ブドウの新品種「シャインマスカット」

掲載日:2020年6月19日
シャインマスカット写真

夏の風物詩、ブドウ・・・。「デラウエア」のような小さいブドウや、あるいは、「巨峰」「ピオーネ」のような、粒の大きい、紫色のブドウ、もしくは、「マスカットオブアレキサンドリア」のような、緑白色で、高級感のあるブドウ・・・ブドウにはいろいろな形、色があります。

ブドウの品種は、現在、苗木が流通しているものだけで150品種もあります。これらは、すべて生食用、すなわち、収穫後にそのまま食べられるものがほとんどです。日本のブドウ栽培面積は、約20,000haあり、ウンシュウミカン(約60,000ha)リンゴ(約45,000ha)、クリ(約25,000ha)、カキ(約23,000ha)、に次ぐ5番目に面積の多い果樹です。神奈川県の栽培面積は80haほどです。

世界的には、ブドウはワイン用品種がほとんどです。ちなみに、世界最大のワイン生産国は、スペイン(120万ha)で、これに次ぐのがイタリア(92万ha)、フランス(90万ha)、アメリカ(30万ha)です。いずれの国も、日本とは桁違いの規模で農家が栽培しており、栽培も垣根仕立てにするなど、全く様子が違います。

日本人は、ブドウの皮を剥いて実を食するのが一般的ですが、欧米人は、ブドウの実をそのまま食べ、中の種は飲み込みます。ところが、日本でも最近は、皮ごと食べられるようなブドウの品種も発表されてきています。

今回はそのような新しい品種群のうち、「シャインマスカット」を紹介します。

「シャインマスカット」の生い立ち

農林水産省果樹試験場カキ・ブドウ支場(現、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所ブドウ・カキ研究拠点)において、安芸津21号(「スチューベン」×「マスカットオブアレキサンドリア」)に、「白南」を交雑して選抜されました。

「シャインマスカット」の特性

収穫時期は、9月上旬から中旬です。粒の色は黄緑色、房の形は上の写真のように円錐または円筒形であり、粒の形は、やや細長い円筒形をしています。果房の重さは375g程度で、一粒の重さは、8.8gで、「巨峰」よりは小さく、中粒種に属します。

果肉は、硬めで、皮がとても薄いので、皮ごと食べても大丈夫です。特に、植物ホルモンを処理した房については、種なしになっており、皮ごと食べても、とても食べやすいのが特徴です。また、マスカット香と呼ばれる上品な香りがあり、「マスカットオブアレキサンドリア」と同じく、欧州種に分類されるブドウです。

糖度は16.2Brix%で、ブドウとしてはそれほど高いとは言えませんが、さっぱりした食味のため、一度に多く食べることができます。

栽培面では、樹勢が強く、新梢がよくのびます。新梢管理は、主要品種の「巨峰」「藤稔」と同様です。ただ、病害虫については、欧州種のため、黒とう病防除として、発芽前の石灰硫黄合剤の散布が有効です。

「シャインマスカット」は、皮ごと食べても大丈夫という、ユニークな品種です。全国的には普及が始まっていますので、数年後にはスーパーなどで見かけるかもしれません。

シャインマスカットの特性表

生育特性(平成15年度)

品種名 樹齢 樹勢 開花始 開花盛 開花終
シャインマスカット 6 6月1日 6月4日 6月7日
デラウエア 10 5月19日 5月21日 5月23日
巨峰 6 5月30日 6月2日 6月4日
ネオマスカット 6 強> 6月7日 6月10日 6月14日
品種名 収穫始 収穫盛 収穫終 果房重g 果粒重g Brix%> 酸度
g/100ml
シャインマスカット 8月25日 9月1日 9月16日 375 8.8 16.2 0.67
デラウエア 8月4日 8月13日 8月13日 128 1.7 19.4 0.80
巨峰 8月25日 9月1日 9月11日 359 10.5 17.7 0.90
ネオマスカット 9月11日 9月19日 9月19日 415 6.4 15.3 1.25

「シャインマスカット」の種なし化

シャインマスカットは、欧州種2倍体という分類に属するブドウです。植調剤であるジベレリンの使用にあたっては、欧州種2倍体という項目に準じて使用することが求められます。現在当所では、種なし化の試験をしていますが、満開時および満開10日後にジベレリン25ppm溶液を果房浸漬することにより、ほぼ95%以上の無核化を達成することができます。

無核の写真シャインマスカット(無核) 

有核の写真 シャインマスカット(有核)