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更新日:2023年6月30日

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ニホンナシのジョイント仕立て ―全国へ拡大中―

神奈川県農業技術センターで考案した「樹体ジョイント仕立て」に関する技術参考資料をとりまとめました。

ジョイント仕立てのロゴ

特許取得しました。

(1)名称 「樹木の樹体ジョイント仕立て法」
(2)特許番号 特許第4895249号
(3)対象樹種 ナシ、ウメ

ナシの早期成園化、省力・低コスト栽培技術開発に向けて

全国のナシ園は高樹齢化が進み改植の必要性に迫られていますが、改植による一定期間の収益減少は経営に与える影響が大きく、進んでいません。また、現在の整枝法は高度な技術を必要とし、労働時間短縮に向けての省力・効率化が難しく、このことが規模拡大や新規参入を困難にする要因となっています。
ニホンナシの樹体ジョイント仕立ては、これまでにない「樹と樹をつなげる」発想を活かし、これまで10年近く必要としたナシ園の育成期間を半減する超早期成園化技術で、無収益期間もわずか1年に短縮されます。また、直線的な単純樹形により、一定方向にせん定が行えるため、作業時間が大幅に短縮されること(40%減)と、高度な熟練技術を必要としなくなることにより、これまで困難であった規模拡大や新規参入を可能とする画期的新技術です。

ジョイント仕立てのナシ全景

全国へ、そして他の樹種へ

平成21年7月15,16日に神奈川県で開催した「研究成果シンポジウム」では、全国から700名近い参加者があり、共同研究の成果情報の提供と「栽培管理マニュアル」を配布し、研究成果の早期普及を図りました。
また、県内および全国からの視察は年々増加し、視察者へのアンケートでは、この技術が普及すると答えた生産者が52%あり、実際に自分の経営に取り入れたいと答えた生産者も42%ありました。
当所では、視察者向けへの技術資料として、ジョイント仕立てに関する資料をとりまとめました。ジョイント仕立てにご関心のある農業者、関係機関の方々の参考になれば幸いです。
ナシのジョイント技術全般に関する資料(平成21年3月版)はこちらから(PDF:1,926KB)(PDF:1,926KB)
ジョイント(接木)に関する詳しい資料(平成22年4月版)はこちらから(PDF:1,144KB)(PDF:1,144KB)

ナシに関する共同研究(新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業)は平成21年度に終了しましたが、「樹と樹をつなげる」新しい果樹の仕立て法に、多くの研究機関が注目し、平成21年度から5年間、農林水産業・食品産業技術研究推進事業(採択時:新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業)にも採択され、リンゴ、カキ等の他樹種へのジョイント仕立ての適応等に関し、本県を中核研究機関として新たな共同研究を行いました。この5年間の共同研究の成果集をとりまとめました。ナシ以外の樹種でのジョイント仕立てにご関心のある農業者、関係機関の方々の参考になれば幸いです。
「果樹の樹体ジョイント仕立てを核とした省力、低コスト栽培システムの開発」成果集(平成26年3月版)はこちらから

最新農業技術・品種2015に掲載されました!

最新農業技術・品種(農林水産技術会議ホームページに移動します)」では「新品種・新技術の開発・保護・普及の方針」(平成25年12月11日攻めの農林水産業推進本部決定)に基づき導入が期待される品種・技術リストを作成し、有用な品種・技術が紹介されています(※これまでの「農業新技術200X」に代わり、より多くの地域の方に活用いただけるよう見直しがありました)。
このたび新技術として「果樹の樹体ジョイント仕立てを核とした省力、低コスト栽培システムの開発」で実施したナシ以外の樹種での早期成園化・省力化の成果が「最新農業技術・品種2015」に掲載されました。
なお、果樹に関する導入が期待される品種・技術リスト(「農業新技術200X」および「最新農業技術・品種」)はこちらをご覧ください(農林水産技術会議ホームページに移動します)。

農業新技術2010に採択されました!

農林水産省では、毎年、試験研究機関の成果の中から、生産現場への普及を早めるべき重要なものを選択していますが、平成22年2月に、農業新技術2010として、「早期成園、省力化効果のあるナシの樹体ジョイント技術」が選定されました。

改植コストの削減(農林水産省の果樹経営支援対策)

ジョイント栽培に改植する場合、苗木代が慣行よりも2から3倍必要になるため、技術導入の障壁となっています。
農林水産省では、果樹の改植に対する補助事業(果樹経営支援対策事業(農林水産省「果樹のページ」)を行っています。この事業は、産地が策定した果樹産地構造改革計画に基づき、担い手が行う優良品目・品種への転換、小規模園地整備等の取り組みを支援していますが、平成20年9月に運用見直しがなされ、生産性向上が期待される技術(ジョイント栽培等)を導入する場合であって、改植が必要な場合は、同一品種の改植でも補助の対象になることが決定しました。ただし、都道府県の認定が必要です。
詳しくは、各地区のJA等へお問い合わせください。

特許の実施許諾について

本技術は、平成24年1月6日付けで特許(特許第4895249号)を取得しました。ジョイント仕立て栽培を行うためには、実施の許諾に関する契約が必要ですので、ご質問等は政策局政策部総合政策課科学技術グループ(電話番号 045-210-3071)にお問い合わせください。

このページに関するお問い合わせ先

生産技術部(果樹花き研究課)
電話 0463-58-0333 内線330から336

このページの所管所属は 農業技術センターです。