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初期公開日:2025年12月25日更新日:2025年12月25日

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国内初!自律航行する水中ドローンで計測した藻場のCO2吸収量がJブルークレジットに認められました
―水中ドローンと海藻種別判定AIの技術で海の森を守る方々を支援―

2025年12月25日
記者発表資料

脱炭素に貢献したい企業と藻場再生を担う漁業団体をつなぐ仕組みとして、ブルーカーボンクレジットの活用が期待される一方、潜水士がモニタリングすることへの負担や安全面等での課題があります。そこで、操縦者の操縦熟練度に依存しない自律航行する水中ドローンによる藻場のモニタリング手法を県内ベンチャー等と開発し、このたび国内初となる同手法でのJブルークレジット(注記1)として認められ、今後クレジットの購入の公募が行われますのでお知らせします。

1 課題と目的

県内の藻場は、地球温暖化による海水温の上昇等に伴い約30年で半減しており、 漁業団体等により藻場の保全・再生の取組が進められています。こうした取組をさらに拡大する仕組みとして、ブルーカーボンクレジットの活用が期待されています。

 クレジットイメージ図

ブルーカーボンクレジットの仕組み

しかし、一般的な藻場のモニタリングは、潜水士が実際に潜って測定を実施しているため、費用面・時間面での負担が大きく、県内におけるクレジット申請は令和6年度については2件に留まっています。ブルーカーボンクレジットの活用を円滑に進める事ができれば、藻場再生の取組みの資金源として活用できるため、県では操縦者の操縦熟練度に依存しない自律航行する水中ドローン及びAI技術を活用した簡易かつ低コストの藻場のモニタリング手法(注記2)の開発と、同手法によるクレジット申請に関する実証事業について、江の島(NPO法人江の島・フィッシャーマンズ・プロジェクト)及び城ヶ島(三和漁業協同組合城ヶ島支所)にて本年度実施しました。

2 令和7年12月19日(金曜日)付で認証されたJブルークレジット

(1) CO2 吸収量

 江の島(別紙1(PDF:1,112KB)):9.6t

 城ヶ島(別紙2(PDF:843KB)):33.5t

(2) 認証機関、公募実施者

 「ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)」(国の認可法人)

 クレジットの購入の公募申込については、12月末までにJBEのHPに掲載予定です。

3 今後の展開

本事業により、簡易かつ低コストであるブルーカーボンの測定手法及び申請モデルを構築し、持続可能な藻場保全活動の仕組みづくりに繋げていきます。

注記1 Jブルークレジット

JBE が、独立した第三者委員会による審議を経て、認証・発行・管理する独自のクレジット。ブルーカーボン生態系が吸収する代表的な温室効果ガスCO2を対象とし、一般的な国際標準とされる100年間以上の長期にわたって沿岸域・海洋に貯留され、大気中から除去されるべきCO2の数量を客観的方法論に基づき科学的合理的に評価・算定して認証・発行(JBEのHPより)。

注記2 自律・操縦切替型水中ドローン及び海藻種別判定AIモデル

県の令和6年度HATSU起業家支援プログラム(HATSU鎌倉による支援を受けた起業家による県内ベンチャー企業(一般社団法人BlueArch))と連携し、自律と操縦の切替が可能な衛星誘導式水中ドローン(ハイブリッドAUV)により、操縦者の操縦熟練度に依存しない計測手法を開発。また、慶應義塾大学総合政策学部古谷研究室と連携し、水中ドローンで撮影した複数種の海藻で構成される藻場の画像を解析し、種別ごとに被度の検出が可能なAIモデルを開発。 本手法によりJブルークレジットの認証を受けたのは、国内で初めての事例。

 ハイブリッドAUVハイブリッドAUV

ハイブリッドAUV

 

AI判定モデルイメージ

海藻種別判定AIモデル

《SDGsの推進について》

県では、SDGsの達成にもつながる取組として、持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図るため、脱炭素分野等における科学技術の社会実装を進めています。

SDGs9 SDGs13 SDGs14 SDGs17

問合せ先

神奈川県政策局いのち・未来戦略本部室

科学技術担当部長 穂積

電話 045-285-0183

科学技術グループ 田上

電話 045-210-3071

このページの所管所属は政策局 いのち・未来戦略本部室です。