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更新日:2023年5月25日

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令和元年度「黒岩知事との”対話の広場”地域版(県西会場)」実施結果

令和元年度「黒岩知事との“対話の広場”地域版(県西会場)」の実施結果です

黒岩知事との“対話の広場”地域版 県西会場 実施結果概要

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集会の概要

黒岩知事との“対話の広場”地域版(県西会場)

日時 令和元年11月21日(木曜日) 18時30分から20時00分
会場 県小田原合同庁舎 3階会議室
テーマ 持続可能な神奈川に向けて
地域テーマ 観光振興で地域を活性化!~地域のための活動が未病も改善する~
内容 1 知事のあいさつ

2 事例発表

  • 草柳貴之さん(NPO法人松田活性化協会理事長・アシガラマルシェ実行委員長)
  • 草柳加奈さん(アシガラマルシェ実行委員会)
  • 平井丈夫さん(小田原まちセッションズ代表・小田原まち歩き実行委員会副委員長)

3 会場の皆さんとのディスカッション(知事が進行役を務めました)

参加者数 164名

知事あいさつ

こんばんは。“対話の広場”にようこそいらっしゃいました。毎年、年間共通テーマを決めて開催しています。今年のテーマは持続可能な神奈川に向けてです。今日は、「観光振興で地域を活性化!」をテーマに皆さんと対話してまいりたいと思います。

今年の4月で神奈川いのち輝く神奈川県知事として3期目に入りました。就任当初から「いのち輝く神奈川を作りたい」と言ってまいりました。ひらがなで「いのち」と表記することにこだわっています。「いのち輝く」ためには、何が大事でしょうか。医療が充実することは大事なことですが、医療だけが充実しても「いのち」は輝きません。安心・安全な食、食を支える農業が充実することも大事です。エネルギーや環境も同様に大事です。きれいな海や空気、川がないと「いのち」は輝きません。労働環境も、共生の理念も大事です。これらの項目がすべて連携していないと「いのち」は輝きません。国では、担当する省庁がそれぞれ異なっているため、なかなか連携した取組が進められません。医療と環境、医療とまちづくりなど、連携して考える発想が大事です。県庁でも連携した取組を進めています。

国連がSDGs、持続可能な開発目標を掲げ始めました。持続可能な世界を実現するための17の開発目標です。今のままでは、地球は持続可能ではなくなってしまうという危機感を持っています。17の開発目標を1つ1つ見ていくと、「すべての人に健康と福祉を」、「質の高い教育をみんなに」、「住み続けられるまちづくりを」といった項目があります。「いのち輝く」で掲げられている項目と同じです。そういったことから、SDGs最先端自治体を目指そうと取り組んでまいりました。そういった取組を政府に認めていただき、昨年6月にSDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業の両方に選ばれました。全国10の自治体が選ばれ、神奈川県と同時期に横浜市と鎌倉市も選ばれました。10のうち、3つが神奈川県勢です。また、第2期では川崎市と小田原市も選ばれました。

SDGs最先端自治体として、SDGsを広めようと取り組んでいます。しかし、SDGsは地球を持続可能にするたシロナガスクジラめの世界目標です。一人一人が何をすれば良いかが分かりにくいです。何か分かりやすい事例がないか考えていました。去年の夏、シロナガスクジラの赤ちゃんが鎌倉の海岸に打ち上げられました。そして、その赤ちゃんのおなかの中からプラスチックごみが見つかりました。そこで直ちに、かながわプラごみゼロ宣言を発表しました。これはクジラからのメッセージです。2030年までにリサイクルされずに廃棄されるプラスチックごみをゼロにしようと取組を進めています。

SDGs全国フォーラムを神奈川県が主催しました。その際、日本SDGsモデル宣言を発表しました。9月末日現在、賛同自治体数は157です。こういった取組が評価され、7月に国連本部でプレゼンテーションしてまいりました。プレゼンテーションでは、未病について話してまいりました。未病改善の取組こそがSDGsであるとお話ししました。

超高齢社会の到来神奈川県の年齢別人口です。1970年代は、きれいなピラミッドの形をしていました。2050年になると、一番多いのが85歳以上になるという予想です。高齢化が進行しています。高齢者が病気になるのは仕方のないことと言いますが、これだけ多くの人が病気になってしまうと社会全体で支えきれません。病院も対応しきれないでしょう。

 

この問題を解決するキーワードが「未病改善」で未病とはす。心身の状態は、健康か病気のどちらかであると考えがちです。しかし、我々の実感では健康と病気はつながっており、連続的に変化するものです。健康と病気の間の状態をグラデーションで表現しています。少しでも白い方(健康な状態)に近づけるための取組が未病改善です。未病改善において大切なことが、食・運動・社会参加という3つの取組です。これこそがSDGs達成に向けた取組である、と国連本部で発表してまいりました。

先日、箱根と横浜でME-BYOサミット神奈川という国際会議を開催しました。2年に1度の開催で、今回は第3回目でした。その中で画期的な発表がありました。2年前のME-BYOサミット神奈川で未病のグラデーションモデルを指標化できないかということが、宿題となっていました。2年かけて、WHO(世界保健機関)に助言をもらうなどしながら未病の指標化について研究してきました。その成果が発表されました。100点満点で点数が大きいほど健康、逆に小さいほど疾病のリスクが高いことを示しています。そのなかでご自身の健康状態はグラデーションのどこにいるのかが、具体的に数値化できます。各個人の「生活習慣」、「認知機能」、「生活機能」、「メンタルヘルス・ストレス」の状態をそれぞれ点数化し、総合点が出せます。例えば、あなたの未病指標は48だと出てきます。その後、未病指標が30に下がってしまったら、未病改善に向けて頑張って取り組むようになるでしょう。このように、皆さんが健康に生きるためのインセンティブになります。これは画期的なことです。来年の3月から皆さんも使えるようになります。期待してほしいと思います。

先日、ベトナムに行き、帰ってきたばかりです。現地の方に未病の話をしたら驚いていました。保険という考え方は、病気になったらお金がもらえるシステムですが、未病指標ができると、健康のために頑張ったら、保険料が安くなるという逆のシステムも考えられます。未病指標ができたことで、そのくらい大きく変わるのです。

未病の戦略的エリア神奈川県の県西部を未病の戦略的エリアに位置付けています。なぜかというと、未病改善の要素がそろっているからです。山も海も温泉もあります。豊かな農作物や水産物があります。未病のコンセプトで世界中から人を集められるエリアにしようと取り組んでいます。その拠点が未病バレー「ビオトピア」です。未病バレー「ビオトピア」に来ていただくと、未病の全てが分かります。未病というコンセプトでこの地域の観光振興をやっていきたいと思っています。そして、みんなが元気になり、地域も元気になる、そのような流れを作りたいと思っています。このあと、地元で活動に取り組まれている方のお話をお聞きします。そのあと皆さんとの対話と進めてまいります。

事例発表

(司会)

黒岩知事、ありがとうございました。それでは続いて、本日の地域テーマについて活動をされているお二組に事例発表をしていただきます。はじめに、NPO法人松田活性化協会理事長、アシガラマルシェ実行委員長の草柳貴之様、アシガラマルシェ実行委員会の草柳加奈様をご紹介します。

草柳貴之様、加奈様は、自然豊かな足柄上地域でしかできないマルシェで地域を活性化させることを目的に、2016年に有志3名で「アシガラマルシェ」を立ち上げられ、来場者数延べ3万3,000人を超える神奈川県最大級のマルシェイベントに発展させ、新たな地域の観光資源として定着させるなど、地域の活性化に貢献されています。

それでは草柳様、よろしくお願いいたします。

草柳 貴之氏、草柳 加奈氏(NPO法人松田活性化協会理事長、アシガラマルシェ実行委員長/アシガラマルシェ実行委員会)

(草柳 貴之氏)

はじめまして。アシガラマルシェを主催している特定非営利活動法人松田活性化協会理事長の草柳貴之です。

(草柳 加奈氏)

アシガラマルシェ実行委員会の草柳加奈です。

(草柳 貴之氏)

ご存じのとおり、足柄地域は県西地域の1市5町で構成されています。

(草柳 加奈氏)

足柄地域は、自然が豊かで観光スポットもたくさんあります。また、水がきれいなので、酒造もあります。

(草柳 貴之氏)

しかし、私たちがこの活動を始めた頃、新松田駅に停車するロマンスカーの数が年々減り、人口も減少傾向で駅前の商店街には空き店舗が目立ちました。足柄地域を活性化したい、と考えていた時、一人の女性が手を挙げました。

(草柳 加奈氏)

マルシェがしたい。足柄地域にも足を運んでもらうため、自然豊かな足柄地域でしかできないマルシェをしようと考えました。

(草柳 貴之氏)

アシガラマルシェの運営は、行政からの補助金に頼らず、完全民間主導を目指し、継続して活動しています。2016年からスタートしたアシガラマルシェは通算9回開催しています。アシガラマルシェがほかのマルシェと異なっている点は、アシガラマルシェ1つの場所にこだわらず、足柄地域を定期的に巡回し場所を変えながら開催する、巡回型のマルシェである点です。各回の店舗数は100を超えています。出店者の7割は県西地域の方々です。残りの3割は県外から出店しています。地元企業や個人商店はもちろん、各種団体の方にも出店してもらっています。出店者の9割はリピーターです。出店募集を行うと3日間ほどでほぼ埋まってしまいます。嬉しいことは、アシガラマルシェをきっかけに実店舗にもお客さんが足を運んでくれるようになった、将来お店を出したいので、まず、アシガラマルシェで出店しますとのお声があることです。

(草柳 加奈氏)

私がアシガラマルシェを通して感じたことは、お店とお客さんとのつながりや、お店と運営側などいろいろなつながりが増えたことです。そこで化学反応が起き、コミュニティができたり、コラボレーションやイベントも派生しました。地域で稼ぐ力を上げると、所得が向上し、問題となっている空き店舗対策にもつながります。5,000人規模のマルシェを安全に運営してきたことで実績と信用ができ、NPO法人に様々なコラボオファーをいただくようになりました。地元企業とコラボレーションし、地域と企業をつなげること意識しています。

(草柳 貴之氏)

昨年は、あしがら観光協会の「駅メモ!」や、県の共生社会推進課の「みんなあつまれ」、地域政策課のかながわ観光大賞「ME-BYOフェスタ」ともコラボし地域の活性化に取り組みました。これらの活動が認められ、観光振興を通じて地域活性化に貢献した事業者や個人を表彰する第9回かながわ観光大賞で準グランプリを受賞しました。神奈川県内には、鎌倉市、横浜市など著名な観光地がある中で、準グランプリを受賞できたことを誇りに思います。これからの県西地域の活性化に向けて、起爆剤になれたらと思います。今年はリレーマラソン大会との同地・同時開催や、湘南ベルマーレフットサルクラブのホーム戦と同じ日にマルシェを開催するなど、他のイベントと連携し、お互いのイベントへの集客効果を高める取組をしています。

(草柳 加奈氏)

中止になってしまいましたが、10月12日に開催予定だった第9回アシガラマルシェでは神奈川県が主催するME-BYOフェスタ2019と連携してギネス記録達成をサポートする予定でした。マルシェというスキームを活用し、少しでも貢献できればと考えています。

(草柳 貴之氏)

アシガラマルシェという大きな規模の事業を民間主体かつ安全に運営したことで行政からの信頼もできました。松田町のふるさと納税事業やサイト運営、ホームページの作成に関して事業の委託を受けました。これらの受託事業により実財源を確保し、スプラポより持続可能な組織に変化できました。今年度から松田町創生推進拠点「スプラボ」の指定管理者となり、NPO法人としての活動だけで、毎月、松田町に50万円の使用料をお支払いしています。この施設には子育て支援センター、ファミリーサポートなどの町の公営施設だけではなく、フィットネスジムやコインランドリーも備える複合施設となっています。民間運営という長所を活かし、近隣地域も巻き込んだ複合施設に成長させていきたいと考えています。地域への想いとやる気があれば、誰でも地域活性化のために立ち上がれます。その意思を神奈川県、そして日本から世界に伝播したいと思っています。それを長く続けるためにも行政からの補助金に頼らず、自主財源で運営しています。地域活性化というとボランティアや自治体からの補助金で運営することがほとんどです。そうなると活動に関してモチベーションを保てない、民間らしさが出せない、といったことがあります。本当の意味での自主自立した地域活性化を目指しています。民間主導の地域活性化で足りないところに行政から補助金をもらう形が理想形だと考えます。次の世代には地域活性化が仕事になる流れを作っていきたいです。地域の活動をしていれば、贅沢はできなくても、生活も子育てもできる、そんな環境を整えることこそが、100年後の地域を作る根本だと考え、これからも活動していきたいと思っています。ありがとうございました。

(司会)

草柳貴之様、加奈様、ありがとうございました。続いて、小田原まちセッションズ代表、小田原まち歩き実行委員会副委員長の平井丈夫様をご紹介します。平井様は、小田原ならではの歴史・文化・なりわいを活かした「小田原まち歩き実行委員会」の副委員長として、2019年3月にまち歩きの全国大会である「日本まち歩きフォーラム」を開催されました。また、季節ごとに「小田原まち歩き博覧会」を実施されるなど、地域のより一層の魅力発信と地域振興に尽力されています。それでは平井様、よろしくお願いいたします。

 

平井 丈夫(ひらい たけお)氏(小田原まちセッションズ代表・小田原まち歩き実行委員会副委員長)

ただいま紹介していただきました、小田原まちセッションズ代表の平井です。小田原まち歩き実行委員会の副委員長でもあります。私からは小田原のまち歩きについてご紹介します。

小田原城まず初めに、小田原の観光スポットといえば皆様どこを思い浮かべますか。言わずと知れた、小田原城ではないでしょうか。小田原に来られている観光客の多くは、小田原城に来られた後に、周辺を歩かず駅に戻ってしまうことが多いです。周辺に観光客が流れてくれていないことが課題でした。小田原の観光スポットは、小田原城だけではありません。たくさんの観光スポットがあります。小田原漁港、明治から昭和にかけての別荘地帯、お茶の文化、旧東海道、小田原市周辺のたたずまい、水産物、木工製品など、小田原城周辺には魅力的なものがまだまだたくさんあります。

どうすればお城以外のところを回遊してもらえるか考えました。考えた上で、町をガイドしながら歩いたらどうかと、「まち歩き」という手法を採用しました。今、テレビなどでタレントさんがまちを歩く番組を放送されていますが、まち歩きとは一体何なのでしょうか。まち歩きとは、従来の旅行会社のツアーではなく、ガイドブックに載っていない地元の知られざる見所、地域資源を地域住民が自ら伝え、名所旧跡の観光と異なり、体験や交流のプログラムを取り入れたものになっています。まち歩きは、地元住民にとっても地域を学ぶことで郷土愛を育む機会となるため、積極的に取り組む地域もあります。まち歩きは全国各地で開催されていますが、ブームの火付け役は長崎市が平成18年に開催した「長崎さるく博」です。長崎では観光客が減り始め、予算もない中、観光事業を頑張っていました。そして住民自らがまちをガイドし、まち全体で博覧会を行う「さるく博」を開催しました。半年の間に1,000万人ほど長崎に人を呼ぶことができました。

小田原市では今年3月に、「日本まち歩きフォーラムin小田原」を開催しました。日本各地から150名ほどのガイドさんが集まり、まち歩きに関する情報交換などを行いました。1日目の前夜祭から始まり、3日目には小田原まち歩きに参加してもらいました。参加者からは、お城、邸園、海や山など小田原には魅力的なところがいっぱいありますね、と言われました。このフォーラムの実行委員会は、官民連携9団体で構成しました。民間と行政が仲良くオール小田原体制で開催できるのはうらやましいと、参加者の方に言われました。ほかの地域では他団体との協力が難しいとのことです。神奈川県にも開催に当たり、ご支援いただき、この場を借りてお礼を申し上げます。

小田原市観光戦略ビジョンお城以外の周辺地域にいかに人に回遊してもらうかを考えた時に、運良く平成24年に国交省の関東観光まちづくりコンサルティング事業に採用されました。その際に、まち歩き観光の専門家の方から助言をもらうなどしました。その後、観光まちづくり推進懇話会を作り、関係団体と情報交換などを行い、平成27年には、まち歩き観光を柱とした、小田原市観光戦略ビジョンも策定しました。この時のメンバーがまち歩き実行委員会にも関わっているため、官民連携が上手くいっています。

フォーラム開催後、3月から4月にかけて春の小田原まちまちあるき博覧会歩き博覧会を開催しました。現在、秋のまち歩き博覧会を開催しています。様々なテーマで22コースを用意しています。小田原まち歩きガイドツアーの主なテーマは、文化観光で、北条時代から続くなりわい文化を観光したり、邸園文化を追体験していただくものです。その他、小田原城はもちろん、施設、漁港周辺の店舗を巡るものもあります。

 

あるってこ総合的に小田原のまち歩きを紹介するために、「あるってこ」という冊子を駅付近で配布しています。いくつかモデルコースを紹介します。「なりわいを歩く」コースは3キロくらい歩きます。それぞれの施設の解説もあります。「邸園を歩く」コースもあります。また、小田原に約8年間居住していた北原白秋の歌碑の前で歌を歌いながらまちを歩くツアーもあります。その他、まちかど博物館の体験ツアーもあります。次に、まち歩きの効果についてです。パンフレットを作ったことで、皆さんが城以外の場所もたくさん歩くようになりました。経済効果として、参加していただいた方の財布のひもが緩くなり、たくさん買い物をしてくれました。また、小田原は、長らく殿様商売をしていましたが、我々地元のガイドが観光客を連れて行くことにより、対応が良くなるなどの効果がありました。まち歩きをすると街がよく分かります。景観が良くないところや危険な場所も目に付きます。壊れた竹垣を地域住民と直したこともありました。かまぼこ通りにお祭りに使う山車小屋があります。以前はシャッターで閉まっていたものを、ガラス張りにして山車が外からも見えるよう、景観上の配慮もしてもらいました。

最後に、これからのまち歩きの課題です。ガイドというと、日本ではボランティアガイドのイメージが大きいです。無料で案内してもらえるという意識があります。それを事業として対価がもらえるようにすること。そして、せっかくの事業なのでお客様が来ないと成り立たないので、プロモーションも強化したいと思っています。ありがとうございました。

 

意見交換

(司会)

それでは、ここからは、黒岩知事に進行をお任せいたします。知事、よろしくお願いいたしします。

(知事)

ありがとうございました。地元でこんなに素晴らしい活動をしていると知り、驚きました。これから対話を始めますが、まずは、私から事例発表について追加で質問させていただきます。平井さんにお伺いします。まち歩きガイドは、ボランティアではなく、どのような形態で運営されているのですか。

(事例発表者:平井 丈夫氏)

小田原市内にいくつかまち歩きのガイドを行っている団体があります。お城に関してはガイド協会さんが案内しています。まち歩きのツアーをするときは、ガイド料金を設定し、実施しています。

(知事)

まち歩きのガイドを行っている団体にはどのような団体がありますか。

(事例発表者:平井 丈夫氏)

今は4団体ほどあり、NPO法人などがあります。

(知事)

旅行会社のツアーとタイアップなどはしていますか。

(事例発表者:平井 丈夫氏)

タイアップもあります。その中でもまち歩きガイドに対して料金をもらえるように設定しています。

(知事)

ガイド料金だけで運営は回っていますか。

(事例発表者:平井 丈夫氏)

ガイド料金だけの収入だと少し厳しいので、もう少し料金を上げたいとは思っています。

(知事)

ありがとうございます。草柳さんの活動も補助金に頼らず、民間主導でやっていくということは素晴らしいことです。運営費はどこから出ていますか。

(事例発表者:草柳 貴之氏)

アシガラマルシェに関しては、出店者さんから出店料をもらい、そこから広告料や敷地の利用料などを捻出しています。アシガラマルシェの規模が大きくなってきたので、立ち上げ当初の3人だけでは運営が回らなくなりました。そのため、事務局のスタッフを雇用するための費用も出店料等から賄っています。収支は、プラマイゼロですが。

(知事)

お二人はマルシェがきっかけでお知り合いになったのですか。

(事例発表者:草柳 貴之氏)

二人とも、アシガラマルシェを立ち上げる以前から、まちおこしや地域活性化に関する活動を行っていました。小田急沿線で行われている「ちょい飲みフェスティバル」で知り合い、それぞれ地域活性化に関する活動をしてきた延長線上にアシガラマルシェがあります。

(事例発表者:草柳 加奈氏)

私は、松田町でまちおこしの活動をしていました。彼は秦野市でまちおこしの活動をしていました。「ちょい飲みフェスティバル」で知り合い、「一緒にやろう」と声が掛かったので、そこから一緒に活動することになりました。素敵な案がたくさんある中で、マルシェをやりたいと発言したところ、それを実行委員が面白そうだからやってみようということで実現しました。

(知事)

それでは、皆さんと議論を進めてまいります。

(男性)

知事の未病に関する活動に感銘を受けました。私自身は農家として直売所を20年間運営しています。農業で食べていける後継者を育成することを目標にしています。そのほか、健康の源である野菜を作り、その結果、健康になる人が増えるようにしたいとも思っています。神奈川県の野菜の消費量は全国では下の方です。それを聞いてがく然としました。新鮮な野菜を食べること、バランスの良い食事を摂ることが肝要だと思います。日頃、直売所を7人の仲間で運営しています。農家の後継者を3人育てました。野菜を作るための、化学肥料を3分の1に減らしました。7人の仲間でいろいろと検討してやった結果、関東の直売で環境に優しい農業として表彰されました。

(知事)

ありがとうございます。いのち輝くためには、医療だけではなく、食や農業が絡んできます。おっしゃったように、農業が健康づくりにつながります。国では農業は農林水産省、健康に関しては厚生労働省が管轄です。両者をつなぐことが難しいです。まさに実践されているということで、素晴らしいです。

(開成町・男性)

20年間小田原市に住んでいましたが、定年退職後、開成町に移住しました。山北町、松田町で、地域活動、観光も含めてNPO法人で活動されている方がいて、話を聞くと、山北町の流鏑馬などの行事にも外国人の方が来ているとのことです。そこで、私も外国人に体験型の観光を提供するなど、地域の活性化をいろいろと考えているのですが、西部の方は、食事ができる場所が少ないなどの課題があり、どうしたら良いか悩んでいます。商工会でも活動しているようですが、今一つ、活動が上手くいっていません。ゲストハウスなどの活動もありますがNPO法人の補助金でやっており、自主的な形ができていません。私自身もFacebookを使い、駅まで迎えに行き、外国人の観光通訳として活動する計画をしていますが、まだ実行できておらず、協賛者を募っている段階です。松田町の場合、寄で茶摘み体験の機会を外国人に提供していますが、近くの寄ロウバイまつりに行こうとしても、食事をするところが土日しか営業していない状況なので、困っているそうです。市町を含め、地域に食事場所の提供について頑張ってもらえるように働きかけていきたいです。

(知事)

定年退職してから開成町に移住されたとのことです。外国語がお得意ですか。

(開成町・男性)

海外勤務が長かったので英語のほかにもいくつかの言語が片隅に残っています。有給休暇をとって箱根に遊びに来た外国の方を観光案内したこともあります。

(知事)

人生100歳時代の設計図で皆さんと対話したことがありました。まさに定年退職されたあとのモデルのようなお話です。

(開成町・男性)

協賛や賛同してくれる人はいます。食事を提供する場所がないことが問題です。

(知事)

今の話に関して、アドバイスはありますか。

(事例発表者:平井 丈夫氏)

小田原ではインバウンド対策で外国語ができるガイドさんの養成なども進めています。店舗がないところでは、出前を用意するとか、お弁当を運んでもらうこともできます。

(知事)

食事をする場所がなければアシガラマルシェに出店をお願いするというアイデアもあるのではないでしょうか。マルシェには、キッチンカーも出店しています。お店がない場所に来てもらうなど、上手く連携していただけば良いのではないでしょうか。

(男性・山北高等学校(教員))

小田原生まれ、小田原育ちです。小田原に対する愛着があります。学校で未病に関する授業を行っています。本日は、PTAの方も一緒にこの会場に来ています。本題です。私ももうすぐ定年です。小田原市で10年ほど青少年育成に関する取組をしています。地元のために何かしたいと思っています。観光の要素はあるのに、観光の力が弱いと感じています。実際に小田原を歩き回っていただいて、観光をアピールする上で何が足りないかアドバイスをいただきたいです。

(知事)

平井さん、いかがでしょうか。

(事例発表者:平井 丈夫氏)

箱根には年間2,000万人ほど観光客が来ます。小田原には昨年度670万人ほど観光客が来ました。箱根に行かれる方のほとんどが小田原を素通りしてしまいます。小田原には、見所や面白いところ、魅力的なところがたくさんありますが、これが広まっていない、伝わっていない現状があります。まち歩きツアーを作っても、プロモーションの力が弱いです。素材としては日本でも有数だと思います。海も山も川もあり、無いのは飛行場くらいで、なんでもあるバランスの良い都市ですが、お城が強く出てしまいます。まち歩きフォーラムを開催した時のことですが、参加された方は皆様、小田原というと小田原城と言います。しかし、小田原イコールお城というのは、関東の方だけで、関西の方だと「かまぼこ」になります。名古屋もあり姫路も大阪もあるので、小田原イコールお城というイメージは少ないようです。海や山がある魅力的な場所です。また明治から昭和にかけて政財界の偉人が小田原に別荘を建てました。小田原の魅力はもっとPRできると思うのに、プロモーション力が弱いというのが正直なところです。

(知事)

素材はそろっているのにプロモーション力が弱いというご指摘には、私も感じるところがあります。可能性がまだまだあるということでもあります。

(開成町・男性)

隣の秦野市では、タバコ祭りを開催しています。開催日2週間前から観光協会のはっぴを着た方々が小田原駅に来ていたのをご存じでしょうか。小田原市のプロモーション力が弱いということでしたら、拠点となる小田原駅だけではなくて、乗換駅の海老名駅、本厚木駅などにもパンフレットなどを置かれたらどうでしょうか。近隣の松田町や開成町もそうです。御殿場線やJR東海などと連携し、駅にチラシを置く、ポスターを貼るなどすると良いと思います。

(小田原市・男性)

私は歴史が好きです。小田原で北条氏政の汁かけめしを再現するイベントを行ったこともあります。小田原の観光に足りないことの1つに小田原の城下町以外の歴史をピックアップできていないことがあると思います。現在の小田原の東大友・西大友辺りは大友郷と呼ばれていて、九州で勢力を誇った戦国大名である大友氏のルーツです。でもそれが知られていません。九州に関係のある方も知らないのは、もったいないことです。大友氏ゆかりの長善寺も衰退しています。小田原市の中町には新田義貞の首塚と伝わるところもあります。拾い切れていない歴史を再検討し、拾い上げていくことが大事だと思います。

(知事)

平井さん、まち歩きでは歴史についても語られていますか。

(事例発表者:平井 丈夫氏)

歴史のことも話します。まち歩きと観光ガイドの違いは、知識的なことを伝えるだけではなく、いかに小田原が面白いか、おいしい食べ物があるかなども伝えていることです。歴史だけだと学問的になってしまいます。まち歩きに参加していただく最終目標は、参加した方の財布のひもが緩むことだと私は思っています。歴史的な説明もしますが、それだけで終わってしまうと地域活性化にはつながらない気がしています。

(知事)

ご指摘があったようにみんなが知らない歴史があり、知らないことを知ることができるのは魅力になると思います。

(事例発表者:草柳 加奈氏)

マニアックなところがとても良いと思いました。マニアックな歴史を教えるまち歩きコースを作っても良いと思いました。

(知事)

ご自身がまち歩きガイドとして活動してみてはいかがですか。

(小田原市・男性)

汁かけ飯のイベントを行った際に、中国人留学生40人に小田原のポピュラーなところを案内したことがあります。小田原でも知られていない稲荷を回るツアーも行いました。

(知事)

面白いと思います。これからも、小田原の歴史掘り起しツアーに積極的に取り組んでいただければと思います。

(開成町・男性)

開成町で茅葺き屋根古民家の管理をしています。かつての小田原藩は、御殿場までありました。明治維新の頃、伊豆半島まで含めて「足柄」という言葉がありました。未病プロジェクトに最初の頃から参加しています。箱根と富士山はキラーコンテンツで、関西にない魅力は富士山です。毎日写真を撮っている人もいます。静岡県と提携して未病プロジェクトを広げる考えはありますか。知事に伺いたいです。

(知事)

静岡県知事には未病コンセプトに共感を覚えていただいております。実は、未病コンセプトにより強い関心を示してくれたのは山梨県知事です。未病の話に、感動した、一緒にやりたいと言ってくれて、未病コンセプトを山梨県と連携して広げようと動き始めています。「ME-BYO」に関しては国際的に打ち出していこうと考えており、未病ツーリズムとして打ち出していきたいです。昔で言えば「湯治」ですが、温泉、食、未病指標を組み合わせればもっと県西地域に観光客を呼べると思います。未病バレー「ビオトピア」は敷地面積が60ヘクタールと広大な場所です。第一期でme-byoエクスプラザをオープンさせました。ここでは、最新機器で自分の健康状態を測ることができ、地域の食材を活かしたマルシェやレストランもあります。温泉も宿泊施設もできれば、将来的には未病のツーリズムの拠点になりうる場所です。未病バレー「ビオトピア」だけでなく、県西部全域で、世界中の観光客に来てもらえる潜在的なパワーをこの県西地域は持っていると思います。

(男性・小田原高等学校(生徒))

コミュニケーション英語の授業で、海洋プラスチックのごみを減らすためにどういうことをすれば良いかということを、自分たちで考え、英語で発表しました。元々、プラスチックごみは街に捨てられたものが側溝に流れ、川に流れ、最終的には海に流されると私たちは考えました。街のごみを自分たちで拾うことで海に流れ込むプラスチックごみを減らす取組を考えました。

(女性・小田原高等学校(生徒))

この取組のメリットを3つの視点から説明します。1つ目はSDGsの17の目標のうち、2つの目標に貢献できる取組です。14番「海の豊かさを守ろう」と16番「陸の豊かさを守ろう」に貢献できる取組であると考えました。街のプラスチックごみを拾うことで、海が汚染されるのを防ぎます。2つ目は健康につながる活動です。プラスチックごみが海に流れるとマイクロプラスチックになり、それを魚が食べ、その魚を私たちが食べます。プラスチックごみを拾って海に流れるのを防げば、マイクロプラスチックを私たちが食べることを防げます。3つ目は小田原の観光に役立つ取組です。街のごみを減らせば、観光客にとって魅力的な街になります。私たちのグループはこのような案を出しました。他のグループでは、マイバッグを持つという提案もありました。大きくは変わりませんが、少しでも良くなると思います。気軽にできることがプラスチックごみの改善につながります。少しでも実際に行動したいと思います。

(知事)

とても良い発想です。

(草柳 貴之氏)

マルシェにはたくさんの人が来ますから、こういう取組の発表の場としても有効です。今の高校生はしっかりしているなと、発表を聴いて、感動しました。アシガラマルシェと連携して学生の熱い想いを発信したいと思いました。

(知事)

マルシェの開催後に会場にごみが落ちてしまっていたらイメージが下がってしまいます。

(事例発表者:草柳 貴之氏)

この問題に関して、いろいろなきっかけ作りをしたいと思っています。マルシェに来る前にプラスチックのごみを拾ってこようと呼びかけるなど。そして、どれだけ集まるか計測してみるのも面白いと思いました。

(知事)

県でも、川から来るプラスチックごみに関して取り組み始めようとしています。海に流れるマイクロプラスチックの問題に関して、皆さん、海岸を一生懸命清掃します。実際には、内陸部でポイ捨てされたプラスチックごみが最終的に川を経由して海に流れてきます。神奈川県は、海に面している市町村とそうでない市町村があります。海に面していない市町村のマイクロプラスチック問題への意識を高めていかないといけないと思っています。

(開成町・男性)

在職中、ポリプロピレンなどマイクロプラスチックになるものを製造研究していました。神奈川県には日産自動車、慶應大学などがあり、ストローに使われているポリプロピレンを分解する研究をしている機関があります。海老名にある県の産業技術総合研究所とタイアップして研究してもらいたいです。ポリエチレンを分解できる菌の特許をヤクルトがもっていらっしゃいます。それを神奈川県で活用していただければと思います。

(知事)

専門的な話です。県でもメモしておきます。

(小田原市・男性)

学生さんがいらっしゃるので、是非、聞いてほしいことがあります。私は、55年前に秦野市から小田原市に来ました。秦野から小田原に来た時に、義父から秦野のことは全部忘れてこい、これから小田原に骨を埋めるのだから小田原の歴史と産業を勉強しろと言われました。若いうちに小田原を勉強してほしいと思います。もう1つ、知事にお願いですが、昨日、孫と箱根の大涌谷まで行きました。その帰り道、渋滞で身動きできませんでした。小田原から箱根に上がる道路は1本しかありません。小田原から蛍田まで立派な道路ができましたが、その先が続きません。林道を拡張して箱根に抜けられるようにすれば小田原に2本の動脈ができます。観光用の道路として非常に有効な道路になるのではと思います。箱根の鉄道を見て、がく然としました。そういったことも含めて、観光ルートの整備をお願いしたいです。

(知事)

箱根町から南足柄市までの林道を改良しており、来年完成する予定です。渋滞も緩和されるのではないかと思っています。

(事例発表者:平井 丈夫氏)

知事に提案です。できるかどうかわかりませんが、まち歩きのツアーはだいたい朝10時に小田原駅に集まり、夕方3時ぐらいに終了します。途中に昼休みもはさみますが、歩数として1回に1万2,000歩くらい歩きます。せっかく歩いていただいたので、歩数をポイントとして何かできないでしょうか。まち歩きだけではなく、運動をするとポイントになり、それが購買に還元できる仕組みを県でできないでしょうか。

(知事)

横浜市でご発言のような取組を行っています。企業でも取り組んでいるところがあります。県でも職員を対象に行っており、歩数ポイントを貯めると商品に交換できる仕組みを福利厚生の一環として行っています。どちらかというと、県ではなく、市町村や企業が取り組む仕事ではないかと思いますが、とても良いアイデアです。

(女性・小田原高等学校(生徒))

私たちは先日、放送部の大会があり、その作品として、かまぼこ通りに関するドキュメント番組を作りました。インタビューの中でかまぼこ通りにはたくさんの魅力があるのに、なぜその魅力を磨かないのか、かまぼこ通りを前面に出さないのかという話がありました。案内する人が魅力を伝えるのではなく、まち歩きをされた方にまちの魅力を見つけてもらうのが良いと思いました。

(知事)

ありがとうございました。もっと魅力が知られるためには、プロモーションの力が大事です。神奈川県には、潜在力があります。十分に活かしきれているでしょうか。小田原だけの問題ではなく神奈川県全体としてです。私が若い頃、大磯は、大磯ロングビーチがあり、憧れの場所でした。城ヶ島にも人がいっぱい来ていました。東京からそんなに離れていない場所ですが、自然を感じられます。知事になってから訪問すると、大磯も城ヶ島もさびれた場所になっていました。地元の人たちみんなが結束して「魅力がある場所だからPRしていこう」という気持ちになっているのでしょうか。地元にたくさん観光客が来なくても、生活に困るとか、生きていけないという危機感がありません。皆さんが来なくてもしょうがないと思ってしまうと、さびれてしまいます。危機感がないことが最大の危機です。神奈川県全体を見たとき、観光地といえばどこでしょうか。横浜、箱根、鎌倉、のほかに浮かんできません。第4の観光の核づくり認定事業としてコンペを行いました。その結果、城ヶ島、大磯、大山の3か所が選ばれました。小田原は残念ながら入りませんでした。最近、大磯は変わってきています。旧吉田茂邸が燃えてしまいましたが、再建され、また、「明治150年」関連施策の一環として、国と大磯町と連携し、明治記念大磯邸園を設置します。ここには、陸奥宗光別邸跡、旧大隈重信別邸、伊藤博文邸跡などが残っています。城ヶ島でも商店街の景観整備に取り組んでいます。小田原も素晴らしい素材があるのに、活かしきれていないということで、今日は皆様の思いがつながったのではないでしょうか。今日は高校生も来てくれています。大人と高校生が直接対話する機会はそう多くはないでしょう。これが対話の広場の魅力です。皆様が同じ思いを持ったところから始まるのだと思います。今日の対話が次につながるきっかけになればと思います。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

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