相模湾の定置網(ていちあみ)漁業 

掲載日:2018年1月5日

詳しくご説明します。

「定置網(ていちあみ)漁業は、本県沿岸漁業の生産量の6割以上を生産している重要な漁業であり、県民に新鮮な地場産水産物を提供しています。」

このフレーズは幾度となく、本県の水産行政や試験研究で使われている様々な資料に記されてきました。
事実、H25年の本県の漁業生産量は全体で約34,500トンで、その内訳は、沿岸漁業が約18,000トン、遠洋漁業が約16,000トン、沖合漁業は約900トンとなっています。
そして、定置網漁業の漁獲量は約11,500トンで、沿岸漁業の約64%。県漁獲量全体の約33%(農林統計年報)を占めており、神奈川県の重要な漁業となっています。

では、この定置網漁業について皆さんはどれだけご存知でしょうか?
相模湾試験場に見学に来られた県民の皆さんからは「神奈川県で漁業が行われている事を初めて知った。」とか、「定置網という漁具を初めて知った。」という感想をたくさんいただきます。
そこで、神奈川県の重要な漁業である定置網漁業についてご説明したいと思います。


【定置網の構造】

図1 定置網の概観
まず、定置網の概観ですが、図1のように海上に沢山の浮きが並んでいるのを見かけたことがありませんか?
これが定置網という漁具です。
非常に大きな漁具で最大級のものは全長が400m以上もあります。

図2 定置網の構造と各部の名称(海面上)
図3 定置網の構造と各部の名称(海中の立体図)

図2、図3に定置網のなかでも落し網(おとしあみ)とよばれる網型の構造と各部の名称を示しました。
定置網にはここで示す落し網のほかにも色々な網型があります。
定置網の張り立て(はりたて)(海に定置網を設置すること)は、ロープと浮子(あば)(浮き)と金(かな)碇(いかり)あるいは土俵(どひょう)(サンドバッグ)を使って、海面から海底の間に「側張(がわばり)」という骨組みを組み立てます。
次にその骨組みに垣網(かきあみ)、運動場(うんどうば)、昇網(のぼりあみ)、箱網(はこあみ)という網を取り付けて作られます。
垣網は垣根のような長い網が海岸近くから沖へ延びて設置されています。
垣網は長いものでは800m以上もあります。
その沖側には運動場という周囲を網で囲まれた広い場所があります。
昇網は底面が上り坂のようになっており、左右の網は先に進む程狭くなっています。
昇網からつづく箱網は大きな箱のような形をした網です。垣網(かきあみ)、運動場(うんどうば)、昇網(のぼりあみ)、箱網(はこあみ)はそれぞれ構造も役割も異なります。
それから、落し網の場合、運動場も昇網も箱網も上面(海面)に網はありません。
天井(海面側)は開いているのです。定置網は海底に固定されています(固定式漁具)ので、魚が網に入って来るのを待って獲る漁法です。魚を追い掛け回して漁獲する漁法ではないので、資源を獲り尽くしてしまうことはありません。

図4 定置網に魚が入る仕組み

【魚を獲る仕組み】

図4に定置網で魚を獲る仕組みを示しています。魚は潮の流れに乗って海岸と平行に泳いで来ます。
しかし、その進路を垣網に遮られてしまいます。すると魚は安全な沖の方向へ進路を変えます。(岸側は浅いので魚にとっては危険です)その先には運動場が待ち構えていて、魚の群れは運動場の中に導かれます。
運動場はとても広い場所なので魚はその中を泳ぎ廻ることが出来ます。
なかには入ってきたところから再び網の外へ出て行ってしまう魚もいます。
定置網は網の入口をふさぐことはしません。網の入口は常に開いているのです。
魚は運動場を泳ぎ回っているうちに昇網を通り、その奥にある箱網に向かいます。昇網の先端は漏斗(じょうご)口(ぐち)といわれ、箱網の中に突き出しています。
その構造から、箱網に入った魚は外に出にくくなっています。この様にして定置網に入った魚は箱網に溜まっていくのです。

図5 定置網に入った魚を水揚げする(箱網を締める)

【水揚げの方法】

漁師さんは毎朝、この箱網を締めて(網を揚げること)魚を獲ります。
図5は漁師さんが箱網を締めて魚を獲っている様子です。
毎朝、魚を獲るために網を揚げるのはこの箱網の部分だけです。決して巨大な定置網の全ての網を引き揚げているのではありません。

図6 定置網の箱網を締める手順(海面の図、漁船の移動)
図7に箱網を締める手順を示します。
箱網の入口側、漏斗口のあるところから網を手繰り揚げて、魚を箱網の奥に追い込みます。引き揚げた網は漁船に揚げてしまうのではなく、再び海中に降ろします。
網を手繰りながら徐々に漁船を箱網の奥へと移動します。そうして魚を箱網の奥へ追い込みます。
図7 定置網の箱網を締める手順(海中の図、網の操作)
図8 定置網に入った魚を水揚げする(魚を漁船に取り込む)
図8は箱網の奥に追い込んだ魚を漁船に取り込んでいるところです。
箱網の中では、たくさんの魚が水しぶきをあげています。でも、本当は漁師さんは魚をあまり暴れさせないようにしています。魚を暴れさせてしまうと、その後の鮮度や品質に影響するからです。

図9 定置網に入った魚を水揚げする(魚を漁船に取り込む)

図9は漁船の魚槽(ぎょそう)に魚を入れているところですが、魚槽の中にはあらかじめ滅菌され冷却された冷たい海水と氷が入れられています。漁師さんは魚を魚槽へ入れるたびに氷を足して、攪拌し、魚と冷たい海水と氷が良く混ざるようにしています。
こうすることで、素早く魚を冷却して、鮮度と品質を保っているのです。

図10 定置網で漁獲される魚(県西地域の定置網の例)
図10は県西地域の定置網で漁獲される魚の一例です。この他にもサバやマイワシ、カタクチイワシ、イサキ、カンパチ、ヒラマサ、スルメイカなど様々な魚が定置網で漁獲されます。

 

本文ここまで
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