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更新日:2024年3月26日

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令和5年度第2回インクルーシブ教育推進フォーラム記録

令和5年度第2回インクルーシブ教育推進フォーラム『県立学校における「インクルーシブな学校」づくり』をテーマに開催しました

PDF版記録

PDFの内容は、このウェブページにある以下の内容と同じものです。

日時・会場・内容

日時 令和5年11月25日 土曜日 13時30分から16時30分まで
会場 県立総合教育センター
内容 1.開会挨拶2.趣旨説明3.実践報告4.会場参加型ディスカッション(1)(2)5.閉会挨拶

 1.開会挨拶

インクルーシブ教育推進担当部長 田所 健司

 インクルーシブ教育には、様々な解釈や説明があります。神奈川県教育委員会では、すべての子どもが参加できるというインクルーシブな視点で学校教育を見直し続ける取組であると捉えています。この取組の方法は1つだけではありません。また、ゴールとしての完成形が決まっているというわけでもありません。子どもも大人もすべての人が当事者となって、インクルーシブな学校や社会づくりを進めていく、そのプロセスこそが大切であると考えています。本日は、2つの実践報告と基調講話を踏まえて、県立学校におけるインクルーシブな学校づくりの「成果と課題、将来像」というテーマで、意見交換をしたいと思っております。

 すべての子どもが学べる学校とは、皆さんはどのようにお考えになりますか。皆様の声をお聞かせください。


 2.趣旨説明「神奈川のインクルーシブ教育の推進」

インクルーシブ教育推進課
二宮 雄治 グループリーダー兼指導主事

 神奈川県では学校教育の将来像を、「すべての子どもが小学校、中学校、高等学校で学べる環境の実現」としています。これは、特別支援学校や特別支2023foru平方メートル_record_shushi1援学級を否定しているものではありません。

 すべての子どもが学ぶ場を選択する場面で、選びたくても選べない状況にあるならば、まずはその解消から始めようということです。そのためには、すべての学校で多様性、包摂性、選択制を軸に据えたインクルージョンを実現していくことで、一人ひとりの子どもに教育を届けるための環境設定とは何かということを考え、実践していくことが必要ではないかと考えています。

 この将来像は、平成6年に国連で示されたサラマンカ宣言の中に出てくる「万人のための教育の目標実現には、万人のための学校がつくられることが必要である」ということと同じです。サラマンカ宣言でのインクルーシブな考え方は、2015年の国連サミットで採択された持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの中に継承され、「誰一人取り残さない社会の実現をめざす」というスローガンのもと、目標4(教育)にインクルーシブな教育の実現が明記されています。

 本県では、インクルーシブ教育の推進の考え方として「支援教育の理念のもと、共生社会の実現に向け、できるだけ同じ場でともに学び、ともに育つことをめざす」とし、平成19年のかながわ教育ビジョンに位置付けました。これは平成14年から進めている支援教育の理念を根幹に据えたものです。支援教育は、神奈川独自の教育理念であり、すべての子どもを対象として、一人ひとりの抱えている悩みや課題を教育的ニーズと捉え、それらに適切に対応し、一人ひとりが生き生きと学べる環境をつくっていくことを大切にしています。

 右下の4つの図は、社会組織、または集団などの状態を表しています。これを見て、皆様はどのようなイメージをお持ちになるでしょうか。どのようなスケールで考えるかによって見方は変わるでしょうし、自分が社会をどう見ているかという考え方によっても、見方は変わるかもしれません。インテグレーションとインクルージョンは、同じ場で学ぶという視点で見れば、同じことのように捉えられるかもしれません。しかし、インクルーシブ教育は、「一緒の場にいればいい」という形優先の考え方では推進されないと考えています。また、障がいのある子と障がいのない子がともに学ぶという狭義の意味だけではないとも考えています。そもそも、社会は多様な人たちで構成されています。2023foru平方メートル_record_shushi2他者と共生していくことが社会の本質であることから、学校教育でも、多様な仲間と協働的に学び、自分の学びを深めていくことは必然ではないでしょうか。

 したがって、今の教育の枠組を変えることなく支援を考えるといった発想ではなく、すべての子どもたちが学ぶことを前提として、そもそもどのような方法が適切であるかを考え、実践していくことが求められているのではないかと思います。そのためには、まず私たちの意識をインクルーシブにすることが必要ではないでしょうか。

 


 3.実践報告

実践報告1 県立学校におけるインクルーシブ教育の推進
県立伊勢原高等学校 天野 裕介 総括教諭

 伊勢原高校は、間もなく創立100周年を迎える歴史と伝統のある学校です。本校では入学者選抜において、一般募集に加えて、在県外国人等特別募集およびインクルーシブ教育実践推進校特別募集(以下、実践推進校特別募集)の2つの特別募集を実施しています。学校の規模は1学年7クラスで、生徒数は全学年で約750名です。2023foru平方メートル_record_isehara1

 学校教育目標の柱の一つを「D&Iコンセプト」とし、ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂性)を大切にして、互いの違いを個性や特性として理解し合い、思いやりや優しさを育むことを学校全体で取り組んでいます。

 次に、本校での実践例をご紹介いたします。

(1)学習支援

 すべての生徒を対象に、授業に集中できる環境づくりや理解を促す支援、バリアフリーをめざした支援を行っています。具体的には、黒板周りをすっきりさせて気が散らないようにするフロントゼロの取組や、大型モニターを設置したり、教科書やプリントを拡大表示できる書画カメラを使用したりするなどICTを活用した取組を行っています。授業では目標や進め方を明示し、何をどのように学習するのかの見通しがもてるようにしています。また、グループ活動や教え合いの活動、資料へのルビ振りも日常的に行っています。国語、数学、英語の主要3教科では、2名の教員でティーム・ティーチングの授業を実施します。また、インクルーシブ教育推進支援員が授業内で一人ひとりに対して必要な支援を行うこともあります。

(2)個別教育計画

 実践推進校特別募集により入学した生徒については、個別教育計画を作成し、生徒の実態に応じた支援を行っています。個別教育計画には、学習支援の内容を記載する部分もあります。履修しているすべての科目について、個人の目標や支援の手立てを記載し、生徒、保護者、教科担当が共有します。そして、学期末に目標達成できたか、手立ては適切であったかを評価し、次の学期やその後の支援に生かしていきます。

(3)進路支援

 2023foru平方メートル_record_isehara2実践推進校特別募集により入学した生徒は、キャリア教育に関する学校設定科目を二つ履修しています。一つはキャリアA、B、C(A:1学年、B:2学年、C:3学年)で各学年週2時間履修し、進路決定に必要な力を身につけます。もう一つは、社会体験A、B、Cで、夏休みに1週間程度、大学や専門学校、企業等の見学体験を中心に行い、高校卒業後の進路に対するイメージを持てるようにします。また、インクルーシブ教育進路担当教諭が中心となり、市役所や特別支援学校、関連団体等、外部組織との関係づくりも積極的に行い、進路決定に役立てています。

 令和5年3月に卒業した実践推進校特別募集により入学した生徒の進路状は、4年制大学や就職、福祉サービス等、多岐にわたりました。

(4)相互理解を深める生徒学習会

 障がいの理解や共生社会の実現に資する生徒向け学習会を年に数回実施しています。外部講師をお招きした学習会では、障がいとは、「○〇ができない」と個人因子だけを指すのではなく、障がいを社会側の課題として捉え、その人を取り巻く社会あるいは環境の障壁によってできないことが生じているという「障害の社会モデル」について学習し、障がいの見方や捉え方を考える機会となりました。また、本校のスクールソーシャルワーカーによる研修では、「学校における人権」をキーワードとして、誰もが教育を受ける権利、いじめや暴力、2023foru平方メートル_record_isehara3差別をされない権利、SNSを含めてプライバシーを侵害されない権利、自由な言動ができる権利などを学習しました。こうした様々な研修を受講した生徒の振り返りからは、右のスライドの感想以外にも「障がいについての世界的な捉え方を知ることができた」といった感想や「障がいとは何かを考える機会になった」、「新たな気づきや前向きな気持ちになることができた」といった変化が感じられました。

 最後に、本発表のまとめとして成果と課題について述べます。 成果としては、お互いにさりげなく助け合う様子などから、多くの生徒が、共生社会を担うための感覚を身につけていることが挙げられます。また、教職員もこれまで以上に、生徒情報を共有したり、誰もが分かりやすい授業づくりを実践したりするなどの変化がありました。

 一方、課題としては、生徒がそれらの感覚を今後も身につけられるよう研修内容を工夫することや、一人ひとりに寄り添った支援を一層充実させていくことが挙げられます。本校に入学したすべての生徒を支援していくために、インクルーシブ教育実践推進校としてどのようなことができるか、さらに検討し続けていきたいと思います。


 

実践報告2 県立学校におけるインクルーシブ教育の推進
県立瀬谷支援学校 山崎 真理 総括教諭

 神奈川県立瀬谷支援学校は、県内では、最初の知的障害教育部門の学校として昭和46年に開校し、今年で52年目を迎えました。現在、約300名の児童生徒が通っています。校舎は、自然が大変豊かで、春になると桜が満開となり、職員玄関前の花壇には地域の方々と子どもたちとで植えた花が咲き誇っています。また、県立大和東高等学校と県立大和南高等学校の中に、分教室を設置しています。

 本校の学校目標は、次の3つです。

(1)自立と社会参加に向けて、小中高12年間を通した一貫性のある教育を推進する。

(2)主体的な学びを尊重し、ライフステージに応じた学習支援、相談支援、進路支援を体系的に進める。

(3)インクルーシブ教育の進展を図るとともに、共生社会の基礎となる、ともに学びともに育つことが可能な地域づくりを推進する。

 2023foru平方メートル_record_seyasien1右の表は、各学部で取り組んでいる地域交流についてまとめたものです。今回はボッチャ交流会とにんにく計画について紹介します。

 ボッチャ交流会は本校と近隣の中屋敷地区センター、中屋敷地域ケアプラザが協働して運営している地域交流の事業です。年に2回実施しており、主に本校の高等部の生徒と地域の自治会のメンバーが参加しています。地域の方も日頃からボッチャの練習をしているため、とても白熱した試合になります。地域の方と生徒がお互いに、「〇〇さん頑張ってね」、「〇〇さん、この辺に投げるといいよ」といった声を掛け合ったり、ハイタッチをして喜びあったりするような様子が見られました。このような地域交流の場を設定することで、地域の方と応援をし合ったり、声をかけ合ったりするなどの自然なコミュニケーションが生まれています。

 次に、にんにく計画です。2023foru平方メートル_record_seyasien2この計画は、にんにくを育てたり収穫したりする作業を、地域の方と一緒に行っている事業です。本校の高等部の農園芸班の生徒と校内の小・中学部の児童生徒との交流、また、近隣の小学校の4、5年生との学校間交流も行っています。地域からは、自治会やケアプラザの方、PTAの保護者、福祉事業所の方も参加しています。地域との関わりの中で、それぞれの立場の人たちが、よかった、勉強になった、楽しかったと感じられる場面がありました。地域との交流が増えることで、卒業後の繋がりも広がっています。このような交流は、お互いに成長できる大切な場であると実感しています。本校の子どもたちにとって卒業後の支援も含めて、地域との関わりを広げていく、深めていくということをこれからも大切にしていきたいと思います。

 次に、本校のセンター的機能として地域の高等学校とどのように繋がり、連携していくか、ということについてお話します。特別支援学校には、センター的機能という地域の小、中学校、高等学校等の支援をしていく役割があります。本校では、保護者や地域からの電話相談や来校相談に対応したり、各学校からの要請に応じた巡回相談や研修会の講師を努めたりしています。特徴的な取組として、教材教具の支援や障がい特性に応じた支援方法等の紹介も校外に向けて積極的に行っています。毎年作成している教材教具集を本校のホームページから閲覧できるようにしているだけでなく、地域の方々や学校の先生、保護者の方が直接触って見ることができるよう教材教具展示室を校内に設置しています。また、地域の先生方向けに、教育支援だよりを発行して、本校で行っているアセスメントなどを紹介しています。

 高等学校との連携について、相談の一例を紹介します。高等学校からの相談事例として、物を片付けることが苦手、また、提出物が出せないといった相談がありました。当該生徒の授業観察等を行い、ケース会において見立てやアセスメントについて伝えながら、支援方法をみんなで考えていきました。誰がいつ、何をするのかといった役割分担も高等学校の先生たちと決めていきました。また、別のケースでは、近隣の特別支援学校から本校の自立活動教諭(専門職)に要請があり、両特別支援学校による巡回相談を行ったケースもあります。生徒の実態に応じて、他校と連携をして巡回相談をすることもあります。

 巡回相談に伺った高等学校の先生からは、「子どもたちへの支援方法の選択肢が広がった」、「自身とは異なる視点で助言がもらえ、見方が広がった」、「現在の支援の方針について後押ししてもらえた」といった意見が寄せられました。また、「特別支援教育の視点のもと学校全体で支援にあたることが大切である」といった気づきや、ケース会議にSSWが参加したことで、学校として社会資源や支援先への繋がる必要性についての理解も深まりました。一方で、高等学校の先生の悩みや課題も挙がっています。一人ひとりの学びの評価に関する悩みや学校のルールと子どもの特性をどのように合わせて生徒指導すればよいか、といった疑問の声も挙がりました。また、卒業後も含めた福祉や行政との相談、フォローアップの必要性について、卒業後の関係機関との連携に関する相談もありました。

 特別支援学校と高等学校のさらなる連携に向けて、本校が大切にしていることが3つあります。

 1つ目は、それぞれの子どもに合った学び方や支援を探ることが、ゆくゆくはその学校全体の学びやすい環境づくりに繋がっていくということです。

 2つ目は、チームで支援することです。チームができることによって、多角的な視点から支援を考えることができるようになり、子どもにとっての見立てや支援策が増えていきます。

 3つ目は、支援の連続性を意識して関わることです。学校で子どもたちと関わっていると、「学校を卒業するまでに自立に向けたその子どもなりの目標を達成できるように」という思いが出てくることがあります。しかし、子どもたちの人生を考えたときに、地域の方の協力も得ながら、学校卒業後もその支援が途切れることがないよう長期的な支援の展望を持ちながら関わっていくことも大切であると感じています。

 今後、地域の高等学校とは、お互いの学校見学や座談会を実施することで互いの学校の特徴や子どものことを知っていく場を築いていきたいと考えています。そうした特別支援学校も高等学校の先生もお互いに学び合うことができる場をつくっていく必要性を感じています。2023foru平方メートル_record_seyasien3

 最後に、本校はみんなが過ごしやすい地域をめざして、学校内にとどまらず、地域とともにある学校、また、地域の小・中学校、高等学校とともにある学校でありたいと思います。すべての子どもたちが地域で仲間と一緒に毎日を生き生きと過ごすことが、共生社会の実現へつながっていく小さな1歩ではないかと思っています。


 4.会場参加型ディスカッション1

基調講話
県立生田高等学校 布川 勝也 校長

 本日は、神奈川の支援教育についてお話します。インクルーシブ教育ではなく支援教育をテーマとした理由は、神奈川県のインクルーシブ教育は支援教育の理念のもとにあるからです。もう一つの理由は、平成14年3月に本県が支援教育を打ち出して以来、私自身がこの理念を大切にして教員生活を送ってきたからです。

 「すべての生徒は支援を必要としている」、これが支援教育の前提です。「支援を必要としているすべての生徒」という表現では、支援を必要としている生徒とそうでない生徒がいて、必要としている生徒に対して「すべて」という意味になってしまいます。ですから、特別に個別の援助を必要とする一部の生徒を表現する際は、「援助ニーズの高い生徒」などと言っています。したがって、私なりに支援教育の理念のもとにインクルーシブ教育を定義すると、「すべての生徒は支援を必要としているという認識のもと、すべての生徒を支援の対象とする学校で、すべての子どもたちがともに学ぶ仕組み」となります。支援教育の視点がないまま、単にともに学ぶという形だけでは、インクルーシブ教育の推進にはならないと考えています。

 養護教諭になりたかった保健2023foru平方メートル_record_ikuta1体育科のA教諭のお話をします。この先生は高校時代に、ある運動種目でインターハイチャンピオンになります。しかし、ある理由からバーンアウトしてしまい、抜け殻になってしまいます。その時に心の支えとなったのは、養護教諭の存在です。体育大学進学後も「養護教諭っていいな」と思い続け、その思いを断ち切れないまま、保健体育科の教員として教壇に立ったそうです。そのようなA教諭に現在の心境を尋ねたところ、次のような答えが返ってきました。

 「2年目からクラス担任となり吹っ切れました。養護教諭が助けられるのは、私のように保健室に救いを求めた生徒だが、保健室に来ない大多数の生徒も皆、助けを求めている。そのような生徒たちを助けてあげられるのが、クラス担任。担任となり、この仕事の素晴らしさを本当の意味で知り、吹っ切れました。」

 教員は目の前の困っている子どもたちを支援するものであり、やるべきことは支援であるということです。キャリア教育や道徳教育においても、校内の一部のグループが担うのではなく、全職員全学年であらゆる教育活動を通して展開されるものです。このことは支援教育においても全く同じであると考えています。つまり、教育とは元来、「支援教育」であり、学校とはそもそもインクルーシブな学校でなければならないということです。「私が勤める生田高校もそういう学校です」ということを職員会議等で時間をとって説明をしています。

 支援教育の対象は、すべての子どもたちである。そして、その中でも特別な教育的ニーズのある子どもたちを優先的に位置付けていくのは当然です。しかし、そうした子どもたちを優先的に位置付けることに重点を置き、そして最後までそれに終始し、いつしか「すべての子どもたちは支援を必要としている」ではなく、「支援を必要としているすべての子どもたち」になってしまった、というのが私の問題意識です。

 校長になった平成25年当時、2023foru平方メートル_record_ikuta2インクルーシブ教育という言葉が神奈川県で盛んに使われるようになり、私は期待をしていました。その期待の理由を説明するために、ここで「不易流行」について触れます。不易流行とは「不易の不易たる所以は流行を取り入れるところにある」という意味で、不易は流行に支えられており、不易と流行は相反しないという考え方です。キャリア教育やアクティブ・ラーニングという流行が教育の不易の部分を刺激し、昔から言われていながら動かなかった部分を動かした。したがって、この二つの流行が教育の不易にもたらした効果は絶大だったわけです。

 インクルーシブ教育もそうなること2023foru平方メートル_record_ikuta3を期待しましたが、実際はそのように動きませんでした。そもそも平成14年3月に出た支援教育は、先のサラマンカ宣言で述べられているインクルージョンの考え方を踏まえており、支援教育の考え方はインクルーシブ教育の考え方と同じです。ユネスコの「すべての子ども」と支援教育の「障がいのあるなしにかかわらず、すべての子どもたち」、それから、ユネスコの「周縁化や排除の恐れがある人々に特に焦点を合わせている」と、支援教育の「優先的に位置付け」は同じ意味です。サラマンカ宣言・インクルージョンが先にあって、支援教育があるわけですから、支援教育を中途半端にしたままでインクルーシブ教育を推進することは少し無理があるように思います。したがって、神奈川の財産である支援教育の原点に立ち返って、インクルーシブ教育を推進していくことが、正攻法なのではないかと考えています。

 また、支援教育の考え方は3段階の心理教育的援助サービスのすべての生徒を対象とした一次的援助サービスともぴたりと重なります。ですから、学校での教育活動の中心にある、すべての生徒が受ける「授業」を改善していく必要性があると私は考えています。 次に、私の生徒指導における特別指導の考え方を支援教育の視点からお話します。過去に次のようなエピソードがありました。

 私が「問題行動の有無を確定させるだけでは駄目です。前後関係、ストーリー、背景を明らかにしてください。」と伝えると、生徒指導の担当者からは、「時間がありません。それが明らかになったとしても指導日数は変わりません。」と反論されます。私は、「日数で指導するわけではありません。事実確認を通して彼らの琴線に触れなければ指導はできません。ストーリーのつじつまが合わないままでは指導はできません。」とさらに伝えます。しかし、実際は時間切れで校長指導に入ることもあります。そうした場合は、まずは聞き取りから始めるのです。そうすると、「やっと聞いてくれた」、「やっとしゃべれた」と生徒の表情が徐々に変わっていくのです。その後、私は厳しく指導をします。これも支援教育なのです。

 最後に、私は何か特別なことをしているわけではありません。ただ、支援教育の理念のもとに、教育を一生懸命やっているだけです。支援教育の理念は本来の教育において、一番大切にしなければならないことであるということを忘れずに、これからも日々の教育活動、学校経営に当たっていきます。


 

4.会場参加型ディスカッション2

『県立学校における「インクルーシブな学校」づくり』
 成果と課題、将来像

〇登壇者
 天野 裕介 氏(県立伊勢原高等学校 総括教諭)
 山崎 真理 氏(県立瀬谷支援学校 総括教諭)
 布川 勝也 氏(県立生田高等学校 校長)
〇司会進行
 二宮 雄治(インクルーシブ教育推進課 グループリーダー兼指導主事)
 島野 泰 (インクルーシブ教育推進課 指導主事)

二宮:私はインクルーシブ教育推進課の二宮です。司会進行役を島野とともに務めます。どうぞよろしくお願いたします。2校の実践報告と基調講演について、心に残っているフレーズだったり、今、感じていたりすることなどに触れながら自己紹介をお願いします。

 

天野:伊勢原高等学校でインクルーシブ教育推進担当をしている天野と申します。

 山崎先生の発表の中で「チームで対応していくことがとても大切である」というお話がありました。学校にはいろいろな業務グループがありますが、インクルーシブ教育を推進していくためには、一つのグループや個人だけで受け止めるのではなく、関係のあるそれぞれのグループがしっかりと連携していくことが大切ではないかと思います。

 また、布川校長先生の発表の中で、校長先生が職員会議で支援教育についてご説明をされているというお話を伺いました。本校でも、毎月1回行われる職員会議の冒頭に、インクルーシブ教育研修や外国につながりのある生徒の支援に関する研修を行っています。情報を共有したり、ちょっとした知識を共有したりできるというような時間を設けています。

 

山崎:瀬谷支援学校で連携支援グループを担当している山崎と申します。

 天野先生のお話の中で、授業をつくっていく上での環境面の整備や、授業の流れをわかりやすく提示するなどの視覚支援、生徒同士の学び合いなど、様々な取組をされているということを伺うことができました。また、一人ひとりの子どもたちに対しての支援が、すべての子どもにとってわかりやすい支援に繋がっていることをお話から感じました。

 また、布川校長先生のお話では、「生徒指導において子どもたちの琴線に触れなければ指導はできない」という内容が印象的でした。

 

布川:生田高等学校で校長を務めています布川と申します。2023foru平方メートル_record_discussion1

 私の発表で話した一次的援助サービ スというのは、天野先生の発表の中でいえば、インクルーシブ教育推進実践推進校特別募集で入学した生徒に対する支援が実はすべての生徒に重要で、伊勢原高校ではすべての生徒に対する指導・支援に生かされていると思います。それは特別支援学校でも同じで、支援のノウハウは、援助ニーズの高い生徒だけではなく、すべての生徒に有用な性質を持っているということが共通して言えることだと思います。

 

二宮:本日は何かひとつのゴールがあって、それに向かってみんなで理解していこうということではありません。みなさんの思いや考えを共有していきたいと思います。会場にいる皆様から実践発表報告と基調講演に関するご意見やご感想等を聞かせていただきたいと思います。

 

会場:私はかつて高校の教壇に立っていて、今、専門学校に勤めています。支援教育とインクルーシブ教育の関係性について、布川先生からお話があって大変わかりやすく受けとめさせてもらいました。話を聞きながら、かつて教壇に立っていた頃に、「わかりやすくて面白い授業がどこまで実践できたか」と考えていました。

 学校心理学でいう3段階の支援、援助の中の一次的援助として、授業はどの学校でも子どもたちが一番長く時間を過ごす場面なので、そこが支援の中心になるというのは大変共感できました。また、授業でどのように支援していくのか、その手立てやスキルを全体で共有できるといいと感じました。

 

会場:3名の方のお話を聞いて、改めてインクルーシブ教育を推進する上では、新しいこととか特別なことを始めなければいけないとか、変えなければいけないというよりも、むしろ昔からある、でも少し最近忘れかけている大切な考え方を、先生方でしっかりと共有して、それを徹底していくことの大切さのようなものを感じました。

 

会場:現在、インクルーシブ教育実践推進校の高校が、偏差値でいうと中堅の高校に偏っているような気がします。すべての子どもにとっての教育の多様性を考えるならば、むしろ偏差値の高い学校でこそやる意味があるのではないかなと思っています。だけど、現実難しいだろうなということを思い、なぜそれが難しいのかということを考え悩んでいます。

 

天野:ご意見を伺って、新しいことばかりではなく、一つ一つ丁寧に進めていくということがとても大切だという印象を持ちました。コロナ禍以降、ICTが推進されて久しいですが、これと同時に従来の形を踏襲し、よりきめ細かくやっていくということが必要になってくるのかなと思います。

 従前の「チョーク&トーク」といった授業は、生徒に知識を教える場面においては、今もとても大切な部分があると思っています。それとともに、やはり、グループ学習や学び合いを通して、自分の中に入ってきたものを活用してアウトプットし、何か課題を解決していくことが求められています。そういうグループ活動に特別募集で入学した生徒たちが積極的に参加できているので、いろいろな形態を合わせて授業を進めています。

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山崎:瀬谷支援学校は、創立52年を迎える学校ですので、地域との関係がとても強く、地域の方から助けていただく部分がたくさんあると感じています。地域の方に学校のことも子どもたちのことも知ってもらうということが、インクルーシブな地域づくりに繋がっていくと思っています。地域の小・中学校、高校への巡回相談の中でも、ユニバーサルデザインという観点で授業づくりをしていくことが大事にされていると感じています。

 

布川:インクルーシブ教育について、毎回の職員会議でいろいろなテーマを取り上げ、1年間をかけて教職員の理解を深めています。

 ここで、「脳にやさしい授業」について触れたいと思います。校長は職員の授業観察を年2回くらいしますが、その際に、詳細な授業案を求めるのではなく、生徒に配付された教材を使って、生徒と同じ情報で私は授業を見ています。そして、脳にやさしく提示してほしいと伝えています。例えば、先生からいつどんな質問が来るかわからない状態で50分間授業を受けると生徒はハラハラドキドキします。そうすると、簡単な問題にも答えられなくなることはよくあることです。しかし、予め問題を示して与えて「やってごらん」というと、結構難しい問題を解いてしまうこともあります。つまり、簡単なことをわざと難しく提示している授業になっているのではないかと思います。

 脳にやさしい授業というと、難しいことを簡単に言い換えようと先生方は頑張ろうとするけれど、簡単にしようとすると正確に言い換えられずに話がずれてしまうことがある。だから、難しいことは難しいままでいいから、先生が、生徒にしっかりと考えることができる時間を取って、脳にやさしく提示してくださいと伝えています。そのようなことが私の授業改善の授業力向上の取組の中で、それなりに成果が上がっているのかなと思います。

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島野:会場の方と登壇者の方からご意見をいただけたところで、本日の協議テーマをもう一度確認したいと思います。テーマは、「すべての子どもが学べる学校をつくっていくには、どのような視点、取組が大切になってくるのか」です。 

 

会場:中学生の特別支援学級の子がいる保護者です。先ほどの発言にもありましたが、偏差値の高い学校にもインクルーシブ教育実践推進校があってもいいのではないかと思います。しかし、特別支援学級に在籍していると高校卒業後の進路の選択肢が限られているように感じています。選択したくてもできない状況が今現在あるならば、改善してほしいと思います。

 現在我が子が困っているのが、体育の授業です。なかなかみんなと一緒に同じことをすることが難しい状況です。登壇されている先生の中で体育の授業の工夫があったらお知恵をお聞ききしたいです。

 

天野:実際には、本人、保護者と相談しながら合理的配慮を検討していかなければならないと考えています。学校説明会等において、個別にご相談いただくのが最もよいのではないでしょうか。できることを検討しながら最善を尽くすことが我々の使命であると思いますので、個別に対応させていただくことに尽きると思います。

 

二宮:すべての生徒が学ぶために、「こんなことができるのでは」というアイデアを会場の皆様からいただけないでしょうか。

 

会場:天野先生のご発言にもありましたが、一人ひとりに合った支援を考えることが一番大事ではないかと思います。一人ひとりの課題や目標をしっかり念頭に置きながら、本人、保護者、教員で相談していくことが大事なのかなと思います。子どもが授業の内容をどれだけ理解しているか、その程度も様々であるということが普通の学校だと思います。そうした学校の中でその子がどれだけ達成感をもって授業に臨めたか、これこそ学校生活を楽しむために大事な部分ではないかと思います。そのためにはどのような支援ができるのか、私たち大人が一生懸命考えていく必要があるのではないでしょうか。

 

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布川:授業の中で達成感があるということは必要です。それと、協議テーマであるすべての子どもが学べる学校をつくっていくためには、今後、子どもたちがいる学校がどうあるべきか、今の枠組みの中で難しさがあるならば、その枠組みについて私たちの意識をどうインクルーシブにしていくか、これがひとつキーワードになっていくのかなと思っています。

 

会場:学校現場において支援員の役割は大きいと思いますが、実際には支援員と教員とはどのように生徒情報を共有されているのでしょうか。

 

二宮:私自身は小学校の教員でした。当時に感じていたことは、支援員の勤務時間と授業の終わりの時間がうまく合っていないことによる情報共有の難しさです。お互いに感じていることを共有できることはすごく良いことであり、子どもにもプラスになります。特別支援学校としていろいろな学校の先生や支援員と連携されているご経験から何かヒントはいただけないでしょうか。

 

山崎:地域の巡回相談として学校を伺う中で、支援員と教員が交換ノートや連絡帳を活用して子どもの様子を共有している取組を目にしました。また、学校によっては日々の記録をパソコンに打ち込んでおくことですべての先生が見られるようにしている取組を聞いたことがあります。

 

天野:支援員とともに話し合う時間も非常に限られているので、今後、改善を図る必要性を感じます。1学期が終わった段階で、支援員に意見を伺ったところ、レポート用紙2枚分ぐらいいただき、それをもとに、2学期は改善していこうと取り組んでいます。コミュニケーションをとっていくことが必要であると再認識させていただきました。

 

会場:現在、インクルーシブ教育実践推進校に子どもが通う保護者です。冒頭の趣旨説明であった「すべての子どもが学べる学校をつくっていくためには」という質問に対して、一言で答えるのは難しいなと思いました。しかし、そこのポイントは何かということを考えると、その子は学校で何を学ぶのか、すべての子どもが同じ学校に通っていてもそれぞれの学びを実現できるか、このことが大切ではないかと思いました。

 私の子どもは、全日制の普通科高校に行きたいと言ってインクルーシブ教育実践推進校に進学しました。通学する中で本人が行きたかったからこそ、いろいろな困難があっても毎日とても楽しく過ごしています。本人が学校に行きたいという気持ちを支える上で大事になってくるところが、やはり先生なのです。先生に声をかけてもらったことや先生に褒めてもらったこと等、そうしたことが子どもの頑張りにつながると私はよく耳にします。日々、お忙しい中、先生方は良くしようと思って一生懸命頑張っていただいていると思っています。

 また、支援員にも支えられていると、お話を伺いながら感じました。今ある課題を一つ一つ解決していくことで、すべての子どもが学べる学校になっていくのではないかなと思います。

 

会場:すべての子どもが学べる学校をつくっていくためには、やはり大前提となる支援教育の理念のもと、共生社会の実現に向かうことが必要だと思います。だからこそ、共生社会の実現に向けた理解や県民の意識啓発を広げていくことが大前提としてあるのではないかと日頃から感じています。

 現在、専門学校で勤めている中で、様々な課題を抱えている学生が少なからず入学しています。そうした学生への支援や理解が十分ではないと感じることが時折あります。ですから、共生社会の実現に向かうために社会全体でインクルーシブ教育に取り組んでいくことが必要であると思います。これからも県民全体に理解と意識を啓発することに力を入れていただきたいと感じています。

 

会場:本フォーラムのような場はとても重要で貴重です。ただ、発達障がいの子どもを育てる保護者としては、会場に足を運んでの長時間の参加が難しいこともあります。ぜひ、オンラインでの配信を充実させて、オンライン参加者の意見を述べたり、双方向で議論ができたりするようにしていただけたら嬉しく思います。

 

会場:医療的ケアが必要な小学校6年生の娘がいる保護者です。通常の学級でお友達と一緒に小学校6年間を過ごしています。担任の先生やクラスのみんなからよくされ、1人のクラスメイトとして何も分け隔てなく、一緒に過ごしています。支援する側、される側という構図ではなく、1人のクラスメイトとして一緒に楽しく勉強することができています。4月から中学生になりますが、地域の中学校の通常の学級に進学します。これからのインクルーシブ教育がどうなっていくのか、とても楽しみにしています。

 

二宮:多くの方のご意見やご感想を賜り、感謝申し上げます。2023foru平方メートル_record_discussion5

 キーワードとして、教員だけでなくすべての職員で子どもと関わることや共通理解を図ることが挙がりました。また、子どもが学校で何を学ぶかを捉えるにあたり、学校づくりの視点だけではなく、社会づくりとしての視点も含めて考えることも話題に挙がりました。

 支援員の話題も挙がりましたが、私が小学校で担任をしていた際に、支援員の方から自分が気づけなかったクラスの変化や子どもたちの様子を教えていただき、教室に担任以外の目があることの安心感を思い出しました。

 では、最後に登壇者の方に本日の感想を述べていただきたいと思います。

 

天野:貴重なご意見を多くいただいて、認識を新たにしたところもありますし、これからまた改善していかなければいけないなと思っている部分もあります。私の2023foru平方メートル_record_discussion6個人的な感覚ではありますが、共生社会を築いていく上で、大切なことの一つが人権教育です。ある先生の言葉が印象に残っているので紹介します。「人権教育は、知識を学ぶことも大事だが、人権感覚が根底になければならない。その人権感覚とは、日常の生活や会話の中で『それちょっと人権感覚がないのでは』ということに気づける感覚である」と教わったことが今も心に残っています。私も学校に帰って、今日あったことを心に刻みながら、さらにインクルーシブ教育を進めていきたいと思います。

 

山崎:すべての子どもが学びやすい学校を考えていくときには、障がいの程度や言語や文化の違いなど様々な背景を持った子どもたちが地域の学校で過ごしていることをふまえると、みんなにとってわかりやすく学べて、みんなが参加できる学校づくりがとても大事なことであると思います。また、子どもたちが地域の中で生活をしていくことを考えたときには、共生社会をめざしていくことを学校づくりにおいて考えていかなければならないと感じました。

 

布川:高校だけでなく専門学校においても様々な特性を持った生徒が入学しているというお話がありました。学生とどのように向き合うかは一人ひとりの教員のスキルによるかと思いますが、根底には教員としてのハートがあるのか、ということに尽きるのではないかと思います。例えば、教育相談において、「カウンセリングマインド」という言葉がありますが、これは和製英語で、本来カウンセラーが持っているのは、スキルであってマインドではない。スキルに加えてマインドがあったら素晴らしいカウンセラーになれる、ということです。生徒の話を聞いて何とかしよう、何とか力になろうというのが、教員のマインドではないでしょうか。こうしたマインドをもって生徒の気持ちに触れるというのが私の基本的なスタンスです。生徒の話を聞くことが教員の仕事であると考えており、今後もこれらのことを大切にしていきたいと思っています。

 

二宮:活発なご意見やご感想をいただくことができ、ありがとうございました。ぜひ、これからも皆様とともに考え、いろいろな形で対話を続けていきたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。

 


 5.閉会挨拶

神奈川県教育委員 笠原 陽子

 伊勢原高等学校の天野先生が人権感覚を養っていきたいとお話をされていました。天野先生の資料を拝見すると、生徒の学習会の振り返りの中で、「障がいのあることだけを理解するのではなく、その人自身を理解することが大切である」、「障がいがあるから助けるのではなく、困っている人を助ける」という感想がありました。こうした言葉からは、日々の学びから自然と生徒が変わってきたことを感じ取ることができます。

2023foru平方メートル_record_heikai1 瀬谷支援学校の山崎先生は、共生社会に向けて、地域の人たちを巻き込んでいくことが大事ではないかとお話されていました。インクルーシブな学校づくりと同時に、インクルーシブな地域をつくるという、この2つが両輪になって初めて、共生社会を実現していく。どちらが先かということではなく、一緒に取組を進めていく中で、成果や課題を共有し、それを乗り越えることが前進につながることだと私は理解をしています。

 変化がなければ、課題は出てきません。本フォーラムが始まって以来、多くの県立学校に実践報告をいただいていますが、広く県民の皆様一人ひとりにこれらの発表を届けていくことには難しさを感じます。しかし、布川先生の言葉を借りれば、どんなに小さいことであっても、続けていくことしか、我々の意識をインクルーシブに変えていくことはできないのではないでしょうか。様々な人と出会い、様々な意見に触れることで自分の考え方が変わっていく。少しずつ広げていくためにも、今日参加していただいた皆様方におかれましては、ぜひ周りの方に今日のことを伝えていただきたいと思います。

 すべての子どもたちが学ぶことができる学校に一歩でも近づいていくためにも、引き続き皆様方のご協力をいただきながら、県教育委員会としては、改善を図り続けていきたいと思っております。本日は、多くの方々に参加をいただき、そして、ご発表いただきましたことを心から感謝申し上げます。

 


 今回のフォーラムは、今後の神奈川のインクルーシブ教育の推進を考える上で、大変有意義な機会となりました。神奈川県教育委員会では、すべての子どもが同じ場で共に学び共に育つ中で、一人ひとりの人間性や多様な個性を尊重し、お互いを理解していくことが大切だと考えています。すべての県立学校において「インクルーシブな学校」づくりに向けた取組を進め、共生社会の実現につなげてまいります。

 

主催

神奈川県教育委員会


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