更新日:2025年10月28日
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神奈川県労働委員会は、標記の事件について、申立人の不当労働行為救済申立てを救済する命令を交付しました。
申立人 X(組合)
被申立人 Y(会社)
本件は、組合が、会社と実施した令和5年4月25日の団体交渉における会社の対応及びその後の組合からの団体交渉申入れに対する会社の対応が、労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であるとして、同年8月14日に救済申立て(以下「本件申立て」という。)がなされた事案である。
⑴ 主文
会社は、本命令受領後、速やかに陳謝文を組合に交付しなければならない。
⑵ 争点及び判断の要旨
(争点)
組合の令和5年2月21日付け団体交渉要求書に対する、同年4月25日以降の会社の対応が、労組法第7条第2号に規定される誠実交渉義務に反するものであるか否か。また、かかる会社の対応が、同条第3号に規定される組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。
(判断の要旨)
会社は、【1】売上高を増やすために必要となる従業員のスキル及び【2】夏季休暇を削減することの根拠について、組合に対して説明することを約束していたにもかかわらず、令和5年4月25日団体交渉における会社の対応は、【1】については、確認した社内の担当者から回答を得られなかったと主張し、【2】については、何らの説明をすることなく「そちらで調べてください」と回答するのみであり、このような会社の対応は、誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索する義務を果たしているとはいえず、誠実交渉義務に反するといえる。
また、令和5年4月25日団体交渉後、組合からの3回にわたる団体交渉申入れに対し、会社は、代表取締役の体調不良を理由として、具体的な団体交渉日を回答することなく、同年6月20日付けで行われた組合からの4回目の団体交渉申入れに対し、会社は、申入れから4か月以上も先の日付である同年10月31日を団体交渉日として回答したが、団体交渉の議題に令和5年の昇給及び賞与に関する事項が含まれていることを踏まえれば、この日付はあまりに時機を逸したものといわざるを得ず、団体交渉の議題に応じて合理的な期間内に団体交渉日を設定したものとは認められないため、誠実交渉義務に反する。
なお、会社は、令和6年6月20日付けで解散決議をしているため、救済利益の存否が問題となるが、現在も清算の目的の範囲内で存続している以上、会社が清算を結了するまでの間にあっては、未だ回復すべき集団的労使関係秩序が失われているとまではいえず、救済の利益は失われてはいない。
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