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更新日:2024年2月20日

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農産物の上手な利用法(イチゴジャム(粉末ペクチン)/作り方のアドバイス)

「農産物の上手な利用法」のページでは、オープンラボで実験された農産加工実験や神奈川県農業技術センターの過去の研究成果を紹介しています。

材料 作り方 農産物の上手な利用法の表紙
作り方のアドバイス

★イチゴのヘタとり

イチゴのヘタは包丁で切り取っても良いのですが、イチゴのヘタ取り用の小道具を使うと手早くできます。

写真:イチゴのヘタ取り用の小道具   写真:小道具を使うと手早くできます

★イチゴのヘタ

イチゴのヘタは全体重量の4~5%です。

★イチゴの水煮

イチゴは砂糖を加える前に少量の水を加えて、水煮し、柔らかくしてください。短時間で仕上げるため、はじめから大量の砂糖を加えるとイチゴがやや固く煮上がってしまいます。

★砂糖の添加

砂糖は3~4回に分けて加えた方がよいでしょう。水煮して柔らかくなったイチゴに、はじめはペクチンを加えてない砂糖を加えて、煮つめます。はじめからペクチンの入った砂糖を加えると、鍋底にへばりついて焦げやすくなります。砂糖を加えたら、鍋底をしゃもじで擦るようにして撹拌して、焦げ付かないようにしてください。火加減の調節もポイントになります。

★加熱中の攪拌

イチゴは柔らかく崩れやすいので、加熱中にしゃもじでグリグリと攪拌するとイチゴの形が崩れてしまいます。イチゴの形がない方が好みならばイチゴを崩した方が良いかもしれませんが、そうでなければ無理に形を崩す必要はありません。形が残るもの、崩れるものいろいろなものが混ざりますが、こんなものだと思って成りゆきで作ってください。

★煮詰め具合の確認

煮詰め具合いの確認は攪拌しているしゃもじにつくジャムの状態、スプーンですくい取った時の流れる状態、冷水を入れたコップに滴下したときの分散、沈降の状態、冷えた皿・プレートに薄くつけて斜めにしたときの流れる状態など、いろいろな方法で煮詰め具合(ゲル化状況)が確認できます。
しゃもじについたペーストがサッと流れるなら煮詰め不足、モッタリとしてくればOK。スプーンに採ったジャムをちょっと冷まして傾けたときサッと落ちずにポッタリとしているならOK。冷水にジャムを静かに滴下したとき、花火にの様にパーッと散るなら煮詰め不足、ゼリー状になってコップの底までミズクラゲの様にプヨプヨと沈んでいけばOK。皿・プレートにつけた場合、立てたらゼリーがスーッと流れるようなら煮詰め不足、ちょっと流れてスッと止まればOK。その他、温度で濃縮度合を確認することもできます。何度かジャムを作って、頃合を確認して下さい。

★出来上がり量

イチゴ1kg、砂糖500g、レモン果汁50ml、ペクチン3gを炊き込み、糖度65度に仕上げると1.1kgくらいのイチゴジャムができます。

★ジャムビンとフタ

ジャムビンは広口の140~250ccのビンがお手頃です。空きビンも利用できますが、ビンの口が欠けたり、ヒビのあるものは絶対に使わないで下さい。ジャムを入れてフタをしてもきちんと閉まらないため、長く保存することができません。また、加工中や保存中にビンが割れることもあります。ジャムを無駄にするばかりでなく、思わぬところでケガをすることにもなります。
フタは一度使ったものはパッキンが凹んで、緩くなるので、長く保存するためには、新しいフタを使って下さい。
ビンとフタはきれいに洗い、蒸気の上がった蒸し器に口を下向きにして入れ、内部に水が溜まらないようにして加熱して下さい。ビンとフタはジャムを詰めるまで蒸し器に入れて、熱くしておきましょう。

★ジャムのビン充填

ジャムは熱いうちに、熱いビンに詰めなければなりません。ジャムやビンの温度が低いと脱気殺菌の時間を長くしなければなりません。きれいで、おいしいジャムは手早く作って、手早くビンに詰め、殺菌するのが肝要です。片口レードルを使うとビンの口を汚すことが多くあります。鶴の首のように注ぎ口が長い片手ジョッキはビンの口を汚すことなく、手早く作業ができます。

写真:鶴の首のように注ぎ口が長い片手ジョッキ

ジャムはビンの口の上端から6~8mmくらいまで入れて下さい。140ccのビンなら155g、200ccのビンなら215gくらい入ります。

★脱気殺菌

脱気はジャムとフタの間に残る空気・酸素を減らすために行います。ビンの大きさ、ビンに入っているジャムの温度によって異なることは言うまでもありません。加熱によりビンの中に残った空気を膨張させ、希薄にした状態でフタをキュッと締め、減圧状態にします。軽くフタをしたジャムビンを蒸気の上がった蒸し器に入れ、ジャムの中心温度を90℃以上なるまで加熱します。140g~200gビンに熱いジャムを入れた場合では10~15分程度加熱します。

★倒立放冷

脱気殺菌が終了したら、フタをキュッと閉め、ビンを逆さにします。熱いジャムが下になったフタにもまんべんなく触れます。30分間、ビンを逆さにしておくことで、ビンの中に残っている耐熱性の微生物も生育することができなくなります。

写真:倒立放冷

フタの締めかたが緩かったり、ビンの口に傷があったりして、すき間があると、ビンを逆さにしたときにジャムが吹き出してきます。このジャムの長期保存はあきらめて下さい。すぐに食べてしまいましょう。

★流水冷却

倒立放冷の終了したジャムに高温は不要です。ビンを水に浸けてジャムの温度を下げるとともに、ビンについた汚れを洗い流します。ジャムがわずかな温もりを持つ程度になったら、ビンの外側やフタが清浄かどうか、確認しながら水から取り出し、きれいな布巾でビンやフタの水気を拭き取って下さい。完全に冷えているより、少しの温もりがあった方がふき取れなかった水分が早く乾きます。

写真:流水冷却

★ラベル

製造に係わる情報(ジャムの名前・材料の種類・材料の配合・作った年月日など)を付けたラベルを貼りましょう。

写真:ラベルを貼る

★保存

ジャムは冷暗所に保存して下さい。こうやって作ったジャムはフタを開けない限り、腐敗することはありません。しかし、温度の高いところ、明るいところに長くおくと、ジャムの糖、酸、ペクチン、色素などが化学反応をおこし、色が変わったり、柔らかくなったり、水分が分離してきます。また、香りも悪くなってきます。
どうしても長く保存したいときは冷凍保存して下さい。冷凍保存することで色素の変化がなく、作ったときの色調が長く保持できます。
ビンに詰めたままのジャムは長く保存できますが、フタを開けたジャムは糖分が多くても、少なくてもカビが生えたり、味や香りが悪くなり、長く保存することは難しくなります。フタを開けたジャムは冷蔵庫に入れて保管し、なるべく早く食べてしまいましょう。

★加工用イチゴ原料の保存

イチゴジャムを作りたいのだけれど、ちょっと量が少ないときは洗浄、ヘタ取り調整して、冷凍保存して下さい。冷凍用のプラスチック製袋に入れて凍結保存すれば長く保存でます。
砂糖は加えても、加えなくてもかまいません。砂糖を加える場合は加えた量を必ず記録して下さい。


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