コナジラミが媒介するトマト黄化葉巻病(TYLCV)への感染防止を目的として、目合いの細かい防虫網が展張されますが、この防虫網の汚れや目詰まり防止対策として光触媒の担持(塗布)という方法があります。光触媒は主に酸化チタンという物質が使われており、光(紫外光)を当てることにより汚れ物質(有機物)を分解する機能と水と接触することにより汚れが落ちやすくなる親水化機能が現れます。
当所では紫外光も含む太陽光のもとに設置する防虫網に酸化チタンを担持し、汚れ防止機能(詰まりにくさ)について調べています。
温室に用いられている防虫網(サンサンネットSL-4200(目合い0.4mm、日本ワイドクロス製)に酸化チタンを担持し、農業技術センター温室の側面に2008年10月1日に設置しました。暴露半年後及び1年後に親水性を示す接触角値(低いほど親水性が高い)を測定したところ、光触媒有で光触媒無より低い値を示ししました。また、分解機能を示す分解活性指数(高いほど分解機能が高い)は暴露前より低下したものの、暴露1年後でも5nmol/L/min以上の値を維持していました。なお、観察では防虫網の汚れは光触媒有で光触媒無より少なく経過していますが、光触媒無でもこの暴露期間では詰まりは認められませんでした。
表1 暴露前後の資材の接触角及び分解活性指数
1)接触角計による
2)JISR1703-2に準じたセルフクリーニング性能試験による
これらのことから、光触媒を担持することにより防虫網にセルフクリーニング機能を付与でき、1年暴露後もその機能が維持されることがわかりました。なお、光触媒による目詰まり防止効果は本試験期間では評価できなかったため、今後、暴露期間を延長して試験を継続する予定です。
なお、光触媒には様々なものがあり、光触媒の材料、担持の仕方などによりその効果が大きく変わると考えられます。そのため、適正な材料や担持の仕方についても検討する予定です。