初期公開日:2025年10月20日更新日:2025年10月20日

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医師YouTuberみおしん先生講演(神奈川工科大学)

神奈川工科大学ー三枝研究室は県と連携して「ともに生きる社会かながわ憲章」の普及活動に取り組んでいます。10月10日に現役医師・YouTuberである、みおしん先生をお招きし、当事者目線について考える講演・ワークショップを開催しました。当日の様子を、共生企画グループのスタッフがお伝えします。

みおしん先生プロフィール

profile

式YouTubeチャンネル(別ウィンドウで開きます)より転載

痛みを視える化する みおしん先生(専門:慢性疼痛 慢性疲労)

15歳 線維筋痛症 発症 

26歳 慢性疲労症候群 半年間寝たきり 

28歳 研修医復帰 手術麻酔・周術期外来で臨床経験を積む 

35歳 慢性疲労症候群悪化にて休職 

36歳 デジタルハリウッド大学大学院入学  YouTuberメディアアーティストへ 

39歳 オンラインカウンセリングと患者交流会 ペインラボ 立ち上げ 

40歳 デジタルコンテンツマネジメント修士 取得 

41歳 心療内科外来 鍼灸院でラジオ波×鍼灸治療 立ち上げ 

第1部 痛みと疲労をハックせよ(講演)

神奈川工科大学附属図書館のスペースHUGにて、三枝研究室(別ウィンドウで開きます)を中心に約20人の学生さんと教員の方々が集まり、講演パートが始まりました。

現役の麻酔科医・心療内科医として勤務しながら、線維筋痛症の当事者としてYouTubeやTikTokといったSNSを通じて発信を続けている みおしん先生から、ライフヒストリーを紐解きながら、活動のルーツについてのお話を伺いました。

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         講演中の様子

専門的な内容を多数のイラストや写真・解説によりわかりやすく説明していただき、学生の皆さんが真剣に聞き入っている様子が印象に残っています。

終了後の質疑応答も活発で、次々と質問が相次ぎ、あっという間に昼休憩の時間になってしまいました。

第2部 自分の痛みを可視化せよ(ワークショップ)

ワークショップパートでは、まず準備運動として“人生で一番痛かったこと”を思い出す作業から始まりました。当時の記憶をたどり、ペインカード(別ウィンドウで開きます)(みおしん先生が開発した”痛み”を視える化するためのツール)を用いて自身の感覚を探っていきます。

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     ペインカードで自分の痛みを探す

次にフォトシュシュ(別ウィンドウで開きます)というアプリを用いて、スクリーン上にそれぞれの痛みが投影されていきました。

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  スクリーン投影で選んだペインカードを共有

その次は、本番のワークということで、それぞれA4サイズの白い紙を渡されて、自分の痛みをアートとして表現することに取り組みました。

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        自分の痛みをアートで表現

多彩な色を使う方、紙を破り始める方、立体を組み立てる方など、制作過程を見ているだけでも、いろいろな方法があることに気づかされる時間でした。

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   自分の痛みについて発表+みおしん先生コメント

できあがった作品はどれも見ごたえがありました。(心なしか学会関連で心の傷を負っている学生さんが多かったような…)

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saegusa

三枝先生は、画用紙の中央に切り込みを入れ、その切れ目に紙をねじり込むという独自の手法で作品を制作。色を使わず、白い紙だけで「心の痛み」や「ねじれた状態でも保たれる繊細なバランス」を表現しました。

さらに、ハサミでまわりをギザギザにカットすることで、感情のざらつきや不安定さも演出。作品への光の当たり方にも工夫を凝らし、陰影によって立体感や白黒の境界のあいまいさを美しく浮かび上がらせた作品は、会場にざわめきが広がりました。

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最後に、みおしん先生から心に残る講評がありました。

「たとえば“頭痛”ひとつとっても、人によって感じ方はまったく違います。あなたの痛みは、あなただけのもの。他の人と比べる必要なんて、もともとないんです。だからこそ、自分の感覚も、相手の感覚も、大切にしてあげてください」

 

この前向きで優しいメッセージに、会場の空気がやわらぎ、講演とワークショップは温かく締めくくられました。


みおしん先生の話を伺い、神奈川工科大学の皆さんの発表を聞いて、改めて感じたのは当事者目線というものの難しさです。安易に”わかったつもり”になってはいけないと、改めて気づきました。

”線維筋痛症”は みおしん先生の診断名ですが、先生のライフヒストリーを知り、自分自身も痛みに向き合うワークを体験した後になると、線維筋痛症という言葉だけでは、”本人(みおしん先生)を全く表現できない”のだということを強く感じます。

当事者の気持ちを想像して寄り添うのは間違いなく大切です。

しかし、当事者目線を考える上で最も大切なのは、可能であれば直接やり取りして、ご本人の語る言葉に耳を傾けることではないかと思いました。

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講師を務めてくださったみおしん先生、WiTH PAiNチームの皆さま、イベントを主催してくださった三枝先生、三枝研究室および神奈川工科大学関係者の皆さま、本イベントへのご尽力ありがとうございました。この場を借りて御礼を申し上げます。

今後も“ともいき”を広める仲間として、よろしくお願いいたします!

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