「さがみグリーン」は今までにない新しいタイプのツケナを目標に育成した品種で、以下のような特徴があります。
- カラシナの一種ですが、ホウレンソウのように軟らかく、葉に細かいトゲがありません。
- 食味はカラシナとしては辛みがマイルドですが、味にクセが少なく、浅漬けのほか、お浸しなどにも利用できます。
- 秋から春まで栽培でき、野沢菜のようなカブ菜より耐寒性があります。
現在、神奈川県種苗協同組合(Tel.045-752-0921)に加入している神奈川県下の種苗店で種子が販売されています。
また、神奈川県の漬け物店で「さがみ菜漬」などの名称で漬け物が販売されています。
育成経過
さがみグリーンは、葉が軟らかいとともに毛がなく、風味が優れ、辛みのある浅漬けに適した品種を育種目標に育成しました。
さがみグリーンはカラシナの品種「大山菜」とタカナの品種「晩生平茎大葉高菜」を1986年に交配して、数多く(1万個体以上)の交雑個体の中から、育種目標を満たしていた1個体を選抜しました。その後、目標の形質が保たれていることを確認しながら、系統選抜と個体選抜を繰り返し、1995年に育成を完了しました。
利用方法
カラシナのように浅漬けが最も適していますが、アクが少なく軟らかいので、草丈が20から25cmくらいの若どりしたものをお浸しや炒め物にできるので、家庭菜園用にも適しています。
浅漬けにする場合は収穫物の重さに対して2から3%の塩を植物体全体にまぶして揉み、漬け物石などで重しをして冷暗所に置き7から10日後に食べ頃になります。
栽培方法
- 播種日は露地では、9月上中旬が最も適し、9月中旬以降10月下旬まきまで可能です。耐寒性は他のアブラナ科野菜と比べて強いほうですが、11月から3月上旬までは生育が遅くなるので、パンチフィルムやビニルでトンネル栽培が適しています。詳しくは播種期別の栽培特性を参照して下さい。
- 施肥量は苦土石灰などで土の酸度を矯正した後、平方メートル当たり化成肥料約100g(10a当たりに換算すると窒素、燐酸およびカリウムを各15から20kg)が適当です。
排水が良く、肥沃な土を好むので、有機質が少ない畑には完熟の堆肥を平方メートル当たり2kg(10a当たり2t)を施します。大株にする場合は基肥の3分の1を追肥として株元に施用します。
- 播種方法は条間20cmくらいで条まきにします。あまり混みすぎると節間が伸び、軟弱徒長気味になりますが、株間をあけすぎると品質が落ちます。草丈25cmの若どりでは株間約10cm、草丈40cmにする場合は株間約20cmが適当です。家庭菜園ではやや密植気味にして、なるべく若どりするのがおいしく食べるコツです。
- 病害虫はウイルス病を媒介するアブラムシやコナガ、ヨトウムシなどが発生するので、特に生育初期にべたがけ資材で被覆するか、初期の防除に努めます。
- 白さび病やべと病が発生することがあるので、アブラナ科非結球野菜に登録のある農薬で予防的に散布します。