更新日:2024年1月5日

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ALS患者 髙野元さんのテクノロジー活用の様子

ALS患者 髙野元さんのテクノロジー活用の様子について紹介します

【髙野元さんのある1日のスケジュール】

 在宅で訪問看護・介護などの支援を受けて生活している髙野元さんの1日のスケジュールをご紹介します。

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 髙野さんは病気の進行に伴い、身体を動かしたり、声を出して会話することが困難です。

 そのため、日中の多くの時間は自宅で過ごしており、食事や睡眠、看護やリハビリを受けている時間以外はパソコンをして過ごす時間が中心です。パソコンではインターネットを活用してメールやSNSの他、テレビの視聴や音楽鑑賞などもしています。

【髙野さんが活用しているテクノロジーやサービス一覧】

 髙野さんが実際に活用しているテクノロジーやサービスを紹介します。

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【利用者の声】

 髙野元さんにお話を伺いました。

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 ALSの進行によって、身体の自由が奪われていくなか、私が最も怖かったことは、身体が動かなくなることよりも、『社会とのつながりが切れてしまうこと』でした。

 私はすでに胃ろうを作り、気管切開をして人工呼吸器をつけています。最重度の障がい者になりましたが、テクノロジーを活用しながら積極的に社会参加に取り組んでいます。今後も自分の活動を積極的に発信して、テクノロジーを活用することで社会参加できることを伝えていきたいです。

 各ページでは私が機器を使っている様子を紹介してもらっています。ぜひご覧ください。

【支援者の声】

 髙野さんを支援している作業療法士の濱口陽介さん(川崎市北部リハビリテーションセンター百合丘障害者センター 在宅支援室所属)にお話を伺いました。

ー髙野さんの生活全体についてー
 
私たちリハビリテーション専門職の主な役割は「自分で行えること(活動)を増やすこと」「様々な手段を用いて、社会とつながりを持てるようにすること(社会参加)」に目を向けて、ご本人と一緒に歩んでいくことです。
 髙野さんは、ALSという病気のために活動・社会参加それぞれに制限を受けていますが、福祉用具や機器・支援者・制度・テクノロジーを最大限活用して「社会参加」を継続されています。進行していくこの病気の症状に合わせて、補う必要があることを家族・友人・知人・ヘルパー・支援機関などへ「発信」し、新たに補完する方法を皆で模索・確立し続けていることがポイントなのだと思います。
 また、ここで重要なのは「発信」を支えるコミュニケーションとアクセシビリティの保障です。日常的なこと(考え、感情、想いなど)を受信・発信する双方向のコミュニケーションと、情報や社会参加の場などへアクセスし易いように環境を整えることです。
 髙野さんは、「アナログ」や「デジタル」のテクノロジーを活用しながら、このコミュニケーションとアクセシビリティの方法を確立し、家族やヘルパーなどの支援者の手を借りながら「行きたい所に行き、そこで役割を持ち、社会にも居場所を作ること」を実践しています。


ーテクノロジーの活用についてー

 ここでのテクノロジーは大きく「アナログ」と「デジタル」に分けられますが、どちらも活用のためには知識・技術・経験、それと習熟するための練習が必要です。そのため、テクノロジーの導入には、ご本人がこの技術を活用して「何を伝えたいか」「何を行いたいか」「何を知りたいか」「どの場所で使いたいか」などニーズをよく把握することが必要です。
 ニーズを把握した上で、ご本人の持つ知識・技術・経験、心身機能、人的・物的環境と照らし合わせながら、その目的を果たすためにテクノロジーを選択するという過程が重要となります。
 髙野さんの場合、元来エンジニアであること、SNSなどのツールを活用して「〜したい」と発信し続けたいという意思・意欲を持っていることが、テクノロジー活用の促進因子だったと考えます。
 ここでお伝えしたいのは、髙野さんには知識や技術があり、発信する意欲が高いことにより、テクノロジーが活用出来ているということではありません。昨今の技術革新により、ニーズに合わせてテクノロジーの選択肢が増えてきているということです。その選択肢を広げるために、そのテクノロジーを知るということは、ご本人やご家族を含めた支援者には、大変有益な情報になると考えます。
 今後も、今回紹介されている髙野さんのような事例を通して、テクノロジーや皆さんの持っている経験や工夫などを知る機会となることを期待しています。


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