更新日:2023年9月12日

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神奈川県における気温の変化

神奈川県の気温について、現在までの変化と将来の予測を紹介します。

現在までの変化

 横浜地方気象台の観測による年平均気温は、長期的に有意な上昇傾向を示しており、100年当たり約2.0℃の割合で上昇しているほか、2013(平成25)年8月と2016(平成28)年8月には、日最高気温37.4℃と統計開始以来最も高い気温を記録しました。(2023(令和5)年8月現在)

横浜地方気象台における年平均気温の変化

横浜地方気象台における年平均気温の変化(1897~2022年)

出典:気象庁過去の気象データから県適応C作成

 

将来予測

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)※第6次評価報告書によれば、世界の平均気温は、向こう数十年の間にCO2及び他の温室効果ガスの排出が大幅に減少しない限り、21世紀中に1.5℃及び2℃の上昇(1850~1900年を基準)を超えると予測されています。化石燃料に依存し、気候変動対策を導入しない場合(SSP5-8.5)、21世紀末(2081年から2100年)の世界の平均地上気温は、1850~1900年を基準として、4.4℃(3.3~5.7℃)上昇し、地球温暖化の影響のリスクは、気温が上昇するにつれて高くなると予測されています。

※気候変動に関する政府間パネル(IPCC):世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された国連の組織。気候変動に関する最新の科学的知見をまとめ、政策決定などに活用してもらうことが任務。

以下では、神奈川県庁(横浜市中区)近傍における気温の変化を紹介します。

21世紀末の年平均気温

 神奈川県(神奈川県庁(横浜市中区)近傍)における21世紀末の平均気温は、現在気候(1990~2009年)に比べて、21世紀後半に脱炭素社会が実現した場合(SSP1-2.6)では、+1.6℃(+0.8~2.6℃)、化石燃料に依存し、気候変動対策を導入しない場合(SSP5-8.5)では、+4.8℃(3.4~6.2℃)上昇することが予測されています。

気候予測モデルによる現在気候と21世紀末の年平均気温の分布

気候予測モデル(MRI-ESM2-0)による現在気候と21世紀末の年平均気温の分布

出典:CMIP6をベースにしたCDFDM手法による日本域バイアス補正気候シナリオデータ(NIES2020)から県適応C作成

 

神奈川県における平均気温の将来予測

神奈川県における年平均気温の変化

出典:CMIP6をベースにしたCDFDM手法による日本域バイアス補正気候シナリオデータ(NIES2020)から県適応C作成

21世紀末の夏の暑さ

 神奈川県(神奈川県庁(横浜市中区)近傍)における真夏日(最高気温が30℃以上となる日)の年間日数は、現在気候では平均48日程度であるのに対して、21世紀後半に脱炭素社会が実現した場合(SSP1-2.6)でも1.3倍(平均64日程度)に、化石燃料に依存し、気候変動対策を導入しない場合(SSP5-8.5)では、2.2倍(平均106日程度)になると予測されています。

 例えば、21世紀末のお盆の頃(8月中旬)の最高気温は、現在気候では平均31.2℃であるのに対して、21世紀後半に脱炭素社会が実現した場合(SSP1-2.6)では平均32.6℃、化石燃料に依存し、気候変動対策を導入しない場合(SSP5-8.5)では平均35.4℃と予測されています。

神奈川県における真夏日日数の変化 神奈川県における8月中旬の最高気温

神奈川県における真夏日日数の変化と8月中旬の最高気温の変化

出典:CMIP6をベースにしたCDFDM手法による日本域バイアス補正気候シナリオデータ(NIES2020)から県適応C作成

21世紀末の冬の寒さ

 神奈川県(神奈川県庁(横浜市中区)近傍)における冬日(最低気温がが0℃未満となる日)の年間日数は、現在気候では平均10日程度であるのに対して、21世紀後半に脱炭素社会が実現した場合(SSP1-2.6)でも平均1日程度に、化石燃料に依存し、気候変動対策を導入しない場合(SSP5-8.5)では、ほぼなくなると予測されています。

 例えば、21世紀末のお正月頃(1月上旬)の最低気温は、現在気候では平均2.4℃であるのに対して、21世紀後半に脱炭素社会が実現した場合(SSP1-2.6)では平均3.9℃、化石燃料に依存し、気候変動対策を導入しない場合(SSP5-8.5)では平均7.4℃と予測されています。

神奈川県における冬日日数の変化神奈川県における1月上旬の最低気温の変化

神奈川県における冬日数の変化と1月上旬の最低気温の変化

出典:CMIP6をベースにしたCDFDM手法による日本域バイアス補正気候シナリオデータ(NIES2020)から県適応C作成

気候予測シナリオについて

  • このページの将来予測データは、国立環境研究所が作成した「CMIP6をベースにしたCDFDM手法による日本域バイアス補正気候シナリオデータ(NIES2020)」から、神奈川県庁(横浜市中区)近傍におけるデータを抽出・分析して、作成したものです。
  • 気候予測データには、不確実性を伴うため、必ずこのような変化が起きることを示すものではありません。また、現在気候のデータも、観測値ではなく予測と同じモデルによる計算結果(1990~2009年)を使っているため、実際の観測値と完全に一致するものではありません。

  • 図中では、次の3種類の温室効果ガス排出シナリオについて、5つの気候モデルの計算値を平均した値を図示しています。

シナリオ 概要
SSP1-2.6 持続可能な発展の下で、工業化前を基準とする昇温を2℃未満に抑える気候政策を導入。21世紀後半にCO2排出実質ゼロの見込み。21世紀末の世界平均気温が工業化以前と比べて約1.8℃上昇。
SSP2-4.5 中道的な発展の下で気候政策を導入。2030年までの各国の「自国決定貢献(NDC)」を集計した排出量の上限にほぼ位置する。21世紀末の世界平均気温が工業化以前と比べて約2.7℃上昇。
SSP5-5.8 化石燃料依存型の発展の下で気候政策を導入しない高位参照シナリオ。21世紀末の世界平均気温が工業化以前と比べて約4.4℃上昇。

 

 

 

 

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