が失われた相模湾の状況
左:アイゴ(藻食性魚)の食害、右:ウニの食害
「カジメ」は成長すると1mを越える大型の海藻です。大規模な藻場を形成し、アアワビやサザエの良質な餌料となります。カジメは幼葉の発芽から成熟して次世代を残すまで1年半かかるため、食害がはげしい海域では成熟前に食べられてしまいます。
水産技術センターでは、平成27年度に相模湾で行った「磯焼け」実態調査の際に、半年程度で成熟する「早熟性カジメ」を発見しました。「早熟性カジメ」は食害などにあう前に次世代を残すことが期待できるので、人工的に大量培養する技術の開発と、この技術を活用して藻場を再生する研究に取り組みました。
令和元年度から相模湾各地の「早熟性カジメ」を集め、その配偶体(種のようなもの)の培養を始めました。具体的には、配偶体に光や水温の変化などの刺激を与えて発芽させて育て、「早熟性カジメ」の苗を生産することに成功しました。
配偶体を採取した三浦半島産早熟性カジメ
早熟性カジメから採取した配偶体の培養
早熟性カジメの発芽
早熟性カジメの育成 葉の色の濃い部分が成熟している所
この寄附金を活用して、新たに三浦半島の磯焼け海域1か所(約50m×50m)で、当センターが生産した早熟性カジメ等の海藻種苗を育成し、藻場の再生とブルーカーボンの創出をめざします。
早熟性カジメの人工種苗(左)と育成事例(右)
寄附者の株式会社エクセレンスインターナショナル(東京都港区青山3-11-13 代表取締役社長 牧野 一夫)は、ポルシェセンター青山等を運営しており、同社は8年連続でポルシェ販売台数日本一となっています。この度、藻場再生の取組に賛同し、令和5年12月に50万円の御寄附をいただきました。さらに今後も半年ごとに50万円の御寄附をいただけるとのことです。なお、株式会社エクセレンスインターナショナルのみならず、お車をご購入されたお客様からの寄附金も含まれています。
ポルシェセンター青山(同社ホームページより)
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