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初期公開日:2025年10月29日更新日:2025年10月29日

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藻場の食害魚を活用したペットフードの開発実証を開 始します!
―持続可能な藻場保全活動の仕組みづくりを目指しますー

2025年10月29日
記者発表資料

社会課題の解決に向けた産学公連携の取組みとして、このたび藻場の食害魚を活用したペットフードの開発実証を開始します。本取組みにより、「環境」「動物」「人」の健全性に関する分野横断的な課題の解決を目指していきます。

1 課題と目的

県内の藻場は約30年で大幅に産学公連携による社会課題の解決モデル減少しており、その要因の一つである食害魚アイゴ(注記1)は、未利用魚として流通価値が低く、十分な捕獲が進んでいません。

本事業では、海藻を常食するアイゴに含まれる有用成分(例:オメガ3系など)の活用可能性に着目し、ペットフードへの利活用を産学公で実証します。

2 開発実証

(1)体制の構築

本課題の解決に向けて、県、県内に所在する日本大学生物資源科学部、及び県内企業の株式会社スズキでは、藻場の再生に向けた共同研究契約を10月14日に締結し、産学公連携の体制を構築いたしました。

(2)開発実証内容

県内のアイゴを活用した高付加価値ドッグフードの試作品の製作・成分分析を行い、正常犬での観察・血液検査により、嗜好性と安全性を検証します。なお、株式会社スズキでは、国産食材のみを使用し、低温加熱製法で作られた総合栄養食を近日発売予定であり、本実証による新たな高付加価値製品を今後提供します。

3 目指す社会

未利用魚の価値化により捕獲インセンティブを高め、藻場再生を後押しするとともに、ペットの健康増進という社会的便益も創出し、環境・動物・人の健全性を同時に向上させる「ワンヘルス」型の新しい地域モデルの確立を目指します(「ワンヘルス・アプローチ」注記2)。

4 日本大学生物資源科学部 獣医学科 枝村一弥教授のコメント

本実証は、「人」と「動物」の健康、そして取り巻く「環境」を包括的に捉え、産学公が分野横断的に連携して課題解決に取り組む試みです。この「ワンヘルス」の概念のもとに、日本大学生物資源科学部と県下の漁業団体及びペットフード開発企業が協力して遂行するため、他の研究組織にない全国でも屈指の優位性があり、独創的な研究成果が見込まれます。本実証を通じて、「人」と「動物」の健康寿命の促進と、環境の健全性に貢献できればと思います。

5 開発実証の今後の展開

アイゴの積極駆除による藻場の再生、及びブルーカーボンクレジットへの申請増加を目指すとともに、今回のワンヘルス・アプローチにより、持続可能な藻場保全活動の仕組みづくりに繋げていきます。

注記1 アイゴ

アイゴは、藻場を食害する代表的な魚として知られていアイゴのイメージ図ます。温暖化や海水温上昇により分布域が拡大し、海藻を大量に摂食することで藻場の衰退(磯焼け)を引き起こします。藻場は魚介類の産卵・生育場所として重要であり、アイゴの増加は生態系や漁業資源に深刻な影響を及ぼしています。そのため、各地で駆除や資源利用の取組みが進められています。 

※画像はアイゴのイメージ図

注記2 ワンヘルス・アプローチ

ヒトと動物、それを取り巻く環境(生態系)ワンヘルスのイメージ図は、相互につながっていると包括的に捉え、人と動物の健康と環境の保全を担う関係者が緊密な協力関係を構築し、分野横断的な課題の解決のために活動していこうという考え方です。なお、ペットの飼育は、ストレスや孤独を軽減し、運動量や心血管の健康を改善、免疫や認知機能にも良い影響を与える研究報告があります。

《SDGsの推進について》

県では、SDGsの達成にもつながる取組として、持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図るため、ヘルスケアや脱炭素分野等における科学技術の社会実装を進めています。

SDGs3 SDGs9 SDGs13 SDGs14 SDGs17

 

問合せ先

政策局いのち・未来戦略本部室

科学技術担当部長 穂積

電話 045-285-0183

科学技術グループ 田上

電話 045-210-3071

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