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更新日:2023年12月27日

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神労委令和4年(不)第5号長啓会事件命令交付について

神奈川県労働委員会(会長 浜村彰)は、標記の事件について、申立人の不当労働行為救済申立ての全部を救済する命令を交付しました。

1 当事者

申立人 女のユニオン・かながわ(組合)

被申立人 医療法人社団長啓会(法人)

2 事件の概要

本件は、組合が、組合員Aに関する解雇予告手当及び慰謝料の支払いを交渉事項とする団体交渉を申し入れたところ、法人が、法人の代理人弁護士に無断で組合が法人に対して連絡を取ったことは業務妨害に当たる等と述べて団体交渉を拒否したことが、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。

3 命令の概要

(1) 主文

ア 法人は、組合が令和4年2月21日付けで申し入れた団体交渉について誠実に応じなければならない。
イ 法人は、本命令受領後、速やかに陳謝文を組合に交付しなければならない。

(2) 争点及び判断の要旨

(争点)

法人が、【1】組合が令和4年3月4日に法人にファックス及び電話で直接連絡を行ったことに対して、謝罪及び交渉担当者の変更をしなかったこと、【2】組合が主張する組合員Aに対するハラスメント及び解雇について、具体的主張及び立証をしなかったこと、【3】組合が団体交渉の協議内容及び進行について連絡をしなかったことを理由に、組合からの、組合員Aの労働問題等を議題とする令和4年2月21日付け団体交渉申入れに応じなかったか否か、応じなかったと認められる場合、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否か。

(判断の要旨)

ア 第1回団体交渉開催以降、組合は法人に対して、4回にわたり具体的な団体交渉事項や質問事項を提示し、2回目の団体交渉の開催を求めたにもかかわらず、法人は具体的な候補日を示さず、結果として団体交渉に応じていないから、団体交渉拒否に当たることは明らかである。

イ 法人の主張する理由は、いずれも団体交渉拒否の正当な理由には当たらない。

(ア)法人が代理人弁護士を選任したとしても、労使関係において、組合と法人間の直接のやりとりが一切否定されるものではない。
 また、組合が、法人側弁護士に加えて法人に対して団体交渉の日程調整を求める文書を送付したのは、組合からの重ねての早期開催申入れの連絡に対し、法人側弁護士が対応可能な日程を回答しなかったという事情も認められる。
 さらに、法人から組合員Aに送付された源泉徴収票の送付状には、問合せ先として法人本部の担当者氏名が記載されていたことから、組合が、確定申告の手続きに際して記載内容について法人本部に電話で問い合わせたことには、一定の理由があると言える。
(イ)組合は、第1回団体交渉後、組合員Aに対するハラスメントの具体的内容及び解雇に関する見解を示している。
 さらに、法人は、第1回団体交渉において、次の団体交渉の開催を約しているのであるから、まずは団体交渉を開催した上で、組合に対して法人の主張を伝えればよい。
(ウ)組合は、第2回団体交渉を申し入れる理由として、第1回団体交渉で解明されていない課題が残っていることを挙げ、これを解明するべく、組合員Aが勤務していた事業所及び法人本部責任者の同席を求めている。

ウ 以上のとおり、法人の対応は、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たる。

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