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更新日:2021年7月28日

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第27回「黒岩知事との”対話の広場”Live神奈川」開催結果

令和元年9月4日(水曜)に開催された第27回黒岩知事との"対話の広場"Live神奈川の実施結果についてご覧いただけます。

概要

27photo002-0428

テーマ

持続可能な神奈川に向けて

第2弾:「住まいの省エネ・創エネ・蓄エネを考える」

~エネルギーの地産地消を目指して~

日時 令和元年9月4日(水曜) 18時30分から20時
会場 神奈川県庁本庁舎3階大会議場
参加者数 130名

※参加者配布資料はこちらからダウンロードできます。

1 次第

2 事例発表資料 小山 貴史氏

3 事例発表資料 磯田 誠次氏

実施結果(動画版)

実施結果(テキスト版)

 

司会

 皆さん、こんばんは。本日はお忙しい中、ご来場いただきまして、誠にありがとうございます。ただ今から、第27回「黒岩知事との“対話の広場”Live神奈川」を開催いたします。

 本日は、知事のあいさつ、ゲストのプレゼンテーションに続き、会場の皆様との意見交換と進めてまいります。まず、本日のゲストをご紹介いたします。

 一般社団法人ZEH推進協議会代表理事の小山貴史様です。よろしくお願いいたします。

 株式会社イソダ会長の磯田誠次様です。よろしくお願いいたします。

 また、会場の様子はライブ中継するとともに、ツイッターによる会場以外からのご意見も受け付けており、意見交換の中でご紹介させていただくこともございます。

 インターネット中継をご覧の皆様にご案内申し上げます。この中継をご覧いただきながら、ツイッターでご意見を投稿できますので、是非お寄せください。

 ここで、皆様にお伝えしたいことがございます。

 神奈川県では、3年前の平成28年7月26日に、県立の障害者支援施設「津久井やまゆり園」で発生した大変痛ましい事件を受けて、「ともに生きる社会かながわ憲章」を神奈川県議会とともに定めました。

 それでは、「ともに生きる社会かながわ憲章」を読み上げてまいります。

19090427-1ともに生きる社会かながわ憲章

一 私たちは、あたたかい心をもって、すべての人のいのちを大切にします

一 私たちは、誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現します

一 私たちは、障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除します

一 私たちは、この憲章の実現に向けて、県民総ぐるみで取り組みます

 平成28年10月14日 神奈川県

 以上でございます。

 それではお待たせいたしました。黒岩知事からごあいさつを申し上げます。

知事

 こんばんは。神奈川県知事の黒岩祐治です。今日はお忙しい中、県庁までお越しいただき、誠にありがとうございます。県民との対話の広場はずっと継続して行っており、直接皆さんと私が話をします。普通このような会は、司会者が「皆さん質問がありますか」と聞いて、それに知事が答えるという形ですが、この会では司会進行も私がします。元々テレビのキャスターでしたので、司会進行しながら、答えていきます。

 p31vol27-2対話の広場では、1年間連続したテーマを設けています。今年は「持続可能な神奈川に向けて」です。これはいろいろな側面から語ることができます。今日はその中でもエネルギーの問題に焦点を絞りたいと思います。まず私から簡単なプレゼンテーションをさせていただきます。

 p31vol27-3私が知事になって9年目です。最初から言っていたのが、「いのち輝く神奈川」を作りたいということです。ひらがなの「いのち」です。不思議なのですが、漢字だとちょっと違う。ひらがなで書いた優しい「いのち」。これが輝く神奈川を作りたい、そう思ってやってきました。「いのち輝く」ためには何が大事ですか。「医療」が充実するのは大事なことです。でも医療が充実したら、いのちは輝きますか。医療だけでは、いのちは輝きませんよね。おいしい食、栄養のある食があって、安全安心な食がなければ、いのちは輝かないし、食を満たす農業もしっかりできていなければならない。エネルギーがあるからこそ、いのち輝くのだし、環境問題も、汚い空気で汚い水だったら、いのち輝かないでしょう。まちづくりも教育も、みんながつながっていないと、いのちは輝かないですよね。ところがこれらを別々に考えてしまう。担当する国の役所が全部違うから、どうしても縦割りとなります。医療の問題とエネルギーの問題をくっつけて考p31vol27-4えることは、なかなかできません。でもいのち輝くためには、くっつけて考えないと駄目ですよね。「いのち輝く」をずっと県は言ってきた。一緒にやっていこうと、ずっと言い続けてきたら、国連がSDGsということを言い始めました。SustainableDevelopmentGoals。持続可能な開発目標17ということです。今のままいくと地球は持続可能ではなくなるという危機感です。そのために何が大事か。「すべての人に健康と福祉を」「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「質の高い教育をみんなに」「住み続けられるまちづくりを」「海の豊かさを守ろう」。「いのち輝く」とこれらは同じだということです。国連もやっと気付いたかと思い、それならば我々はSDGsの最先端の自治体を目指そうとやっp31vol27-5ていましたら、政府が認めてくれました。「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」です。「自治体SDGsモデル事業」には去年全国で10の自治体が選ばれましたが、その中で都道府県としては唯一神奈川県だけが選ばれました。県内の自治体では横浜市と鎌倉市も選ばれました。少し前に第2期の選定もあり、新たに「SDGs未来都市」に選定されたのが小田原市と川崎市です。第2期でp31vol27-6「自治体SDGsモデル事業」に選ばれた都道府県はありませんでした。第2期までで、「自治体SDGsモデル事業」に選ばれたのは、都道府県ではいまだに神奈川県だけです。

 そのような中、神奈川県主催でSDGsの全国フォーラムを開催し、「SDGs日本モデル宣言」をしました。賛同自治体は147です。本来は国がまとめるべきものですが、SDGs最先端の県だと言われたのであればやってしまおうと、147の自治体を取りまとめました。

p31vol27-7 すると国連が注目して、この7月に国連から招待を受け、SDGsに対する神奈川県の取組を国連で発表して来たところです。このように神奈川県のSDGsの取組を世界に向けて発信しています。そのような中で、今日はエネルギーについて話をします。

 先ほども申し上げたように、健康の話とエネルギーの話は、なかなかつなげて考えないけれども、これらをつなげて考えることが大事という中で、かながわスマートエネルギー計画を掲げています。

 私が知事になった時は、東日本大震災の直後でした。東日本大震災直後とは、言葉を変えると、福島第一原発事故の直後でもあるということです。私が知事になった頃は計画停電をしていました。真っ暗で人はだれも外に出ていなかった。このままいくと神奈川の経済はボロボロになると大変な危機感を持ち、エネルギー施策を早くやらなくては駄目だ、太陽光発電を普及させようと言って回ったことを覚えています。そのようなことを経ながら、かながわスマートエネルギー計画を取りまとめました。

 これは、2030年度までの計画です。エネルギーの消費量を省エネで減らし、同時に分散型電源発電量をだんだん増やしていこうというものです。県のエネルギー施策の柱は、集中型電源から分散型電源へということです。集中型電源とは、原子力発電所や大きな火力発電所などで大量の電気を一度に作り、それを長い送電線で各家庭に送るというものです。すると途中でロスが発生します。「ロスしてもよい、どんどん作ろう」というのが集中型電源です。でももうそんな時代ではありません。

p31vol27-8 分散型電源は、生活に近いところで電気を作り自分で使うということで、言葉を変えると、エネルギーの地産地消です。その分散型電源による電力供給量の割合を電力消費量全体の45%にするという数値目標を掲げていますが、なかなか厳しいというのが正直なところです。一時期は太陽光発電パネルが普及したのですが、最近は鈍ってきています。人間は喉元過ぎれば熱さ忘れるというか、原発事故の記憶が生々しい時はやらなくてはと思っていても、時間が経ってくるとだんだんp31vol27-9熱が冷めてくる。そのような中で、何とか流れを作っていかなくては、危機は全然変わっていないのですよ、という思いでずっといたところ、去年、北海道胆振東部地震で大停電が起こりました。経験したことのないような大停電です。そのようなとき新聞の投書欄にこのような記事がありました。「まち全体が真っ暗なのp31vol27-10に、電気のついている家があった。うらやましいなと思った」という投書です。なぜ大停電なのに、この家は電気がついていたのでしょうか。この家はエネルギーの独立した分散型電源の家だったからです。自分の家で電気を作り、自分で貯めて、自分のために使える。そんな家に住んでいたから、まち全体が真っ暗でもその家は電気が使えたのです。これだ!p31vol27-11と思って、「災害時も停電のないくらし!今こそ太陽光。」というポスターを作り、またキャンペーンを始めました。ソーラーパネルで電気を作り、蓄電池で貯めて夜に使うものです。エネルギー自立型の家です。これにはいろいろな方法があります。都市ガスを使うガスコージェネレーションという方法で電気と熱を使うというのもありますし、様々な方法があります。こういうものを増やしていこうと、県でp31vol27-12は補助金制度を設けています。これがそのシステムです。

 このように、エネルギーがクリーンで、p31vol27-13持続可能で、皆が安心して暮らせるような時代を作っていくと、「笑顔あふれる いのち輝く100歳時代」を目指していけるのではないか、それこそが、持続可能な社会への第一歩だということで、今日はこのテーマで皆さんと議論したいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

司会

 黒岩知事、ありがとうございました。続きましてゲストにプレゼンテーションをしていただきます。

 お一人目は、一般社団法人ZEH推進協議会代表理事の小山貴史様です。小山様は、国の政策を背景にネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、略して「ゼッチ」の関連事業者を支援し、ZEH(ゼッチ)の普及促進を図ることを目的に、2017年に一般社団法人ZEH推進協議会を立ち上げられました。また、環境省のCOOLCHOICEエコ住キャンペーンでは、同省ホームページ上でZEHについて分かりやすく解説するなど、ZEHの普及促進に向け、全国的な活動をしていらっしゃいます。それでは、小山様、よろしくお願いいたします。

小山貴史氏(一般社団法人ZEH推進協議会代表理事)

 こんばんは。ご紹介いただきました一般社団法人ZEH推進協議会の小山です。今日はSDGs最先端の県にお招きいただきました。まさにZEHはSDGsの家造りです。全国を神奈川県が先導していただくことを祈念して、お話をさせていただきたいと思います。

 今日のテーマは「住まいの省エネ・創エネ・蓄エネを考える~エネルギーの地産地消を目指して~」です。食の地産地消はなじみがありますが、エネルギーの地産地消というのが、これから私たちの課題になってまいります。

p31vol27-oyama2 キーワードを整理します。「省エネ」「創エネ」「蓄エネ」がキーワードですが、「新築」「リフォーム」と、住まいに関して二つの大きなポイントがあります。マンションにお住まいの方もいらっしゃると思いますが、今日は一戸建てを中心にお話します。

 まず、新築についてですが、「省エネ基準」「ZEH基準」「ZEH基準+蓄電池」というキーワードがあります。リフォームに関しては、最近電気屋さんに行ってもLED照明ばかりですが「LED」というキーワード、エアコンも省エネ性能により星が5つまでついていますが「高効率エアコン」というキーワード、そして「内窓」、「断熱」、「太陽光発電」、「蓄電池」、このようなキーワードがあります。まず、今日はテーマを絞って、リフォームの省エネ、新築の創エネ、新築の蓄エネ、この3つについて皆さんに話題提供したいと思います。

p31vol27-oyama3 1つ目のリフォームの省エネです。コスト的には、LEDやエアコンの買い換えから取り組むのがお金がかからないと思います。

p31vol27-oyama4 その次のステップは断熱です。環境省のホームページに壇蜜さんと私が対談しているものが載っています。「断」「密」で断熱と気密をもじって壇蜜さんを環境省がキャラクターに採用しています。リフォームを検討されている方は、是非窓や天井・床の断熱を、キッチンやお風呂のリフォーム時にお考えになるとよいのではないかと思います。窓については、昔の住まいは一重ガラスですが、今は二重ガラス、三重ガラスも販売されていますし、内側に窓をつけることで劇的に暖かくなります。天井と床は後からでも割と断熱工事しやすく、壁はちょっと難しいので、天井や床の断熱を検討されることをお勧めします。

 どのくらい暖かくなるかわからないという方もいらっしゃるかもしれませんが、断熱工事をされた方は「こんなに快適になるのなら、もっと早く工事をすれば良かった」と、皆さん異口同音におっしゃいますので、戸建てに住んでいる方、リフォームされる方は、是非検討していただきたいと思います。

p31vol27-oyama5 また断熱のメリットとして、先ほど知事がエネルギーと健康の話をされましたが、実は健康にとても関係があります。ヒートショックといって、冬場にお風呂場などで亡くなられる方は、実は交通事故の約4倍いらっしゃいます。これは東京都のデータです。月ごとの入浴中の事故死は冬の12~2月に増えるということで、急に寒くなると倒れたり亡くなったりする方がいらっしゃいます。そういう意味でも断熱はとても大切ですので、是非ご承知おきいただきたいと思います。

 p31vol27-oyama6それから新築をテーマに2つ、「創エネ」と「蓄エネ」についてお話します。まず新築のZEH基準についてお話をします。初めてZEHという言葉を聞くという方も多いと思いますが、クールビズと同じくらい、将来はだれでも知っている言葉になります。

 p31vol27-oyama7ZEHとは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略です。新築では3つ要素があります。高断熱にすること。そして、少し高効率な設備を入れること。エアコンや照明や給湯器などです。そして太陽光発電を付けて、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとなることを目指した住宅のことです。少し難しく書いてありますけれども、昼は電力会社に余った電気を売って、夜は電力を買い、電力の収支として、年間を通して概ねプラスマイナスゼロになるだろうという計算ができる新築の住宅のことです。これが新しい住まいづくりで、これがこれからの常識になります。

p31vol27-oyama8 これは国土交通省が平成27年に公表した2050年までの工程表です。大事なところを抜粋すると、ZEHの普及率は直近2割、2020年の新築は50%、2030年はすべてZEHにしていこうということがエネルギー基本計画で決まっており、国が旗を振り、県も補助事業などで応援いただいています。最終的には新築は全てZEHになるということです。2050年にはほぼすべての家がZEHに近い形になるということを国は目指しています。

p31vol27-oyama9 神奈川県でも、ZEHに取り組む会社がたくさんあります。全国ベースでは年間5万6,000棟、新築は今30万棟くらい戸建てが建ちますので、約2割ほどがZEHです。この赤の部分が、年間に建てる家の5割以上ZEHを建てている会社、黄色の部分が、5割以下だけれども実績がある会社、青とグレーは、まだこれからという会社です。神奈川県でも地元の工務店や建築業者23社がZEHに取り組んでいます。神奈川県でZEHに取り組む会社について、この後登壇される株式会社イソダさんも取り組まれておりますが、このサイト(https://sii.or.jp/zeh/builder/search)から検索できますので、新築の場合はチェックされるとよいと思います。

p31vol27-oyama10 これは太陽光発電のメリットです。専門的な説明は省きますが、今は買い取り価格が安くなり、メリットが少ないと思われる方がいらっしゃると思います。これは神奈川県でのシミュレーションですが、概ね10年くらいで元が取れ、20~30年経つと100万単位でメリットが出るような形になります。まだまだ十分なメリットがあるということもお伝えしたいと思います。

p31vol27-oyama11 

 最後に蓄エネです。新築でなくても蓄電池を導入される方もいらっしゃるかと思います。今、国は、ZEHに加えて蓄電池やEV・電気自動車の連携を進めています。先ほどの北海道胆振東部地震の事例もありましたが、太陽光発電や蓄電池などで、p31vol27-oyama12大震災のときにも十分な暮らしが維持できたという事例も報告されています。大震災の可能性も懸念されていますので、このような家づくりが今後標準的になっていくと思います。

 おさらいですがキーワードとして、リフォームの場合、LED、高効率エアコン、内窓、断熱などを是非ご検討いただきたいと思います。新築をご検討されるp31vol27-oyama13方はZEHに加えて蓄電なども検討されると、未来に向けた子どもたちへの家づくりになろうかと思います。

 今日はキーワードの説明になりましたが、後ほどご質問等をいただければと思います。ご清聴ありがとうございました。

司会

 小山様、どうもありがとうございました。

 続きまして、磯田誠次様のプレゼンテーションに移ります。磯田様は、1997年に株式会社イソダ代表取締役に就任。2008年より同社会長に就かれています。同社が「省エネと健康の両立」をコンセプトに2016年に建築したZEHのモデルハウスは、高い省エネルギー性と快適性を兼ね備えており、神奈川県の「かながわ地球環境賞」を受賞。このモデルハウスを使用した環境学習にも取り組んでいらっしゃいます。それでは、磯田様、よろしくお願いいたします。

磯田誠次氏(株式会社イソダ会長)

 ご紹介いただきました磯田でございます。鎌倉で創業95年、お茶室の設計・施工、先進のゼロ・エネルギー住宅を手がける会社です。

p31vol27-isoda2 美しい海岸、ここは鎌倉市の腰越海岸です。ちょっとハイカラでかっこいい風景と私は思っています。この風景はずっと変わっていません。しかし今年の春、海の中で環境が変化していました。海水温が非常に高くなり、わかめが全然育たなかったのです。そのため漁業組合は3月の始めに販売中止を発表し、大きな痛手を被りました。

p31vol27-isoda3 そして、住居から熱中症で救急搬送される方が、熱中症による救急搬送者全体の40%、約22,000人いらっしゃいます。グラウンドや道路などではなく住居からです。そのうち500名の方が亡くなっています。また、先ほどの小山さんのお話では、浴室での事故死の数は交通事故の約4倍となっていましたが、最新の消費者庁の推計では、28年度、住居の浴槽での溺死者数は交通事故死の1.5倍に減りました。これはユニットバスの普及で入浴前暖房が可能となり、一時より住環境が改善されたことによるものと思います。

p31vol27-isoda4 まず健康住宅、省エネ住宅の取組について話をします。私たちは神奈川県だけで工事をしています。今まで累計1,500棟以上となっています。これは、住宅を作る責任として、アフターサービスができる範囲内で仕事をするという基本的な考えのためです。当時のキャッチフレーズは「美しい長持ちの住まい」です。これは建築家の吉田桂二先生という方が与えてくれたキャッチフレーズです。
p31vol27-isoda5 省エネ住宅の取組として、平成8年、今から23年前、初めて高断熱、高気密、24時間換気装置を付けた家をモデルハウスとして建設しました。その5年後に株式会社カネカが開発したソーラーサーキットという外断熱工法をやるようになり、ソーラーサーキットの家は18年ほど経ちました。当時は省エネ住宅という概念は少なく「住み心地が良い家」「冬に暖かい家」ということを中心に進めていましたが、2016年(平成28年)に、ZEH住宅モデルハウスとして完成させて「かながわ地球環境賞」をいただきました。

 その後、モデp31vol27-isoda6ルハウスのコンセプトを決めました。「超低燃費」、これはエアコン1台運転で夏も冬も快適。「超高断熱」、部屋の温度差が小さいので、ヒートショックや熱中症・結露の予防になります。また外断熱で躯体が断熱材で保護されていますから、家も「長寿命」、そこに住む人も健康ということをコンセプトにしています。断熱材はトップランナーの先をいく高性能なものを使用し、瓦一体型太陽電池を載せ、外には家庭用蓄電池を置き、将来のEV化に備えて玄関脇にはコンセントも付けています。

p31vol27-isoda7 これはモデルハウスの内部ですが、大きな吹き抜けがあります。冬はリビングにあるエアコン1台だけで2階まで暖めます。空気は暖かいと上昇するという性質を利用しています。夏は逆に2階の小屋裏に取り付けたエアコンを専用にして使うと、冷たい空気は下に降りて来ます。24時間換気装置も含めて微妙な空気の流れが起きています。いわゆる全館空調。これから家を建てる方はこの「全館空調」を覚えておいてほしいのですが、これから最先端の住宅は、エアコン1台で家中を暖めたり冷やしたりする全館空調がキーワードとなります。当社は3年前からモデルハウスでお客様に見てもらっています。このモデルハウスは体感もできますので、実際にお泊まりになって、本当にエアコン1台で暖かかったのか、涼しくて快適だったのかを確認できます。

 では、電気代はどのくらいかかるのという話ですが、24時間つけっぱなしで、1日ペットボトル1本くらいです。そのくらいで済む超省エネ住宅になっています。

p31vol27-isoda8 次に私たちができることですが、当社は、構造材は全て神奈川県産のヒノキを使っています。柱・土台などです。お客様にも勧めているのが、神奈川県産のヒノキを使ったフローリングなどです。そして神奈川の森を守り、神奈川の森林の活性化ということで、年に数回、神奈川の森バス見学会を行っています。神奈川県の緑政部森林再生課の職員にご協力いただいて、森林の大切さや環境の源になっていることなどを説明してもらっています。また、モデルハウスを使って、子ども向けの、住宅と環境関連についての講座を設けました。「子ども大学かまくら」という、大学の先生が教えてくれる課外授業の一環で「環境と暮らしを守る近未来住宅」というテーマで行っています。地元の腰越小学校の5年生の3クラスも、このモデルハウスで「地球、森、くらしを守る家づくり」をテーマにした講座を受講しました。

 p31vol27-isoda9ZEHで建てる暖かい家では、病気がこれほど減っています。10の疾病全てにおいて、減少傾向が見られました。知事の進める「未病の改善」というテーマと合致する、健康になる建物です。

p31vol27-isoda10 これはZEH、EV、蓄電池、V2H(EVを家庭の蓄電池として利用できるシステムVehicletoHome)です。これが令和の時代の三種の神器になる、必ずこの時代が来ると皆さんにお伝えし、希望の方には積極的に勧めていきたいと思っています。

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 水辺の宝石と言われるカワセミです。私が近所の公園で撮影したものです。子ども大学かまくらの養老孟司学長は「自然を観察することで感性が磨かれる」と言っています。環境や自然を大切に思う心が広がり、家を建てるならZEHだと、また地元の丹沢ヒノキで家を建てたいと思う人が増えることを期待しています。ありがとうございました。

司会

 磯田様、素晴らしいプレゼンテーションをありがとうございました。それでは、皆様との意見交換に移ります。ここからは、黒岩知事にマイクをお渡しします。よろしくお願いいたします。

知事

 それでは皆さんと対話を始めていきたいと思います。今日のテーマについての質問や、私はこんなことをやっているといった発表、ご意見、何でも結構です。どんどんお話をしていただきたいと思います。

 今のお話を聴いてどうですか、皆さん、いろいろ考えたのではないでしょうか。もう知っていると思った人もいるだろうし、そういうことだったのかと思った人もいるでしょう。皮切りに私から質問をしたいと思います。聴いていて「なるほど、そうだな」と思いながら、ふっと常識を考えると「あれ、ちょっと違っているのかな」と感じたことがありました。一般的に考えると、自然の良さを感じる住まいというのは、通気性が良くて、夏にはさっと入ってくる風を感じるとか、四季の移り変わりを感じて外の空気を入れるということだと思っていました。でもそうではなくて、完全に密閉し、完全空調型という感じで、全館空調とおっしゃっていました。外の空気と触れないほうが自然の良さを感じるというのは、聴きながら疑問に思ったのですが、どうでしょうか。

磯田誠次氏(株式会社イソダ会長)

 今、街道筋など車が多く通る所で、夏に窓を開けて実際に生活できますか。排気ガスなどで大変だと思います。エアコンも高効率になっています。皆さんに申し上げたいのは、ただ高断熱・高気密だけでなく、そこには24時間換気というものが必ず付きます。外気を入れる所を決めて、室内の汚れた所、台所や洗面所などの水廻り、トイレなどの排気をすると、2時間で新鮮な空気が1回転します。これが24時間換気の働きです。それがあるので、決して死ぬこともありませんし、窒息することもありません。2時間に1回、新鮮な空気になるような計画換気について、技術者もいますので、どういうものを使うかなど、いろいろとやっています。

知事

 このあたり、皆さんの常識と、聴いてみて「なるほど、そうなんだ」とわかることにギャップがあると思います。

小山貴史氏(一般社団法人ZEH推進協議会代表理事)

 春や秋は窓を開けて、気持ち良く通風を楽しむ暮らしというのは今までどおりですが、今は夏でも熱帯夜がとても増えています。冬も家の中が寒いというのは健康に良くないです。夏と冬を考えると、先ほど壇蜜さんが出てきたように、断熱と気密はこれからの住宅の基本と御理解いただければと思います。

知事

 気密といっても一切空気が出入りしないのではなく、外の空気が中に入ってきているのですね。

小山貴史氏(一般社団法人ZEH推進協議会代表理事)

 建築基準法では、新築において、2時間に1回、室内の空気が全部入れ替わるような換気が定められています。

知事

 外から空気が入ってくるとき、今おっしゃったように汚染されている空気もありますよね。今のフィルターというのはどんなレベルなのですか。相当レベルが高いですか。

磯田誠次氏(株式会社イソダ会長)

 PM2.5を全部除去するような高性能のフィルターを付けています。

知事

 それがあるから外気を入れても大丈夫だということですね。

磯田誠次氏(株式会社イソダ会長)

 そうですね。23年前に高気密、高断熱をした時は、一部の建築屋さんから、こんな家に住んでいたら窒息するとか、子どもがひ弱になるとか言われましたが、欧米の最新の住宅は高気密、高断熱になっています。当時まだアルデという24時間換気が日本にはなかったのです。今は熱交換型の24時間換気装置がスタンダードになっていますので、十分快適で健康的な生活ができると思います。

知事

 ありがとうございます。このようにちょっと話をしてみても、常識とのギャップがあるかもしれません。さあ、ここから皆さんの番です。質問でも意見でもよいです。

参加者1

 金沢区から来ましたオガワです。私は知事の呼びかけで太陽光発電を8年前に入れました。その結果、私の家では年間で6,000kWhほどの発電をしています。年間の消費量は5.200kWh。差の800kWhは余剰電力となっています。蓄電池は高かったので入れていません。4月~8月は平均で400kWくらいを東京電力に売っています。買っている電力は250kWくらい。しかし、年間となると冬場はそうはいきません。結局、800kWhです。8年前にやったときは買い取り価格が42円でした。しかし初期投資が210万円でした。そうすると42円でやっても10年間で初期投資の210万円に対して34万円くらいしか償却できていません。その原因は何だろうと思ったら、発電していない時は30円くらいで電力を買うということになるのですね。また夜間は12円くらいで買うということです。すると実際は10年間で償却できるような代物ではありません。そこでお願いです。住友電気工業という会社が横浜の栄区にあります。ここがレドックスフロー電池という大型の電池を開発しました。2,000軒くらいまとまれば、だいたい1kWhあたり5円くらいでいける計算になるということです。東京電力の電線の利用料がいくらになるか。ここを知事に交渉してもらいたいと思っています。10年を割ると、今の予定だと、買ってくれる価格は8.8円50銭というようなことが予想されています。今打ち出されているのはそのくらいだと。従って、蓄電池が高かったらどうしようもないのですが、レドックスフロー電池はだいたい2,000軒くらいまとまると、5円くらいでできることになりますので是非そういうものと、また、東京電力の電線使用料は夜中の場合はだいたい12円で、そのうち電力は11円くらい。本来なら1円くらいで電線が利用できるのでしょうけれど、それは無理としても、5~6円くらいで電線使用ができるように交渉してもらえれば、太陽光発電パネルがどんどん普及すると思います。

知事

 いち早く実践されて、素晴らしいことだと思います。8年前ですものね。今の話を聴いてどうですか、小山さん。

小山貴史氏(一般社団法人ZEH推進協議会代表理事)

 8年前に取り組まれているということは、未来に向けてとても素晴らしいことだと思います。今、太陽光発電の経済的メリットについて話がありました。国の買い取り価格が以前より安くなっていますが、概ね10年くらいで初期投資は回収できる計算がほとんどです。個別の事情は詳しくお尋ねしないと分かりませんが、メリットは、発電したものは自分の家で使いますので、その分節電になります。日中電力会社から買うと1kWhあたり30円くらいですけれども、それが屋根にある太陽光発電だと0円になります。そして余った分は売る。節電と売電を合わせてそれを経済的メリットとみなしますと、概ね10年くらいで元が取れるというのがだいたいの相場ですので、それはまた専門の方にご相談いただき、ご検討いただければと思います。

知事

 10年くらいで回収できるというのは、売電で儲かる分と、自分は電気を使っているので、本来払うべき電気料、これらを足すと回収できるということですね。売電で儲かった分だけで買おうとすると全然足りてないということになるかもしれないけれども、太陽光発電がなかったら電気料を払わなければならないので、その分を足してなのだとお考えいただいた方がよいと思います。

参加者1

 それは分かります。今の体制ではそのようになってないわけですから、それならば私が提案したことをやることができれば非常に安くなると思うのです。30円もかからないで、20円くらいまででいけると思います。ですから是非、神奈川からこれを始めて、なおかつ日産自動車がありますから、余剰分はみな電気自動車へという形にいけばよいと思います。

知事

 まさに先進的に取り組まれたからこそ言える、素晴らしいメッセージですね。しっかり受け止めたいと思います。売電価格はどんどん下がっています。ZEHは「売る」という発想はもうありません。「作った電気を自分のところで使う」という発想です。極端にいうとエネルギー自立型です。自分のところで作って、売るのではなく、自分のところで蓄電池に貯めて、自分で夜も使う。極端な話、電線から電気を引っ張って来なくても自立している、それを目指していこうという話をしています。ありがとうございました。はい、他にどうぞ。いっぱい手が挙がりました。

参加者2

 新横浜で高気密、高断熱の住まいづくりのサポートを行っているスマイルサポートのタカハシです。2年ぐらい前だったと思いますが、FM横浜で知事がZEHに関する話をされているのを聞いたことがあり、知事がZEHについて知識をお持ちなのに驚きました。ZEHの普及について期待しています。併せて、私は今日のゲストの小山さんと一緒に、一般社団法人ZEH推進協議会の運営委員という立場でもZEHの普及について携わっています。

 今日のお話の「住まいの省エネ・創エネ・蓄エネを考える」、これは非常に重要なテーマだと思います。冒頭で知事の話の中にもありました縦割りの行政ということとも絡みますが、小山さん、磯田さんの話にもあったとおり、住宅の省エネ性能は、住んでいる人の健康、快適、防災、レジリエンスとも絡みます。非常に大切なテーマだと思います。その観点から考えた時、省エネ性能を高めるには、高気密、高断熱といった躯体性能を高めるということと、設備で省エネを行うという2つの要素があります。まずきちっと躯体性能を高めた上で、予算的に余力があれば設備の方で省エネを図っていくのが正しい順番なのだろうと思います。

 私は住まいづくりのサポートをやっており、新築の注文住宅のサポート、一般の方向けの断熱リフォームのお手伝いもしています。その中で、シニア層の高齢者の方々が、築30~40年の夏暑く冬寒い家にお住まいで、快適ではないとの相談を受けることが多いです。よく話をしてみると、断熱リフォームをすることで劇的に生活が快適になる、健康に暮らせるということをご存知ではない方が非常に多いです。経済的にも余裕のある方々が、夏暑く冬寒い思いをして暮らしています。ZEHの普及はどちらかというと新築の話だと思うのですが、高齢者の方々へ断熱リフォームの普及促進を図るのも、重要なテーマなのではないかと思います。これは県民の方々の健康寿命を延ばす、快適なQOL(QualityofLife)を引き上げるということにもつながると思いますので、皆さんがご存知ないということが一番の問題だと思っています。行政からシニアの方々に情報発信をお願いしたいというのが1点です。

 また、補助金等で支援もお願いできればと思っています。特に、断熱リフォームは地域の工務店の仕事が増え、地域の経済の活性化につながるということも言えると思います。行政として是非、シニア層に限った話ではないのですが、断熱リフォームの普及促進に力を入れていただければ、ありがたいと思います。

知事

 ありがとうございました。先ほどゲストの磯田会長の発表にもZEH、断熱リフォームによる健康への影響のデータがありました。アレルギー性鼻炎や肺炎、糖尿病などが改善するという科学的なデータです。今の話を重く受け止めて、しっかり頑張っていきたいと思います。はい、他にどうぞ。

参加者3

 聖光学院高等学校から来ました。先日NHKスペシャルでブラックアウト、知事も先ほどプレゼンでおっしゃっていた北海道の地震での停電がもし首都圏で起きたらというものをやっていました。その後気になって自分でも調べてみたのですが、2019年6月14日の朝日新聞で、6都道府県の企業576社中2%しかブラックアウトの対策をしていないという記事を見ました。地震は何年後に起こるか分かりません。2030年、2050年頃には、火力発電だけではなく太陽光発電などいろいろな電気の種類が増えるとおっしゃっていました。もし今、関東で地震が起きたら、神奈川県ではどのような取組や対策をしているかをお聞きしたいと思い質問しました。

知事

 ありがとうございます。専門的に課長が答えます。県の職員、担当の専門職員も揃っています。

エネルギー課長

 エネルギー課長の武川です。ブラックアウトに直接結びつくかわからないのですが、県では太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入を図っています。その中で数年前から防災拠点となるような所に太陽光発電や蓄電池を整備しています。大規模な停電が起きたときに、防災拠点となるような県施設、民間施設、市町村の施設など、拠点となるような施設には太陽光発電、蓄電池を設置して、電力を確保できるような取組を行っています。

知事

 病院はどうなっていますか。

エネルギー課長

 病院などにも現在、国の補助金がありますし、民間施設でも活用できるものがあります。民間の方々にも、補助制度を活用し導入してもらえるよう普及しています。

知事

 今、髙野さん(分身ロボットOriHimeを介して遠隔参加)から発言の準備ができましたというメッセージが来ました。家でずっと話を聴いていらして、意見をまとめられ、これからお話ししていただきます。

髙野氏(分身ロボットOriHimeを介して遠隔参加)

 我々重度障がい者は、いろいろな機械を活用していて、電気がないと生命の危険があります。災害時の電源確保はとても重要な問題です。また、体温調節もうまくできないので、この夏はクーラーをつけっぱなしです。電気代もばかになりません。こうした問題に取り組まれている事業者がいらっしゃるのは大変心強いです。

知事

 ありがとうございます。まさに当事者の皆さんの声です。命に直結するという話ですよね。快適というレベルではなく、命に直結すると言われると、確かにそうだな、そういうことを踏まえながら我々も議論しなければいけないなと思いました。髙野さん、ありがとうございました。また何かあれば言ってくださいね。はい、ではどうぞ。

参加者4

 私が家を建てたときは断熱材が話題になっていた時代でした。私が頼んだ大工さんは、日本の気候には断熱材が合わない、それを使ったら家が長持ちしない、家の中を風が巡るような構造に私は設計する、ということで建てられました。もう47年になりますが、どこも悪くなく、まだ後10年、20年使えると思います。そういう考え方について磯田さんはどうお考えになりますか。また、同じような規模の住宅を作るとき、普通の住宅と磯田さんが考えるような住宅では、コストがどれくらい違うのかを教えてください。

知事

 磯田会長、よろしくお願いします。

磯田誠次氏(株式会社イソダ会長)

 私の会社のお客さんで、そのような家が一番良いとおっしゃる方もいらっしゃいます。工務店を経営していますが、今の時代ではちょっと考えられないです。絶対寒いはずです。どうですか、寒くないですか。エアコンをつけっぱなしとか。

参加者4

 寒くないです。高台にあるので夏は窓を開ければよい風が入ってきます。

磯田誠次氏(株式会社イソダ会長)

 ちょっと私には分かりません、それは。

参加者4

 普通の住宅と磯田さんの考える住宅では、コストはどのくらい違いますか?

磯田誠次氏(株式会社イソダ会長)

 HEAT20のG2という高断熱の規格があり、腰越のモデルハウスではトリプルガラスを付け全部樹脂サッシなどいろいろあるのですが、だいたい400万円くらい高くなります。

参加者4

 その程度ですか。

磯田誠次氏(株式会社イソダ会長)

 モデルハウスで原価計算していますが、普通の住宅と比較すれば400万円くらいの差で済みます。

参加者4

 それではあまり問題にならないですね。

小山貴史氏(一般社団法人ZEH推進協議会代表理事)

 補足しますと、磯田会長が作られているのはかなりレベルが高いものです。国が示すZEHと一般的な基準の建物を比較しますと、断熱性の向上に坪あたり約1万円ですので、家1軒あたり40万円くらいです。エアコンやLEDについては一般化しているので差額はない。太陽光発電は150万円ぐらいなので合計200万円です。太陽光発電は売電と節電で回収するので、実質的には50万円くらいでZEHの入門編の住まいにはなるとお考えいただければと思います。気密についてはいろいろなご意見があるかと思いますが、壁の中の結露という問題も実はあります。断熱や気密が悪いと壁の中が結露し、実は気付かないうちに住まいの寿命が短くなったり健康に影響があったりしますので、そこはご注意いただければと思います。

知事

 断熱材の素材というのも、この何年間でかなり進化したのですか。

磯田誠次氏(株式会社イソダ会長)

 昭和50年代はグラスウールとかロックウールで、厚みも5cmほどが一般的で、だれも他の断熱材で家を建てようとはしなかったです。私どもはカネカという化学会社のソーラーサーキットの家の技術を導入しました。外断熱工法という、外側から躯体を全部、屋根、柱、壁、基礎も全部覆うものです。この工法は気密がとりやすいのです。断熱材と断熱材のつなぎは全部シールしたり、そんなに大変な工事ではなく気密性を高めることができます。ドイツの高気密・高断熱住宅、パッシブハウスと呼んでいるのですが、そこなどは、住宅は物理学者が作るべきだと言っています。気密の一番大切なことは、先ほど小山さんが言われた、結露を起こさせないということです。隙間があるから結露するのです。寒い空気が中に入って暖かい部屋の空気にぶつかって結露が起きる。結露を起こさせない住宅にするためは、絶対に気密は必要で重要だと思っています。

知事

 分かりました。では次どうぞ。高校生ですね。

参加者5

 神奈川県立横浜国際高校から来ました。高校生の立場から質問します。先ほどから太陽光発電パネルでの発電や普及の話が何度かありました。中学、高校は屋根よりも屋上があることが多く、また災害時の避難場所になることも多いので、太陽光発電パネルを小・中・高等学校に設置するとエネルギーの地産地消の面でとても効果的だと思います。そのようなことを実現する上で中高生にできることはあるでしょうか。

知事

 良い質問ですね。災害時は中学校や高校が拠点になり避難所になりますから、そこでエネルギーが確保できないと避難所にはなりません。

磯田誠次氏(株式会社イソダ会長)

 鎌倉市の取組を紹介させていただきます。市内の小中学校で屋根に太陽光発電パネルを設置すると荷重がかかるので、耐震状態を調べ、全部で4校、小坂小学校、植木小学校、手広中学校、岩瀬中学校が耐震的に太陽光発電パネルを設置することとなりました。それは太陽光発電パネルの事業者さんが無料で設置してくれます。非常時には発電電力を鎌倉市が無償で使用できることになっていて、良いアイデアだと思います。

知事

 県の担当者にも聞いてみましょう。

エネルギー課長

 まずは、本当に気持ちのこもったご意見をいただき感謝します。その想いに私たちの施策がどこまで反映しているかは分かりませんが、そういったことを一つ一つ普及させていきたいというのが我々の思いです。県立高校などでは既に太陽光発電パネルを設置しているところもあります。また、知事が当選して最初の頃に始めたものですが、県立高校の屋根を売電事業者に貸す「屋根貸し」を行っており、災害時は電気を自家消費できることにもなっています。先ほどお話がありましたが、市町村でも、小・中学校への太陽光発電パネルの設置ということが進んでいます。今すぐ一緒に何かをやっていこうということは思いつきませんが、そのような気持ちを持ってくれたことは嬉しく感じております。

知事

 避難所に指定されている小・中・高等学校がありますよね。そこは再生可能エネルギーになっていますか。

エネルギー課長

 基本的には災害時に電力が確保できる状態になっています。耐荷重の問題などで太陽光発電パネルがついていないところについては、自家発電や非常用の発電機でバックアップ電源を確保する形になっています。

知事

 避難所の電源は確保できているということですね。中・高校生で広げられるか検討していきます。ありがとうございました。では次の方どうぞ。

参加者6

 金沢区のイトウです。先ほどからいろいろ出ているブラックアウトの問題について、回答があるのでご紹介します。9月1日のNHKスペシャルで放送されたものです。大都市圏の大停電の対策が非常に重要で、先ほどの障がい者の方の話にありましたが、医療もダメージを受けます。これの答えは既に北海道電力で出ています。北海道電力は住友電気工業と共同で、経済産業省から補助金を受けて大容量の蓄電設備を作りました。それは、蓄電容量が6万kWhとかなり大規模な設備です。住友電気工業は横浜に工場がありますので見学して来ました。先ほどオガワさんのお話にもありましたレドックスフロー電池というものです。これはブラックアウトの解決策の非常に有力な手段になると思います。これについては、後ほど課長さんに資料を差し上げますので、それをご覧いただきたいと思います。以上です。

知事

 ありがとうございます。ずいぶん研究されているのですね。そんな巨大な蓄電池があるのですか。それがブラックアウト対策になるということで検討したいと思います。今日論じているのは、お一人お一人の家で、自分の家では電気がついている、という完全な地産地消を目指していこうということです。

参加者7

 向の岡工業高等学校から来ました。実りのある話をありがとうございます。1点お聞きしたいことがあります。人間も同じものばかり食べていると偏って不具合が出ます。太陽光ということで一気に太陽光が普及すると、聞いた話ですが、電線の熱量が一気に上がって焼き切れるとか、ガソリンスタンドが一気になくなって電気スタンドにしなければならないということで、いろいろな事業に影響が出るのかなと思います。大きな跡地でスマートタウン、スマートシティなどを作って実際に運営したりすると、大きな課題や成果が得られるのかなと思っています。今、跡地で研究や検討をするということはあるのでしょうか。

知事

 集中型電源は一度にたくさん電気を作り送電線で送るということです。太陽光発電でメガソーラーがあり、いっぱい電気を作ってくれるのですが、そういう時の系統の接続の問題があります。太陽光発電は太陽の熱や光で電気を生むが一定ではないですよね。晴れているときもあるし、曇っているときもあるし、急に電気を大量に作ったり変動が激しい。それを電線で送るときに不具合が生じることについて「電線が焼き切れた」という表現をされたのではないかと思います。だから、我々が目指しているのは分散型電源なのです。エネルギー自立型を目指すと言うことです。ZEHとありましたが、ZEB(ゼブ)、「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」というビルそのものが自立型というのもあります。こちらを目指していく。地産地消を目指すと今のような課題も克服できると思います。

参加者8

 神奈川県内でできる電気を調達して県内のお客様に販売している、その電気の仕組みを作っている湘南電力のドイと申します。先ほど高校生の方が質問された、学校に太陽光発電を設置できるのかという件、湘南電力では小田原の方で小学校に設備を導入して運用していますので、もし見たいということであれば、先生に「小田原にあるようですよ」と言って、来ていただければと思います。

 知事と小山さんに伺いたいことがあります。持続可能な社会に向けて、あるべき姿はあると思います。私どもはそのような姿に向かって進めているのですが、お客様にそのような話をすると「コストが」とか「まだ値段が高いから早いかも」などという話になります。エシカルなものと実際の消費者の立場には、まだギャップがあるということをとても感じています。そういうギャップに対して、県や協議会として、どのような追い風をいただけるか、今後の考えを可能な範囲で伺えればと思います。

知事

 小山さんどうですか。

小山貴史氏(一般社団法人ZEH推進協議会代表理事)

 ZEHの話と太陽光発電の話、2つご関心があるかと思います。太陽光発電に関してはご承知のとおり固定価格買取制度の見直しがあります。住宅については今、経済産業省でまさに議論中ですが、住宅については、従来のそれなりの金額で買い取ることを前提に進んでいます。今日のテーマは住まいということですので、一定の経済的なメリットは担保されていくのではないかなと思います。ここ1年の特徴ですが、最初は実質無料でパネルを付けてあげ、10年経ったらパネルごと建て主さんに差し上げます、というような新しいビジネスモデルも出てきていますので、住宅用太陽光発電については普及が進むのではないかと思います。

 またZEHについては、断熱が1件あたり50万円ほどかかると申し上げましたが、光熱費が下がりますので、私どもの試算では10年ぐらいで元が取れるのです。目先のことだけではなく、住まいは長持ちするように造れば100年くらい持ちますので、是非、未来の子どもたちのことも考えて、今家を建てる方がちょっと高断熱の家にすることで、持続可能な社会につながっていくと考えています。

知事

 そのときは払う金額が高いかなと思うかもしれませんが、よく考えてください。エネルギー自立型住宅なら、極端な話ですが電気代は要らないのです。最初に設備を付けるときはお金を払うかもしれませんが、電気代がかからないわけです。本来なら電気代を払っていかなければならないが、ずっとそれを貯めていったら、何年か経って最初の金額を上回るかもしれない。もっと大切なこととして、健康になっていくという話もありました。コストを考えたらどうなるか。このようなこともご理解いただきたいなと思います。

参加者9

 函嶺白百合学園から来ました。質問ではないのですが、私たちの学校では、ブルーアースプロジェクトというNPO法人が行っているプロジェクトに参加しています。環境についての話を伺い、「ZEH」という言葉を私は初めて聞きましたが、とても画期的だと思いました。今年の夏、神戸でブルーアースプロジェクトの全国大会があり、私たちの学校も参加して、ブースを出しました。その時はバスボム(入浴剤)を作ってブースで紹介しました。これはウォームビズを意識して、エアコンを使わず暖かくなれるように皆で考えたものです。

 さっきも高校生の方が言っていましたが、何か自分たちでもできることはないかを考えるのは大事なことで、私たちもそこからブルーアースプロジェクトに参加してきました。そのように、何か自分たちにできることはないかと考えることは大切だと思いました。

知事

 ブルーアースプロジェクトですね。よく知っていますよ。素晴らしいですね。広がりを見せています。ブルーアースだから、青い地球を守ろうということでSDGsにもつながります。その時に、自分は何をすればよいのかがテーマになる。これが1番素晴らしいことです。SDGsもそうですが、一番難しいのは自分事としてどうとらえるかです。前回の対話の広場では、プラごみゼロ宣言をテーマにやりました。鎌倉の海岸にシロナガスクジラの赤ちゃんが打ち上げられ、なぜ打ち上げられたのだろうとお腹を開けてみたら、中からプラスチックのごみが出てきた。何とかしようと自分事としてとらえてアクションしようということです。実際にやってらっしゃるところがある。この発想は素晴らしいものだと私は思います。頑張ってください。

参加者10

 今日は埼玉県から、神奈川県が先進的なので勉強に来ましたシミズです。断熱とエネルギーの話ですが、断熱基準は、皆さん知らないと思うのですが、日本の建築基準法にはないのです。いくら寒い家でも、北海道でも無断熱の家の建築確認申請が通ってしまうのです。国民の命を守るためにも法律があるべきで、海外にはあります。寒い家は建てられません。先進国で法律がないのは非常に珍しいです。2020年にやっとできそうだったのですが流れました。今でもないです。検討していただきたいのは、国が動かないなら自治体で、神奈川県は先進的ですから、断熱住宅の基準を条例で設定していただければ全国的にも注目され、国土交通省も動くのではないかと。もう一つ、カリフォルニア州では、来年から太陽光発電が義務化されます。住宅に付けないと建築確認申請が通りません。家が建てられないのです。これも国が動きませんから条例でやっています。自治体だからこそ身動きが軽いではないですか。神奈川から旗を挙げていただければ、私も応援します。是非ご検討いただければと思います。

知事

 埼玉県から貴重なご提案をありがとうございます。そういうことなのですね。断熱基準がないのですか。

小山貴史氏(一般社団法人ZEH推進協議会代表理事)

 そうです。また、カリフォルニアでは、断熱と太陽光発電がないと来年から家を建てられなくなります。これは世界最速の政策です。

知事

 県は検討したことはあるのですか。ないのであれば検討しましょう。勉強しましょう。素晴らしいご提案ありがとうございました。

参加者11

 聖光学院高等学校から来ました。ZEHはとても素晴らしいもので、実現可能なものであるし、だれが聴いても素晴らしいと言うと思います。もしそれが本当に素晴らしいと県民が全員思っているなら、コストがかかろうとも皆がZEHの住宅にリフォームしたり、建てようと思うと思われるのですが、現状として、コストが高いなどという理由でZEHを諦める人は結構多いと思います。その県民の意識改革について、これから何をしていくのかをお聞きしたいと思います。

知事

 はい、小山さん、いかがでしょうか。

小山貴史氏(一般社団法人ZEH推進協議会代表理事)

 現実に今、ZEHの割合は、新築の2割くらいです。エネルギーの自立に関して仮に10~20年たって経済的メリットがあっても、良いキッチンが欲しいとか広い部屋が欲しいとかで、そこに予算を取ることができない方がまだ多くいらっしゃるということだと思います。そういう意味で、今日の対話の広場をきっかけに、先ほど私たちが何をすればよいかという高校生の方の質問がありましたが、是非、お父さんやお母さん、先生たちに今日の話を伝えて、その一人ひとりの気持ちが意識を変えていくのではないかと思います。

知事

 ツイッターでもご意見をいただきましたのでご紹介します。「省エネ住宅は、健康にも良いのですね。その発想はありませんでした」。気付いていただいたと。とても良いことですね。

 「大雨の影響により、9月3日午後8時20分時点で神奈川県内で5,200戸の停電が発生しました。今回のテーマにある太陽光発電について、災害時のメリットについても、是非教えていただきたいです」。ブラックアウトしても、エネルギー自立型の家ならブラックアウトを免れるということです。災害時も非常に重要なことになっていると思います。最後、お一人、どうぞ。

参加者12

 横浜市立南高校から来ました。2点お伺いします。今日の発表を聞かせていただき、私は環境問題に興味がある方なのだろうと思っていましたが、知らないことが多く、まだまだ学ばないといけないなと思いました。私のように知らない人は学校の周りにも多くいると思います。中高生では早いと思いますが、住まいについての説明をしてくださると、将来、住居を購入したり借りたりするときに選択肢として頭に残るのではないかと思いました。

 2つ目に、私は常日ごろから気になっていることがあります。百貨店やドラッグストアの前を通るとき、暑い日なのに、外でもエアコンが効いているのかと思うほど冷気が流れ出ているのが気になっています。それについてどうお思いですかということをお聞きしたいです。先ほどZEBというものがあるとお話されていましたが、どれくらい進められているのか、店舗などでも、小山さんや磯田さんがお話していた住居上の工夫を活かせるのかをお伺いしたいと思います。

知事

 今日の総括を含めてお二人に話を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

磯田誠次氏(株式会社イソダ会長)

 ZEBについては、私のところではビルをやっていません。個人住宅なので、小山さんに答えていただきたいと思います。

小山貴史氏(一般社団法人ZEH推進協議会代表理事)

 ZEBについても、国は2030年に向けて、一般の建築物をすべてZEBにするという目標があります。先ほど学校の話も出ましたが、2020年には新築の公共建築物はZEBにするという目標があります。日本全体として、家庭も地域もオフィスも店舗もエネルギー自立の方向に向かうというのが、国のエネルギー基本計画です。これから新築をしたりリフォームをする際に、キッチンや外壁といった見える部分だけではなくて、エネルギーのことや、断熱がもたらす健康のことにも関心を持っていただくと、これは経済的にもメリットがあることですし、住まいは未来の子どもたちにつなぐ箱でもありますので、未来へのプレゼントと思って、私たちの世代が取り組んでいければよいと思います。

知事

 ありがとうございました。髙野さんが最後にご発言いただけるということです。髙野さん、お願いします。

髙野氏(分身ロボットOriHimeを介して遠隔参加)

 分散型電源の実現には蓄電池の性能向上が必要だと思います。標準的な世帯の一日の電力を賄える蓄電池は、現実的な値段で調達可能でしょうか。

知事

 蓄電池のご指摘は非常に重要な点ですね。もっと値段が下がるのかと思っていましたが、なかなか下がらないです。これは現実的な値段でできるのでしょうか。

小山貴史氏(一般社団法人ZEH推進協議会代表理事)

 家庭用という意味では100万円くらいです。毎年、値段が下がってきていますので、どんどんお求めやすくなっていくのは間違いないと思います。災害時の対応という意味ではEV電気自動車からの電気の供給も含めて、これから常識になっていくと思いますので、そのように取組が広がっていければと思います。

知事

 EV、電気自動車が蓄電池として使えるということですね。このことも今日初めて知った方も多いと思います。是非、いろいろな形でエネルギーの情報をこれからも集めていただきたいと思います。

 髙野さん、本当にありがとうございました。OriHimeはすごいですね。臨場感あふれ、一緒になって議論している感じが伝わってきて良かったと思います。

 今日は高校生の皆さんもたくさん来てくれました。私が非常に嬉しいのは、いつも「対話の広場」に高校生がたくさん来てくれて、皆、発言してくれることです。皆さんどうですか。現役の若い高校生と一緒に討論するという機会は普通ないですよね。同じテーマで話をしていて、皆バンバン発言してくれる。我々も言われたことについて、重みを感じて受け止めています。これはとても大事なことだと思います。「私は環境問題に興味があるけれど知らないことがいっぱいあった」といっても、大人も意外と知らなかったりするのですよ。SDGsについては若い人のほうが関心が高い。自分事として何とかしなければいけないという意識があるのは、むしろ若い人です。若い人が「私たちは何をすればよいのですか。大人は全然関心がないのです」と言ったら、「あなたが大人の意識を変えてください」と私は言っています。

 今日もこのような形で皆さんと議論することができました。素晴らしい時間を共有することができたことを心から感謝申し上げます。神奈川県は、環境に優しい、地球に優しいSDGs最先進の県をこれからも目指していきますので、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

 「対話の広場」はこれからも続けて参りますので、何度でも来てください。今日はご清聴、ご参加、ありがとうございました。ゲストの皆様、ありがとうございました。

 

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